概要
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』に登場する、地球連邦防衛軍の最新鋭艦アンドロメダをネームシップとするクラス名のことを前衛武装宇宙艦と呼ぶ。しかしメディアの多くでは「アンドロメダ級」と記載されることが多く、こちらの名称で呼ばれることはやや少ない。
なお、「アンドロメダ級前衛武装宇宙艦」という呼び方はされていないので注意(ドレッドノート級は一回だけだがそう表記されたので、記事名もそうなっている)。
続編では艦種が改められ、「アンドロメダ級宇宙戦艦」が正式名称になった。
「AAA」と識別され、これは「Advanced Ability Armament(高度な能力の武装)」の略称であるとされている。
地球連邦政府の復興政策と共に進行した軍拡において計画された「波動砲艦隊構想」の名の許に推進された、ヤマト以降で初めて波動砲装備を成し得た戦闘艦群である。人口減並びに戦力の足りない現状から鑑みて実行に移された計画であり、アンドロメダを始めとして姉妹艦5隻からなる前衛武装宇宙艦が誕生した。
かのオリジナル版では、アンドロメダ級の就役はネームシップたるアンドロメダ1隻のみで、ヤマトを超える地球最強艦艇にして、地球連合艦隊総旗艦を唯一任されるオンリーワンの艦という印象が強く、同型艦は建造途中のまま物語からフェードアウトしてしまった(後のPS2版では準同型艦ネメシスが登場し、『復活篇』でも同型艦が登場した)。
それが今回のリメイク作品『2202』では同型艦の建造が間に合う形となったばかりか、単純な同系艦ではなく戦艦型と空母型の2パターン化されている。それに留まらず、物語後半では数百隻の準同型艦が登場する。
デザイナーは玉盛順一朗(戦艦型)、小林誠(空母型の艦橋部分)、高倉武史(空母型の胴体部分の発艦口)。なお、派生型含む『2202』時の各種カラーリング・マーキングは小林氏の手によるもの。
戦艦型
旧作に準じたデザインの方。アンドロメダを含めオーソドックスなタイプ。オリジナルには無かった新武装も多く盛り込まれている。
スペック(戦艦型)
- 全長:444m
- 乗員:200名
- 機関
- 主機『次元波動エンジン』×1基
- 補助機『ケルビンインパルスエンジン』×4基
- 兵装
- 二連装次元波動爆縮放射器(拡散波動砲)×2門
- 40.6㎝三連装収束圧縮型衝撃波砲塔×4基
- 速射魚雷発射管×4門
- 重力子スプレッド発射機×4基
- 四連装対艦グレネード投射機×2基
- 小型魚雷発射管×8門
- 亜空間魚雷発射機×4基
- 短魚雷発射管×16門
- 多連装ミサイル発射機×16基
- ミサイル発射管×10門
- 司令塔防護ショックフィールド砲×3基
- 近接戦闘用六連装側方光線投射砲×2基
- 対空パルスレーザー砲塔×4基
- 拡散型対空パルスレーザー砲塔×1基
- 艦載機
主武装
波動砲に拡散機能を持たせ、対艦隊での効果を高めた兵器。エネルギーが敵寸前で散弾のように分裂して広範囲の目標を殲滅する。従来の収束波動砲との切り替えも可能。
主兵装は陽電子衝撃砲の発展新型となる武装。
口径は40cmで、ヤマトよりも小口径(それでも大口径砲には違いないが)となったが、それも技術の発達した成果であり、エネルギージェネレーターの高出力化や、砲身中間部に装備された陽電子収束器により威力・速射性能の向上化を成し得ている。
その速射性能は恐るべきもので、40cmの大口径でありながら速射砲の如き間隔で連射することが可能であり、最も早いペースでは約1秒に1回という猛ペース(但し、これはあくまでも映像描写上での時間であるため注意)で連射を可能としている。なお、それを長時間に渡って続けられるかは不明である。
副武装
- 重力子スプレッド発射機
艦首部砲口やや後方上下に装備される本作完全オリジナルの兵装。拡散波動砲の予備チャージエネルギーを活用し重力フィールドを展開する攻防一体型兵装で、攻撃に使えば小惑星帯を吹き飛ばし、防御に使えばカラクルム級のインフェルノ・カノーネを無力化する。数百隻以上から放たれる波動砲を、一点に集約するという使い方もある。
- 四連装対艦グレネード投射機
前甲板両舷のバルジ状の部位に搭載された兵装。旧作では固定式四連装舷側砲と表記されたこともあったが情報源不明だった装備。
- 速射魚雷発射管
艦首上部に存在する魚雷(この場合艦の軸線に対し水平に発射されるミサイルを指す)発射管。なお、設定画だと魚雷発射管ではなく、波動砲等の照準システムが装備されているとされているが、実際にどちらなのかは劇中で一切使っていないため不明。
ちなみにアンドロメダ改では艦尾側に同名の武装があるが、数が異なるため上記諸元表のものとは異なると思われる。
- 亜空間魚雷発射機
舷側に4基装備された特殊魚雷。発射口らしきものは2つあるが装備数のカウントは4基。旧作では連装舷側砲と表記されたこともあったが情報源不明だった装備。
- 短魚雷発射管
舷側のバルジ状の部位に格納された兵装。ちなみにこれが装備されるバルジの前端部に2つ砲口のような『穴』がある(旧シリーズのPSソフトでは副砲とされていた部位)が、これの用途は不明。空母型では舷側カタパルトに置換されているため存在しない。
- 多連装ミサイル発射機
艦橋基部(と補助エンジンナセルの間、やや前より)の片舷4つのハッチ、およびその真下(タンク状構造物の基部付近)の片舷4つのハッチ内に装備された側方攻撃用の兵装。短魚雷同様に空母型には非装備とされる。
- ミサイル発射管
艦底部に10基装備されたミサイル発射管。ヤマト以降艦下方への攻撃装備が少なくなった防衛軍大型艦艇にとっては貴重な下方に射角のある兵装。
対空武装
- 司令塔防護ショックフィールド砲
空間に衝撃波を発生させる迎撃用兵装で、旧作における五連装大型艦橋砲。独自設定として同じ兵装が艦橋基部にも設置されているとされるが、具体的な装備位置が不明。
- 近接戦闘用六連装側方光線投射砲
艦橋基部の「へこみ」に6基並んだ『穴』状の装備(と思われる)。詳細な情報がない。
- 拡散型パルスレーザー砲塔
従来型のパルスレーザー4基に加え、新装備としてこのような兵装を搭載する。外形はどこかガミラスの無砲身型砲塔と似たものとなっている。
運用人数
少数人数による運用を極限まで目指した結果による自動化によって、艦橋要員は艦長・副長・戦術長(航海長兼務)・通信長のたった4名に過ぎない。
しかも全長444mの巨体を有していながら、乗組員はわずか200名であり、ヤマトの乗組員999人の約5分の1に抑え込んでいる。もっとも、ヤマトは長大な航海を成し得るために冗長性が求められたためともいえる。
空母型
格納庫を増設し、艦載機搭載数を増加させたタイプ。戦艦型の武装も大半を引き継いでいるので、実質的には航空戦艦になる。
艦橋後部が異様なまでに肥大したその姿は、艦載機の格納庫区画と発着区画が一体化しているが故の構造である(一見して判るほどのかなりのトップヘビーであり、重力下での運用に制約がありそうなものである)。
なぜこんなアンバランスな構造になったのかは不明だが、胴体部分をなるべく維持したまま空母機能を充実させようとした結果、艦橋後方にユニットごと外付けするしかなかったのではないかという考察がある(ただし、艦側面に内蔵式のカタパルトを大量に埋め込んでいるなど主船体の外形はそのままだが内部はかなり変化している模様)。デザインした人は「着艦時は相対速度を落とすため艦も増速しており、艦の推進ノズルと近い位置に飛行甲板があると危険で近づけないため、推進ノズルと距離を空けるためにあの位置になった」と述べている。
スペック(空母型)
- 全長:484m
- 乗員:約800名
- 機関
- 主機『次元波動エンジン』×1基
- 補助機『ケルビンインパルスエンジン』×4基
- 兵装
- 二連装次元波動爆縮放射器(拡散波動砲)×2門
- 40.6㎝三連装収束圧縮型衝撃波砲塔×2基
- 速射魚雷発射管×4門
- 重力子スプレッド発射機×4基
- 小型魚雷発射管×8門
- 四連装対艦グレネード投射機×2基
- 亜空間魚雷発射機×4基
- ミサイル発射管×10門
- 近接戦闘用六連装側方光線投射砲×2基
- 司令塔防護ショックフィールド砲×3基
- 対空パルスレーザー砲塔×4基
- 拡散型対空パルスレーザー砲塔×1基
- 大型魚雷発射管×18門
- 艦載機
胴体内の格納庫を拡張、さらに司令塔上部の艦橋に隣接する位置にも格納庫を増設することで、艦載機搭載数を底上げしている。戦艦型に比べ40m程全長が長いが、それは艦橋と一体化した格納庫が艦尾側に大きく張り出したことが原因である。そのため、格納庫を除いた全長は戦艦型と同じである。
搭載機は180機(10個航空隊)と空母の名に恥じない搭載機数を誇る。因みに、凹凸が激しいのでとてもそうは見えないが艦橋格納庫上面も飛行甲板として利用でき、180機という数字がその部分に露天繋止した分も含むのかは不明(第17話では上面に80機以上載せている)。
発艦口については、艦橋部の巨大格納庫部分の発進カタパルト24基を搭載するほか、艦体両舷の短魚雷発射管(楕円状パーツ部分)と、艦底部(タンク上構造物が付いている辺り)がスライドしてせり出し、カタパルトが展開される仕組みになっている。
火砲に関しては基本的に戦艦型と同じ。ただし、艦載機を多量に積み込むため、なおかつ一度に射出展開を求めたその対価として、後部砲塔2基、および舷側の短魚雷発射管と多連装ミサイル発射機が撤去されている。代わりとして空母型特有の武装である大型魚雷発射管が大型格納庫を支える支柱側面に装備された。
運用人数に関しては、パイロットや整備士等の人数を含めたことからか、約800名とされている。搭載機は180機であるからして単純計算で180名のパイロット、200名の通常クルー、残りは整備士等の航空要員ということであると思われるが、詳しい情報は不明。
本艦は『2202』において頭一つ抜けた性能をしている。具体的には、
- 搭載機数
仮にも正規空母で、空母としての機能にステータスを振り切ったガイペロン級多層式航宙母艦の約3倍の搭載機数。つまりこれ1隻でガイペロン級3隻分の航空戦力を有することになる。
因みに現実のアメリカ海軍主力空母の搭載数は70~90機程なので、そちらと比較しても2倍になる。
- 発艦速度
ガイペロン級の同時発艦数が8機なのに対して、本艦は艦橋部分だけで24基、胴体部分も合わせると合計64基の発艦口を有している(戦艦型と同じ位置にもあるならさらにもう+1基)。
しかも(整合性より見栄え重視の本作ではあまり参考にしない方が良いかもしれないが)映像上、一つの発艦口からの発艦スパンは1~3秒で1機。(連続発艦可能数や各発艦口ごとの機数の比率等は不明なので一旦置いておいて)単純計算した場合、10秒足らずで全艦載機を発艦させることができてしまう。
- 砲戦能力
艦橋後部や発艦口が設置されている箇所の装備は失っているものの、波動砲を始めとする戦艦型の基本的な武装は引き継いでおり、下手な戦艦よりも高い砲戦能力を持つ。
- 弱点・欠点
公式で語られている範囲では存在しない。
一応、補給や整備などの面は描写が無く不明なため、そっち方面の能力は低いのではないかという考察もある(実際、あの艦体に180機は詰め過ぎなため、補給物資の保管場所や機体の整備スペースに事欠くというのはそこまであり得なくもない話ではある)。
他には弾薬庫ともいえる格納庫を司令部たる艦橋に隣接させるという明らかにリスキーな構造も弱点と言えば弱点かもしれない。
という風に、カタログスペック的にはぼくのかんがえたさいきょうのうちゅうくうぼと言っても過言ではないほどの万能艦である。戦艦と空母の両立という点ではゲルバデス級航宙戦闘母艦と同じなのに、性能が中途半端でコスパも悪い失敗作扱いのあちらとはまるで正反対。
あまりのチートスペックのため、パワーインフレという点やメアリー・スー的な感じで視聴者の批判に晒されることもある(逆にこの超スペックが良いと感じる人もいるが)。
なので、ファンによる考察や二次創作の類では、搭載機数と展開速度を重視した一方で補給や整備などの性能が低く継戦能力に欠ける、という風な味付け(というよりインフレを抑えるための補完)をされることも。
デザインした人によると、だだっ広い宇宙空間において航空機を遥か後方と前線との間で旅させるのは危険だから、空母自ら最前線まで出張って現地で発艦させ、なおかつ退避せずにそのまま前線に居座り続けるというのがアンドロメダ級空母型のコンセプトらしい(通常、艦載機が一番危険なのは発艦直後の無防備なタイミングなのだが……まあそこは射出速度がめっぽう速いため大丈夫と考えても良いかもしれない)。
そうなると、とにかく大量の艦載機を素早く“ばら撒く”ことを重視しているはずなので、ある意味では理に適った性能をしているとも言える。
本作における地球艦隊の基本戦術は隊列を組んで波動砲をぶっ放すというシンプルなもので、航空戦力に求められるのは波動砲を撃つまでのサポートに過ぎないため、展開能力を高めて瞬間的な制宙権の確保を可能とするアンドロメダ級空母型は波動砲艦隊構想にひたすら最適化した艦とも言えるのかもしれない。
カラーリング・マーキング
カラーリングは各艦によって異なる。2番艦~5番艦は舷側に白いラインが入っている。
また、艦体各所に軍のエンブレム(国連マークに錨や「U.F.C.F」が加えられたエンブレムと、錨マークに「COSMO NAVY」と書かれたエンブレム)と艦名が多数掲げられている。
『2205』以降、『2202』でのエンブレム過多は礼装・儀仗運用を示す「フォーマル・ドレスアップ・モード」の仕様に基づいた塗装であり、波動砲艦隊構想の誇示を目的としていたと設定され、通常運用を示す「サービス・モード」と呼ばれる識別塗装が別途設定された。こちらは国連マークベースのエンブレムが無くなっており、やや控えめなマーキングとなっている。
因みに、『2205』でアルフェラッツを設定する際、福井氏が玉盛順一朗氏に「変な手を加えていないオリジナル準拠の色合い」とお願いして描いてもらったとのこと(なお、劇中のアルフェラッツはマーキング無しで描かれているが、資料集掲載の設定画によると『3199』のものと同じマーキングがこの時点で設定されている)。
同型艦
劇中の登場する同型艦は以下の通り。
No. | 艦名 | タイプ | カラーリング | 艦長 | 初出 |
---|---|---|---|---|---|
AAA-1 | アンドロメダ | 戦艦型 | 灰色 | 山南修 | 2202 |
AAA-2 | アルデバラン | 戦艦型 | 紺色に白ライン | 谷鋼三 | 2202 |
AAA-3 | アポロノーム | 空母型 | 紺色に白ライン | 安田俊太郎 | 2202 |
AAA-4 | アキレス | 戦艦型 | 灰色に白ライン | 仁科鷲雄 | 2202 |
AAA-5 | アンタレス | 空母型 | 灰色に白ライン | 富山繁 | 2202 |
AAA-6 | アマテラス | AAAAS | 灰色 | 不明 | 2202 |
AAA-7 | ラボラトリー・アクエリアス | AAAAS | 灰色 | 不明 | 2202 |
AAA-8 | アクエリアス | AAAAS | 灰色 | 不明 | 2202 |
AAA-9 | ランダルミーデ | AAAAS | 緑色 | 不明 | 2202 |
AAA-10 | ヴェム・ハイデルン | AAAAS | 緑色 | 不明 | 2202 |
AAA-11 | デルスガドラ | AAAAS | 緑色 | 不明 | 2202 |
AAA-21 | アルフェラッツ | 戦艦型 | 灰色 | 不明 | 2205 |
※AAA-6~11のAAAASについては、後述の派生艦を参照。
9番艦~11番艦のガミラス製アンドロメダ以外の艦名は、すべてアルファベット表記でAから始まる名前で統一されている(頭文字以外に共通点はないが)。
アポロノームの名前の元ネタは、おそらく『サブマリン707』に登場する空母アポロ・ノームであろう(例えるならば現実の海軍が新造艦に「ホワイトベース」等と命名するようなものだが何故当艦のみフィクションの艦名から命名されたのかは不明である。ちなみに脚本段階ではアポロだった)。
アキレスとアンタレスの艦長は劇中では登場しないが、2018年12月に発売されたプラモデル商品『アンドロメダDX』において、付属イラスト中に他の3名(および後述のCCCの4名)と一緒の名前と姿が描かれている。
派生型のAAAASの後にそのまま連番で再度通常のアンドロメダ級が建造されているが、ここら辺がどういう扱いになっているのかは不明。普通に派生型を止めて通常タイプに戻しただけか、それともAAAASがAAAと共通の型番を持つという設定自体が無かったことになっているのか。
早期就役の裏には
コスモリバースシステムによって地球環境の回復こそできたが、経済的・軍事的な復興は自力で成さねばならない地球にとって、ガミラスやガトランティスのような地球単独では戦力的に到底太刀打ちできないであろう強大な星間国家と相対するうえで、波動砲搭載艦の存在は必須とも言えた。
ただ既存艦艇と全く違う設計思想からなる艦を建造するには、設計や研究の時間が必要なばかりか専用の建造ドックの建築も必要となる。そのためアンドロメダ級の完成には相当な年月を要するはずだった(なので一旦は旧世代艦の改修型である金剛改型宇宙戦艦や村雨改型宇宙巡洋艦などを再生産して早期戦力回復を図った)。
しかし、実際にはわずか3年でアンドロメダ級は完成に至っており、これには古代も「もう完成していたのか」と戸惑いを隠せなかった。
これを成し得たのは、コスモリバースの負の遺産とも言うべき時間断層の存在であった。詳細についてはリンク先に譲るが、この特殊空間内は時の流れが外界の10倍の速さで流れる、つまり時間断層内で10日の日数が経っても通常空間ではたったの1日しか経過していないことになる。
その特性を利用し、ここに大規模軍事工場を建設し、長い時間をかけてアンドロメダ級を開発したというのが真相だった。
因みに拡散波動砲の開発にはガミラスの軍需産業も一枚噛んでいることが、第8浮遊大陸基地奪還作戦時でオブサーバーとして参列していたガミラス人の存在からも示唆されている(脚本段階ではオブザーバーは全員地球人だったので、後付けである可能性が高いが)。
経歴
各艦の個別記事も参照のこと。
宇宙戦艦ヤマト2202
第1話にて、ネームシップであるアンドロメダが初登場し、ガトランティス艦隊を彼らが占拠している浮遊大陸ごと破壊する大打撃を与える。しかし、カラクルム級戦闘艦を仕留めきれず、地球への特攻を許してしまった。
第2話では、既に進宙しているアンドロメダを除く同級4隻の進宙式が挙行された。
その後木星軌道上でドレッドノート級と共に演習に参加する。直後のヤマト強行出撃に際してはアンドロメダのみが追撃し、後の同型艦4隻とドレッドノート達は待機となった。
その数か月後に勃発したガトランティスとの本格戦争では、土星圏へのバルゼー艦隊侵攻に際し迎撃に向かうが、アンドロメダ以外の艦は拡散波動砲を一度撃ったのみで目立つ活躍は見せていない。アポロノームとアンタレスは戦闘前に大量の艦載機を積み込んでいる描写もあったが、発艦シーンも空戦も一切描かれなかった。
続く白色彗星との決戦では収束波動砲を集約して2度も撃ち込んだものの、都市帝国の防御の前に効果を上げることができず、アポロノームが総旗艦アンドロメダを身を挺して救ったものの引き換えに爆沈、残る4隻は撤退を余儀なくされた。
その後、ヤマトが白色彗星に引きずり込まれていった際には、アンタレスが脱出してきた艦載機群を収容して離脱した。なお、収容したヤマトクルーについて、島大介や真田志郎らは波動実験艦銀河に移乗したが、アンタレスに残留した者もいたことが第22話での篠原の台詞から分かる。
土星圏での戦闘を銀河艦隊に任せ、アンドロメダは修理のため地球へ帰還してアンドロメダ改に改装。その他のアンドロメダ級は火星宙域の守備隊と合流し、火星宙域でガトランティス艦隊と再戦する。アンドロメダ改を除いてアンドロメダ級自体に喪失艦は出なかったものの、軒並み戦闘に支障をきたすほど損傷する破目になったため、以降の戦闘には参加しなかった。
なお、派生型を除くと劇中で登場したのは5番艦までだったが、『2205』で登場したアルフェラッツの存在から、ガトランティス戦役終戦までに最低でも21番艦までは就役していた模様。それらの艦が健在なのか、どこかのタイミングで轟沈したのかは不明。
宇宙戦艦ヤマト2205
第2話にて21番艦であるアルフェラッツが登場。
第十一番惑星近海に漂流するカラクルム級(第八機動艦隊の残骸)の再活性化を警戒し監視にあたっている。
実は元々このシーンでアンドロメダ級が登場する予定は無かった。
アシェット・コレクションズ・ジャパンが2019年より刊行している『宇宙戦艦ヤマト2202ダイキャストギミックモデルをつくる』という分冊百科があり、これがヤマト終了後に延長シリーズとしてアンドロメダも販売し始めたのだが、この延長シリーズの開始が『2205』公開を控えた2021年3月だったからか、延長分は『宇宙戦艦ヤマト2205』と銘打たれることになった。
そうなると「『2205』のタイトルでアンドロメダを販売しているのに当の『2205』にアンドロメダ級が登場しないのはまずい」という話になり、急遽背景に登場させられることになった。
アルフェラッツという艦名も後から考えたようで、『2205』前章のヤマトークで福井氏達が登場経緯を明かした際には、まだ決めていなかったのか冗談めかして「Aから始まるからアシェット」と言っていた。
その他、劇中には登場しないが、板東平次の亡父がアキレスのクルーであったことが語られる。
また、本作のラストには、ED後にアンドロメダ級の残骸として、アークトゥルスCXCIが登場した。
CXCIはローマ数字で「191」を表すので、多数存在するアークトゥルスという同名艦の内の191番目という意味だと考えられる。
艦名プレートの表記は、「ARCTURUS CXCI E.F.C.F. AAA-9207-2339」である。
これをそのまま受け取ると「アークトゥルス 191 地球連邦宇宙軍 アンドロメダ級宇宙戦艦 9207番艦 2339年」というとんでもない事になるが、なぜ地球の、それもまだ存在していない艦があるものの中から見つかったのか…?
ヤマトよ永遠に REBEL3199
アルデバランとアルフェラッツの登場が予告されている。
ガトランティス戦役末期から時間断層放棄まで建造された艦船はほとんどが時間断層のAIによって制御される完全無人艦であり、大規模改装なしには有人運用が不可能となっていたため、ガトランティス戦役後に初期アンドロメダ級の修繕と改修が優先された。西暦2207年時点では先の2隻の他、数隻が艦隊指揮艦として再整備されつつある。
なお、本作では第4次防衛計画による地球連邦宇宙海軍の再編により、艦種名がそれまでの「前衛武装宇宙艦」から、国連宇宙海軍時代から受け継がれてきた「宇宙戦艦」に変更されている。
派生艦
『2202』では空母型以外にも派生型が多数登場する。
ZZZ
「前衛武装宇宙艦ZZZ/アンドロメダ改」
土星宙域で大破したAAA級一番艦アンドロメダを修復したもの。
別項も参照。
CCC
「戦闘航宙母艦CCC」
ガミラスの手でライセンス生産されたアンドロメダの空母型。一部ガミラス様式の艤装が施されている。
「ノイ・バルグレイ」「ノイ・ランベア」「ノイ・シュデルグ」「ノイ・ダロルド」の4隻が建造された。
CCCは「CRIMSON CAMARADERIE CARRIER(友情の紅い空母)」の略称だとされている。
BBB
「自律無人戦闘艦BBB/アンドロメダブラック」
AAAの完全無人仕様艦。時間断層工場で早々に完成していたと思われる本級の姿があった。後にガトランティスの侵攻を受けて大量建造に踏み切っている。
別項も参照。
AAAAS
「AAAAS/AAAアドバンスドステージ」
アンドロメダ級6~11番艦はこう呼称され、実験的要素の強い艦とされる。
いずれも詳細なスペック未発表のため以下の記述はほぼ推測である点留意願う。
羽原監督が「スタッフ全員に何らかの華を持たせたい」と言って絵が描ける人間にゲストとしてデザインを依頼したというのが登場経緯。劇中での出番はあくまでゲストの範疇にとどまる。
種類
「AAA-6 アマテラス」
第六章にカメオ出演として登場したアンドロメダ級の一隻で、AAAアドバンスドステージと呼ばれる試作的要素の強い艦の一つとされる。
別項も参照。
「AAA-7 ラボラトリー・アクエリアス」****「AAA-8 アクエリアス」
- 全長:444m (推定)
- 乗員:不明
- 機関
- 主機『次元波動エンジン』×1基 (推測)
- 補助機『ケルビンインパルスエンジン』×4基 (憶測)
- 兵装
- 二連装次元波動爆縮放射器(艦首拡散波動砲)×2門 (AAA-8、推察)
- 40.6㎝三連装収束圧縮型衝撃波砲塔×3基 (仮定)
- 速射魚雷発射管×4門 (見当)
- 重力子スプレッド発射機×4基 (推度)
- 四連装対艦グレネード投射機×2基 (臆断)
- 亜空間魚雷発射機×4基 (想察)
- 短魚雷発射管×16基 (目算)
- 多連装ミサイル発射機×16基 (多分)
- ミサイル発射管×10門 (きっと)
- 隠蔽式対空火器×8基 (だと思う)
- 艦載機
- 不明
上に同じくアンドロメダ級の派生艦アドバンスドステージでAAA-8は第六章にカメオ出演として登場。後述の経緯のためデザイン担当は小林副監督。
艦橋が波動実験艦銀河と同様の形状(ただし基部のドーム状構造物の枠組みが異なる。)と成っており、3番砲塔が撤去されている。AAA-7は(アンドロメダA12のように)波動砲砲口が塞がれているが、それ以外は他のアンドロメダ級と同様に見える。
元は副監督が過去に連載していた『飛ぶ理由』に登場した艦で、彼の独自設定(アニメ的には非公式)ではAAA-7は後にある艦の名を襲名することになるらしい。
「ランダルミーデ級」(仮称)
- 全長:不明
- 乗員:不明
- 機関
- 主機:不明×1基
- 補助機:不明×4基
- 兵装
- 波動砲×2門
- 主砲塔×4基
- 魚雷発射管×不明
- 副砲×4基
- 舷側砲×4基
- ミサイル発射機×不明
- 艦載機
- 不明
やはり第六章にカメオ出演した艦。AAA-9~AAA-11の3隻が存在する。デザイン担当は「小倉信也」氏。
艦名はバンダイより発売の1/1000アンドロメダ級DXに付属する設定資料集によるとAAA-009が「ランダルミーデ」、AAA-010が「ヴェム・ハイデルン」、AAA-011が「デルスガドラ」となっている。
副監督は「ガミラスメイド」と呼称し、小倉氏は「ランダルミーデ級」と呼称している。作品外での非公式通称は「ガミドロメダ」。
CCCとは違いこちらは完全なガミラス製の艦であり、アンドロメダの設計を元にガミラスが建造した。
AAAに分類されているが舷側(短魚雷が格納されていたバルジ部)にガミラス特有の「目玉」状構造物があり、艦首にも「ツノ」状構造物が存在し、艦橋やフィン状構造物、アンテナ類にインテーク類などもガミラス様式のものになっており、亜空間魚雷発射機は陽電子カノン砲らしき(もしくは似た外形の)有砲身砲塔に置換されていたり、艦橋下の多連装ミサイル発射機跡地はデストリア級かゲルバデス級のような舷側カノン砲らしき兵装が配置されるなど、実質的に全体的な外形以外は別物といえる。艦首砲は当初は小型衛星を引き連れ全方位攻撃を行うことを想定し反射衛星砲を装備する予定だったが、ガトランティスによる模倣を受けて波動砲装備に変更されている。
ちなみに本編では採用されなかった設定だが、ランダルミーデ級4番艦として「ゼイラギオン」がいる。(ガミラスがどうなのかは不明だが)現実での軍艦は2隻×2造船所の計4隻で造り始めるのがスタンダードのため。
経歴
「AAA-007ラボラトリーアクエリアス」以外の艦はカメオ出演の後に火星沖戦線に投入されたと思われ消息は不明であったが、第七章にて「アマテラス」「アクエリアス」そしてガミドロメダのうち一隻がBBBの残骸と共に同じく残骸となり彗星都市ガス帯に浮かんで登場。儚い命であった…
余談
同型艦の登場について
アンドロメダが複数登場するというのは比較的早期から予告されており、当初よりファンの間では物議を醸していた。
概要で述べた通り原作でのアンドロメダは1隻しか出ておらず、その人気はヤマトと同じくオンリーワンの存在としての人気だった(メカ人気というよりはキャラ人気に近い)ため、それが(続編ならいざ知らず同じ作品で初っ端から)複数出てくるということに難色を示すファンもいた。
せめて各々が艦隊旗艦として別個に活躍するなら個性も出ただろうが、劇中ではほとんどの場面で仲良く並んで行動しているだけのため、複数出した意味も薄くなってしまった(なお、脚本での土星沖海戦はちゃんと別働隊を率いていた)。
それでも前半はまだ5隻のみのため旗艦クラスとしての風格は保たれていたが、後半でアンドロメダブラックという無人型が(廉価版的な簡略化もなく戦艦型そのままのデザインで)大量に出てきてしまう。アンドロメダを量産しなければならないという異常事態という演出だったが、単なるアンドロメダの叩き売りにしか見えないという視聴者も多かった。アンタレスまでは良くてもブラックは受け入れられないという視聴者は少なくない。
なお、これに対しては「時間断層によって短時間で建造できるなら、雑魚を造るより性能の高いアンドロメダ級やドレッドノート級を大量生産する方がいいじゃないか」と擁護する声も見られる。各艦種の役割分担とかコスパとかの問題もあるので一概には言えないが、一応一側面としては分からなくもない(ただ結果的に土星沖海戦などは画面に映るのがドレッドノート級ばかりになって絵面が単調という批判も受けているが)。
とはいえ同型艦に否定的なのは、あくまでもアンドロメダと同時期に出ることで「アンドロメダという個艦」の特別感が損なわれる恐れが主な理由だったため、アンドロメダが活躍を終えて果てた後までは気にされることはなく、続編での同型艦の登場に関しては普通に好意的な反応が大半である(そもそも同型艦を一切認めないなら『復活篇DC版』でアンドロメダA12が登場した時点で非難囂々だったろう)。
空母型の登場について
空母型の存在に関してもファンの間では賛否両論。
単体としてのデザインの良し悪しは好みもあるため一旦置いておくとしても(とはいえこれについても小林氏が「大概のシルエットは二次創作でやられてるからそれやってもつまらんと言われたので、逆風を承知でピーキーなデザインにした」と述べており、批判は織り込み済みだったようだが)、
- 原作の人気メカを改変したもの
- 改変部分は周囲の地球メカのデザイン系統から明らかに外れた形状で、良く言えば独創的、悪く言えば統一感が無い
- 明らかに危険性が高い格納庫の配置など、素人目で見ても疑問点がある構造
- 3の点に関してのフォローも無しに、設定上は他の艦が霞んでしまうレベルのご都合主義みたいなハイスペック
- 原作にいた地球空母は未登場で、本艦のみが地球軍唯一の空母として登場(原作空母のリメイクは次回作までお預け)
- 空母としての見せ場があまりなく、存在意義がいまいち不明瞭
等々、良くも悪くも原作クラッシャー要素の多い存在である。
人によって許容できる範囲は異なるため、上記のこれらを新しい風と受け取るか原作レイプと受け取るかで空母型への印象は大きく変わると言えるだろう。
ただ、1、2個程度ならむしろ面白い個性として受け取る人も多かっただろう(例えばデザインだけならこいつよりキワモノなのは多い)が、数え役満のごとくここまで揃うとどうしても好きになれない人は多くなりがち。
大半は見た目の特異さと設定上の扱われ方のギャップに起因する部分が多く、例えるならカリフォルニアロールを正統派の寿司・寿司の代表みたいな扱いでお出しされたかのような…そんな感じともいえる。
また、スペックを盛り過ぎたせいでパワーインフレなどの面倒な要素を残していった(続編でランベアに乗るバーガーに対して、本気なのか皮肉なのか「ノイ・バルグレイはどうした」という声が上がることも)、という部分でも非難を受けている模様(まあ本艦に限らず本作は敵も味方もパワーインフレのオンパレードなのだが……)。
誤解無きようにしておくと空母型にもファンはしっかりいるため、仮に空母型が嫌いだったとしてもあまり過剰に誹謗中傷するべきではないだろう。
なお、玉盛氏は空母型に関して、静的にはアンバランスだが(巨大な艦橋になったことで)側面と艦底部に将来的に何か追加されそうな動的な造形になっている(要するに伸び代がある)と捉え、(非公式ではあるが)自己流にアレンジした空母型の発展形をヤマトマガジンで描いている。
空母型の初期案
空母型は初期案では、外観は戦艦型と全く同じで中身だけ空母仕様になっている設定だった。しかし、検証したところそのままの形ではそこまで艦載機が詰めないということで、艦橋部に格納庫を設けるデザインに急遽変更された。
胴体部分の展開式発艦口は初期案の頃の名残だろう。実際これと艦橋部格納庫ではデザイナーが違う(前者は高倉武史、後者は小林誠のデザイン。ただし前者も本編中に登場した際には小林氏により射出口内部の見た目が大分アレンジされているが)。
関連タグ
アンドロメダ(宇宙戦艦ヤマト) アルデバラン(宇宙戦艦ヤマト) アポロノーム アキレス(宇宙戦艦ヤマト) アンタレス(宇宙戦艦ヤマト) アンドロメダブラック