概要
補給母艦アスカとは、『宇宙戦艦ヤマト2205新たなる旅立ち』に登場する地球連邦防衛軍所属艦艇の名称である。
『ヤマト2』に登場した地球側空母のリメイクメカであり、艦橋後方の艦体が専用の航空艤装に差し替えられており、波動砲口にはPSゲーム版に登場した主力戦艦後期生産型・丙型を思わせる閉塞用の装甲板が取り付けられている。
リメイク元はヤマトシリーズで数少ない地球側空母として登場した艦艇であるが、本艦は"補給母艦"と銘打たれ、艦種記号は「DAOE」即ち(D級の)高速戦闘支援艦(AOE)となっている。
制式名は「ドレッドノート改アスカ級補給母艦」であり、「ドレッドノート改級」とも呼称された。続編となる『ヤマトよ永遠に REBEL3199』では量産され、制式名も「アスカ級補給母艦」へと改められた。
スペック
- 艦級・艦種:ドレッドノート改アスカ級補給母艦→アスカ級補給母艦
- 識別コード:DAOE-01
- 全長:278m
- 主機:次元波動エンジン×1基
- 補機
- ケルビンインパルスエンジン・2軸ノズル×2基(艦尾複合ノズル)
- ケルビンインパルスエンジン・3軸ノズル×1基(艦尾複合ノズル)
- ケルビンインパルスエンジン・4軸ノズル×1基(艦底複合ノズル)
- 武装
- 30.5センチ三連装収束圧縮型衝撃波砲塔×2基
- 六連装大型エネルギー砲(司令塔頭頂部)
- 四連装対艦グレネード投射機×2基(艦首両舷)
- 小型魚雷発射管×4門(艦首両舷)
- 中型魚雷発射管×8門(艦首両舷)
- ミサイル発射管×8門(艦底)
- 短魚雷発射管×12門(両舷)
- 多連装ミサイル発射機×12基(両舷)
- 司令塔防護ショックフィールド砲×3基(司令塔前部および基部)
- 近接戦闘用六連装側方光線投射砲×2基(司令塔基部)
- 対空パルスレーザー砲塔×4基(司令塔および基部)
- 拡散型対空パルスレーザー砲塔×3基(司令塔基部および後方)
- 拡散型対空パルスレーザー砲塔×2基(艦尾両舷)
- 多目的ランチャー×6門(両舷)
- 波動防壁弾(四式波動防壁展開弾)
- 搭載機・搭載艇
- 特殊装備:波動共鳴導波装置
- 艦長:森雪 二等宙佐(『2205』)→北野誠也二等宙佐(『3199』)
司令塔より前の部分は波動砲に蓋がある以外は全くドレッドノート級と同じ形状をしている。艦体後部は飛行甲板となっており、全長はドレッドノート級よりも28m長い。
司令塔の大きさと配置はドレッドノート級と同じのようだが、背面に航空管制用と思われる後部艦橋が追加されている。
艦橋内はドレッドノート級から大幅に変更されており、ヤマトに似た配置形式となっている。ただし、艦橋自体が狭いので、座席数は艦長席を含めて5席のみで、前方に2席、左右に1席ずつ、後方に艦長席という配置。劇中を見る限り、前方左側は戦闘関係、前方右側は航法関係(操縦桿もここ)、左舷側が通信、右舷側がレーダーの模様。
この艦橋内の様式は基本的にヒュウガと同一だが、中央部分は異なり、ヒュウガはアナライザーズのリーダー機3体が収まるスペースが設けられているのに対し、こちらはヤマトの艦橋にある次元羅針盤と同じものと思しき装置が設置されている。
武装
一部名前が変わっているものもあるが、ドレッドノート級をベースにしているので、基本武装は同じ。
艦体後部は飛行甲板となっているため、そこの武装は廃止されているが、代わりに拡散型対空パルスレーザー砲塔が艦尾両舷に計2基装備されている。
また、艦首の波動砲の砲門にはカバーがされており、波動砲の代わりに後述する「波動共鳴導波装置」が設置されている。
機関
主機関は他の地球系艦船と変わらず波動エンジン。
ただし推進装置の様式は異なり、ヤマトを含む従来艦が大型の1軸ノズルだったのに対し、小型のノズルを複数配置している。これは空母系艦体用に開発された低航跡波複合ノズルとのこと。
補助機関はドレッドノート級と同じケルビンインパルスエンジンを計4基搭載。こちらも複合ノズルとなっており、艦尾の底部と両舷、および艦首底部にそれぞれ搭載されている(艦首側ノズルは元のドレッドノート級にも見られる)。
艦載設備
補給母艦と銘打ってはいるが空母としての機能も有している。しかし、『2205』の航海では戦闘機の類は搭載しておらず、搭載しているのは輸送機と内火艇となっている。
飛行甲板両端部にはカタパルトが存在。カタパルトの前後にブラストディフレクターが設置されており、艦首と艦尾のどちらの方向にも発艦することができる。
両舷や艦尾にエレベーターが大小複数設置されており、甲板中央には4分割された全長約40mの大型エレベーターが設置されている。
また、艦尾にはウェルドック、艦底部にはヤマトの艦載機発進口に似た上陸用ランプが前後に2基並んで備わっている。
特殊装備
「補給と防御を司る」と称される本艦を体現するのが、本艦の特殊装備である「波動共鳴導波装置」である。波動実験艦銀河のコスモリバースシステム研究の成果で、かつてガトランティス戦役で銀河が行っていたように、他艦の波動エンジンを活性化させることができる。これにより機能低下したエンジンを回復させることが可能で、実質的に波動エネルギーを補給しているといえる。
また、共鳴波を応用して、遠隔地に波動防壁を展開する「波動防壁弾」も使用可能。
(設定コンセプト段階の解説であるが)原理としてはミサイル状ユニット前部から蜘蛛の巣状にフィラメントを急速展開し、そこに波動防壁を展開しているとのこと(劇中で見える渦巻きは蜘蛛の巣でいう縦糸である)。波動コイルはミサイル本体部に搭載。特に新技術は使われておらず、既存技術を組み合わせた品を波動共鳴導波装置で強化しているだけのため、信頼性が高い。展開直径は約8kmで、これにより友軍艦を防御することができる。
ただし、共鳴波はあまり長時間連続で使用すると自艦の機能に支障が生じるとのことで、そこまで多用できるものでもない模様。
導波装置は艦首と両舷の計3か所に設置されている。
乗組員
艦長はかつてヤマトで船務長を担った森雪。藤堂平九郎司令長官の推挙によるものであり、「三段跳び」とも言われる人事である。
艦橋メンバーは、副長兼戦術長として元ヤマト砲雷長の南部康雄、航海長にして操舵手の自見壮介、技術科として解析のほか通信も担当する桐生美影、それからレーダー席には元ヤマト船務科の柏木紗香がいる。
小隊規模の空間騎兵隊第65特別任務隊を擁しており、隊長として永倉志織、新人としてキャロライン雷電が乗艦している。
経歴
宇宙戦艦ヤマト2205
第65護衛隊の構成する艦の1隻として、ガミラス星・イスカンダル星への航海に旅立つ。艦隊ではヤマトの右翼を担う。
デザリアムとの戦闘では、防壁弾や波動共鳴導波装置をフルに活用したサポート役として活躍した。
その役割上、基本的に戦場から少し離れた場所にいることが多く、直接的な砲撃戦に参加したのは初戦の序盤のみ。
最終話では搭載している試作機「コスモハウンド」が活躍することになる。
ヤマトよ永遠に REVEL3199
第一章「黒の侵略」
解任され本部付き幕僚となった雪に変わり、土門たちの元教官である北野誠也が艦長に就任。
対デザリアム迎撃作戦『オペレーションD.A.D.』が発令されると、他のアスカ級ともども作戦の第一段階として波動防壁弾展開による遅滞戦術を展開。
しかし、侵攻してくるグランドリバースを止めることは叶わず、作戦を「元第65護衛隊クルーの収容と輸送」に切り替える。
その後、土門らの活躍もあって古代以下主要クルーの収容に成功し、間一髪デザリアムの追撃から逃れることに成功。しかし、雪を収容することはできなかった。
同型艦
『3199』では量産化されており、2207年時点では最低でも8番艦まで建造されている。
1番艦アスカはテストベッドとしての側面があったため試験的に強襲揚陸艦としての機能も盛り込んでいたが、2番艦以降は奇数番艦が補給母艦、偶数番艦が強襲揚陸艦としての機能を主体にしている。
- 補給母艦型
補給母艦としての機能を主体にした型。1番艦アスカもこちらに分類される。ただし、大型機を収容可能な格納庫を有しているのはアスカのみ。
奇数艦番号の艦がこちら。
現在判明している艦名は、
DAOE-01 アスカ
DAOE-03 おうみ
DAOE-05 エルベ
DAOE-07は艦名不明かつ第一章未登場。
- 強襲揚陸艦型
強襲揚陸艦としての機能を主体にした型。艦首などがグレーになっているほか、飛行甲板のマーキングが異なる。
本来は新たな艦級を設けるべきところを、平和路線を謳う第4次防衛計画の建前を守るため、アスカ級として建造が進められており、あくまでも「補給母艦」と銘打っている。
偶数艦番号の艦がこちら。
現在判明している艦名は、
DAOE-02 バンクーバー
DAOE-04 まみや
DAOE-06 アムンゼン
DAOE-08 コロッサス
関連タグ
宇宙戦艦ヤマト2205 空母(地球側) ドレッドノート級前衛航宙艦 戦闘空母ヒュウガ
以下、『3199』第二章のネタバレ
未視聴の方はご注意ください
第一章に引き続き登場。地球本土がデザリアムによって懐柔されていくなか、反デザリアム派の貴重な戦力として活躍する。
デザリアムの追手を撒くため数回のワープを挟みつつ、ヤマトが隠されたイカルス天文台へ到着。古代進以下、地球で収容した旧第65護衛隊メンバーを送り届ける。
ほどなくしてヤマトが抱える「イスカンダルの欠片」の存在に感付いたデザリアムから、地球に展開されていたゴルバの一隻が差し向けられる。応戦むなしく基地ごと捕獲されそうになるものの、満を持して発進したヤマトが新兵器でゴルバ・エナムを粉砕したことで事なきをえた。
その後もヤマトとアスカの受難は終わらず、二度にわたって戦艦グロデーズの襲撃を受ける。
一度目の襲撃では位相変換技術によるステルス戦術に苦戦するものの、第11護衛隊旗艦「アルフェラッツ」の拡散波動砲によってあぶり出されたところを波動防壁弾で拘束することに成功。ヤマトに引き継ぐもののすんでのところで拘束を振り切られ取り逃すこととなった。
二度目の襲撃ではヤマトが多数の掃討多脚戦車に張り付かれているところを、古代がアスカから発艦したコスモタイガーで救援。しかしエアロックから侵入したアルフォンを止めるには至らず、サーシャ(と新見薫)を拉致されてしまった。
- 謎の7番艦
公開されているアスカを含むアスカ級についてファンの間で今も考察が進んでいるのが「謎の7番艦」についてである。
このページでも紹介した通り、アスカ級は少なくとも8番艦まで建造されている。
これの根拠となっているのが、劇中での描写とバンダイから発売されている『1/1000 地球防衛軍アスカ級補給母艦/強襲揚陸艦 DX』。
この模型キットは、同封されているデカールやパーツを使い分けることで、各バリエーションのアスカ級を作ることができるのである。その数7種類。
そう、7種類である。
ちなみに同封されているデカールは、商品サイトを見る限り以下の通り
- DAOE-01 アスカ
- DAOE-02 バンクーバー
- DAOE-03 おうみ
- DAOE-04 まみや
- DAOE-05 エルベ
- DAOE-06 アムンゼン
- DAOE-08 コロッサス
ご覧の通り、"DAOE-07(アスカ級7番艦)"がなぜか欠番になっているのである。
これは劇中の描写でも徹底されており、第一章のパンフレットにも「参加艦艇はアスカのほか(中略)6隻」とわざわざ明記されている。
この不自然に欠けている7番艦(他の艦の例に従えば支援母艦型)について、その正体を考察するファンは少なくなく、中には「物語後半で雪が他の地球残留クルーと一緒に強奪してヤマトに合流するのではないか」という予想も。
果たして...?