旧作版
概要
宇宙戦艦ヤマトシリーズ後期の『宇宙戦艦ヤマトⅢ』と『宇宙戦艦ヤマト完結編』に登場する航空機。デザインは板橋克己。
ヤマトが地球人の移住可能な惑星の探索という過去にない任務に就くことになり、改装で惑星探査のための設備を拡充させる折、その一環として新たに搭載されることになった探査用の大型航空機。
『ヤマトⅢ』では新メカとして華々しく活躍したが、大型なうえ探査機のため扱い辛かったのか『完結編』では用済みと言わんばかりに序盤であっさり喪失した。
『ヤマトⅢ』は(特にリアルタイム世代以外にとっては)割とマイナーな作品のため、本機の知名度も低め。『ヤマトⅢ』を知らない人にとっては『完結編』で唐突に出てきてすぐさま消えた謎の新メカという印象だろう。
性能
第二次世界大戦期の爆撃機のような胴体と、巨大なデルタ翼が特徴。全長は30~40mもあり、ヤマト艦載機の中では最大級。そのためパイロットだけでは操縦できず、機関士なども必要。操縦はコスモタイガー隊のパイロットが担うこともあるが、航海班の雷電五郎が主に担っている。
大型の割に空中機動力は高く、初登場時にはバレルロールをやってみせている。もちろん戦闘機には流石に及ばないのか、バーナード星第1惑星の戦闘では、十数機の戦闘機に囲まれてしまっている。
自衛用だが武装も存在し、機銃を機首の下面に1丁と、左右に4丁、背面には旋回式銃座を1基備える。とはいえやはりあくまでも探査機であるため、本格的な戦闘はコスモタイガーⅡに任せることになる。
ヤマトの格納場所は改装にて追加された左舷側の専用格納庫。約90度に折りたたまれたデッキに固定されており、発進時はスライド式のハッチが開いた後に内部のデッキが展開し、そこから垂直離陸する。
ちなみに格納時の搭乗方式は、設定画を見る限りデッキ展開後にボーディングブリッジを伸ばして結合する方式のようだが、劇中だとハッチが開く前から既に搭乗済みで、デッキが展開してすぐに発進する描写がしばしばある。
経歴
2202年に第二の地球探しの旅に出るヤマトへ新たに搭載。
初任務となったのはバーナード星系第1惑星だったが、この星は風土病により移住に適さないことが判明する。帰投する直前、この星に基地を構えていたガルマン・ガミラス帝国の新反射衛星砲によりヤマトが攻撃を受けたため、敵基地の探索行動に移行。その過程で敵戦闘機との戦闘も行った。
バジウド星系第4惑星バースでは、ボラー連邦兵と戦闘状態に入った古代達を救出するべく発進。機銃で敵兵を薙ぎ払い、古代達を回収した。
惑星ファンタムでの探査活動では、それまでは劇中で披露する機会が無かった各種探査用設備をフルに使用し、ファンタムが移住可能惑星だという結論を下す。しかし、実はこの星は巨大なコスモ生命体であり、自衛のために機械すら騙すスーパーサイコエネルギーによって来訪者の母星(ヤマト乗組員にとっては地球)の幻覚を見せていただけだった。
ガルマン・ガミラスの地質学者ヘルマイヤー少佐が惑星に探査ドリルを打ち込んだことによって惑星が防衛行動に入り、古代達に襲い掛かってきたため、急遽発進してヤマトへ帰還する。結局この星は移住に適さなかったばかりでなく、逆鱗に触れられたデスラーの命令によって木っ端微塵に破壊されてしまった。
そして最後の候補であるスカラゲック海峡星団ベータ星の探査にも使用されるが、この星も移住には適さなかった。これをもってこの旅でのコスモハウンドの役目は終了した。
2203年でも引き続きヤマトに搭載。大洪水が起きているディンギル星での救助活動に使用されるが、着艦時に高波によって艦が大きく傾いてしまい、古代と彼が抱える少年を除いた全乗員およびディンギル人を道連れに荒海の中へと沈んでいった。
リメイク版
「飛行甲板、ハッチ開放!試作次元潜航艇、発艦準備よし!」
概要
『宇宙戦艦ヤマト2205』『ヤマトよ永遠に REBEL3199』に登場する地球連邦防衛軍の中型宇宙艇。デザインは玉盛順一朗。
「H-201級試製次元潜航艇」という正式名称が示す通り、その実態は次元波動機関とガミラスのゲシュ=ヴァール機関を混載した地球連邦初の次元潜航艇である。デルタ状の安定翼内に次元潜航艦と同様の多次元位相バラストタンクを装備しており、これによって通常空間と亜空間を往還することができる。また緊急時にはこれらの装備をパージすることで通常空間への強制浮上を可能とする設計がなされている。なお、「コスモハウンド」という通称は、ガミラスの次元潜航艦UX-01の作戦行動中のコードネーム「猟犬」に由来する。
網目状のキャノピーやデルタ型の主翼など基本デザインはオリジナル版に準じるが、ブリッジに潜望鏡が装備されたり、着陸脚も一般的な航空機のようなタイヤ式ではなくより頑強なスキッド式に改められていたりと、大型航空機ではなく小型潜航艇としてディテールの再設定が行われている(船体各所に配された錨型のエンブレムも艦艇用のもの)。
船体構造は乗員区画や補機を収めた上部船体と、主機を含めた次元潜航用設備をまとめた下部船体に大別される。船体各所をユニット化することで上述の強制排除を可能とするほか、用途に応じてユニットを逐次差し替えることで多様な任務に対応できるとされる。
これは本艇の開発が多目的輸送艇構想をベースとしているためであり、『3199』では本来の運用構想に則って整備されたと思われる5式中型輸送艇が登場する。このほかにも威力偵察や対地攻撃を主眼に砲火力を強化したガンシップ型、果ては白色に塗装されエアフォースワンとしても採用されている。
諸元
- 全長:39.4m
- 全幅:20.0m
- 全高:7.6m
- 主機:改型次元波動エンジン+ガ200式次元潜航装置
- 補機
- コスモタービン2基(通常空間・異次元空間両用)
- リニアスパイク型コスモエンジン1基(通常空間航行用)
- 武装
- 『2205』
- 試験機のため非武装
- 『3199』
- 全周型小口径パルスレーザー銃×1
- 二連装パルスレーザー砲×2
- 『2205』
経歴
宇宙戦艦ヤマト2205
第4話にて土門の語っていた「アスカの試作機」の正体であり、その言葉の通りヤマトの搭載機ではなく補給母艦アスカの後部格納庫に収容されていた。
最終話で満を持して登場。ヤーブから「3度に1回は動作不良を起こすバカ犬」と評されるなど万全とは言えない状態ながら、スターシャ救出、ひいてはデスラー救出に対する切り札として土門の指揮で出撃。ヤーブがガミラスからもたらした次元潜航技術を組み込み、イスカンダル王宮直下の聖都に潜入。古代と土門による説得ののち、無事スターシャ、ユリーシャを収容し帰途につく。
しかし帰還途中に敵の追撃を受け機体ごと捕獲されそうになる。土門の立案した作戦に沿って分離機構を起動しようとするもここでよりにもよって3度に一回の動作不良が発動。機体を繋ぎ止めるアタッチメントが解除されず、このままでは捕獲されてしまう窮地に立たされてしまう。しかし、太助による必死の出力増加、坂本による決死の操縦、そしてアタッチメント解除を担当する雷電の奮闘により、捕獲される寸前で機体の分離に成功。敵に鹵獲が成功させたと思わせて油断を誘っておいて無事に通常空間に浮上し、ヤマト以下地球=ガミラス連合艦隊に合流した。
なお、分離した機体後部には「置き土産」として波動掘削弾が仕込まれており、自動惑星ゴルバの中に収容された直後に時限信管が起動。ゴルバを内側から破壊し尽くした。
ヤマトよ永遠に REBEL3199
前作の後に試験艇として各種データの収集が行われたうえで、引き続きアスカに艦載艇として配備されている。なお、前作では搭載していなかった武装が追加されている。
『黒の侵略』では「オペレーションDAD」に従い、旧第65護衛隊メンバーの移送任務に従事。次元潜航能力を活用して古代達との合流に成功するが、収容中に銃撃を受けた森雪だけは回収することができなかった。
『赤日の出撃』ではアスカとともにイカルス天文台に移動し、先の改装で支援船搭載能力を得たヤマトに母艦を変える。グロデーズの1回目の襲撃の際には土門の発案に基づき揚羽ら数名が搭乗。オリジナル版譲りの機動性で流れ弾や障害物をかわしつつ戦艦「アルフェラッツ」にアクセスし、拡散波動砲を応用した反撃の起点を作った。
余談
- 正式名称にある「H-201級」という表記の元ネタは、日本海軍の波201型潜水艦であると考えられる(「H」は「Hound」とかけている可能性もあるが)。「波」というのは日本海軍の運用する潜水艦にあてられた等級「伊・呂・波」のうちの一つであり、「波」は最も小型の排水量500トン以下の艦型に用いられた。
- 実は前章で組み立て途中の本機がワンカットだけ登場している。組み立て途中ではあるが、特徴的なキャノピーは確認できるため(加えてラフ稿も限定的ではあるが事前情報として公開されていた)、察したファンも多いと思われる。
- 旧作における土門の専攻は次元戦闘。旧作では対次元潜航艇戦闘でしか活かせなかった彼の専攻知識だったが、新作でまさか自らが次元潜航艇を指揮することになるとは感慨深いものがある。
- リデザインを担当した玉盛氏によると、脚本(『3199』では総監督も)を担当する福井晴敏氏から「(機首の窓の部分を)B-29にしないで欲しい」というオーダーがあったという。氏の出身地である東京都墨田区は東京大空襲で甚大な被害を受けた地域の一つであり、思うところがあったとのこと。
- 分離機構は劇中だと主翼を丸ごと外しているが、設定画では主翼最後尾のみ残すことも可能とされている。その姿は旧作のコスモハウンドの準備稿にそっくりである。