概要
『宇宙戦艦ヤマトIII』とは1980年10月から半年間東京動画(東映動画に非ず旧アカデミー)製作、読売テレビ発日本テレビ系で全25話放送されたテレビアニメシリーズ第3作目である。
銀河系で巻き起こるガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦という二大国間の星間戦争の余波によって地球が滅びかけ、地球人類を救うためにヤマトが移住先となり得る惑星を探す旅に出るというお話。
人類が残り1年で絶滅する事態や、各話ラストのカウントダウン、第一作当時の古代進のようなキャラクター・土門竜介を筆頭とする新乗組員の大量参加など、第一作への原点回帰ともいえる作品。
その一方で、古代進が正式にヤマトの艦長になったり、地球が直接的な侵略行為を受けておらず、星間戦争のとばっちりを受けただけであったりなど、本作独自の要素も見られる。
敵対勢力が途中で入れ替わるというヤマトシリーズでは珍しい展開がある。前半はガルマン・ガミラス帝国(の東部方面軍)が敵、ボラー連邦(に属するバース星)が味方という構図だったが、中盤でガルマン・ガミラスとは和解し、逆にボラー連邦とは敵対することになる。
当初は1年全52話の放送予定だったが、視聴率不振(といっても東京平均視聴率は15%を超えているが)により半年に短縮。
当時は既にガンダムへブームが移り始めており、さらに前作の『ヤマトよ永遠に』の評価がいまいちだったことも影響したのだろう。
そのため後半に予定されていたストーリーは大部分がオミット。ガルマン・ガミラス、ボラーに続く第三勢力として予定されていたゼニー合衆国も未登場となった。
2001年のDVDを最後に物理メディアでの販売が無く、配信サービスでもロクに扱われていないせいか、シリーズ内ではやや存在感が薄い(『宇宙戦艦ヤマト2』も似た立場だが、あちらは『さらば宇宙戦艦ヤマト』があるので「白色彗星帝国編」自体の知名度はある)。
近年は『宇宙戦艦ヤマト2205』での『ヤマトⅢ』要素の投入などでやや知名度は上がってきている。
あらすじ
23世紀初頭、デスラーは銀河系中心部に新たな母星を発見し、ガルマン・ガミラス帝国の建国を果たす。しかしその過程で銀河系に巨大な版図を持つ大星間国家・ボラー連邦と戦争状態になり、銀河系大戦が続いていた。
その最中、ガルマン・ガミラスの不始末により太陽へと命中してしまった一発のミサイルによって、地球は巻き込まれる事になってしまう。太陽の異常核融合で地球は一年以内に死の星になる事が判り、古代進を艦長としたヤマトに移住するための居住可能惑星を探すよう命令が下される。
先述のミサイルと宇宙船の接触事故で両親を失った土門竜介、財閥の御曹司・揚羽武を始めとする新たなクルーを加え、ヤマトは発進する。
星間戦争との戦いに巻き込まれつつも、ヤマトは盟友・デスラーとの再会や伝説の星シャルバートを崇める信者との邂逅などを経ながら、居住可能惑星を探す旅を続けていく。
登場人物
太字は新キャラ。
地球側
ヤマト乗組員
- 古代進 (CV:富山敬) - 主人公。艦長。
- 森雪 (CV:麻上洋子) - ヒロイン。生活班長。
- 島大介 (CV:仲村秀生) - 副長兼航海班長。古代の親友。
- 真田志郎 (CV:青野武) - 副長兼工作班長。古代の兄貴分。
- 佐渡酒造 (CV:永井一郎) - 艦医。
- アナライザー (CV:緒方賢一) - 分析ロボット。
- 土門竜介 (CV:田中秀幸) - 準主人公。生活班炊事科新人クルー。
- 揚羽武 (CV:古川登志夫) - 準主人公。戦闘班飛行科(コスモタイガー隊)新人クルー。
- 相原義一 (CV:野村信次) - 通信班長。本作では藤堂晶子と恋仲に。
- 南部康雄 (CV:林一夫) - 戦闘班クルー。砲術関係の責任者。
- 太田健二郎 (CV:安原義人) - 航海班クルー。航法関係を担当。
- 加藤四郎 (CV:神谷明) - 戦闘班飛行科キャップ(コスモタイガー隊隊長)。
- 山崎奨 (CV/寺島幹夫) - 機関長。
- 徳川太助 (CV/古谷徹) - 機関部員。
- 平田一 (CV:曽我部和行) - 生活班炊事科クルー。
- 板東平次 (CV:塩沢兼人) - 工作班技術科新人クルー。
- 坂巻浪夫 (CV:千葉繁) - 戦闘班砲術科クルー。第一主砲塔キャップ。
- 仁科春夫 (CV:村山明) - 戦闘班砲術科クルー。第一主砲塔射手。
- 雷電五郎 (CV:兼本新吾) - 航海班航海科新人クルー。
- 赤城大六 (CV:高山大樹) - 機関部新クルー。輸送船機関長職からの転属。
- 幕之内勉 (CV:稲垣悟) - 生活班炊事科キャップ。
- 京塚ミヤコ (CV:中野聖子) - 生活班医療科新クルー。看護婦。
その他
- 藤堂平九郎 (CV:伊武雅刀) - 地球防衛軍司令長官。ようやく名前が判明。
- 藤堂晶子 (CV:杉山佳寿子) - 藤堂平九郎の孫娘かつ秘書。相原と恋仲に。
- サイモン教授 (CV:田中康郎) - 地球連邦大学 宇宙物理学部 部長。地球の危機を察知したが、黒田博士の暗躍により失脚する。
- 黒田博士 (CV:矢田耕司) - 太陽エネルギー省 観測局長。太陽異常を察知しつつも楽観視し、サイモン教授の説を一蹴する。
- 大統領 (CV:北川国彦) - 地球連邦初代大統領。過去作では大した描写が無かったが本作ではっきりと(有事には)無能だと判明。
- 団彦次郎 (CV:小林修) - 宇宙開発気象局 一等技官。
- 揚羽蝶人 (CV:川久保潔) - 揚羽武の父。揚羽財閥のトップ。
- 山上トモ子 (CV:中谷ゆみ) - バーナード星に移住した一家の一人。
ガルマン・ガミラス帝国
- デスラー (CV:伊武雅刀) - 総統。ガルマン・ガミラス帝国の指導者。
- タラン (CV:矢田耕司) - デスラーの副官。
- ガイデル (CV:柴田秀勝) - 東部方面軍総司令。
- ダゴン (CV:寺田誠) - 東部方面軍第18機甲師団艦隊司令。本作の物語の元凶。
- フラーケン (CV:大木民夫) - 次元潜航艇部隊指揮官。
- キーリング (CV:宮村義人) - 参謀総長。
- フラウスキー (CV:木原正二郎) - 技術少佐。
- ヘルマイヤー (CV:池田勝) - 地質学のベテラン。
- グスタフ (CV:蟹江栄司) - 北部方面艦隊司令。
- ヒステンバーガー (CV:寺島幹夫) - 西部方面軍総司令。
- ハイゲル (CV:兼本新吾) - 隠れシャルバート信者の将軍。
ボラー連邦
- ベムラーゼ (CV:滝口順平) - 首相。ボラー連邦の指導者。
- ラム (CV:木村幌) - バース艦隊旗艦ラジェンドラ号艦長。バース人。
- ボローズ (CV:池田勝) - バース星総督。
- レバルス (CV:西村知道) - バース星警備隊長。
- ゴルサコフ (CV:玄田哲章) - 参謀総長。
- ハーキンス (CV:田中勝) - 第8打撃艦隊司令。
- バルコム (CV:飯塚昭三) - 第1主力艦隊司令。
シャルバート
ゼニー合衆国(本編未登場)
- ゴーマン大統領
登場メカ
地球防衛軍
戦闘能力と長期航行能力(と藤堂平九郎からの妙な信頼)により、移住可能惑星を捜索する任務に充てられる。
本作では惑星探査用の改造が施されている。左舷側に新型探査機コスモハウンドの発着口が追加されている。
アメリカの宇宙戦艦。北米の探査船団の護衛として行動するが、ボラー連邦に襲撃されて轟沈する。
本来はもう少し出番があったが、放送短縮でほぼ無くなってしまった。
上からイギリス、ドイツ、ソビエトの宇宙戦艦。アリゾナと同じく各州の探査船団の護衛任務に就く。
ガルマン・ガミラス帝国
ボラー連邦
勢力
地球連邦
星間戦争の影響と相変わらずの大統領の無能っぷりのせいでまた危機に陥る。
ガルマン・ガミラス帝国の惑星破壊ミサイルによって太陽の核融合が異常増進し、1年後に人類が生存不可能なほどの灼熱地獄になる事態に。
ガルマン・ガミラス帝国
銀河系中心部にデスラーが打ち立てた新国家。ボラー連邦と戦争状態にある。
企画当初は「ゴア帝国」という名前だった。また、前半にヤマトと敵対するシナリオの都合上、当初はガミラスの後継国家であることが分からないように「ガルマン帝国」と称されていた(ガルマン・ガミラスと名乗ったら流石に古代達も気付くはずのため。それが無くても服装とか兵器のデザインとかで普通気付きそうなものだが……)。
モチーフは言わずもがなナチス・ドイツ。
ボラー連邦
銀河系の半分以上を勢力圏に収める大星間国家だったが、ガルマン・ガミラス帝国によって領土を奪われ、以降戦争状態にある。
本星は銀河系中心部を挟んでちょうど地球の反対側辺りにある。
モチーフは当時のソビエト連邦。
シャルバート
数千年前に銀河系を支配していたという大国家。現在は姿を消しているが、女王を女神として崇める宗教が残っている。
モチーフは公式には明言されていない。
ゼニー合衆国(本編未登場)
初期の構想ではボラーとは別領域に大きな版図を持つ、工業力に優れた星間国家。ガルマン・ガミラス帝国の侵略活動に抵抗しており、地球に合衆国参加を呼び掛けるが、拒否される。
モチーフは当時のアメリカ合衆国。
各話リスト
本作は2~3話完結式のスタイルを取っている。
話数 | サブタイトル | エピソードのまとまり(※名称は便宜上付けた非公式名) |
---|---|---|
第1話 | 太陽系の破滅 | 発進編 |
第2話 | 銀河系大戦 | 発進編 |
第3話 | ヤマト暁の発進 | 発進編 |
第4話 | あの火星を撃て | 太陽系内編 |
第5話 | SOS! ラジェンドラ号 | 太陽系内編 |
第6話 | 激闘! 11番惑星空域 | 太陽系内編 |
第7話 | アルファ星波高し | バーナード星編 |
第8話 | 最後の開拓者 | バーナード星編 |
第9話 | バーナード星の決闘 | バーナード星編 |
第10話 | ダゴン新鋭艦隊の反撃 | ダゴン将軍との決戦編 |
第11話 | ヤマト危し! 魔の白鳥座星域 | ダゴン将軍との決戦編 |
第12話 | 宇宙の流刑地 | バース星編 |
第13話 | 恐るべし! ボラー連邦 | バース星編 |
第14話 | 次元潜航艇ガルマンウルフ | VS次元潜航艇編 |
第15話 | ヤマト捕わる!! | VS次元潜航艇編 |
第16話 | デスラーの祝日 | ガルマン・ガミラス本星編 |
第17話 | デスラー帝国危機一髪 | ガルマン・ガミラス本星編 |
第18話 | 怒る太陽 | ガルマン・ガミラス本星編 |
第19話 | 惑星ファンタムへの道 | 幕間 |
第20話 | 幻の惑星 | 惑星ファンタム編 |
第21話 | 打ち砕かれた希望 | 惑星ファンタム編 |
第22話 | さらば 夢の星よ | 惑星ファンタム編 |
第23話 | 激戦! スカラゲック海峡星団 | 幕間 |
第24話 | シャルバート星の秘密 | シャルバート星編 |
第25話 | ヤマト あの太陽を撃て! | 解決編 |
全52話初期プロット
制作初期に想定されていた全52話のプロットは「ロマンアルバムデラックス43」やDVDボックスの付属冊子などに掲載されており、それらの記載情報を総合すると内容は凡そ以下のようになっている。
話数 | 仮題(公式) | エピソード概略 |
---|---|---|
第1話~第3話 | ヤマト発進 |
|
第4話~第6話 | 宇宙、波高し |
|
第7話~第9話 | 最後の開拓民 |
|
第10話~第11話 | グドン将軍の復讐 |
|
第12話~第13話 | 宇宙の流刑地 |
|
第14話~第15話 | ヤマト捕わる |
|
第16話~第18話 | ゴア帝国 |
|
第19話~第21話 | 連合国との戦い |
|
第22話~第24話 | 惑星ラース |
|
第25話~第26話 | デスラーとの戦い(1) |
|
第27話~第28話 | 戦艦アリゾナの最後 |
|
第29話~第30話 | 漂流者の歌声 |
|
第31話~第33話 | 星間大戦 |
|
第34話~第35話 | デスラーとの戦い(2) |
|
第36話~第38話 | 揚羽一族の反乱 |
|
第39話~第40話 | ブラックホール |
|
第41話~第42話 | 最後の星 |
|
第43話~第44話 | さすらいの航海 |
|
第45話~第47話 | 惑星シャルバート |
|
第48話~第50話 | デスラーとの戦い(3) |
|
第51話~第52話 | あの太陽を撃て! |
|
各話リストと比較すれば分かるが、惑星ファンタムのエピソードまでは概ね全52話プロットと同じである(ゼニー合衆国は無くなっているが)。
逆にファンタム編以降は大きく改変されており、いかにも打ち切りらしい慌ただしさを感じる。特に本編の第23話は立て続けに急展開が起こる回だが、数話分のエピソードを詰め込んでいるためと考えるとこの駆け足振りも納得。ただし、後述する山上トモノ(トモ子)のエピソードに関しては第9話の時点で既に改変されており、序盤の時点で上記のプロットからは多少外れている。
本編との大きな差異としては
- ゴア帝国(=ガルマン・ガミラス)と再度敵対する。というより和解は一時的なもので、メインの敵は最初から最後までゴア帝国。
- 山上トモノがヤマトに残留し、終盤のキーキャラクターになる。
- ルダはシャルバートではなく、サレムーンという別の星の王女。本作の地球と同じような太陽異常がが原因で故郷が滅亡し、そのショックで記憶喪失になっている。
- ルダと恋仲になるのは揚羽ではなく土門。
など。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
宇宙戦艦ヤマトⅢ(タグとしてはこちらの方が使用率が高い)
宇宙戦艦ヤマト3(ピクシブ小説での使用率が高い)
関連タグ
ヤマトよ永遠に - 前作
宇宙戦艦ヤマト完結編 - 次作
宇宙戦艦ヤマト - (テレビシリーズとしての)前々作にして原点
宇宙戦艦ヤマト2 - (テレビシリーズとしての)前作。間にテレビスペシャルの「新たなる旅立ち」と劇場版の「永遠に」を挟む。