概要
1954年2月4日生まれ。81プロデュース所属の男性声優。出身は熊本県菊池市(同県出身の著名な声優に釘宮理恵など)。『Bugってハニー』や『スパイダーライダーズ』、熊本県を舞台にする『なつなぐ!』や『放課後ていぼう日誌』等で熊本弁を使う役で出演することも多い。
本名は前田正治(まえだ まさはる)。
芸名の苗字の由来は自身がファンであり、本名の苗字が同じ「前田」である俳優・千葉真一に由来する。『ミラーマン』等円谷プロ作品のスーツアクターや日活ロマンポルノ等に出演していた俳優だったが、ある時期に当時の大物女優との仕事を不可抗力でドタキャンせざるを得なくなった事で俳優の仕事を干されてしまい、時を同じくして洋画の吹き替えを知った事をきっかけに声の仕事に興味を持ち、『ドカベン』のオーディションに合格した事で声優の道を進んでいった。
複数のアニメ・ゲーム・TV番組のナレーションなどで活躍する大御所声優として知られているが、映画・舞台・TVドラマなどでの俳優としての活動も多い。そもそも俳優としてキャリアをスタートさせているので当然ではある。
また、学生時代は体操部のキャプテンを務めていたこともあるなど運動神経が非常に高く、若手だった頃にはスタントマンを担当したこともある。また、フジテレビの深夜バラエティ番組『深夜秘宝館』のマスコットキャラクター「Dr.シーゲル・バーチー」として自ら着ぐるみを着て出演していた際は、番組の最終回において着ぐるみを着たままバック転をするという離れ業を披露したこともある。
その他、音響監督としても活動するなど多才な人物で、ポルノ映画に出たのも、芝居をしていくうちに壁にぶち当たり「身も心も裸にならなくては駄目だ!」と思ったため、自ら志願したからだという。……ただし…ゲームの制作を除いては。
アニメ作家押井守氏の作品と、『らんま1/2』迄の高橋留美子作品には殆どと言って良い程出演しており、押井作品の常連として引き立てている。
人物
演じるキャラクターのイメージと違わず、サービス精神がとにかく旺盛な人物。
一方で、役を演じる以外では真面目な常識人。代表作の一つ『ビーストウォーズメタルス』の幼年向け書籍では、他の声優がキャラクターとして読者に一言述べている中、メガトロン(悪役)を演じた千葉は「人を見た目で判断してはいけません。みんな一生懸命頑張って生きているのです!」と綴っている。
アニメ監督の押井守とは、1980年のTVアニメ『ニルスのふしぎな旅』以来の付き合いであり、以来、押井の監督作品(実写含む)に数多く出演している。前述の音響監督としての活動も、押井監督のOVA『御先祖様万々歳!』で初の音響を経験したことがきっかけである。
実写においては押井は千葉の身体能力について高評価しており、自身のボディダブルとしてティム・バートン映画におけるジョニー・デップを例に挙げている。
また、愛煙家として知られており「俺が死ぬ時は肺癌以外ないな」と言う位のヘビースモーカーである。喫煙と言えば『Dr.スランプ』第一期末期のロボット・禁煙マンの声を当てていたが、公園で煙草を吸っている所を則巻アラレに見つかり、逆にやっつけられるオチだった。
声優として
ギャグと渋味を使い分ける巧みな演技と、非常に独特な音程の高い声質を持つ。
だが、それ以上に強烈なアドリブを用いることで有名。『うる星やつら』の収録スタジオは千葉のアドリブにより、毎回、爆笑に包まれていたという。本人も自身の台詞中にアドリブを入れることに執念を燃やしており、時には製作者サイドから自粛令が出されたこともあるとか。しかし、昨今では逆に制作側からアドリブを期待され、それを狙ったような演出・配役を担うことも多い。台本が白紙で「台詞お任せ」の一言のみ記入されていた、という逸話もあり、ゲーム作品などではテロップ(字幕)と音声とで台詞が違うなどザラである。
上記のような経緯から、任される役柄も善悪問わずハイテンションで暑苦しいコメディリリーフなどのキャラクターが多いが、中には『ドラゴンボールZ』のラディッツや『キン肉マン』のキン肉アタルのような一貫してシリアスなキャラクターを演じることもある。ちなみにオーバーロードのセバスは当人曰く「ここまでまじめなキャラは初めて」とのこと(ただし本編以外のところでは割と「いつもの」な状態になっている)。
本人曰く、特に事前の役作りなどはせず、原作も読まない主義。これは、あらかじめ声のイメージを固めてからアフレコに臨むと、他の声優と音域や方向性が被ってしまう事があるからであり、どのような演技をするかは他の声優の演技を見てから決めるという。同じ場面に同じような声があってはいけない、という音響監督らしいこだわりである。
『幽遊白書』の桑原和真の演技について、原作者の冨樫義博は「自分よりキャラを理解していて衝撃を受けた」と語っている。
音響監督として活動を始めてからは一時期出演数をやや絞っていたが、年々高まる需要に押されてか現在は仕事量が再び逆転している。
過去には深見東州監修のアニメ神頼みシリーズでは狛犬(神様に仕える人)と借金取り立て人を担当し、この時大塚芳忠や内海賢二を始め数々の声優陣と共演してたが前者は平成天才バカボンのレレレのおじさんとニャロメ、後者は五星戦隊ダイレンジャーのゴーマ族と歌舞伎小僧、忍者戦隊カクレンジャーの妖怪軍団とチョウチンコゾウ、Yes!プリキュア5GoGo!のエターナルと館長のような雰囲気だがこれが後にポプテピピックに出演でまさかの展開で話題になる。
あのアニメのナレーション
1984年から放送されたTVアニメ『世紀末救世主伝説 北斗の拳』では、番組のナレーションの他に、敵役や脇役・モブキャラとして頻繁に出演。独特の断末魔の叫びが登場する本作において、得意とするアドリブを武器に原作に負けず劣らずのインパクトの強い演技を披露した。
本人曰く「彼等は簡単に殺される役であるが、世の中が世紀末でなければ恐らく悪漢にはならず普通に暮らしていたに違いない。そんな彼等が拳士達、特にケンシロウやラオウらの兄弟喧嘩に巻き込まれたりして殺されるのはあまりにも哀れ」と語っている。ラオウに至っては「我が生涯に一片の悔い無し」と遺言を残しているが、千葉は「(そりゃ)お前ぇにはねぇーよ!」と突っ込んでいる。そのため「生きた証を少しでも残そう」という意図で踏ん張っていたという。しかしテスト(本番の使われないお試しのもの)から全力投球・フルスロットルを厭わない姿勢のため、神谷明を始めとした共演者は「千葉ちゃんもう死んじゃうから!」といつも心配していたという。
とある回で簡単なやられ役を演じることになった際、断末魔の叫び声を「チブゥワアァー!(=千葉)」にしたいと監督に提案したが、あえなく却下されたらしい(但し第73話にて演じた、黒王号に踏み潰されるモヒカンの断末魔「いのちば!!」はOKだった模様)。
この前に渡部猛が「ぅわ、たっ、べぇぇぇ!!」と自分の名前を叫びながら死んでOKが出たのは完全なアドリブなためで、千葉の場合は「スタッフに確認してしまったのがまずかったのではないか」と共演者から言われている。
しかし後年、映画『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン』に出演した際にこの断末魔を披露。20年越しの想いが成就したと言えようか。また、ナレーションにおいては回を重ねるたびにハイテンションになる次回予告が好評を博した。しかし当人の疲労が大きかったためか、新シリーズから歌舞伎調の次回予告に変更したところ「なんでやめるんだ」と苦情が殺到し、監督からも「千葉さん死んでくれ」と頼まれ、結局最後までハイテンションで駆け抜けたという。
その後、ゲーム・パチンコ・OVAなど復数の媒体でリメイクされる本作だが、その多くの作品にナレーションもしくは脇役として出演している。また、本作を意識したパロディなどでもナレーターに起用されたことも。
『獣電戦隊キョウリュウジャー』では北斗の拳のようなハイテンションな演技でナレーターを務めただけでなく、劇中でヒーローに変身してしまった(補足しておくと、彼の特撮の顔出し出演は『緊急指令10-4・10-10』にまで遡るが、殆どがモブキャラであり、久々の特撮顔出し出演が重要キャラクター、それも変身ヒーローだった)。
1990年代以降は声の仕事に移る形で特撮に携わったが、逆にこちらはゲスト怪人や幹部怪人役が多かった。
あまり触れられないが、実は三大特撮を制覇した声優の一人でもある(戦隊は言わずもがな、ウルトラマンXや仮面ライダーBLACKRXに出演している為)。
NHK総合で放送中されていた『超絶 凄ワザ!』で、かつての「北斗の拳」を彷彿とさせるナレーションで番組を盛り上げ、特に2017年12月25日の特番ではケンシロウを演じた神谷明とともに番組を乗っ取っている。また、2021年11月10日放送の「歴史探偵」、『ハードボイルド!応仁の乱』では、イラストから既に世紀末感が漂っていたが、北斗パロディ満載のナレーションを担当した。
これらの全力の仕事の結果一度ガチで神経が焼き切れかけており(不調を感じて病院に行ったら「今すぐ休め、死ぬぞ」と言われたレベル)、今でもその後遺症で不調になると耳鳴りが響くという。
鉄則
独特の演技を支えるために考案し、経験に裏打ちされたいくつかの鉄則を頑なに守り続けている。
- 中央のマイクは使わない
本人曰く「ハイテンションな演技になればなるほど力が入り、体を激しく使って演技してしまうため酸欠や脳震盪に襲われやすく、特に集団収録の際はセンターマイクだと下手をすれば共演者を巻き込んで倒れかねない」ということで、左右どちらか壁際のマイクを使うようにし、出番の合間に壁にもたれかかったり、休めるようにしているという。
- グラニュー糖を携帯
本人曰く「収録の際、気を付けていてもどうしても腹の虫がなってしまう事がある。かと言って、何か腹に溜まるものを急に入れても演技に障るし、そもそもそんな時間すら無いほうが多い。そこで、収録時はいつも衣服のポケットにスティックタイプのグラニュー糖を数本忍ばせておき、腹が鳴りそうだなと感じたら影に隠れてそれを一気に飲み下して血糖値を上げ、腹の虫を抑えている」。
- 出来るだけ原作は見ない
本人曰く「参加する作品に原作がある場合、事前にそれを見て中身を知ってしまうと変にイメージを練り上げて演技の幅を狭めてしまうため、敢えて遠ざけるようにしている。絵だけを見せられて『これは挑戦したい』と思う作品であるほどそう」。
- 特殊な声が有利とは限らない
本人曰く「特徴のある声は確かに素晴らしいものだが、あらゆる声を使い分ける声優という職業に対しては必ずしも有利とは言えず、むしろマイナスに働く場合が多い。だから、『特殊な声を持っているから声優に向いている』とは限らない」という。なお、この理論は古谷徹、たてかべ和也、日髙のり子などのベテラン陣も同様の意見を発している。また声優志望者には大塚明夫、山寺宏一、岩田光央、関智一と同様、余程の覚悟がない限りこの世界は厳しいぞと警鐘を鳴らしている。
出演作品(声優)
アニメ
イラスト未確認
- ゲゲゲハウス@5期
イラスト未確認
- 河原崎直己@いぬかみっ!
- 戸坂タテオ@ウルトラB
- かきのたねのすけ、おっとっと@あんみつ姫
- 呉恵利央@ケンガンアシュラ
- ポセイ丼@ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン
- コブラージ@小さな巨人ミクロマン
- 虎杖倭助@呪術廻戦
- 山岡鉄司@ドカベン
- 柊一郎兵衛@六門天外モンコレナイト
- 川本相米二@3月のライオン
- 赤マント将軍@怪人開発部の黒井津さん
- ブラック@とあるおっさんのVRMMO活動記
- アラバスタ@結婚指輪物語
OVA
イラスト未確認
- フジクロ@I・R・I・A
- 熱血@オーロラクエスト
- ドラゴンマスター@サンサーラ・ナーガ2※PV
- ナゴヤ兵衛@戦国武将列伝爆風童子ヒッサツマン
- オニオン・グラッセ@爆れつハンター
- ギル・バーグ@破邪大星ダンガイオー
- 借金取り立て人、神様の仕える者@アニメ神頼みシリーズ
海外アニメ
イラスト未確認
※同作では音響監督も担当
ゲーム
その他
イラスト未確認
- サマディー王、ハッスルじじい・邪@ドラゴンクエストXI
- 渕沢栄吉@免許をとろう
- 古代魔導士@ドラゴンポーカー
- ホワイトドラゴン@城とドラゴン
- ケセド@モンスターストライク
※1:前作超特急ヒカリアンのOVA版でもブラックエクスプレスを演じた。
※2:Xbox360版での担当。
※3:野沢那智氏からの引継ぎ。
特撮
歌舞伎小僧@五星戦隊ダイレンジャー | チョウチンコゾウ@忍者戦隊カクレンジャー | シュヴァルツ@重甲ビーファイター |
シャークラー@ビーロボカブタック | エルダー@海賊戦隊ゴーカイジャー | ガブリボルバー音声@獣電戦隊キョウリュウジャー※1 |
※1:獣電戦隊キョウリュウジャーブレイブでも担当。
ドラマCD
吹き替え
テレビ
- パオウ@天才てれびくんhello,
ナレーション
- 北斗の拳 ※テレビシリーズ他
- 魁!!男塾 ※実写映画版
- 獣電戦隊キョウリュウジャー
- タイムボカン24
- 今日から俺は!!
- シャゼリア☆キッス(ラブライブ!サンシャイン!! 2020年度エイプリルフール企画)
- 百姓貴族 ※親父殿をはじめ、複数のモブ役なども兼任。
出演作品(俳優)
関連イラスト
関連タグ
矢尾一樹:同じく俳優から声優に転向した共通点繋がりで、千葉氏とも共演する事が多い。
飯豊まりえ:『獣電戦隊キョウリュウジャー』で共演し、千葉氏が演じるキャラクターの孫娘を演じた女優。2024年にキョウリュウジャーと同じ恐竜モチーフの戦隊で最終章に登場する悪役を演じた俳優と結婚した際には、千葉氏によるXで結婚の祝いをコメントしている。