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日活ロマンポルノ

にっかつろまんぽるの

日活が1971~1988年の間に制作したエロ路線の成人映画シリーズ。2015年に完全新作の制作が発表された。
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日活ロマンポルノ

映画産業が斜陽期にさしかかり、ワンマン経営で有名だった堀久作の杜撰な経営を主として、様々な悪条件が重なって経営難に陥った日活は”低予算でも制作できて尚且つ収益率が高い”ポルノ作品を制作主体に置かざるを得なくなった。


会社の本意・不本意はともかく、日活が当時を生き残るには他に選択肢が無かったのである。

こうしてのべ17年以上にわたる「日活ロマンポルノ」シリーズが誕生したのである。

日活という会社のイメージがそれ以降「成人向け映画制作会社」になってしまう程の長寿シリーズとなったわけだが、日本映画産業にとっても貴重なシリーズであった。


低予算・短時間上映・ポルノ縛りという条件付きではあったものの、それ以外なら基本的に何をやっても良いという自由な制作体制が許されたのである。

テレビの普及によって若手の活躍の場が少なくなりつつあった日本映画界において、日活ロマンポルノシリーズはそれまで無名の存在であった監督・脚本家・俳優が躍進できる場所でもあったのだ。


だが、第一作の「団地妻 昼下りの情事」については、カーセックス中に車ごと崖に転落して爆死、ぶつ切りで「終」という文字が出るだけのラストで、社内試写会の際には流石の日活のスタッフも黙り込んでしまう程酷く、試写終了時には社運を賭けるに値するか微妙な空気まで漂っていた。幸いながら好評を得て同社の復活への繋ぎとしては十分な役割を果たし、後に様々な(アダルト路線ではない普通の)名作を生み出す切っ掛けにはなった。


しかし、撮影の過酷さから女優が精神的に追いやられて涙することも多く、脚本家で有名な白鳥あかね(当時はスクリプター)がよく彼女らの相談相手になっていた。ただ、関わっていた俳優・女優らの出世に大きく寄与しているので、キャリアとしては全く無駄ではなかった。


上述したように単純なポルノ作品だけではなく、ストリッパーで有名な一条さゆりの半生を描いた「濡れた欲情」に関しては、社会問題を扱ったノンフィクション映画の側面が非常に強く、キネマ旬報からも高く評価され、脚本賞と女優賞を得るまでに地位が昇華していった。


その後、警察に摘発されるなどの危機的状況にも遭遇したが、世間から逆に注目を浴びる結果となり、スタッフらは自らの表現を追い求める事ができる良い機会に恵まれた。作品自体も背景に貧困問題や戦争などの社会問題を絡めたものが多くなり、芸術色をより強める事となる。


ちなみに1980年の裁判に関しては無罪判決だった。チャタレイ夫人の恋人の無修正版が1973年に発売されている事を考えると、時代錯誤も甚だしいものであったのかもしれない。


バブル崩壊と時を同じくして、VHSの登場や「成人向け映画館」の減少に伴い日活ロマンポルノシリーズも1988年に終焉の時を迎えた。しかし、基本的な映画への取り組む姿勢というものはポルノであれ他であれ、基本的には変わるものではなく、その後は日活出身の映画監督らが次々に名作を生み出す事となった。


日活ロマンポルノに関しては、表現の自由との戦いでもあり、「何を猥褻として定義するのか?」という哲学的な要素も常に含まれていた。携わったスタッフから見れば、「猥褻かどうかは人の心の問題」であり、これに対して政府が関与する事は個人の心に土足で踏み入るようなものだと、上述した裁判に関しても非難していた。


まさかの復活


2010年、「ロマンポルノ RETURNS」と題し過去の二作品がリメイクされた。

2015年、1988年以来28年ぶりに完全新作の制作が決定。「日活ロマンポルノリブートプロジェクト」と銘打たれ、ロマンポルノ誕生45周年となる2016年11月より公開すると発表された。


作風

現代のアダルトビデオのように単にプレイ内容を描写するだけではなく、あくまで「映画」として製作される理念を根幹においている。

そのため全体的なドラマ性を重視し、複雑な人間関係やストーリー性を基幹に据えた“一作品としての完成度”が高いことで知られる。


余談

その記念すべき第一作目のタイトルはというと――


「団地妻 昼下がりの情事」


そう、団地妻という単語にエロスを仕込んだ立役者でもある。このほか、女教師女子高生修道院喪服など、現代のエロスのイメージを含んだ単語の発信源となった側面がある。


もっとも、そういうのが大好きな国民の性癖を見越していたと言った方が妥当かもしれない。


また、1971年の作品とはストーリーが大きく異なるため注意すること。昔と異なり、女優が精神的な苦労で涙する事も無くなって笑顔でインタビューしており、関係者が絶句するような事態も全く起こらず、流石に年月の流れか特に作品を批判する意見も見られなかった。


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