桑島慈悟郎
くわじまじごろう
鬼殺隊において隊士を育てる『育手』の一人にして、現役時代は当時の鳴柱(※)に位列されていた程の熟練剣士であり、主人公・竈門炭治郎の同期である我妻善逸の師匠である。
“全集中の呼吸”の基礎となる五大流派の一つの“雷の呼吸”の使い手で、立派な鬚を生やし左頬に傷跡がある。
ちなみに作中に登場した雷の呼吸の使い手の中では、唯一全ての型が使えた剣士である。
35歳の時に鬼との戦闘で片足を失った事が原因で柱を引退。現在は右足が義足になっている。当初は名前が解らなかったが、小説版において判明した。
2021年12月から開催された吾峠呼世晴原画展において、同じく元柱の育手である鱗滝左近次の素顔が公開されていたが、それに記された注釈によると、あの天狗の面の着用に桑島が関わっていた事と、同時に鱗滝と同期の柱である事も判明した。
※柱としての名称について
公式ファンブック『鬼殺隊見聞録』において、何故か彼は「雷柱(らいばしら)」ではなく「鳴柱(なりばしら)」と表記されており、他の柱はそれぞれの呼吸の流派に対応した名称であるにもかかわらず、なぜ雷の呼吸だけそう表記されているのか不明で、当初はその違和感からファンの間でも様々な憶測が飛び交った。しかし、単行本17巻にて「鳴柱」とは雷の呼吸の使い手が柱になった時の代々の呼び名である事が判明した(よって“鳴柱”呼びは公式であり、誤植ではなかった)。
何故この呼称で呼ばれているのかその由来は不明だが、「雷」の語源である「神鳴り」から付けられた名称だと思われる。
ちなみに基本の五大流派の呼吸の中では、現役の柱が作中で登場していないのは雷の呼吸だけ。それ以外でも作中に登場した全集中の呼吸で柱が未登場なのは、善逸の同期である嘴平伊之助の完全な我流である獣の呼吸のみである(最終決戦時には善逸が柱への昇格条件を唯一達成したのだが、その後は無惨の打倒に伴って鬼殺隊そのものが解散した為に、結局作中で新たな鳴柱が生まれる事は無かった)。
非常に厳しく、修行で泣き言を叫びながら逃げ回る善逸を、何度も捕まえては殴って怒鳴りつけて叱り、炭治郎の師である鱗滝左近次並の超スパルタ修練を課す、まさに雷オヤジを絵に描いたような人物(外見もそのイメージと思われる)。
しかし言わずもがな、それは彼に並々ならない資質がある事を見抜き、何よりも常にネガティブな彼に己に自信をつけて、立派な鬼殺隊の隊士になって欲しいという愛情の裏返しである。
特にアニメ版では“アドリブ王”として名高い千葉繁がCVというだけあって、厳しくも何処か愛情が感じられる演技力、キレると善逸同様に“汚い高音”で叫ぶ、ドラマCD「善逸の初任務」においては怖がる善逸に抱きつかれた時に「ああん♡」と変な声を出すなどのコミカルな演技力も相成ってか、“怒鳴り散らす雷オヤジ”よりも“厳しくもお茶目なおじいちゃん”の様な印象が強い。
いずれにせよ彼も人気のあるキャラである。
善逸も内心ではその事は深く察しており、キツい修行を嫌がりながらも「誰もが見捨て、何度も投げだそうとした自分」を決して見限らず、無理矢理にでも引きずり戻し根気強く叱ってくれる彼を「爺ちゃん」と呼び大変に慕っており、本人も「師範と呼べ!!」と言いつつそう呼ばれる事は満更でもない様子。
善逸が雷の呼吸で唯一会得した壱ノ型を極限まで磨き上げ、独自に発展させていった事は彼の教えに由来する。当初は壱ノ型しか使えない事に納得していなかったようだが、後に「一つできれば万々歳だ」と励ましている。
また、本編では善逸による回想が主である為、弟子の数が少ない様にみられるが、実際には善逸以外にも複数人の剣士を育てており、少なくともその中の一名は鬼殺隊の剣士になっている。
鬼殺隊の剣士として善逸とその兄弟子を育てる事に成功した彼は、雷の呼吸の後継者として、基礎である壱ノ型「しか」使えない善逸と基礎である壱ノ型「だけ」が何故か使えない兄弟子を二人揃って継承者にしようと考えていた。
その兄弟子は善逸に当たりが強かった事から仲は良くなかったが、善逸自身は兄弟子に対して敬意は払っており、慈悟郎自身も兄弟子である彼の実力は認めていた為、二人で足りないところを補ってもらおうと考えていたのである。
しかし、そんな彼の思いを裏切って兄弟子はこともあろうに命惜しさに鬼になる。
彼自身は師匠として雷の呼吸の使い手から鬼を出した責任を取り、切腹して果てた。しかも介錯もつけず、自ら喉や心臓を突いたりもしない、長い時間苦しんで死ぬという形の最期を選ぶ。それだけ彼は苦しみ、己を責めたのであった。
そして、柱稽古の最中に宛てられた手紙で慈悟郎の死を知った善逸は、鬼となった兄弟子の不始末をつける為に、何よりも師匠の敵討ちの為に、これまでとは違った覚悟を持って鬼との戦いに挑む事になる。
自力で辿り着いた漆ノ型によって兄弟子との因縁を切り伏せた善逸。満身創痍で朦朧とする中、彼岸に立つ亡き師匠に、善逸は兄弟子を斬ったこと、自分さえいなければ兄弟子は鬼にならなかったかもしれないこと、恩返しを生きている間にできなかった事を目を潤ませながら詫び続ける。
しかし、善逸が慈悟郎の元へ向かうのを止めるが如く彼岸花が善逸の足に絡みついた。
苦悩と悔恨に苛まれる善逸を見て、慈悟郎も目に大粒の涙を湛え、愛弟子に宛てた言葉を遺すのだった。
「善逸 お前は儂の誇りじゃ」
彼の遺骨は今や唯一の弟子である善逸に引き取られ、204話では鬼殺隊解散後に炭治郎、禰豆子、伊之助と竈門家で共に暮らす事になった際に、遺骨を持って行っている。
最終回では彼と容姿の似た老人が、鱗滝と酷似した人物と将棋を指している場面が見受けられる。
その際に遅刻しそうだとして人様の家の庭を経由していく炭彦に対し、怒りを露わにしていた。
コメント
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雷の型、幾つ使える?
育手とはどうあるべきか、と元柱達が互いに問答したものだ。 一方、慈悟郎の元に一人、型を習いたいという青年が顔を見せる。 そして遂に、それは思わぬ顔を見せた。15,617文字pixiv小説作品 - 未来の柱達
~ 鬼殺隊入隊編 ~
もう何番煎じか分からない善逸逆行。本来の時間軸よりも遥か前に戻ってしまった善逸。 そこで奮闘しつつ、最終的に柱になる予定。そして元兄弟子だった獪岳が弟弟子となり、継子に。 他の柱に自慢しましつつ、獪岳・炭治郎・伊之助達の戯れを眺める。そんなほのぼのギャグを目指しております。 色々と原作を捏造しております。キャラの性格改変もしています。様々な事もわざと公式設定と変えて書いてる事もあります。流して頂けると嬉しいです。 それでも大丈夫!どんなだって平気だよ!クレームは多分出さないよ。コメントやメールをして突っ込まないよ!静かにフェードアウトするだけだよ! そんな優しい覚悟のある方は、どうぞお進み下さい。本当に自己責任でお願いしますm(_ _)m 『雷柱』についてのご意見がくることがありますが、話の設定上、『鳴柱』であることを知っている上で使用しております。原作と違う柱の表記に気分を害する方もいるとは思います。無理、苦手と感じられたら、苦言を呈するのではなく、そっと離脱して頂けるようお願い申し上げます。 てか、新しい逆行書いてんじゃねーよ!とツッコミきそうですね。すみません!! 切欠としては…検索結果を何気なしに眺めてると、 ・善逸 柱 ・善逸 継子 ・善逸 逆行 ってあるので。継子は宇髄さんが多いよねーと考え。やっぱりここは年齢逆転で獪岳でしょう!と。 どこまでも雷一門が大好きなようです。 因みに、獪岳が今の善逸のポジに収まる予定。なので炭治郎に振り回されるはず。それを善逸が微笑ましく見守ると。 全員幸せをモットーに頑張る予定。今度こそ梅ちゃんを救ってみせる!! 定番ですが、最後に前作までにブクマやいいねを押して下さった誠に有難うございます。 そして閲覧してくれた皆様も有難うございます。またコメントを下さった方々も本当に感謝しております。 あとフォローしてくれた方も。有難うございます!!多くなっててビックリしてガクブル状態ですが… コメントにタグ編集、本当に嬉しいです。おかげで本当に励みになっております。 タグ編集のおかげでそれから足を運んでくれる方もいらっしゃって。編集してくれた方には足を向けられないっ! 最後に、たくさんの方に作品を読んで頂けていることを心から感謝申し上げますo(^-^)o 表紙は ハイロ様よりお借りしました → https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=6005892714,544文字pixiv小説作品 - キメツ 現パロ鬼狩りコンビ獪岳&禰豆子
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俺が兄弟子でアイツが弟弟子で
お読みいただいてありがとうございます! ついに獪岳登場させてみました! 獪岳、嫌いじゃないです。彼の生い立ちを考えるとね…。 承認欲求が強いのは、今までちゃんと彼に向き合ってくれる人がいなかったからだと思います。 彼が器用で1人でも頑張ってしまう性格な故に逆に大人が他のできない子にかかりきりになって、彼を見てくれなくなってしまう。 子供からしたらすごく切ないですよね…。 大人は信用してるからこそ、放っておいているのでしょうが…。それを理解して割り切れる程、大人ではないですし。 彼は許されない過ちも犯しましたが、共感できるところがある故に、どこかで幸せになってほしいなと思うキャラクターの1人です。 せめて二次創作の中では雷一門で幸せになってほしいなと、今回話を書きました。 かなりキャラ崩壊していますが、温かい目で読んでいただけたらと思います。3,592文字pixiv小説作品 - 鬼連れ獪岳
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鬼連れ獪岳その5、師匠編。 かつ、上編の終わり。 注意書きは1p目に記載しています。 この話は、かつて獪岳が悲鳴嶼行冥の寺にいたという未確認話を元に構成されています。11,908文字pixiv小説作品 - 白河夜船 ゆめ違え
白河夜船 ゆめ違え 第二夜
単行本ポチったんですけど、「在庫切れの為注文をキャンセルさせていただきます」というメールが先日届きました。かなし~みの~なみにおぼれ~~るぅぅううう((# ゚Д゚) 鬼滅が売れているんだと思うと嬉しくもあり、手に入れられなかったのが悲しくもあり……。 本屋に行くのが億劫で、ネット使ったのが運のツキだったんでしょうかね。 自分に腹が立ったので、18巻発売時に全巻プラスして前回は買うつもりなかったファンブックも一気に買ってこようと思います。怒りの呼吸 壱ノ型・大人買い!! 【注意】 ・ネタバレあり ・現時点では原作ではなくピクシブ百科などで情報を参照 ・原作にて言及されていない部分は捏造 ・オリジナル女主人公 ・ネームレスではありません、悪しからず ・転生 ・救済入ります ・キャラ崩壊 ・キャラの口調が違う可能性あり 以上が許せる方のみどうぞ。 誤字脱字報告歓迎です。 前作のいいね・ブクマありがとうございました。励みになります! 表紙はNEO HIMEISM様からお借りした写真を加工しています。6,479文字pixiv小説作品 - 鬼の水柱と人の炭治郎のはなし
暗転
善逸と慈悟郎さんのターン。酷な描写があります。義炭の話は次か次。ゆるっとお付き合いいただけたら幸いです。ルビ有縦書き画像は→ https://twitter.com/ymco13/status/1269548352502239232?s=21 ※原作とは異なるタイプの鬼設定 ※世界観やキャラ設定再構築系の創作パラレル ※義勇さんと炭治郎の話ですが他キャラもでます2,722文字pixiv小説作品 - 平安の世の弟が鬼の始祖になったので会いに行きたい
今は大正時代だそうだ
ほんっっとうにお久しぶりです。遅れてすみません。 キャラブックで解釈が変わったところの擦り合わせをどうするか悩んだことや、なかなかドタバタしておりまして、隙間時間がある日にちまちま書き進めております……番外編の短編より本編さきにできてしまったので投稿します。 期間があいてしまったので1から読み直して来て頂いた方がわかりやすいかなと思います。申し訳ない。 私も書く予定のこと等のメモを見ながらザッと読み返しながら書いていきましたが、矛盾があったらすみません。 さてさてやっと大正時代に入りました男主、これからどうなっていくんでしょうか。 のんびり見守っていただけると幸いです。 本シリーズへのいいね、ブクマ、コメントなど本当にありがとうございます!励みになります。 P.S 2021/7/12 現在制作が止まってしまっていて……楽しみに待ってくださっている方、申し訳御座いません。 今のように時間のある時にフラッと書いて更新を続けるか、続きの男主が何歳で誰となにがどうなるか……と細かく練ってある設定だけ出して終了にするか(設定を出しておいて、たまにそれをお話に書き起こしていくか)、ここでキッパリ打ち切りにするか……という3択で迷っています。 とりあえずしばらくアンケート置いておきますね。20,697文字pixiv小説作品 - 事情も知らずに【鬼滅夢】
第12章 なんやかんやを視覚共有
事情(原作)を知らない主人公が、ある日逆行トリップしてしまった縁で、事情(原作)も知らないのに勢いで鬼退治に首を突っ込んでいくオハナシ第12章。 おはこんばんちは。先日、錆兎にフラフラしているだけだと思われていたことに軽くショックを受けたので、今回は私の修行風景をご覧いただこうと思います。私だってそれなりに勉強して、呪符に埋もれて、流血騒ぎに精進しているのよ。意味が分からない上に何か物騒だって?でしょうね私もこんな修行形態とは予想外だったわ。うにゃー。 ※鬼ゆえの流血沙汰があります。ギャグテイストのつもりですが不快に感じる恐れのある方はご遠慮、十分ご注意ください。12,491文字pixiv小説作品 【鬼滅の刃】C97鱗滝&桑島本説告知&サンプル【鬼談水雷】
-------------------------------------------------------- 元・水柱――鱗滝左近次。 元・鳴柱――桑島慈悟朗。 互いに弟子を送り出した二人の育手は久々の再会を果たし、それぞれの弟子の話から、奇縁について思いを馳せる。 それは若かりし日、二人がまだ育手ではなく一本の剣士であった頃。 そして――竈門炭治郎と、我妻善逸と同じように。 水の剣士と雷の剣士が、共に潜り抜けた戦いの回顧録。 「あの時にも言ったが、あいつ、あの鬼な。別に、儂一人で十分じゃったから」 「そうか。ならばもう一度、こう言わせてもらおう。 ――まるでなまくらの判断だ。その切れ味では、大根一本切れまいよ」 立ち塞がるは、宵道峠の地蔵鬼。 いざや奔らん、水雷。 -------------------------------------------------------- 殻半ひよこ、2019年12月29日(日)のコミックマーケット97に参加いたします。 スペースは2日目/西1ホール/ら-44b/サークル名【InsideEgg】。 頒布作品は鬼滅の刃の二次創作小説本【鬼談水雷】。 A5判二段組32P、今は老いたる育手、かつては若き剣士であった水と雷の呼吸の使い手、鱗滝左近次と桑島慈悟朗が遭遇した、峠の鬼の討伐記。 今回はサンプルとして、序盤の【壱】をまるっと掲載いたします。 続きが気になっていただけましたならば、是非当日サークルまでお越しください!7,007文字pixiv小説作品拝啓 善逸へ
出来れば読了後に読んでね。 … …… ……… 儂はお前らに諦めるな、と言い育てた。ある意味で獪岳が鬼になったのは生きることを諦めなかった結果になるのかも知れん。そういう意味では儂のせいともいえる。お前は自分なんかがいなければこんなことにはならなかったかも知れんと自分を責めるだろうが、それは筋違いという奴じゃ。お前がいたことで、獪岳が得られたものも必ずある。いい方向にな。 別にお主らが柱になんぞならなくてもこんな仕事、儂が半ば押し付けたような命がけの仕事、生きてくれているだけで十分恩返しじゃよ。儂も年をとったもんよ。大体お前の借金何ぞに、命を天秤に掛けるなぞ、傾く方なんて決まっとろう。対価が高すぎるんじゃよ。均等になぞなるかい。それにたかが小僧の借金程度何の痛手にもならん。儂こう見えて元柱じゃぞ、金なんて、腐る程あるわい。 そうじゃな、鬼刈りなんていつおっ死ぬか分からん仕事について、片足無くして引退して。こんな年までダラダラ生きとった。今死ぬことに大して感傷は無い。むしろここまで長生きするなんて思わなかったわい。一つ心残りがあるとすれば、善逸、お前じゃのう。お前は必ず獪岳を打つ。それは心配しとらん。だが、その後がのぉ。お前を独り残してしまうことを許してくれとは言わん、寧ろ許さなくて良い。この桃園で暮らすも良し、友と共に居るのも良し。お前の好きにせぃ。鬼がこの世からいなくなったら、なに、お前には後向こう百年は遊んで暮らせるだけの額の金がここにはある。お前の人生だ、今まで他人に左右されてきた分、自由気ままに生きるが良い。あぁ、一つ。寂しんぼのお前を残してしまってあれだが、自分からはこっちには来るなよ。追い返してやるからな。 最期のお願いだ。生きろ善逸。生きて、友でも嫁でも子供でも孫でもいい。看取られて満足な、幸せな人生だったと胸を張れる生き方をしなさい。 では締め括りに。 善逸、儂はお前の誇りじゃ。 敬具 爺ちゃんより7,052文字pixiv小説作品