「猪突猛進!!猪突猛進!!」
「どいつもこいつも俺が助けてやるぜ 須らくひれ伏し!!崇め讃えよこの俺を!!」
「信じると言われたなら それに応えること以外考えんじゃねぇ!!」
プロフィール
階級 | 癸(みずのと) → 庚(かのえ) → 丙(ひのえ) |
---|---|
誕生日 | 4月22日(名前とともに、ふんどしの裏に書いてあった) |
年齢 | 15歳 |
身長 | 164cm |
体重 | 63kg |
出身地 | 東京府 奥多摩郡 大岳山(現:奥多摩 大岳山) |
趣味 | 炭治郎に教えてもらった「ことろことろ」という童遊び |
好きなもの | 天ぷら |
CV | 松岡禎丞 |
演 | 佐藤祐吾(舞台)、野村太一郎(能 狂言) |
概要
炭治郎らが赴いた鬼殺隊士の最終選別に同じくして立ち向かい、たった五人だけ生き残った精鋭隊士の一人である。
「野生児」という言葉では片付けられない正真正銘の『獣』であり、常時上半身を露出して、頭には猪から剥いだ頭皮を被っている二刀流の剣士。
人物
まるで‟獣”のような生き様
口癖でもある「猪突猛進」の四文字が、彼の生き様そのものを表している。
粗野にして粗暴、そして極めて野卑という生粋の野生児で、良く言えば「ワイルドな俺様系」で、悪く言えば「野蛮な戦闘狂」。
乳児期に何らかの理由により母親の手で捨てられており、山の中で猪に育てられた。
他の生き物との力比べを生き甲斐として育ってきたため人一倍闘争心が強く、自分以外の他者を『相手にするまでもない弱者』か『より強くなるための踏み台とするに値する強者』としてしか認識しなかった。
自分より強いと認識した相手には状況構わず勝負を請うが、戦う力を持ちながらも戦意を持たない相手に対しては「弱味噌」と怒鳴りつける事もある。
戦う相手が居ない場でもその闘争心が収まらないらしく、大声を張り上げたり意味も無く木の幹に体当たりしたりしている。まさに獣。
勿論山で育った為に人としての常識が通用せず、(意識してないとはいえ)無力な少女を足蹴にする、屍を埋葬する意図を理解できない、手掴みで物を食べる、清めの切り火を威嚇と思って激怒する、届け物を作って届けてくれた人の目の前で乱暴に扱う、配偶者の身を案ずる夫の前で「嫁もう死んでんじゃねえの?」と呟く、同僚が業務上最も基本的な事が出来てない事を面と向かってバカにする、等々。あまつさえ字の読み書きすらできない程(明治末期の識字率は約98%)である。
このように一般常識に欠ける反面、古風な小難しい言い回しや語彙が意外に豊富。その理由については後述。
それでも一応、言葉によるコミュニケーションが取れる、下半身を衣服で覆う、自らの名を持ちそれを名乗る、無益な殺生は行わないなど獣染みてこそいるが『人間』ではある。
負けず嫌いな一方で物凄く染まりやすい性格であり、ノリが頻繁に変わる。良くも悪くも細かい事は気にせず、過去の諍いなどもその時の精神状態や思考によってあっさりと忘れる。
獣に育てられただけに『動物は死ぬと土に還るだけ』と割り切った死生観を持ってはいるが、煉獄が死んだ際には弱音を吐く炭治郎に檄を飛ばし、一緒になって号泣するなど『死』を悲しいものとして認識している(指摘されるとキレる)。彼にとってはどれだけ惨めな姿を晒しても前に進み続ける事が生き残った者の責任であると考えているようだ。
名前が書かれた布を褌として着用しているが、これは元々おくるみ(赤ん坊を抱き易くする為に巻く布)、つまり字をしたためたのは彼を“捨てた”母親本人である。この事から、同じく捨て子である善逸からは「何か捨てざるを得ない事情があったんだろう」と推察されていた。
名乗る事はできるが、上述の通り読み書き自体ができない為に、当然ながら自分では書けない。
山に捨てられた後の彼は、子供を失ったばかりの母猪に育てられた。
彼が‟人間”になるまで
本来、一定の年齢(約12歳ごろが限界で、これをクリティカル・エイジと呼ぶ)までに人間の言葉に触れずに育った人間は、語学を習得できないとされており、伊之助も本来ならば人間の言葉すら喋れずに、獣の一員として生きていく筈であった。
そんな彼が言葉を喋れるようになったのは、たかはるという青年と、彼の祖父からの影響である。
昔、棲んでいた山の麓にある民家に迷い込んだ幼少期の伊之助は、留守番をしていたたかはるの祖父から餌を貰い、家に寄りつく様になる。その頃から猪の皮を頭に被っていた為に、たかはるから「猪の化け物」と煙たがれ口汚く罵しられながら追い払われるも、性懲りもなくもう一度たかはる家に来訪。
たかはるは祖父に化け物を家に寄り付かせないよう注意するが、祖父はすでに物忘れが多くなっていたため、何度も伊之助を招き入れ初孫のように可愛がる。伊之助は祖父から百人一首などを読み聞かせられる中で言葉を覚えていき、この時に着用していた褌から自身の名前を教わる。意外に小難しい語彙が豊富なのはこの祖父の影響と思われる。そして同時にたかはる青年の乱暴な口調を自らのものとし、その家を自分の縄張りにして時折おかきなどを差し出させた。
鬼殺隊に入隊してからは、とある任務で出会い行動を共にする事となった炭治郎や藤の家のお婆さんなど様々な人間の優しさに触れ合う(当人は「ほわほわ」と表現)中で、その意識には徐々に変化が訪れており、特に己より遥かに強かった炎柱の生き様に立ち会った事で、『真の強さ』の何たるかを心に描き始めた。
また、この辺りから「生き物は死んだら土に還るだけ」からさらに一歩踏み込み「だからこそ、残された者はその想いを継いで前に進まなければならない」という死生観に変化している。
それ以降は、鬼殺隊の隊員たちや蝶屋敷の面々、特に同期の二人、炭治郎と善逸との付き合いを通して『人間』として強く成長していくようになる。
野山で培った戦闘能力
鬼殺隊士としては珍しく、育成者である“育手”による修練を経ず、自分の縄張りに踏み込んだ鬼殺隊士を打ち負かし、装備を奪って最終選別に参加した上で、誰よりも早く選別を通過した特異な経歴を持つ。 ドラマCD「嘴平伊之助の力比べ」でそのエピソードが掘り下げられており、鬼との戦闘で負傷した先輩隊士を抱えて、たまたま自分の寝倉に逃げ込んできた鬼殺隊士を襲撃して打ち負かし(先輩隊士については、負傷して弱っている奴と力比べをしても意味がない、という理由から手を出してはいない)、その後は後を追ってきた鬼と、その鬼殺隊士2人からぶんどった2本の日輪刀で戦って撃破し、彼等から他にも鬼がいる事や藤襲山での最終選別の事を聞き出して、そのままさらに強力な鬼との戦いを求めて藤襲山に直行して飛び入りで参加したという経緯である。
ちなみにこの時点で既に獣の呼吸は編み出しており、少なくとも「空間識覚」は体得していた。
心身頑健な炭治郎が、血の滲むような鍛錬を二年間経る事でようやく習得したものと同等の呼吸による戦闘技術を、誰に教わった訳でもなく完全に独力で編み出して身に着けた事からも、生まれながらにして高い天賦の才を有している事が分かる。 後に“全集中・常中”も、炭治郎が習得に約1ヶ月かかったのに対して、善逸と共に9日で習得している。
なおこの最終選別の際には、隊士説明会に参加せずすぐに立ち去った為に、最後に通過した炭治郎は後の任務で出会うまで彼が同期隊士であるとは知らなかった。
独自に呼吸法を編み出した基礎身体能力のみならず、異様に柔軟かつ関節の付け外しまでできる肉体に、野生で生きてきたからこその勘の鋭さ(殺気に対する反応速度)、二刀流による攻撃力、更には広域探知の技も有している事から、その戦闘能力は高い次元でバランスが取れており、最終選別を誰よりも早く通過したという実績は伊達ではない。加えて野生児として厳しい自然環境で生きてきた為に、その生命力・回復力も人並み外れている。
しかしその半面、思考能力には難があり、直線的・直情的な行動しかとれない為に、搦め手を用いたりとゴリ押しが効きにくい相手とは相性が悪い。また、力比べだけを生きがいに狭い世界を生きてきた事から、誰かに負けるという事に対する耐性がとにかくなく、一度負けを認めるとそこで完全に諦めてしまうような精神的な脆さもあったが(ここもある意味動物的だと言える)、こちらは様々な人と接して精神的に成長を重ねる中で克服していった。
とはいえ、まきをの行方をわずかな情報から推理したりと地頭の良さを窺わせるシーンもあるので、冷静になっている時はまた話が別という事なのだろう。
容姿
筋骨隆々な体躯と乱暴な口調に反してその顔立ちは女と見紛う程に整っており、毛先が青く染まった黒髪、瞳は深い翡翠色に輝く「紅顔の美少年」と呼ぶに相応しい公式イケメン。その素顔を最初に見た同期隊士の善逸からは、「むきむきしてるのに女の子みたいな顔が乗っかってる」と気味悪がられていた(アニメ予告では悔しがりながらも美形だと認められている)。
ただし、声は野太くしかも音痴(アニメでは松岡氏のドスの効いた演技も相まって、よりギャップが凄まじいことになっている)。この為、女装して遊郭に潜入した際には喋らないよう宇髄に釘を刺されていた。ちなみに潜入直後は台無しな化粧を施され不細工に仕上げられたが、目利きの遣り手婆には生来の美貌を見抜かれ大喜びされる。
その後も美しい人間しか食べない上弦の鬼の堕姫の眼鏡に適い、獲物として狙われた。
余談になるが、伊之助の素顔は本誌よりも先にジャンプGIGAのおまけ四コマで明かされるというミスが起こってしまい、それに関して当の四コマが掲載された単行本4巻の巻末にて、作者が謝罪している。
その他
あまり人の名前を覚えようとせず、炭治郎に至っては毎回呼び方が変わる(例:三太郎、炭八郎、炭五郎、惣一郎など)。他にも善逸を「紋逸」、禰󠄀豆子を「ねず公」、アオイを「アオコ」と呼んでいる。また柱の面々は冨岡を「半々羽織」、煉獄を「ギョロギョロ目玉」、悲鳴嶼を「玉ジャリジャリ親父」と、柱の面々の呼び名は容姿を表していることが多い。また例外的に胡蝶しのぶのみ、「しのぶ」と名前で呼んでいる。
非公式ながら炭治郎・善逸・伊之助の三人の総称がかまぼこ隊と呼ばれているのは、伊之助が最初に炭治郎の名前をかまぼこ権八郎と呼び間違えたのが由来である。
そんな彼も7回に1回の割合で正しく人の名前を言えるらしい事が、アニメ第16話の次回予告で明かされた(アニメ版大正コソコソ噂話より)。
未知の機関車に対し子供のような興味を示し、窓から身を乗り出す、速度を競いたがるなどして善逸に止められている。
なお、魘夢の作った夢の世界では子分に炭治郎(狸役)、善逸(ねずみ役)、禰豆子(うさぎ役)を引き連れて洞窟探検隊の隊長を名乗る。そこにいた「主」たる「ムカデ汽車」(字幕表記より。CV:平川大輔氏/魘夢兼役)を討伐対象と断じたが、結果的にこの認識は正しかった事になる。
能力
触覚
炭治郎が嗅覚に優れ、善逸は聴覚に優れる一方、伊之助は並外れた鋭い触覚を持つ。
上半身を常に晒しているのは、肌面積を増やす事でパッシブ・センサーとしての能力を最大限に有効化させる為でもある。野生児としての経験もあってその感知能力は非常に高く、死角からの視線や殺気にも異常なまでに敏感であり、誰がどこから自分の体のどこを視ているか狙っているかまで瞬時に分かる程である(本人曰く、視線や殺気は肌に直接突き刺さるように感じるから、すぐに分かるとの事)。
実際に那田蜘蛛山での戦いでは母蜘蛛の位置を特定し、つづく無限列車編では無限列車と一体化した魘夢の頸が先頭車両の方にある事をいち早く見抜く。刺激臭と風により炭治郎は自身の武器の一つである嗅覚が利かなかったが「伊之助が言うなら間違いない」、「伊之助が居てくれて助かった」と思われるなど伊之助の感知能力の高さが窺え、いずれの戦いにおいても勝利へと大きく貢献している。
逆に敵意がない者を感知する事ができない事から、藤の家紋の家にお世話になった際、縁側に座っていた時にお婆さんがいつの間にか背後に座って居た事には心底驚いたようで、「あの老婆は物の怪の類」と認識している。この体験がのちに炭治郎の新しい力に繋がる。
身体能力
山の中で獣同然に鍛え上げた身体能力は、地獄のような修練によって『人間』としては極限まで鍛え抜かれている筈の鬼殺隊士を、さらに上回る程である。
更に伊之助の肉体は高度な柔軟性をも有しており、雑技団のような複雑な体勢(ウルトラ怪獣のツインテールのような姿勢から瞬時にブレイクダンスの如く回転して起き上がった)も無理なく取る事が可能な為に、不安定な足場や空中からでも、通常の剣士では考えられないイレギュラーな体勢から強力な斬撃を放つ事が可能。これはなまじ戦闘経験の多い人喰い鬼ほど、“常識”の範疇で相対する人間を量る傾向がある為に、不意をつける可能性が格段に上がる。
加えてその肉体の柔軟性を応用して、全身の関節を自在に付け外せる他、内臓の位置を一時的にずらす事すらもできる為、これらを上記の鋭い触覚と組み合わせる事で『タコのように頭蓋が入る広さがあればどこでも通る事が出来る』『腕の関節を外して伸ばし、攻撃のリーチを伸ばす』『頸を斬られるなどの明確に回避不可能な攻撃以外は、背後からの不意打ちであっても回避して、死んだように見せかけられる』という“特技”へと昇華させている。
無限列車の天井を突き破って飛び出す、誰にも気付かれずに部屋に侵入して天井に張り付くなど、細かいシーンでも人外じみた描写が散見される。
また、関節を自由に付け外しできる特性を自在に活用できるだけあって、肋骨が4本折れている状態でも意に介さず全力で戦闘行動がとれるなど、野生動物の如く苦痛に対する耐性も極めて高い。
薬物耐性も高く、毒物の類が効きづらく致死毒を使う相手との戦闘に於いては、(多少の)不利を打ち消せる。ただし反面、治療薬も効きづらい為にメリット/デメリットが如実に表れている。
このように、その敏感な触覚や柔軟な身体構造もあって「回避能力」については、間違いなく同期組の中でもトップであり、実際に作中では、上弦の鬼の背後からの不意打ちすらギリギリで回避して生存していた。また、一目で分かるような明確な致命傷以外は、内臓を狙った攻撃でも回避できる事や、野生児として培われた強い生命力などから「戦闘継続能力」も高い。
これらの常識離れした身体機能は、鬼殺隊の医療担当である蟲柱・胡蝶しのぶをして「ミツアナグマと同じ」と評して半ば理解することを諦めているほどである。
我流 全集中 獣(けだもの)の呼吸
鬼殺隊士と同じく著しく増強した心肺により、一度に大量の酸素を血中に取り込む事で瞬間的に身体能力を上昇させ、鬼と同等の戦闘能力を得る“全集中の呼吸”を完全に独学で編み出して扱っている。ドラマCD「嘴平伊之助の力比べ 」によると、どうやら自然の環境下で独自に同様(または同等)の呼吸法に自力で辿り着いたようであり、全く同じ原理同じ効果の似た技術が先にあっただけで実は名実共に完全なる彼だけの我流であり、厳密には始まりの剣士の齎した全集中の流れを汲んでいない。
日輪刀が藍鼠色に変わった事から、当初は“水”や“岩”に適性が近いのではとも見られていたが、 性質的には風の呼吸に近いらしい。尤も各呼吸の適性を示す色は、同系統の色であっても必ずしも同系の呼吸と一致はしないので、獣の呼吸の適性の色は藍鼠色という事である(他の例として、甘露寺蜜璃の日輪刀は桃色だが、適性色が桜色である花の呼吸とは無関係な恋の呼吸を独自に編み出しており、そもそも風の呼吸の適性色は緑なのに対して、同じく風の呼吸の派生である霞の呼吸の適性色は白である)。
装備
本来の鬼殺隊士には、個々に専用の日輪刀(玉鋼の時点から本人に選ばせる)と隊服を支給されるが、伊之助はこれらの支給・説明会に立ち会わずに最終選別の場を去った為に、腕試しで打ち負かした隊士の装備を奪って使用していた。
また、伝令及びお目付として担当の鎹鴉(かすがいがらす)を宛がわれている、のだが……(詳しくは後述)。
日輪刀
詳細は個別記事を参照。
別名“色変わりの刀”と呼ばれ、持ち主によって刃の色が変わり、色毎に特性が異なる。
二刀使いであり、又伊之助本人の意向で拵については鍔も鞘も持ち合わせていない。
- 初代
他の隊士から奪った刀。伊之助本人の為に打たれた刀ではない。その為に色は視覚的には殆ど多々良鉄の色のままであり、この日輪刀の元の持ち主達は、色が殆ど変わらないくらい呼吸の技術も剣の技術も低かった事が分かる(日輪刀は、持ち主である剣士の呼吸や剣の技術やそれらの素養で色の濃さが変わり、色が変わるのは最初に持ち主が触れた一度のみである)。上記した通り、ドラマCD「嘴平伊之助の力比べ」にて元の持ち主の隊士達が登場する。
前述の通り、拵に関しては鍔が無く、柄も茎に直接サラシ布を巻いただけ(鞘も無いため、非戦闘時には同様に布を巻き付ける)の簡素なものであり、更には刃が何ヵ所も刃毀れているといった、如何にも『盗品』めいた風情の刀だが、これらは全て伊之助自身が破壊し加工した結果である。
両刀とも、那田蜘蛛山において『父蜘蛛鬼』の身体強度に負けて、折れ飛んだ。
- 二代目
那田蜘蛛山戦後の療養・修行中に新たに打たれた。 刀匠は鉄穴森鋼蔵。伊之助が手にした事で、獣の呼吸の適性を示す藍鼠色に変わった。
元々は鈍く輝く刃と、翼を広げた鳳凰を象った鍔(二刀に合わせて鳳(雄)と凰(雌)が描かれていたと思われる)を持つ雅な意匠の刀だったが、伊之助によって即座に刃を(直接の描写こそ無いが、拵も)初代と同じ仕様に強制改造される。この故意に刀を破壊する行為には温厚な鉄穴森も流石に鋼鐵塚ばりに大激怒し、さしもの伊之助も職人の本気には怖れをなしたようで、見送りの際には自分に代わって頭を下げる炭治郎の服の裾を掴むという珍しい姿が見られた。
このこだわりについては、「この方が恰好良い」「千切り裂くような切れ味が自慢」などと豪語しており、その言葉通り遊郭戦では堕姫を相手にノコギリのように切り裂いている。
隊服
特別な繊維でできており、通気性はよいが濡れ難く、燃え難い。更には雑魚鬼の爪や牙ではこの隊服を裂く事すらできない程に頑丈。
本来は背に“滅”の字が描かれた黒い詰襟と揃えての着用が正式だが、上述の通り伊之助は触覚の感度が極めて高く、衣服の接触に対して不快感を覚える為、長袴(ズボン)のみである。
一応は、上着も着てはみたようだが気に入らなかったらしく、あまりの不快感に即脱ぎ捨ててズタズタに引き裂いた上に踏みつけてしまった。この一件のせいで、隊服を作る隠達には蛇蝎の如く嫌われているらしい。
鎹鴉
伊之助の鴉は、炭治郎との合流時までに十八回ほど食われかけた事から、合流後は完全に姿を隠している。一応は、合流前も伊之助は鬼狩りの任務をこなしていたようなので、ギリギリでコミュニケーションはとれていた模様(これについては伊之助自身には、鬼に対する闘争心そのものは人一倍あるからであり、実際に作中でも伊之助が鬼のいる場所に連れていけと鴉を脅しながら付いていく場面がある)。名前は「どんぐり丸」で、性別は雄。
なお、炭治郎の鴉も食おうと言った事がある。
ちなみに余談ではあるが、食用に適しているのは雀の方である。
カラスの肉はイメージに反してかなり美味(成分としてはクジラ肉に近い)な反面かなり硬い。ただし、山野に住む野生の個体ではなく、都市部に住んでいるような個体は生ごみ等を餌にしているため非常に臭い。(雑食の動物全てに言える事だが餌によって肉の質や臭みに差が出る。肉の柔らかさは「肉<雑<草」、臭みは「草<肉<雑」である))
猪の頭皮(個人所有)
彼を育てた母猪から剥いだ形見。伊之助は自身の可憐な顔立ちを気に入っていないのもあってか、殆ど常に(眠る時ですら)この猪の頭皮を被って、自身の事を「山の王」と称している。
当然というか、この姿を初めて見た者は一般人や鬼殺隊関係なく、猪頭の化け物かと誤解した。
その他、腰には鹿の毛皮を、脚には熊の毛皮を巻いている。
キメツ学園
4巻にて設定が明かされた。
猪に育てられた野生児なのは本編と共通。TVなどで話題となっており、現在は里親の老婆・ひさの元で暮らしている。伊之助は彼女を「ババア」と呼びつつも慕っている。また、彼の隣にはたかはるが住んでおり、凧を作ってもらったりと交流がある様子。
学校へは弁当しか持ってこず、いまだに裸足で一年中半袖。
学生バンド「ハイカラバンカラデモクラシー」の太鼓担当。
高等部1年筍組、学校へは弁当しか持ってこない。
体育以外は散々な成績なのもあり、職員会議では毎回名前が出る(集中力はあるため、サボタージュできない学習環境を整えればいい点を採れる)。
里親のひさを大切に想っており、腰痛に悩んでいた彼女のために、学園の裏山に温泉玉子を埋めて温泉を造ろうとしたことがある。
野生児でやることなすことさせること全てが野性的だが、それゆえに核心を突いた言葉を相手に放つこともある。
元気がない人には裏山中のどんぐりをあげればいいと思っていそうという生態系に配慮した理由で炭治郎から相談相手にしてもらえない。
キメツ町に熊が出たときに嬉々として勝負しようとしたが、当初は行くならひとりでお行きなスタンスだった善逸に引っ張られる形で安全確保された。
本人の預かり知らぬところで鬼舞辻事務所を壊滅危機に陥らせた。
外部出演
白猫プロジェクト
コラボイベントでは、無属性のクロスセイバー(二刀流剣士)として炭治郎、禰豆子、善逸、義勇と共に参戦。
白猫の世界に突然迷い込み、謎の復活を遂げた累に立ち向かう。
使用技は「壱ノ牙 穿ち抜き」と「参ノ牙 喰い裂き」。
残りHPが少ないほど強くなるという他の鬼滅キャラの中でも非常にピーキーな性能の持ち主で、使いこなすには相応の熟練度が要求される。
また、イベント『おいでませ鬼殺隊』では、担当声優が同じヴィシャスと共演。ヴィシャスは過去に女に化けていた黒幕の男に色仕掛けをされた体験がトラウマになっており、伊之助の女の子のような素顔を見て、フラッシュバックを起こしてしまった。
なお、本作ではソードアート・オンラインとのコラボイベントも行っており、同じ担当声優キリト/桐ヶ谷和人もクロスセイバーとして登場したため、キリトのモチーフ武器を伊之助に装備させるというのも可能である(無論、逆も然り)。
コトダマン
木属性・英雄族のコラボユニットとして登場。
手持ちワードの「い・は」系統の汎用性が高い事もあって鬼滅コラボ出身ユニットの中でも編成が組みやすい。リーダー枠に置けば睡眠状態を完全に無効化できる他、伊之助自身にもビリビリブロックによるダメージやコピーマスによる文字変換も無効化できる。
余談
- 2020年4月23日、当時深刻化していたCOVID-19の感染予防啓発として作者がイラストを投稿するが、手洗いマスクをする炭治郎たちに対して彼は嬉しそうな様子で「みるがよい カンペキな 俺様」と唯一ノリが完全に異なる様相であった。確かにフルフェイスだけどさ‥‥‥
- 原作未読・TVアニメ未視聴の劇場版鑑賞者の中には、猪の頭皮を被ったまま一度も外す場面が無かった伊之助のことを、「猪と人間のハーフ?」と勘違いする感想も散見された。後のTV版無限列車編ではOPにて素顔で駅弁を食すカットが描かれている。
- 『山の王を自称する猪頭を被った野生児』キャラだからといって山中でのコスプレは絶対禁止である。熊や猪と見間違えた誤射の可能性を危惧した猟師の声も上がっており、紛らわしい恰好で猟区を散策した側への非難は当然として、最悪は公式を巻き込む恐れがある。個人の落ち度で済まない事を重々留意されたし。
- 伊之助が呼吸を使えるようになった要因として、たかはるの祖父は元々風の呼吸の使い手では?という声が上がっているが、確かではない。
関連イラスト
関連動画
関連タグ
かまぼこ隊 風派生組 ズンビッパ組 ハイカラバンカラデモクラシー
嘴平伊之助誕生祭(誕生祭タグ)
同期隊士(五感組)
刀匠
『無限城決戦編』にて(以下、ネタバレ注意)
※「無限城決戦編」は『鬼滅の刃』の最終章に当たるため、見出しからのネタバレ(当キャラの生死含む)防止目的であえて下記のように表示している。
ネタバレA
襲来した無惨の手で突如として無限城へと落とされるが、むしろ伊之助は稽古で得た力の成果を試すいい機会だとして、現れる雑魚鬼を嬉々として斬り伏せていった。
しかしその先で、彼は思いもしなかった展開に直面する事となる。
以降の詳細については、こちらを参照。当然ながらネタバレ注意。
蝶屋敷の主人であり度々三人の治療を行っていた胡蝶しのぶには母性を感じることもあったらしく、後に母親の最期を聞かされた時には、記憶の奥底に僅かに残っていた母親の面影としのぶを重ねていた心境を自覚した。
ネタバレB
上記の戦いに辛くも勝利した後はカナヲと行動を共にし、途中で善逸、村田と合流を果たす(ちなみにその際、敵と勘違いして攻撃してしまい、カナヲに叱られていた)。
無限城崩壊後は善逸、カナヲと共に無惨戦に加勢。愈史郎の札を使い姿を消した上で無惨に攻撃を仕掛けるが、無惨の全方位攻撃によって一時戦闘不能となってしまう。
最終決戦において、死の淵から復活し参戦した炭治郎に続いて自身も満身創痍の中立ち上がり、大量に殺されていった「同じ飯を食った仲間」の仇を討つため、「足も手も命も全部返せ。それが出来ないなら 百万回死んで償え!!」と無惨に対し泣きながら刀を振るった。
最終局面では炭治郎と善逸に対し兄弟のように思っている心境を、悲痛な思いで心中で吐露している。
更にそれ以降の詳細はこちらを参照。ネタバレ注意。
ネタバレC
こちらを参照。ネタバレ注意。
公式ファンブック第二弾のネタバレ
最終巻後に発売された鬼滅の刃公式ファンブック第二弾『鬼殺隊見聞録・弍』では、そこに収録された炭治郎の近況報告書にて、竈門家に戻った後の様子が描かれている。
変わらず、頭に猪の皮を被った半裸の恰好だが、炭治郎とお揃いの市松模様の袴を履く様になる。最終決戦の怪我の影響で以前の様な体力が無くなった3人の中では、比較的軽傷だったためか、最も体力があり、炭治郎と共に家事をやったり、炭売りに同行したりしており、近所の人達からも「いのちゃん」の愛称で親しまれている模様。
人間に戻った禰豆子に対しては、自分が知らない事を否定せず、何でも優しく丁寧に教えてくれる上、絶対に馬鹿にしない事から母親の様に慕って懐いており、彼女が出掛ける時は『用心棒』として必ず付いて行っているとの事だが、善逸からは嫉妬されている。