概要
鬼殺隊において、負傷した隊士の治療や養生の為に運営されている専用の医療施設。
歴代の鬼殺隊で長らく医療施設として運営されてきたらしく、庭には初代花の呼吸の剣士が植えたとされる『必勝』と名付けられた桜がある。この初代花の呼吸の剣士の在位していた時期によっては建て替え等があったとしても、かなり長い歴史を持つ施設であり、現在は蟲柱である胡蝶しのぶの私邸も兼ねて利用されている。
しのぶの前は、しのぶの姉である花柱・胡蝶カナエが所有していたが、彼女の死後に当時14歳のしのぶが跡を継いだ。
屋敷を胡蝶姉妹が受け継いだ経緯は不明だが、元々医療に関する技術があった胡蝶姉妹の能力を見込んで花の呼吸を伝授した育手から継承した、またはカナエが花柱に就任した事で産屋敷耀哉が与えた、のいずれかだと考えられる。
その名の通り、館の庭には常に沢山の蝶が舞っている。
また、アニメ24話の次回予告で裏山がある事が判明し、この山は原作での炭治郎達の鍛練シーンや外伝小説でも登場している。
詳細は後述するが、鬼殺隊士の機能回復や鍛練にも利用されている事から、かなり広大な敷地を有している事が窺える。
施設の役割
孤児院
しのぶの継子である栗花落カナヲを初め、主に鬼によって家族を失った者(主に女子)や、事情があって行き場を失った少女の保護を行い居住させている。
屋敷には鬼によって家族を失った幼い少女や、トラウマで前線に立てなくなった少女剣士等が看護師として働いており、全員がしのぶに似た蝶を型どった髪飾りを付けている。
しのぶは彼女達を実の妹のように慈しんでおり、看護や薬学の知識を教えており、後述する治療や看護や怪我を治療した剣士達の機能回復訓練の為の教官等、多岐に渡る業務を務めている。
治療所
前述通り、蝶屋敷の主な役割は医療施設であり、作中では薬学や医学に秀でて血鬼術による状態異常も治癒できる、まさに鬼殺隊専門医であるしのぶによって運営され、実質鬼殺隊専用の病院にして薬局として機能している。
兄蜘蛛によって人面蜘蛛に変えられた隊員達が、しのぶに救いを求めている様子から、多くの鬼殺隊員達が彼女の医療技術に絶大な信頼を寄せてい事が窺える。
治療中の者達は、基本的に薄緑色のパジャマのような入院着で過ごしており、入院用の部屋は基本的に共同である。
なお、後述の訓練にて炭治郎が、きよ、すみ、なほ(以後、三人娘)の協力を得た際の就寝は、原作では布団、アニメではパイプベッドになっている。ちなみに原作・アニメ共に入院用の部屋のベッドは全てパイプベッドである。
訓練所
治療の為に長期療養をした結果、万全の状態でなくなった隊員達に体力を戻す為の機能回復訓練(要はリハビリ)を施す等、アフターケアも充実している。
また、この機能回復訓練用の道場の他、屋敷の庭には様々な訓練用の器具が設置されており、前述した敷地内の裏山も入院中の鬼殺隊士の回復や訓練の為に利用されている。
一.マッサージ |
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寝たきりで硬くなった体をほぐす。単なるマッサージかと思いきや、三人娘からキャメルクラッチや足4の字固め等を掛けられて無理矢理間接をほぐされる。 |
二.反射訓練 |
座卓に薬湯が入れられた複数の湯飲みが並べられ、二人一組でお互いに薬湯を掛け合う。湯呑を持ち上げる前に相手に湯呑を押さえつけられたら持ち上げられないというルールの下で行う。ちなみにこの薬湯は匂いが酷いものの、風呂などに混ぜて使うと疲労回復に繋がる優れもの。 |
三.全身訓練 |
端的に言えば鬼ごっこ。訓練担当者を捕まえたら勝利。 |
しかし、いかんせん上記の内容をうら若き少女達によって行われる為、反射訓練と全身訓練でカナヲに敗北を続けた思春期の少年達の繊細なハートはバッキバキに折れてしまう。
それでも諦めずに挑戦し続ける炭治郎に三人娘は、全集中の呼吸“常中”について教え、柱全員とカナヲが習得済である事、かつてしのぶがカナヲに課していた訓練で通常より硬い特殊な瓢箪を吹いて破裂させて、徐々にそのサイズを大きくしていった事を知る(しかもカナヲが現在割れるのは三人娘と同じ身の丈の瓢箪である)。
この“常中”は「“柱”になる為の入り口」とされているが、しのぶはその事実を伏せてあくまで「基本的な事」だと、伊之助を煽って善逸をおだててまで三人に習得させた。
これは、炭治郎が鬼舞辻無惨に狙われている為に力を付ける必要があり、更に柱合会議で問題視された隊員の質の低下を改善する為である。
それ以外にも、炭治郎達は屋敷に滞在している間は、度々屋敷内の庭や裏山で修行している様子が描かれており、こういった修行の積み重ねが上弦の鬼との戦いで活きる事となる。
その他の役割
この他の用途として、鬼殺隊の隊士の一部には一種の前線基地として使用している者もいるようで、主人公の炭治郎を始めとする同期の三人等は、那田蜘蛛山の件以降は任務を終える度にこの蝶屋敷に戻り、治療や次の任務に備えての稽古を行うなど完全に拠点として利用している。
これは、前述通り蝶屋敷が孤児院としての役割も持っているからで、親を亡くして帰る家もない孤児である彼等にとっては、一時的とはいえ帰るべき場所となっている。
また、“隠(かくし)”と呼ばれる事後処理の為の後方支援部隊も、基本的にしのぶの管理下に置かれている為、この蝶屋敷の下働きとして働いている描写もある。
蝶屋敷の主要人物
鬼殺隊の現柱の一人であり、蟲柱。
現在の蝶屋敷の主人で、鬼殺隊士の治療全般を取り仕切っており、血鬼術による状態異常や鬼の毒の解毒の為の薬の調合等も彼女が行っている。その役割上“隠”も彼女が管轄しており、鬼殺隊にとっては非常に重要な人物である。
元々は勝ち気な性格の少女だったが、カナエの死後は彼女の意志を継ぎ、鬼への激しい憎悪を内心に隠しながら、表面上はかつてのカナエのように笑顔で鬼との共存を謳うようになった。
しのぶの継子で、しのぶの継子の中で唯一の生き残り。
炭治郎達の看護をしたり、機能回復訓練に付き合ったりもしているが、蝶屋敷の人員の中では現役の鬼殺隊士で戦闘能力も非常に高く、鬼殺隊内でも比較的高い地位にいる稀有な人物。
隠に指示を出しており、隠の隊員からも敬称付きで呼ばれている事から、階級自体は中の上くらいの立場なのだが、継子という立場もあって実際の階級より高い地位にいると思われる。
蝶屋敷の看護師の一人。柱として多忙なしのぶやカナヲが留守の間、主に彼女が蝶屋敷を取り仕切っている。
元々は鬼殺隊士として戦う事を目指してたが、最終選別を突破したものの、鬼との実戦で「怖くて戦えなくなった」という理由から鬼殺隊の一線を退いた。しかし、元々は剣士として訓練を受けていた事から、重傷を負った剣士の機能回復訓練での教官を務める等、それなりの技量を持っているようである。
鬼に家族を殺されて孤児となった為、カナヲが保護される以前から蝶屋敷で暮らしていた。ちなみに鬼殺隊士としては現柱の一人である霞柱・時透無一郎の同期にあたる。
看護・訓練担当の三人娘その一。髪型は前髪を垂らしたおかっぱ。アニメでは帯の色が桃色。
看護・訓練担当の三人娘その二。髪型はおさげ。アニメでは帯の色が水色。
看護・訓練担当の三人娘その三。髪型は三つ編み。アニメでは帯の色が緑。
かつての蝶屋敷の住人達
しのぶの姉であり、かつての蝶屋敷の主人にして元花柱。
鬼殺隊の柱でありながら鬼の事すら哀れみ、鬼とも仲良くなりたいと考えていたとても心優しい少女だったが、ある鬼との戦いで致命傷を受け、しのぶの目の前で殉職している。蝶屋敷の少女達の髪飾りは、カナエがお揃いで買ったもので、彼女達にとってはカナエの形見でもある。
ちなみに外伝小説では、当時の不死川実弥の治療をしていたので、彼女も医療の技術があったようである。
しのぶの回想内に登場したカナヲ以外の継子達。
登場したのは三人の少女達だが、いずれも本編の時点では殉職している。しのぶの姉、カナエの納骨のシーンに登場していない事からカナエの継子を引き継いだ可能性は低く(もしくは任務中で納骨に参加できなかったか)、カナエの亡くなった後から本編開始前までの四年間の間に亡くなったと思われる。
本編での登場
初登場は『蝶屋敷編』。
那田蜘蛛山での累を初めとした蜘蛛鬼達との交戦後、炭治郎と竈門禰豆子は柱合裁判にかけられる。
しかし、産屋敷耀哉の計らいもあって何とか生き残った炭治郎達は、しのぶの提案によって蝶屋敷で戦いの傷を癒し、そして機能回復訓練を行う事になる。
pixivにおける蝶屋敷
pixiv内では蝶屋敷に所属する成員が多く登場する作品や、蝶屋敷内での出来事を描いた作品にこのタグがつけられる。
また二次創作等では負傷や風邪、ご都合血鬼術の治療等の為の入院先として、作品の舞台となる事が多い。というか、蝶屋敷の少女達がご都合血鬼術の被害を受ける事も多い。