概要
野菜や魚介類に小麦粉や卵を混ぜて作った「衣」を付け、油でカリッと揚げた料理である。
江戸料理の代表的な存在である。
これをご飯の上に乗せ、タレをかけたものは「天丼」と呼ばれる。
基本的に肉類は天ぷらに用いられないが、鶏肉を用いた大分県の「とり天」、中華料理店で出されることが多い豚肉の天ぷら「豚天」(因みに中国料理にも類似するものがある。)、広島県発祥のホルモンの天ぷら(詳細)、牛肉を用いた「肉天」(「牛天」とも呼ばれる。詳細)もある。
またこれとは別に、関西を中心とした西日本において、「さつま揚げ」の類を「天ぷら」と呼ぶ事がある。台湾でもこの名称が伝わり、練り製品の揚げ物が「甜不辣」と言う名称で販売されている。徳川家康がタイの天ぷらを食べて死んだとされているが、その天ぷらはじつはこのことかもしれない。
また、九州の方言では「天ぷら」は「衣が有り野菜なども材料にする場合が有る、他地域で言ういわゆる『天ぷら』」と「他の地域で言う『さつま揚げ』やその類似品」の両方の意味が有り、例えば、九州のうどん屋では「丸天うどん」は「広くて薄めの円形のさつま揚げ」が乗ったうどんが、「ごぼ天うどん」を注文すると「ごぼうの(衣が付いたいわゆる)天ぷら」が乗ったうどんが一般的である。
一般的に「天つゆ」か塩を付けて食する(どちらも関西から広まった)が、ウスターソースをつける場合もある。
揚げる素材も、アイスクリーム、饅頭、梅干、半熟卵、寿司(アメリカの巻きずし等)、もずく(沖縄県)、ビスケット(岩手県西和賀町)、もみじ(大阪府箕面市)などの変わり種もある。
麺類のトッピングにも使われており、うどん・そばが一般的だが、岐阜県岐阜市には「天ぷら中華そば」を出す店がある。(東海テレビより、詳細はこちら。)
韓国料理では「ティギム」として知られる。
こちらはトッポギソースを付けて食べることもある。
歴史
米粉を衣に揚げる文化自体は、奈良時代から存在する。
現在の天ぷらの発祥は室町時代後期(戦国時代)、南蛮貿易で西欧の食文化であるフリッターが原型とされる。また、天ぷらの語源はポルトガル語の「テンペロ(調味料の意味)」が変化して定着した説が有力であるとされる。
その後、江戸時代に入ると、江戸の都市開発に合わせて作業員としての男性人口が爆発的に増加し、それに合わせて屋台による外食文化が発達する。天ぷらもこの流れで発達し、寿司・蕎麦と並んで「江戸の三味」として知られるようになった。
比喩として
海老は小さいのに衣だけは大きい粗悪な海老天から、見かけだけはいいのに中身が伴わないものを天ぷらと呼ぶこともある。
関連イラスト
天ぷら
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表記揺れ
関連タグ
サーターアンダギー:沖縄県の菓子。直訳すると『砂糖の天ぷら』。