概要
現在主流の機械ごね・機械打ちでうどんを作る場合は、小麦粉に水、塩をミキサーで練り、できた生地をしばらく寝かしてから製麺機に投入して生麺を作る。製麺機は業務用のものは電動であるが(ミキサーと一体化している場合もある)、家庭用のものは手回しのものもある。
手ごね・手打ちの場合は小麦粉を塩水で練って(手ごねとは言うが生地を大量に作る場合は足で踏んでこねることもある)、作った生地をしばらく寝かしてから、麺棒で平たく延ばし(薄くし過ぎないように)、包丁で太さの縦横比に大きな違いが出ないように刻んで生麺を作る。
小麦粉に対して使用する塩水の重量%を加水率といい、製麺において非常に重視される。手ごね・手打ちで加水率50%前後、機械ごね・機械打ちが40%前後が一般的とされる。
できた麺は、すぐにお湯で茹でて食べられるが、保存用に乾燥させることもある。
鰹節や昆布などでダシをとった醤油をベースのつゆで食べる事が多い。「ざるうどん」として冷やしたうどんにめんつゆやつけダレをつけて食したり、「焼きうどん」として具材と一緒に炒めて食べることもある。ただし、中国料理の麺類(後述)やスパゲッティに製法が近いため、意外と濃いめの味のソースとも相性が良く、四川風麻辣うどんやカルボナーラうどんなどは製品化されたことも。
うどんに似た麺類
麺を作るとき、細く作ると冷麦に、薄く平たく作ると「平打ちうどん」(愛知県名古屋市の「きしめん」、群馬県桐生市の「ひもかわうどん」、岡山県の「しのうどん」、埼玉県鴻巣市の「こうのす川幅うどん」等)になる。
そうめんは本来、生地を引き延ばして細く作る(いわゆる「手延べ」)ため、製法ではうどんとは別物なのだが、日本のJASではうどんとそうめんを製法で区別しておらず、麺直径1.3mm以上1.7mm未満を「ひやむぎ」とし、これより太いものを「うどん」、細いものを「そうめん」としているため、製法的にはうどんとなんら変わらない、機械打ちで作られているそうめんも多い。
JAS規格では、ラーメンや沖縄そばなど、「かん水」と呼ばれるアルカリで処理した麺を「中華めん」と呼ぶが、中国の小麦麺はかん水を使わない、うどんや冷麦に似たものが主流である。
うどんの地域差
東日本に多い濃口醤油を使った色の濃いつゆが「関東風」、西日本に多い薄口醤油を使った色の薄いダシが「関西風」とされており、関西風は東日本の人にも受け入れられやすいが、関西の人は「関東風」のうどんに拒否反応を示す人も少なくない。
たまり醤油を使い濃厚な旨味のある名古屋のうどんつゆは、広い意味では「関東風」に含まれるが、名古屋人に言わせると関東のうどんとは似て非なるものだという。また、九州のうどんは「関西風」に入れられるが、「色は薄いが塩辛い」と評される関西地方のうどんだしとは違い、甘みが際立つ傾向がある(九州はうどんに限らず全般的に甘い味付けが好まれる)。
香川県内では喫茶店のコーヒー一杯よりも遥かに安くうどんを食す事が出来たりもする。
伝統的に、東日本は蕎麦屋でうどんを扱っている地域が多く、うどん屋の存在感が低かったが、うどん食文化が盛んな埼玉県を中心に出店する山田うどんのように、東日本発祥のうどんチェーンも存在している。
香川(讃岐)だけがうどんじゃないっ!!
うどん(饂飩)=香川というイメージが確立されて長いが、実際にはうどんを名物とする地域は多い。
讃岐と並ぶ三大うどん
稲庭うどんも知名度は高いが、水沢うどん・五島うどん・氷見うどんには異論が多い模様。
讃岐・稲庭をまず選び、残る1枠に地元のうどんを充てるやり方、讃岐を「殿堂入り」(あるいは人知の外にある別のナニカ)として外し稲庭を1位に残る2枠に残りのどれかを入れるやり方、讃岐と稲庭を「殿堂入り」にして水沢・五島・氷見を三大とするやり方、などなど「三大うどん」には諸説ある(そして統一は不可能である)ことは留意しておきたい。
稲庭うどん
秋田県湯沢市で寛文年間(1661年から1672年)以前に秋田藩稲庭村小沢集落(現:秋田県湯沢市稲庭町字小沢)の佐藤市兵衛によって始まったと伝えられているうどん。
薄く黄色を帯び、細く薄い麺が特徴。製法からはうどんではなく、そうめんの仲間である。
手延べ製法で作られた麺には空気が含まれており、中が中空になってるのでなめらかな食感を持つ。
水沢うどん
群馬県渋川市伊香保町の水澤寺(水澤観音)付近で400年前から提供しているうどん。
ごまだれをつけて食べるのが特徴。
また、他のうどんと違い温かいメニューを提供する店がなかったりする。
五島うどん
長崎県五島市などの五島列島で提供されているうどん。強いコシを持つ手延べの細麺で、椿油を塗って熟成するのが特徴。ゆでた鍋から直接うどんを取って「あごだし」(トビウオの出汁)につけて食べる「地獄炊き」が主な食べ方。
氷見うどん
富山県氷見市で提供されている、手延べうどん。輪島そうめんをルーツに持つ。独特の縒りを持つ事が特徴で、こちらも強いコシを持つ。単なる手延べではなく、円盤状にした生地に渦巻き状になるように包丁を入れた上で手延べ製法に導入していく。
うどんの名所
大阪、博多、伊勢などの近代以前から物流の拠点だった地域のうどんは軽食として麺が柔らかめの傾向があるのに対し、讃岐や武蔵野、富士吉田など地元産の小麦粉でうどんを打っていた地域は、主食としての食べ応えを重視し、コシなどの歯応えのあるうどんが好まれる傾向がある。
大阪府
讃岐うどんが有名になるまでは、うどんどころといえば大阪、というイメージだった。
大阪では麺よりだしに重きを置き、だしを吸いやすいように柔らかく茹でるのが本来の上方風。昔のうどん屋は風邪薬(うどんや風一夜薬)を売っていて、うどん屋でうどんを食べて身体を温めて汗をかいて、薬を飲んで一晩寝て風邪を治していた。大阪人が風邪ひいたらうどんを食べるのはその名残り(この薬のことは『二十四の瞳』にもうどん屋かぜ薬の名で登場する)
最近は讃岐うどんの影響か、コシのあるうどん屋も増えてきているのだが、従来の緻密なダシ文化に合わないので淘汰も激しくなっている。ちなみに大阪のうどんは柔らかければいいのではなく、柳のようにしなる弾力を持った麺が本来の大阪うどんの特徴である。
福岡県
福岡(博多)はとんこつラーメンのイメージが強いが、西日本有数のうどん処であり、こんとんと呼ばれるうどんの元祖発祥地ともいわれる。県民曰く、「ラーメンよりうどんを食べる事の方が多い」。店舗数も実はラーメン屋よりも多かったりする。
讃岐うどんに近い太さを持つが食感はかなり柔らかく、歯ごたえより喉越しを楽しむうどん。茹で置きした麺を注文を受けてから更にまた湯がくため、コシの柔らかなうどんになる。福岡県内では「かろのうろん」「ウエスト」「牧のうどん」などのうどん店がひしめいている。
うどんの具としては、大きなすり身の揚げ物「丸天」やごぼうの天ぷら「ごぼ天」などが王道とされている。
埼玉県
生産量は香川県に次ぐ全国2位で、加須うどん、冷や汁うどん、武蔵野うどんと特徴的なうどんを多数擁する隠れたうどん処。肥沃な畑地の広がる武蔵野は、現在は野菜の作付けが主力だが、かつては陸稲の裏作として小麦の二毛作が盛んだった地域である。
武蔵野うどんは麺が太くコシが強い特徴的なうどんで、うどん専門店で「ざるうどん」や「盛りうどん」として食される(豚肉などを入れたつけ汁につけて打ちたてを食べる。保存に向かないためスーパーなどでは売っていない)。
ゴツゴツとした野趣あふれる歯ごたえが持ち味である。
また、すったて、冷や汁うどんといった蒸し暑い気候を乗り切るために編み出された冷製のうどんも知られる。
東京都
東京では江戸時代に美食として人気が出た蕎麦切り(蕎麦)が優勢だが、多摩地方では埼玉県と同様のうどんが食べられている。古くから「うどんが作れないと嫁には出せない」とまで言われるほど、この地域では家庭の味として多種多様なうどん文化が根を張り続けていた。
三重県
何時間も茹でてふやけた極太麺に、甘辛い真っ黒なタレをかけて食べる「伊勢うどん」なるうどんがある。一般的なうどんのイメージとはかけ離れた食べ物であり、これが本当にうどんと言えるのか意見が分かれる。交通網が発達してない時代でのお伊勢参りの際に供されたが、時代が異なれば評価も変わるということである。
誰が呼んだか「日本一コシの無いうどん」。
専門店で食べる事もあれば、プールや水族館の売店でお手軽に食べることもある。
これをうどんと呼ぶなら山梨県などのほうとうや名古屋のきしめんの方がまだうどんに近いのではないだろうか。
だが、伊勢市方面でうどんと言えばこれの事である。もちろん、普通のうどんもある。
岡山県
倉敷市はぶっかけうどんの発祥の地。もとはうどん屋の賄い飯だった。(天領の代官が伝えた、うどん屋の店主が麻雀をする時に編み出した博打メシ、などいわれは諸説ある)また上述の「しのうどん(祝麺)」の発祥も倉敷である。(玉島地域、円通寺)。しのうどんは「一筋一椀」と呼ばれる長うどんであり、まるまる一杯が一本の麺で構成される。およそ(茹でる前で)長さ1m前後、幅は2cmほどの平太手延べ麺。(むしろ、きしめんに近いかもしれない)後述の鴨方町で作られるものが用いられやすい。
同じ倉敷市でも児島地域(および隣域である岡山市南区・玉野市)あたりは香川県丸亀市や小豆島と交流があったため、そのまんま岡山でありながら讃岐うどんが地元のうどんとして上陸し勢力を誇っていたりするのは暗黙の事実であったりする。
浅口市鴨方町は備中手延べうどん(かも川うどん)の発祥にして本拠地。古代吉備国で作られていた「麦切」という、小麦粉を練り上げて切り茹でた食物にルーツを置くとされる。(ただし現在の製法は「麦切」の練りに播州麺の手延べ技法が流入して発展したもの)備中かも川の冷や麺(いわゆるざるうどん)は岡山県の夏の定番のひとつ。「手延べ」という名にもあるように、実際には稲庭うどんと同じく手延べ麺に類する。(そうめん・冷や麦も作られている)。ちなみに、うどんレストランである味の民芸(岡山県が一号店)が採用している手延べうどんがコレ。
津山市を中心とする岡山県北部(美作地域)では山間部牧畜の歴史のある事からモツ料理(ホルモン焼き)が嗜まれてきた事、また山間部気候のゆえから麦作も行われていた事から、これが結び付き津山ホルモンうどん(焼きうどん)が地元のB級グルメとして親しまれている。
山梨県
富士吉田市などの郡内地方では、吉田のうどんが名物である。おおむね、固い麺や味噌と醤油の合わせ汁が特徴で、麺の固さは吉田のうどんの代名詞。
食べなれている郡内民ならラーメンのごとくすする事も可能だが、一般人では顎がつかれる場合がほとんど。冷やしたぬきなどになると郡内民でも少々苦労する固さとなる。また薬味として「すりだね」、付け合わせには茹でたキャベツや馬肉がついている場合が多い。店の多くは民家で営まれているため中には看板がない店もあり、制覇は別の意味で困難。
愛知県
名古屋市は有名なきしめんや普通のうどんのほかに、名古屋市民のソウルフード(の1つ)と言っても過言ではない味噌煮込みうどんがあり、生地に塩を入れないため、麺がかなり硬い。というのも、赤味噌で延々と煮込むため(※豆味噌なので煮込んでも味が落ちない)、普通のうどんでは火力に耐えられないから。
豊橋市には丼の底にご飯を忍ばせた「豊橋カレーうどん」がある。
豊橋カレーうどん自体はB級グルメブームに乗った物だが、元から美味しいうどんがあるため、それなりに許容されている(デイリーポータルZ:カレーうどんの中にとろろご飯)。さらに、上記の味噌煮込みうどんを掛け合わせたカレー煮込みうどんもあるが、これはB級グルメブームよりも前に生まれた物なので、土着のメニューといっても差し支えないか。
また、愛知県をはじめ東海地方ではぶっかけうどんなどに近い「香露うどん」(ころうどん)も食される(マイナビニュース:愛知県・名古屋の麺屋で言われる「ころできます!」の「ころ」って何?)。
徳島県
鳴門市には「鳴門うどん」なる代物がある。特筆すべきは、博多うどんさえも硬いと思わせるほど軟らかい麺にあり、「なるちゅるうどん」なる愛称もある。塩田で働く労働者のために、すぐ食べられて消化に良い(?)食べ物ということで編み出されたうどんで、麺が軟らかすぎるため不揃いなのも特徴。それこそうどんの元祖といわれる「こんとん」に似ている。
阿波市土成町には「御所うどん」と呼ばれるうどんがある。別名を「土成たらいうどん」。その名の通りタライに入れられた湯だめうどん。吉野川水系宮川内谷(みやごうちだに)川の渓流水でうどんを打ち、同じく宮川内谷川で捕れる川魚を出汁に使うのが大きな特徴(近年はこの川魚の漁獲量が減っているので、フツーに鰹と昆布での出汁を使う所もあるが)。現地の道の駅(道の駅どなり)のシンボルもこのうどんになっている。
愛媛県
松山市のご当地うどんといえば鍋焼きうどんであり、年中供され、昨今は名物料理にもなっている。「あさひ」「ことり」という二大老舗を筆頭に、数多くの店があり、定食屋、うどん専門店などで提供される。一般的な鍋焼きうどんは海老天が乗ったものだが、ここでは甘辛く煮込んだ肉が主役。
石川県
小松市は実はおくのほそ道にも記載があるほどの歴史的な産地。稲庭うどんを思わせるようなツルツルした麺と、鰹節や昆布を使ったあっさりめのダシが特徴。
うどん料理一覧
調理
余談
『MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES』のラスボス、オンスロートの台詞の一部が「うどんは日清」と聞こえる空耳ネタがある。
うどんにまつわるキャラクター
うどんが好物なキャラクター
※派生種を好物とするキャラクターもここに含める。
うどんをモチーフ・元ネタとしたキャラクター
作品名 | キャラ | 備考 |
---|---|---|
アイドルタイムプリパラ | うどん川こむぎ | |
うどんのうーやん | うーやん | 岡田よしたか作 |
好きな麺チェーン店ランキング | うどんちゃん | |
それいけ!アンパンマン | うどんくん、うどんちゃん | |
NARUTO、BORUTO | 伊勢ウドン | BORUTOではウドン班を結成 |
― | うどんオールスターズ | ヒガシマルのマスコットキャラクター |
― | うどん脳 | 香川県のゆるキャラ |
うどんを技名に用いているキャラクター
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