概要
山に囲まれた地方の町「渋垣」(※フライヤーでは群馬県・渋川市がモデルであるとされていた)を舞台に、化け猫の黒菜や、その仲魔達が面白おかしく過ごす日常を描く。
基本的に一話完結であるが、数話に渡るエピソードも時々登場する。
登場人物
レギュラー妖
- 黒菜
主人公の黒猫(化け猫)。おかっぱ頭の人間の少女に化ける能力があるが、正体を隠す必要が無い時や集中力が切れた時にはネコミミと尻尾が飛び出し、同時に髪型も変化する。
普段は黒猫姿で、渋垣市にある「藤森商店」に居候している。人間姿に化けて街を散歩し、そこで出会ったダイキたちと親交を深めていく。妖達とは「子育て地蔵堂」で集合する。
天真爛漫な性格で、人間の子供と遊ぶのが大好き。そして人情家の一面も持つ。
地域猫とも親しく、狛犬の独楽から「黒菜の猫情報」として頼りにされている。
過去には飼い猫だったが、捨てられてなお人間と一緒にいたいがために化け猫になった経緯を持つ。そのためか、人間姿と猫姿のどちらでも積極的に人間と接しようとするが、正体がばれる事は避けたがる。とりわけ藤森商店のおばあちゃんにはばれたくないと思っている。
- 河童の池野
外見はまんま河童。化けずに出歩くことが多いが、人間の姿に化けていることもある。
スケベな性格で、黒菜や他の女性キャラクターにセクハラを仕掛けてはボコボコにされるのが最早お約束。しかし再生力が高いため、あまり懲りない。花粉症持ちのため、春になると涙や鼻水を垂れ流す。
言葉の最後に「ゲコ」「ゲロロ」が付く口癖がある。
河童だけあって水泳に長けているほか、「河童の通り道」を利用して水辺から水辺へとワープできる。海外まで行く事もできるが、長距離移動しようとすると方向や距離を正しく指定できなくなる。
化けるのはあまり得意ではないようで、道具を利用して化けているようだ。
河童仲間にカワノ、ヌマノがいる。
普段はカラスの姿をしている。昔から渋垣に住んでいたが、歳のせいもあり現在は力が衰え、「ロクな力も残っておらん」とのこと。作中でも滅多に力を発揮せず、カラスの姿でいる事が多い。子育て地蔵堂にいる事が多い。
正体は老体の天狗であり、妖力を発揮する時に天狗姿に戻る。土地神の間では「北毛の空っ風」という二つ名で呼ばれる。年長者だけあって、人間との距離の取り方を弁えている常識人。
老天狗に戻るだけでなく、少年に化ける事もできるようだ。
- 独楽
土地の開発によって、それまで守っていた神社を失った狛犬の妖。現在は渋垣市の渋垣八幡に居候しており、正規狛犬の座を勝ち取るために渋垣市をパトロールしたり妖関連の事件に対処したりしているが、頭が堅い性格ゆえに独善的な面もある。独善が行き過ぎると、渋垣八幡の宮司にお仕置きされている。黒菜と関わるうちに、だんだんと性格が丸くなっていった。
正義感は強いが、食べ物には簡単に釣られる。
元が狛犬(石)なだけあってカナヅチであり、本人も気にしてたびたび水練に出る。未だに水泳ができるまでには至っていないが、水没した時の本人の反応が徐々に落ち着いてきている。
弟に獅子丸がいる。
雪国出身であるらしい。
- 獅子丸
守るべき神社を失った狛犬姉弟の弟。姉と同じく渋垣八幡に居候中。
気の強い独楽に対しておっとりした性格であり、姉に中々友人ができないのを気に掛けている。
姉共々カナヅチである。作中や扉絵で水着姿を披露するときはなぜか女子用スクール水着を着用している。
なお渋垣八幡には正規狛犬がいるはずだが、そちらは活動したり人間姿になったりするのかは不明。
人間の登場人物
- ダイキ
本名は日向大樹。渋垣市に住む小学生で、よく友達のホッシー、トンちゃんと一緒に遊んでいる。
黒菜と「秘密の友達」になり、頻繁に遊ぶようになる。
- ホッシー
渋垣市に住む小学生。本名は星野一。メガネをかけ、理知的な話し方をする。姉に明美がおり、妖ラジオのリスナーである。
- トンちゃん
渋垣市に住む小学生。本名は戸田満。小太りで少々無口。
- 藤森商店のおばあちゃん
渋垣市で「藤森商店」を営むお婆さん。独り暮らしのようだ。家具がいくつか妖化しているが、気づいている様子はない。猫姿の黒菜をかわいがっている。人間姿の黒菜が家に入ってきても、座敷童だと思っており、同一人物(猫)だと気付いていない。
- 千夏
渋垣市に住む小学生で、ダイキたちの同級生。学級委員をしており、真面目な性格。ダイキに片思いしており、ダイキと親しい黒菜の一挙手一投足にやきもきしている。もともと霊媒体質らしい。黒菜と知り合って以来、黒菜が他の妖に紹介して回っているため、余計に妖に出会うようになった。本人は迷惑がっている。
コックリさん(後述)と合身した際によくなじむため、コックリさんに気に入られている。
その他の登場人物
渋垣八幡の宮司。過去に、神社を失って怪物化しかけた独楽・獅子丸を渋垣八幡に引き入れた。以降、彼らの面倒を見ている。
初期は独楽をお仕置きするために登場し、怒りの形相しか見せなかったが、素顔は割とナイスミドル。
夜行(人間と妖の間を取り持つ役目)をしており、時折近所から依頼が舞い込む。
その能力、矜持は本物で、殺意をむき出しにするメリーさんと塵塚怪王のコンビ(後述)と単独で対峙しても全く怯まない。
子持ちで、娘が二人いる。
ゴスロリファッションに身を包んだ美少女。人間姿に化けていることが多い。人間姿ではクモの名残として、頭部に複眼が出現する(髪留めと思われているのか、指摘されたことはない)。名前を持たず、そのまま「女郎蜘蛛」と呼ばれる。(絡新婦ではない。)
おしゃれに精通し、よく町に出かけて買い物などを楽しんでいる。「人間と妖の禁断の恋愛」を成就させる事を夢見ており、黒菜を人間の子供とラブラブにしようとするが、当の黒菜が天真爛漫すぎて失敗続きである。邪魔が入ると妖力で強引に排除しようとするなど、若干脳筋気味。
人間姿でも掌から糸を放ったり、手をクモの爪に変化させたり、地域のクモと糸で通信して情報収集するなど、作中で頻繁に妖力を使用する。
二口女の「くっちー」と仲が良く、よく一緒にいる。二口女からは「お嬢」と呼ばれる。
解釈の仕方によっては台詞がエロい。
メガネをかけた少女で、左耳のあたりにもう一つの口(上の口と呼ばれる)がある。上の口と下の口どちらも会話できるが、声のトーンが違う。味覚は下の口の方が敏感なため、下の口で常にものを食べながら上の口で喋る事が多い。女郎蜘蛛には不自然だとたしなめられるが、あまり気にしていない。
空腹を我慢し続けると、上の口が「腹減った」としか喋らなくなり、食べ物に反応して勝手に噛みつこうとする。我慢が限界に達すると、理性が消え、満腹になるまで上の口と髪の毛で食べ物を食べ続ける「暴飲暴食モード」に突入する。
マイカーの「ニック」を所持している。ナンバーは29-014(肉おいしい)。運転中にスピードを出し過ぎるクセがある。
なんとなく彼に似ている特徴がある。そのうち「千人に一人の逸材」と言われたり、遭難したりしないだろうか。
浅黒く焼けた肌の子供の姿をした妖。一人称は「僕」だが中性的な話し方で性別不詳、…と思われていたが、83話にて「僕の方がお姉ちゃん」というセリフがあることから女性であることが判明した。
民家に上がり込んでは、埃や垢の溜まったものを舐めている。「熟成された汚れの味がしておいしい」とのこと。黒菜の汗の味も気に入り、事あるごとに舐めようとする。霊的に不浄の物は不味いらしい。ヤモリの姿になる事もある。温泉街を根城にしているらしい。
雑巾の妖怪「しろうねり」と常に一緒に行動している。掃除のプロを自称し、空家がらみのエピソードではたびたび登場する。
垢舐めが使われていない家具の中から発見した、達磨の妖。左目に瞳が入っていない。腹に気持ちを表す文字が現れる。
熱血漢で、常に暑苦しい話し方をする。自分を発見した人物の願いを叶えると称して、暑苦しく口出ししかしない。本人も「手も足も出せん」と開き直っている。
気持ちが燃え上がると全身から炎が立ち上る。しかし炎の中に投げ込まれると普通にやけどを負う。
他者の願いを叶えて左目を入れさせ、ゆくゆくは立派な肉体を手に入れる事が本人の願い。
- 化け狸
渋垣市に住む狸で、狸姿でもシャツを着ている。常に眠気を抱えており、冬場に至っては冬眠までする。
能力は「変化」で、他人に化ける事ができる。しかし眠気を抱えていると、太っていたり表情がおかしかったりと自分の面影を消しきれない。無機物にも化ける事が可能である。
本人の人間姿は9巻でようやく登場。人間の少年に名を尋ねられて、とっさに「茂林寺りん」と名乗る。
- 伊吹
バイクで各地を旅する巨乳美女の雪女。ざっくばらんな性格で豪放磊落、さらに酒好きで酒乱の気がある。友達を大事にする性格で、たびたび旅行の土産を冷凍保存して黒菜に届けている。
正確には雪女と人間のハーフであり、そのために温かいものが他の雪妖ほど苦手ではない。温泉マニアであり、日本各地の温泉を巡っているが、そのたびに雪女の力で温泉を「適温(水や氷)」にしてしまうため、温泉街ではブラックリストに上がっている。
湯あたりすると体が縮み、幼い少女姿になる。
妖ラジオに旅の出来事を投稿している。
従者として、雪ん子の真白を連れている。
- 真白
息吹が作った雪うさぎが妖化したもの。主と違い純粋な雪妖であるために熱いものが苦手。
人間姿ではツインテールの少女姿。
クールで、あまり感情を表に出さない(伊吹談)。
渋垣市にある小学校が建つ前に、その土地に祭られていたお稲荷さん。子供たちから「6年2組の帰ってくださいコックリさん」というひどいあだ名で呼ばれている。
その出自から学校の七怪談達と一緒にいる事が多いが、自分から見て新参者である彼らと馴れ合う気はないらしい。
能力は人間とキスをすることで体を乗っ取る「合身」。合身された人間はキツネ耳とキツネの尻尾が生える。狐火姿になる事も可能。
合身の際によくなじむため、千夏を気に入っている。
No.1の人体模型、No.3のミラーさん(保健室の鏡)、No.5の歩く二宮金次郎像、番外の人面犬が登場。「妖怪は人間たちにタブーを教える教育者であることが使命」とのポリシーを持つ。実はこれはかつてコックリさんに言われたものの受け売りであるが、いつの間にか本人たちのポリシーになっている。
- どうもこうも
一つの体から二つの頭が生えている妖怪。ハイテンションに関西弁で喋る「どうも」と、標準語の「こうも」で一人二役(?)のラジオ番組「妖ラジオ」を放送している。
人間と妖両方からのおたよりを募集しており、放送内で読み上げる。直接会えない人間と妖でオフ会を開くための情報交換の場となっている。
人間に捨てられた人形が、人間への恨みから妖化したもの。塵塚怪王を利用してゴミを妖化させ、ゴミの百鬼夜行を以って人間に妖への恐怖を植え付けようと企んでいる。普段は塵塚怪王が地下に造った城に住んでいる。
左目がぽっかり穴になっており、ハート形の眼帯で隠している。分解した鋏を二刀流で振るい、自らも戦闘する。
ほのぼの日常系の本作において異色の存在である。
ゴミが集まって妖怪化したもの。外見はガラクタのロボットのようである。内蔵したスピーカーで喋る。体の一部が欠損しても行動できる。
メリーさんを「姫」と慕い、自らは「王」と呼ばれている。地下に巨大な城を築き、メリーさんと一緒に住んでいる。
ゴミに命を与え、妖化させる能力を持つ。メリーさんには百鬼夜行計画のために利用されているが、本人はアートとして妖化させているつもりであるため、ゴミ妖に戦闘をさせると容易に自壊する。
活動規模が大きく、かつ人間にも危害を加えた前科があるため、渋垣市周辺の夜行達から本気で警戒されている。彼らが登場するエピソードは少々きな臭くなる事も。
- 絵描きの坊主
ボロボロの袈裟を纏い、大きなカバンを肩から提げた姿の小柄な坊主。居場所を失った妖を絵に描いて回っているらしい。何らかの能力があるのか、塵塚怪王により妖化した人形を鎮めた。また、カバンから巨大な腕を出したり、黒電話の妖を連れている。
居場所を失っていない妖怪は絵に描かないらしい。