概要
狸は、生物学の正式和名では、タヌキというようにカタカナで書く。生物学におけるタヌキの解説は、「タヌキ」を参照。
この記事では、タヌキと人との関わりやフィクションでの扱いについて説明する。
なお「狸」字は中国で「ヤマネコ」を指した。漢字が日本へ来た際に、この字が「鳴き声(にゃーって鳴く)」「足跡(梅の花に例えられる)」から「猫系」である(とされた)この獣に充てられ、日葡辞書が編纂される辺りまで狸に「ネコマ」の訓があった。
表記揺れ
日本文化におけるイメージ
日本の昔話や童謡では当たり前のようによく登場する身近な動物で、たとえ話やことわざでもよく使われる。信楽焼の狸像や分福茶釜、かちかち山は有名。
また古くから日本では、変身や幻覚といった特殊能力(魔法や超能力)が使えると信じられてきており、同じくそう描かれる狐とは対の存在として扱われ、「狐と狸の化かし合い」ということわざが生まれる程。詳しくは「化け狸」にて。
更に、「他抜き」=他より抜きん出るという意味で商売繁盛の象徴として扱われることもある。
イタズラ好きでずるがしこいが、今一歩足りず返り討ちに遭うなどコミカルなイメージで描かれることが多く、狐に比べると強大な悪役というイメージは薄め。
現代の改変で残酷な描写が薄まってからは、制裁を受けた後は改心して最後には老夫婦(かちかち山)や和尚さんなどといった被害者と仲直りをしたり助けられた恩返しをするなど、人情味あるキャラになりやすい(分福茶釜、醤油造り、手習いなど)。
ちなみにまだタヌキが外国人に馴染みのなかった時代に書かれた『アンドルー・ラング世界童話集』では悪魔のような頭を持つ猿のような不気味な生き物として描かれている。
荒俣宏は、狸の腹鼓について、「善政を行う為政者の出現」を指す鼓腹撃壌と関連付けている。
東アジアで
タヌキは東アジアにいくつかの亜種が存在する。そのため、東アジアでもそこそこ親しまれている。
中国でタヌキは「狢」字で表され「狸」字は「ヤマネコ」を指し、昔はイエネコを「狸奴」と書いた。また「千年を経た狐が狢になる」とされ、他は日本と似たようなたぬ話が伝わっている。また、韓国の昔話でも、キツネとバトルをしたり、人を化かしたりする話がある。こちらは大体千年位を経て貫禄はある。
21世紀以降の韓国では、一応「重要文化財へうんこする」「狂犬病の媒介者」として疎まれるものの、まだ人気はある。さらに「タヌキ」を指す「ノグリ(ハングルで「너구리」)」が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のロケット・ラクーンの呼称、『あらいぐまラスカル』の訳語(『小ダヌキラスカル』)など「アライグマの韓国語訳」として使われている。また『ぼのぼの』のアライグマくんはノグリをもじった「ノブリ」とされる。
韓国での在日韓国人が作った会社「農心」の麵ノグリラーメンのキャラクター、とロッテの「ロッテワールド」のキャラクターが一応たぬきである(尻尾がしましまらしいけど、はい)
イラストとしての狸
イラストではヒトの容姿に狸様の耳と尻尾を付けたのみの高度に擬人化されたもの(いわゆるタヌキ耳)から写実的なものまでさまざま描かれる。
日本では身近な存在であり、pixivにおいても比較的投稿数の多い動物ではあるが、いわゆるライバルと位置づけられる狐に比べると投稿数で大きく水をあけられているのが実情である。
顔には目を縁取る黒い模様があるが、表情に影響するためか擬人化の際は省略されることも少なくないようである。
この他に狸の文化的イメージを特徴付けるものとして丸い耳、丸く膨らんだ尻尾(縞模様が描かれる場合が多くある)、ぽっこりしたお腹がある。また、腹鼓やその音(ポン、ポコ)は狸を象徴するものになっている。アイテムとして「葉っぱ」を用いる例も多く見られ、このことは狐のイラストにも共通する。
イラストとしてのタヌキ【その2】
タヌキのイメージとして上記に耳が丸い、尻尾の縞模様等の特徴があると表記したが
このタヌキのイメージは実際には間違ったイメージだったりする。
本来のタヌキの特徴としては
- 耳は丸型というよりも三角の形状で、先っぽが丸身を帯びている。クマのように丸過ぎず、犬猫や狐のように尖り過ぎない。
- 目の黒部分の中心は繋がっておらず、丁度分かれている。
- 手足が黒っぽい。
- 尻尾に縞模様は無い。(丸く膨らんでいるのは冬毛のせい)
- 別に太ってるわけではない(太って見えるのは冬毛のせい、夏は犬と見間違う程)
- オスのタヌキの「玉袋」は信楽焼のアレのようにそこまで大きくない。
ちなみに顔と尻尾の模様の間違ったイメージに該当する動物はタヌキとは別に存在しており
それはずばりアライグマである。(目の黒模様が繋がっており、尻尾に縞模様がある)
葉っぱ等は先人のイメージなので省くとしても、正しいタヌキをどうか忘れないでもらいたい。
タヌキの尻尾に縞模様は無いのだ。
タヌキの尻尾に縞模様は無いのだ。(大切な事なのでry
文化
言葉・熟語・ことわざ
歌
- 証城寺の狸囃子
- たんたんたぬき・・・実はこれ、「タバコ屋の娘」という歌の替え歌である。賛美歌の「まもなくかなたの」の替え歌であるという話は正確には間違い。
物
文学・落語・童謡
創作関連
「狸」がキャラクター化される時は、専ら不思議な能力を持ち拡張性の高い「化け狸・妖狸」として登場することが定番。そうした要素の無い動物キャラとしては、個性が乏しくなる為か殆ど存在しない。
また茶色い獣だったり、丸みのある体形だったり、小狡い面を秘めた所が「狸っぽい」と思われ、狸呼ばわりされる人物・キャラクターもそこそこ存在する。
大半を占める『化け狸』については、そちらの記事を参照。
動物としてのキャラクター
- たぬきち・つぶきち・まめきち(どうぶつの森)
- タヌキ(ウマ娘)
- タヌキ(けものフレンズ)/タヌキのフレンズ
- 具(のんのんびより)
- タヌ太郎(忍ペンまん丸)
- ポンポコだぬき(ドラゴンクエスト)
- デブラ(クレクレタコラ)
狸扱いされやすい方々
※以下、二次創作
VTuber
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