概要
「住持職」という役職の略で、寺に家族ともども住み込んで日々のお務めや寺院経営など寺の業務を行う。
宗派によって呼び方や住職に就任する方法は異なる。
世襲も多いが、跡取りがいない場合、また宗派の方針などの事情で別の寺院や宗派の本部で勤務していた僧侶が異動してくる場合もある。
世襲の場合も、跡取りが宗派の系列の学校や研修施設などでの修行を受ける必要があることも多い。
あるいは跡取りでも実家が宗門内で伝統ある寺院の場合、学校や研修施設などでの修行の後、別の寺院(実家よりも格が下の寺)における住職としての実務経験を経て、さらに後には宗門の重役を務め、それらの役を引退してから実家を継げる(その間に親が亡くなったり病気や怪我で僧籍を引退してしまったりした時には、別の先輩僧侶や重役僧侶が実家の住職となり、自身は実家へ帰れなくなり、代替として修行している寺の住職籍を継ぐ)というパターンもある。
なんで、こうなるかといえば、本来は寺は住職のものではないため。住職はあくまでも寺の管理人であり、寺(および墓地)の管理と担当域の教化(布教や冠婚葬祭の儀式差配)を本山と檀家(地域の信徒たち)から委託されているだけなのである。
なので住職が遷化(死亡)した時に、その住職に家族(同居親や妻子など)がいた場合(特に遺された家族の中に僧籍・僧侶資格を持つ者がいない場合、あるいは僧籍や資格を持っていても未成年である事や修行の資格を満たさない後見人がいないなどの理由で住職を任せるに足る要件を満たしていないと本山から見なされてしまった場合など)には家族は本山の意向で寺から追い出される事となる。このエピソードで有名なのが藤子不二雄Ⓐ(実際に追い出された人)と杜康潤(追い出されかけたけど、当時中学生だった実兄が幼少期に亡き父から得度を受けさせられて最低限の僧籍を持たされていた事と同じく僧であり近隣の寺の住職であった叔父の機転および後見と檀家の理解などを背景にした交渉によって追い出されずに済んだ人)。
また、住職本人が不祥事を起こしたり周囲や同宗門の寺院と軋轢を起こしたり檀家から著しい不信を買って反乱されたりなどの問題を起こした場合には、宗門本部から地位や僧籍の剥奪を受ける事があり、このケースでも家族ごと寺から追い出されることがある。
近年は少子化などに伴う後継者不足から複数の寺や庵の管理を掛け持ちしている兼務住職も増えている。
関連タグ
おっさん おじゅっさん - 西日本でよく使われる、住職・和尚の呼び方
庵主・庵住 -「あんじゅ」と読む。受け持った施設が、寺ほど設備が整っておらず、最低限のものを設えている庵である場合はこちらで呼ばれる事もある。