プロフィール
概説
漫画家の師は荒川弘。門下のアシスタントでも古参の一人であり、現在は独立。
杜康は荒川を「大将」と呼ぶ。
実家が大規模な檀家を抱える臨済宗禅寺であり、父の急死後は叔父による兼務住職を経て兄が寺の正式な住職として着任している。
これは父の急死を前にして当時中学二年生であった兄(父によって8歳で得度しており僧としての最低限の条件を満たしていた)が若くして寺を継ぐ決意と意志を叔父を通して宗派本山に表明し、これを壇家たちが支持した事によって成り立った特例措置であり、ここで兄の得度と決意、檀家の総意、本山や周囲寺院の理解、どれかひとつでも欠けていれば、一家は幼少期の藤子不二雄Ⓐ先生と同じ運命を辿っていたものと見られる。
その縁で新書館のウィングスにて『坊主DAYS』というお寺の住職やその家族の日常や、お坊さんになるまでの修行の日々をまとめた漫画を短期連載し、プロデビューを果たす。
幼少期は実家の広い境内で、姉を含めた兄妹3人で走り回って育ったとのこと。また父の真似をして亡くなった生き物に般若心経をうろ覚えで上げたりもしていたという。なお、あくまでうろ覚えであるので、実際の唱えると無限ループ待ったなしだそうで...
荒川とは師弟関係もそうだが、筋金入りの「三国志」愛好者としても誼を交わす仲である。
中国好きが高じて中国雲南省昆明に1年近く留学していた経験があり、その経緯は「中国トツゲキ見聞禄」(新書館)というエッセイ漫画にまとめられている。なお全2巻のうち第1巻は昆明の大学への留学についてまとめられているが、第二巻は「孔明たずねて20000キロ(※1)」の副題の通り孔明がかつて南征をした中国南部をはじめ全土にわたる三国志の史跡を巡りまくった足跡となっている。なお、この留学から戻ってきた後中国がとても恋しくなり、アシスタント先の荒川から依頼された取材も兼ねて再度中国に渡航した際はすっかり懐かしさを感じる体となってしまい、それ以後も頻繁に中国に向かっている様子。なお「孔明のヨメ。」連載開始後は渡航するたびに登場人物たちの廟に「漫画にさせていただきました」&「ネタにしてすんません!」行脚することが恒例になりつつある。
ちなみに同じく留学の際の史跡巡りをまとめた本として「杜康潤のトコトコ三国志紀行」(スクウェア・エニックス)があるが、こちらは各地域・各陣営ごとに史跡がまとめられているのでまた違った趣のコミックエッセイとなっている。(なお連載は「トコトコ〜」の方が先)
特に諸葛亮孔明のマニアであり、「自分の死後は孔明先生の眠る定軍山に散骨して欲しい」と宣うほど。ちなみに高校時代に三国志に出会った時から孔明と並んで曹操のことも大好きである。自身の中国留学の顛末をまとめた漫画では某ドキュメンタリー番組のテーマソングに準えて、「孔明先生がヘッドライト、曹操様がテールライト」と語っている。(同時にこの2人は相容れない関係のため、「こいつと一緒にするな!」と本人たちは怒っていた)
なお、曹操好きが高じて曹操の墓と見られる遺構が発見されたという速報が舞い込むや即座に大陸に渡り曹操の墓参りに向かった。当然発掘現場の警備員や責任者に「極秘情報をすっぱ抜きに来たか?」と疑われるも寺生まれゆえに持ち歩いていた数珠や線香のおかげで「これは確かに墓参りだ」と納得され、特別に発掘現場に立ち入れさせてもらったこともある。先生何やってんすか。
その甲斐あってか、2010年芳文社「まんがホーム」にて『孔明のヨメ。』による長期連載を獲得し、一躍有名となった。
中国に留学した際に現地の資料を読み漁り、またさまざまな史跡に実際に足を運んでいるため、後漢末期〜三国時代の中国の風習などにも通じており、特に「孔明のヨメ。」では当時の食生活や冠婚葬祭、風習などについても細かく描写されている。単行本では空きページにさりげなく当時の風習などの解説イラストが挿し入れられていたりする。また中国留学の経験などを活かし、三国志関係のイベントでの講演会などにも参加している。
なお師匠とは肉体派漫画家という意味でも共通しており、デビュー前の実家で斧で風呂焚き用の薪割りを日課にしていたため、当時はかなりの腕力と背筋を持っていたとうかがえる。
加えてかなりのお酒好きであり、けんちん汁を単なる豚肉抜きの豚汁だと思っていたこともあり、自作のけんちん汁にはたっぷりとお酒を入れていたそう(※2)。なお、中国留学の際には現地の郵便事情を鑑み液体物を宅急便で送るのは危険と判断したため、中国のお酒類のお土産は意外にも少ないそう。
- ※1 連載当時は「7000キロ」の旅(大雑把に地図帳に定規を当てて直線距離で計測・算出)と銘打っていたのだが単行本化の際に再度旅行アプリを用いて計算した結果10000キロじゃ収まらない距離を移動していたことが判明、渡航・帰国の際に利用した客船の分も含めると約20000キロとなったため改題した。
- ※2 そもそもけんちん汁は禅宗の僧侶が考案した精進料理なので、修行の妨げになるお酒の類は入れないのが一般的である。このことは「坊主DAYS」で本人がネタにしていた。
著作
他、短編・寄稿など多数。
関連リンク
関連タグ
- 荒川弘:中国留学から帰ってきた際の「住所:中国」(つまり住所不定)だった杜康をアシスタントとして雇い色々と世話をしてくれた盟友にして三国志仲間。後年「三国志魂」(コーエーテクモゲームス)を共著。敬愛を込めて「大将」と呼んでいる。なお、留学に際し餞別として十徳ナイフを渡したのだが、これに杜康は大いに助けられたそう。一方で杜康が留学のお土産に持ってきた中国製の牛乳(杜康も留学時代に飲み安全性は証明済)には「常温で8ヶ月保存可能な牛乳とか怖くて飲めん!」と酪農農家出身ゆえの反応を返したらしい。
- 高枝景水:三国志仲間にして盟友の漫画家。「坊主DAYS」や留学エッセイでもよく登場する。共に歴史上の人物を敬愛するオタク仲間であり、高枝にはデカデカと秀吉の肖像を刻んだ墓石をプレゼントすることを「坊主DAYS」で宣言している。
- I井さん:中国留学のエッセイマンガに登場した女性。この連載における編集さんで、杜康の留学エピの聞き手。黒髪ロングで額に「I」の文字がある。行く先々で中国特有の事件に振り回される杜康や、すっかり留学先に染まってしまった杜康のエピソードを聞くたびにツッコミを炸裂させている。なお、盟友である荒川の「百姓貴族」にも同名の編集さんが登場する(というか「百姓貴族」には杜康自身も「トコウさん」として登場している)。同一人物かも?