作品情報
概要
発明をこよなく愛する女の子・黄月英、学問と研究に熱心な青年・諸葛孔明。
後漢末期の襄陽を舞台に、ちょっと変わりものな夫婦黄月英と諸葛孔明のラブラブな日常を描くラブコメ漫画。
月英と孔明の新婚生活を中心とし、当時の社会情勢や荊州の政治様相・文化の様子などがふんだんに盛り込まれている。また巻を重ねるごとに曹操の袁家討伐・徐庶の劉備軍での活躍など歴史も動いており、10巻ではついに三顧の礼を13巻では孫権・周瑜との対面と、夫婦やその家族もそのうねりに飲み込まれている。
そしてついに14巻にて...。
登場人物
声優はドラマCDのもの。
史実についてはリンク先参照
夫婦と友人たち
CV:早見沙織
主人公。豪族黄承彦の娘で1巻当時20歳。
素直で頑張り屋な女性。裁縫や料理などの女性らしい作法は苦手だが、学問にその才を発揮し実家と荘園の防犯設備や農具の発明・開発を得意とする(得意の罠はあの関羽・張飛ですら嵌めることに成功するほど)。
当初は他家へ嫁す事を嫌がり(しきたりの違う家に嫁いだら好きな学問や工作ができなくなるため)婚約志望者を恐ろしい仮面や罠を駆使して、あの手この手で追い返しており、結果「数々の優良男子が裸足で逃げ出すほど醜く恐ろしい鬼のような娘」などという悪評が立っていた(のちに、この悪評は孔明の評価にも一時的にではあるが悪影響を及ぼし、あげく月英はかつての自らの行動を深く後悔するハメになった)。
夫・孔明とは学問の同志として関係を始めたため、序盤ではキスをしたり抱きしめられたりした際に気絶してしまうこともあった。しかし現在では自然に触れ合えるようになっている。
栗色のくせ毛で童顔貧乳(ただし14巻での描写を見る限り触れば性別がバレる程度にはあるらしい)、また発明や土仕事で汚れがちのため初対面では少年に見られてしまうことも多々あり、本人もそれを気にしている。いわく「ちんちくりんで悪かったわね!(涙目)」。しかし遠出したり治安に不安のある時など必要な際はそれを利用して男装姿でいることも多い。以前、黄家を支えたい(父の助けになりたい)思いから「官吏の言葉」や「男性としての礼法所作」を学んでいたため男装を見た目のみならず行動面まで、ほぼ完璧にこなせる。(が、そのせいで孔明は町の人の噂であらぬ疑惑の濡れ衣を着せられるハメになった)
その一方で西域美人と作中で語られたり、夫からは女性として見られていたりと、漢代の美女の基準でないだけの様子。(実際、あらぬ誤解をした人たちも男装した月英を見て「あんな可愛い弟子がいるなら孔明が妻を放って、あの弟子を相手にそっち側に行くのもやむない事だろう」と評して一定の理解を示し生温い目で見守っている。あくまで誤解だが)
孔明の才を誰よりも信頼しており、荘園や隆中のような小さな範囲でなくもっと大きな舞台で羽ばたくことこそ彼に向いていると確信している。
10巻からは劉備軍にて孔明の弟子として設計や軍事の才を振るい、嫁として劉備の奥方たちと交流することになる。なお、劉備以下首脳陣には孔明の妻であることは知らせてあるが、配下の兵や同盟先である孫呉の将兵には(義兄である諸葛瑾を含め)一貫して「孔明先生の弟子(男)」として振る舞っている...が、アクシデントから約1名には女性であることがバレてしまった。
CV:柿原徹也
月英の夫で1巻当時25歳。
長身で整った容姿の青年。真面目だが少々変わり者。幼い時から苦労してきたため、「どんな時でも人が飢えずに済むもの」を作ることを目標としており、畑仕事は最早趣味の域を超えている。新野に移り軍師となってからもその癖は変わらない。
郭嘉の仕掛けた策を破る知恵や行事における整った所作など、非凡な才を初期から漂わせていたが、家事・家計や生活能力などは弟の諸葛均に頼りがち。
7巻から義父黄承彦から運営を任された荘園では、作物の研究開発のほかに荘園防衛のための訓練指揮も行うことになる。その統率のためついに軍師諸葛亮のトレードマークである羽扇を持つように。
生まれ育った地でである徐州を曹操による徐州征伐により失っているため、曹操に対しては非常に複雑な(特に怒りの)感情を持っている。そのため曹操による徐親子への仕打ち・襄陽への南下政策による人間関係の変化に心が揺れる中、10巻で本格的に劉備と対面。劉備の天下に対する思想や徐州の民を助けられなかった後悔などの心に触れ、ついに軍師諸葛亮が誕生する。
妻・月英とは信頼し合っており、助手として重要な策の実行を託すほど。また、彼女には全幅の信頼を寄せており、孫家の姫が孔明の船に密航してしまい孫権・劉備間の火種となりかねなかった事態になり図らずも孔明に隠し事をする羽目になった月英から事態収束後に全てを聞いた際には全くショックは受けず、逆に自分に全幅の信頼を寄せてくれた彼女に対する愛情がますます深くなった。なお、月英を深く信頼するがゆえに「月英さんが庇って、なおかつ身元の明かせない人物って...」と推察し、孫家の縁者であることに気づいていたなど相変わらず頭脳は切れまくる。(流石に周瑜や魯粛の手前、指摘するわけにもいかないので「身分の高い家のご子息がいらっしゃることもあるでしょうし、『そのつもり』でもてなさせていただきました」とお茶を濁したが)
しかし夫婦としても、彼女との何でもない普通のひとときが何よりの癒しになっているようで、劉備軍と彼女の縁者である蔡家との関係が悪化しているときも離縁は頭に全くないなどかけがえのない存在である様子。一仕事が終わるたびに2人一緒に暮らせるようになることが何よりも心の支えになっている。
CV:田丸篤志
孔明の弟で1巻当時20歳。
家庭的な性格で、諸葛家の家事・経理一切を取り仕切っている。漬物作りが趣味でその味は絶品。学問は不得手だが台所事情に関する違和感にはよく気が付く鋭さを持ち、孔明の策の助けになったこともある。
1巻以前から交際していた彼女の林(りん)と8巻にてついにゴールインした。孔明・月英夫婦に負けず劣らずのラブラブっぷりは結婚してからも変わらず。
12巻からは襄陽の情勢悪化を考慮して黄承彦・林と共に安全のため隆中を離れることになる。
林
CV:愛美
均の妻で月英の友人。年頃の少女らしい明るい性格。
女性らしくないという理由で家族から読書や学問を許してもらえなかったため、家事の苦手な月英に家事や裁縫を教える代わりに学問を教わっている。
襄陽の情勢の悪化を心配した月英から男装も習うようになり、それが思わぬ結果を生むことに。
襄陽の役所に勤めている青年。作中では字の「士元」と呼ばれることが多い。
孔明や元直とは水鏡塾時代からの友人。少々ものぐさで仕事はさぼりがち、体力も(少なくとも孔明や徐兄よりかは)無く体術や武術もからっきし(単純な単騎戦闘力という観点からなら月英よりも弱い)だが、優秀で機転も利く柔軟さを持ち、ここぞというときは龐家の名を利用するなど強かな面も見せる。魯粛とは既知であり、孫家への仕官を勧められていた。
かつて龐家と黄家の繋がりを作るため月英に求婚したことがあるが、両人共にその気はなかった(どころか、結婚への価値観の相違から大喧嘩を繰り広げてコテンパンにされ月英の父に大慌てで庇われてしまった)ため破談となっていた。好みの女性のタイプとしても正反対(巨乳好き)だったりする。良くも悪くも利発な名家のお坊ちゃんであるがゆえに、空気をあえて読まずに結論にすぐ踏み込むため、少々デリカシーが無い。
在野に居る孔明・元直の才を惜しんでおり、いつか二人を官吏に引き上げたいと考えていた。(後に月英に関しても徐兄に「男だったらさっさと登用して片腕としてこき使ってたのに」と、こぼしていたりする)
曹操の南下政策への対抗で龐家は道を分かつこととなる。士元本人も孔明と同じく曹操の策に対して憤りを抱えていたため、人材発掘の名目で逃れることに。その途上の柴桑で周瑜の策を手伝うことになる。
万屋稼業(町のもめごとの仲裁はもちろん、役所および豪族への届け出の代行や書類の代筆もやっているので、実質弁護士あるいは司法行政書士みたいなもの)を営む青年。作中では字の「元直」の他、月英・孔明・士元からは徐兄と呼ばれている。
左目に泣きぼくろを持つ頼れる兄貴分。水鏡塾に通っていたため学問は勿論、武術や芸事もこなすなど多才であり顔も広い。とてもモテる。
前科のことや成長していく孔明や士元の背中に焦りを覚えていたが、ひょんなことから知り合った劉備の元へ士官することになる。その際は自らの前科によって劉備に災が及ばないように、三国志演義でも名乗っていた「単福」の偽名を使用している。劉備軍の待望の智者であり「軍師」として政務や雑務などを担うことに。
しかし9巻からは郭嘉・程昱の策によって、無念にも劉備軍を離れることになる。その際に孔明を劉備に紹介し、彼らが繋がるきっかけとなった。
離れていても心の主君は劉備であるため、曹操軍に加わった現在も敵軍からなにか劉備の利になれればという思いで従軍している。
徐母
元直の母親で、食事処を営んでいる女性。歳は40を過ぎているが、曹操直々に美しいと称された若々しい容姿で巨乳。口元のほくろがセクシー。
息子同様とても頼もしい性格であり、月英や孔明達の良き母代わり。均の料理も彼女の影響を受けている。
後に郭嘉・程昱の策によって曹操軍へ囚われの身となるが、反逆者劉備の元にいる息子を呼ぶ手紙を書けと程昱に脅された時には「劉皇叔は反逆者じゃない。義を重んじ民を大事にする方だ。息子がその方の元にいる事を母として誇りこそすれ、その道を阻むことなど絶対にしない!」と真っ向から堂々と反論したり、そのために渡された硯を曹操へ投げつけたり(しかも、この時には曹操を本気で殺る気だった。あと数寸ほどズレていればきっと「曹操を殺った女」として歴史に残ったかもしれない。惜しい事である)自身の身の安全を捨てて抵抗したりと息子の決めた道のため気丈に抗った。
荊州の人達
月英の父。飄々としており、娘夫婦のことが大好きな好々爺だが豪族らしい顔も時折見せる。
荘園をいくつか経営しており、とある荘園の管理を娘夫婦に任せる。
情勢悪化の際は均・林夫婦と共にしばらく襄陽から逃れることになる。
丁さん
黄家荘園の管理人。快活な老人で、月英の幼い頃を知る一人。
農業のベテランであり、孔明や月英から頼りにされている。
范さん
黄家の武術師範。寡黙な老人だが、歴戦の猛者。
荘園防備訓練を行う孔明の指導を担う。月英の罠作りの才は彼に鍛えられたもの。
崔さん
江夏に本拠を構える大商人。黄家とは縁が深く、孔明・月英の旅をサポートしてくれた。
この繋がりが、月英の江陵軍備調査の助けとなる。
襄陽郊外で学舎「水鏡塾」を開いている、孔明たちの先生。実は30代(6巻で判明)。
黄承彦とは囲碁友達であり、対局のために黄家を訪れた際には月英にも非公式に教えを授けている。その際には承彦に月英の才能を伸ばすように助言していた。(つまり月英の先生でもある)
迷える若人を優しく諭したり、食えない一面も見せたりと不思議な雰囲気を漂わせる。
曹操の南下政策による人材発掘から塾生諸共逃れるため、10巻からは旅に出ている。
荊州宜城出身の水鏡塾生。例にもれず眉が白い。
4巻では孔明達の策を陰ながら手助けしていた。弟の馬謖の存在も言及。
水鏡先生が旅に出た後は水鏡塾を任されている。
学問と才を愛する荊州刺史。
蔡夫人からは優しいけれど見栄っ張りで臆病、水鏡先生や元直からは器量がないと評されている。
劉備をとても信頼しており、荊州の未来を託そうとしているがそれによって劉備と蔡一族との摩擦を生むことになる。
9巻頃から病に臥せりがちであり、それにより襄陽の情勢が刻一刻と変化している。11巻で病没し、それにより荊州・劉備一党の運命が大きく動くことになる。
劉表の妻で月英の叔母(月英の亡母の妹)。月英を溺愛している。
とても気の強い性格で、荊州の長・劉家の嫁としての立場から劉備一党を敵視し様々な策を巡らせている。常に厳しい態度だが、それは優しすぎる劉表やまだ幼い息子の劉琮を守るためであり、彼女なりの想いがあるようだ。
本質的には血縁にはとにかくダダ甘い性格であり、厳しく出るのもそれが一族のためと思っているため。そのため姉の子である月英にも究極的には甘い叔母バカである。(政略結婚の都合で月英を無理にでも離婚させようとするも、肝心の月英から「孔明さんはこんな私でもいいと言ってくれる。そんな人と別れたくない」とガチ泣かれされて断念している……が孔明に「かわいい月英に何かあったら許さないわよ!」と事ある毎にプレッシャーをかける事は忘れなかった)
曹操軍に襄陽を明け渡した後、劉琮の青州刺史就任に同行し喪が明けぬうちから彼女の愛した土地を離れることになった。
蔡夫人の弟。
水軍の指揮に長けており、荊州の守りを主としている。姉の蔡夫人と画策し、劉備暗殺を企てていた。
姉には頭が上がらないが姉弟仲はとても良好。
曹操軍に降伏した後は漢の水軍大都督の地位を得、彼一人で襄陽蔡家を守ることになる。
江東攻略においては曹操側の水軍の総責任者に抜擢され、手に入れた水軍を早速使いたくてうずうずしている曹操に使われまくっている。姉である蔡夫人とのやりとりではなんか頼りない描写が多かったが、本業である水軍指揮の腕は確かであり、曹操出陣に際して川の状態を加味して出港日程を遅らせることを提案する、不慣れな船上での生活で体調を崩す将兵のケアに回る、霧の中で孫権軍に奇襲を受けた際にも同士討ちを避けるため無闇に反撃を指示せず前衛に耐えてもらうよう指揮するなど的確な指示を発している。だが、劉備軍の封鎖により直属部隊である襄陽水軍が合流できていないため、かなり焦ってはいる。
劉表の長男で亡き陳夫人の子。父によく似たおっとりとした青年。
跡継ぎ問題により蔡家一党と折り合いが悪く、ついには身の危険まで感じるようになったため孔明の「ここから離れてとにかく生き延びること」という言葉に従い江夏へ移ることとなる。
この恩もあり、長坂の戦いの際は船で劉備達の手助けをしたり、拠点として提供するなど協力関係にある。
劉備一党
作中では字の劉玄徳、もしくは公的な称号である「劉皇叔」と呼ばれることが多い。
気さくで義に厚い庶民的な性格。城下の民たちに大変慕われており、配下の家族構成や状況を把握しており的確なサポートも出来る天性の人たらし。
史書通り耳がとても大きく腕も長いため、身分を隠していた際に元直や水鏡先生にその特徴で正体を見破られていた。
襄陽市街を探っていた途中で元直と意気投合し、後に彼を一党へ迎えることに。また孔明・月英とは劉備が蔡家の刺客に追われた際、黄家の荘園へ身を隠していた時に知り合っている。そこで見た荘園の姿は劉備の理想とする国の形であったため、孔明を軍師として迎える動機の一つとなった。
献帝の身の上を気の毒に思っており、「早く天子様をお助けしてぇ」と考えている。世話になった劉表のことも常に気にかけており、その義理によって荊州の後継者となることを固辞し続けていた。
また民との関わりが深く、取りこぼされた側の苦しみをよく知っているために曹操の覇道とは反りが合わず、不倶戴天の間柄であることを自覚している。孔明が徐州征伐の際の「取りこぼされた側」であったことを知った際には、「よくぞ生きててくれた」と涙でぐしゃぐしゃになりながら抱擁するなど、なすすべなく戦に巻き込まれる民への情は深い。
一方で人間の観察眼にも優れており、曹操が得意とする神速ともいえる進軍速度を警戒こそしているが、曹操を「怖ぇしとんでもねぇ敵だ。けどよ妖怪でも仙人でもない、身の丈七尺(約160cm)の男なんだよ」と評し、「新しいものを手に入れたら、それを使わずにいられない」→「新しく水軍を手に入れたんだから(たとえ配下の兵の大半が船に不慣れだとしても)曹操の本軍は必ず水軍で来る」という曹操の弱点ともいえる性質を見抜き周瑜や魯粛に伝えた。
ご存じ美髭侯。
孔明とは市街で出会ったことがあり、家庭の為に書物を売る姿を見て感銘を受けていた。
礼儀に厳しく話がとても長く、そして少々頑固。春秋は左氏伝派で子供の読み聞かせにも使用するほど。劉備軍の中では事務仕事ができるため、元直が仕官するまでは政務を一手に担っていた。
状況判断が的確で冷静であり、常に「劉備ならばどうするか」を念頭に置いている。それは誰に対しても同じであり、道中で信頼した月英の才を江陵攻略に生かすため彼女に「孔明ならどうするか」と諭し策を引き出した。
虎髭で酒好きの豪傑。
月英とは市街で出会ったことがあり、孔明を探す彼女にかつての自分を重ねていた。
やはり好戦的で直情的ではあるが、一度認めた相手を素直に尊重し認める気の良い性格。豪快な見た目とは裏腹に料理と作画(絵)が得意。実は嫁に頭が上がらない。
劉備の護衛担当で弓の名手。その忠実さから元直に犬のようだと思われていた。
実直で人が良く、困っている人を見ると放っておけない。
阿斗の世話役も行っており、長坂の戦いでは真っ先に甘・糜両夫人と阿斗の救出に向かった。
孔明のとても細かい指示も的確に実行できる優秀な将軍。
劉備の養子。11巻時点で元服を迎え、兵を分け与えられる予定。
ご存じ劉備の子。6巻時点で生まれたて。糜夫人に養育されている。
劉備の正室。「なるようになる」が信条の上品で優し気な女性。
阿斗を生んでから体調が思わしくなく、床に臥せっている。
糜夫人とは苦楽を共にしてきたため彼女からお姐さまと呼び慕われており、甘夫人の方も彼女を可愛がっているほど関係性は良好。
長坂の戦いでは糜夫人と阿斗を出来るだけ逃がす時間を作るため、病身の身で敵地に留まる決意をするほどの覚悟も持つ。
劉備の側室。気配り上手な柔和な物腰の女性。甘夫人に代わり奥向きを仕切っている。
彼女と似たなれそめ(糜竺が劉備を大層気に入って嫁に出した)の月英のこともよく気遣っている。
彼女が中心に阿斗の養育を行っていたため、趙雲からは阿斗の「もう一人の母君」と称されたが――
関羽の妻
美人で優しく、礼儀や気遣いも忘れない才女。
関羽邸には彼女の他にも2人の息子(おそらく関平と関興)が登場している。
穏やかな女性。
嫋やかだが張飛とは出会ったその瞬間から恋に落ち、そのまま嫁ぐ豪胆さも持ち合わせている。
張飛を可愛いと表現する唯一の人物。
曹操軍
乱世の奸雄。天子を擁している最有力者。
詩作や美女・才のある人物を好み、紙などの新しいものに感心を示す好奇心旺盛な性格。9巻現在は袁家討伐も終わったため許昌・洛陽へ帰還し、12巻からは荊州攻略に着手する。
犠牲を厭わない苛烈さも持ち、劉備からは不倶戴天の相手だと思われている。しかし部下の意見には確実に耳を傾け、それに理があれば方針も任せる怜悧さも持ち合わせる。
やはり関羽が大好き。その姿は熱心な推し活に勤んでいるかのよう。
近年の研究成果に加え、何より作者の杜康氏が孔明と並んで曹操大好き(中国で曹操の物らしき墳墓が発見されたと聞くやソッコーで聖地巡礼とばかりに発掘現場に向かったレベル)という事情もあり、「漢王朝に仇なす奸臣」とは言い切れない魅力的な人物造形がされている。
なお、やっぱり背が低いことはコンプレックスに思ってるらしく、「背の高い程昱軍師はより酔いやすいかと...」という蔡瑁の指摘には「わしが船酔いにならないのはその逆だからか?」と凄んでいた。
曹操軍の女好きな軍祭酒。作中では字の「奉孝」と呼ばれることが多い。
3、4巻から青州・袁家討伐を進めつつ、荊州攻略のために襄陽に策を施していた。孔明たちの最初の大きな壁。配下の者(特に顔に傷がある男)も大変優秀。なお、女好き(本人曰く「ぽっちゃり系」が好み)で仕事場に女性を連れ込んだり、前線でぶっ倒れた時も美女の膝枕を所望するなど少々問題行動も目立つ。その奔放な行動には荀彧も頭を痛めている。
9巻にて烏丸征伐途中に没したが、程昱にいくつかの策の実行を遺していた。死後も様々な人に惜しまれてたり影響を残しており、程昱からも郭嘉が生きていたら曹操の心を上手く支えられたと嘆かれている。作中において、孔明や徐兄に(そして読者にも)「軍師」とはどういうものかを示した人物である。
作中では字の「文若」と呼ばれることが多い。公式紹介によると「おかん」。
曹操が出陣しているため宮中政務を一手に担っている。大変真面目な性格で、曹操・郭嘉の気が緩んだ頃を見計らって仕事を振る敏腕官吏。
曹操に対してとてもはっきり意見を通すが、それは最推しだからこそ。
荀彧の年上の甥。曹操軍の作戦全体の統括者。
荊州攻略のため程昱と共に策を講じる。
常に冷静で、曹操の性格と軍の最大の利益をしっかり組み込んだ策を張遼に授ける。
豪放磊落な曹操の従弟。荀彧とはいいコンビ。
従兄弟だからこそ遠慮無く曹操に軽口を飛ばすが、それは最推しだからこそ。
真面目な性格の曹操の従弟。
曹操からは「曹家の守護神」と称される。若い頃は「やんちゃ」だった。
荊州方面の守りの要であるため、元直・孔明が来て以降の劉備一党には煮え湯を飲まされ続けている。
長身で長く白い髭を蓄えた、曹操軍の長老。
人間関係や物事のキモをよく掴み、手段は選ばない策士(それは曹操本人にも実行される模様)。
生前の郭嘉からとても信頼されており、彼の遺した「劉備軍の軍師を捕らえる」策を実行する。
関羽に美髭公の名を奪われたことを根に持っている様子。
ちなみに孫権討伐に向かった際には背が高いせいか軍師たちの中で真っ先に船酔いになった。おじいちゃん無理しないでね...。
烏丸征伐に貢献した律儀な性質の武人。
かつて共に戦った関羽のことを現在でも気にかけていたり、元敵である徐庶にも誠実に接したりととても礼儀正しい。
軍中にあっても冷静さを失わず、的確な状況判断によって曹操を諭している。
江東孫家
江東の地を治める若い当主。
臣下の話をよく聞き、熟考する聡明さを持つがそのため本心を隠す癖がある。
武芸に秀でた快活な姫君。一方で悪い意味で清々しいまでの脳筋であり、正真正銘の考えナシ。思い込んだら即行動の鉄砲娘。自らの視点や考えのみが判断基準で状況の判断力は弱く空気も読めない本作屈指のトラブルメーカーのひとり。もっとも素直ではあるので、自身に得心があれば、人の言うことは聞くし我慢もできる。ただし長くは保たない。
孫家・孫権を守りたいという気持ちが強く、曹操軍との戦いにも意欲的...なのだが、気持ちが早まるあまり独断で行動を起こしてしまう傾向があり、兄である孫権は大いに頭を悩ませている。
諸葛瑾をとても信頼しており、彼の諌めには素直に従うことが多い...が結局独断で行動を起こした結果、彼の胃痛を加速させてしまっている。
そして、孔明の活躍により孫権・劉備の軍事同盟の締結と曹操に対する開戦が決定した結果、孔明の乗る軍船に紛れ込んで劉備の陣地にこっそり向かってしまうという一歩間違えれば外交問題に発展しかねない行動を引き起こしてしまう。月英の尽力でなんとかなるも、その最中咄嗟に引き止めた際に胸に触れてしまい彼女が女性であると知ってしまう。ただし、「孔明の下で学ぶ際に女だと舐められるから男装しています」という月英の身の上話を信じているため、彼女が孔明のヨメであることは気づいていない。また月英が孔明に呼ばれて軍議に連れていかれる(先生に助手として頼りにされてる)姿に「いーーーーーなーーーーー」と羨む本気の魂の叫びを(心の中で)上げた。
以降は(孔明と月英の口添えもあって)周瑜から裏方での仕事を与えられたためおとなしくしている。月英とはすっかり仲良くなり、「2人の時は『尚香』って呼んで」と約束している。
しかし戦いが佳境になり、物語に政治戦や諜略戦が絡むようになると悪くなっていく周囲の空気に耐えられなくなり、あげく無自覚に周瑜や孔明や月英が慎重に敷いている苦肉の策(苦肉計)と連環の計の表層だけを見て単純に状況を信じきり、せっかくの計略を善意で台無しにしかけている。
ご存じ美周郎。孫家筆頭軍師で開戦派。
孫策の義兄弟でもあり、孫権の兄のような存在。
士元の才も真っ先に気が付き、事務仕事を任せていた。
作中では数少ない、孔明の才能に「嫌悪感」を示した人物。周瑜自身も孔明と同等かそれ以上の持ち主であるが、それゆえ「自分の考えを読まれているようで気味が悪い」「こちらの一番欲しい情報を部外者である孔明が事も無げに渡してくるのがなんか腹たつ」「自分があれほど開戦について説いたのになんで部外者(孔明)の説得で開戦を決意したんだ」「孔明から策を提供されるとなんか腹立たしい」と評している。だが、当面の間は「自分と同じ才能を持っているなら使い倒すのが一番いい」と判断している模様。
一方で、妻である小喬、義姉にあたる大喬、そして大喬の亡き夫である孫策への想いから江東を守る意思は誰よりも硬い。
孫家に仕える武官。
孫堅の慰霊のため荊州を訪れていた際、元直・劉備と知り合う。士元とは以前からの知り合いであり、孫家へ仕官を勧めていた。
諸葛瑾とも仲が良い。
他の三国志作品では何かと孔明に振り回される孫呉の人というイメージだが、本作における彼は「主君からの信頼篤い武官」という側面が強調されており、柔和な物腰や紳士的な容姿とは裏腹に孫家の中でも開戦派のため、とても行動力と胆力がある。
孫家の文官で降伏派筆頭。
老年だが厳しい表情と怜悧な頭脳を持つ。
孫家には孫策時代から仕えているため、孫権の身を誰よりも案じている。
皮肉屋で容赦のない物言い、孫権からの信頼篤い魯粛ですら「洟垂れ小僧」扱いだが、それは本心から孫家を守りたいがためである。そのため、孫家存続のために不本意ながら曹操への降伏を進めていたが、襄陽での曹操の振る舞いから降伏したとしても江東の安堵は絶望的という現実を突きつけられ自分の主張の根幹が揺らいでしまう。それでも「曹操の軍勢には多勢に無勢である」として江東の安寧のため涙ながらに降伏を主張するも周瑜の「戦えば勝てる」という主張と、それに同調した孫権による宣戦布告により開戦が決定。御前会議のあと密かに孫権に呼ばれるも「あれだけ説得したのにあっさり開戦を決めおって!わしゃもー知らん!」「道を違えんよーに意見してきたのに!」と盛大に拗ねていた...いや、言ってることはわかるのだが所々入っている"ー"のせいで見た感じは「拗ねた彼女」のそれである。それでも孫権の説得を受け「こうなった以上、この道が間違ってなかったことを示すしかないでしょう...!」と決意を決める。
孔明・均の兄で二児の父。
現在は孫権に仕えており、事務方として才を振るっている。
とても家族思いであり、弟や月英からの手紙をいつも心待ちにしている。均や息子の諸葛恪から窺える容姿は史実通りの驢馬似らしいが13巻まで判明しなかった。
孔明が使者として呉へ訪れた際、ようやく十数年ぶりの再会を遂げる。優し気で少し面長な青年であり、孫権や孫家の姫からの信頼も厚い。主君への忠義と弟への肉親の情に板挟みになるが、劉孫同盟に奔走する弟のために自ら矢面に立つなど、孔明の力になるべく奔走する。
pixivコミックでも大好評連載中
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