概要
フリゲートは、18〜19世紀の帆船時代においては外洋航海能力を持ち、軽快で軽武装の軍艦。
第二次世界大戦後においては、外洋での作戦能力を持ち護衛・哨戒・対潜などの多用途に使われる軍艦。現在は多くの海軍において主力となっている。
語尾に「艦」を付加して「フリゲート艦」と呼ばれることもあるが、「フリゲート」のみで一つの艦種を表すので、特に「艦」は付けなくてもよい。
帆船時代のフリゲート
艦隊決戦を行う戦列艦より小型・高速・軽武装の軍艦で、哨戒、連絡、通商破壊を行った。しかし19世紀には大型化し装甲を施すようになり、従来のフリゲートの任務はコルベットが担うようになった。大型化が進んだフリゲートは巡洋艦へと発展していく。
現代的なフリゲート
対潜・対空作戦能力を持ち、外洋での航海に耐える大きさと構造を持ち、船団護衛・揚陸補助・哨戒などを任務とする軍艦。中国語では「巡防艦」と呼ぶ。
もともとは、第二次世界大戦中に連合国軍で船隊護衛用に大量建造されたコルベットが小型過ぎて外洋での任務に難があったので、コルベットを大型化した艦として作られた。日本海軍が第二次世界大戦時に建造した海防艦がこれに相当する。
戦後は駆逐艦の大型化に伴いフリゲートもかつての駆逐艦と同程度かそれ以上まで拡大し、対空・対潜・水上戦闘能力を兼ね備えた汎用艦として、多くの国で水上戦力の主役の座を占めるようになった。ただし小国にはフリゲートも高価に過ぎ、沿岸防衛に特化したコルベットを主力にしている国もある。
ただし、何をもってフリゲートを駆逐艦と区別するかは明確ではなく、イギリス海軍は艦隊防空ミサイルを装備しない水上戦闘艦艇をフリゲートと呼んでいるため駆逐艦より大きなフリゲートが存在する。ドイツ海軍のように水上戦闘艦を全てフリゲートの名で呼んでいる海軍もある。アメリカ海軍では艦隊防空ミサイルを搭載するためか、ミサイルフリゲート(FFG)となっている。
主な艦級
イギリス海軍
ソ連/ロシア海軍
※NATOコードネーム/ソ連・ロシア海軍名の順
- コラ型/42型警備艦
- リガ型/50型警備艦
- ペチャ型/159型警備艦
- ミルカ型/35型警備艦
- クリヴァク型/1135型警備艦
- コニ型/1159型警備艦
- ヤストレブ型/11540型警備艦
- ゲパルト型/11661型警備艦
- アドミラル・ゴルシコフ級/22350型警備艦
- ステレグシュチイ級/20380型警備艦
- クローム型/12441型警備艦(練習艦に変更の上建造中)
北朝鮮海軍
ドイツ海軍
アメリカ海軍
- オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート(米海軍では退役)
- コンステレーション級ミサイルフリゲート(計画中)
その他
- デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級(オランダ)
- ハンター級(オーストラリア)
- レオポルド1世級(ベルギー、元オランダ「カレル・ドールマン」級)
海上自衛隊
海上自衛隊の護衛艦の艦種記号にはほとんどの場合駆逐艦を意味するDD/DDG/DDHを使用しており、基準排水量2000トン以下の比較的小型の水上戦闘艦には護衛駆逐艦を意味するDEを使用していた。ただしフリゲートを意味する艦種記号を採用した例も2例存在し、アメリカ海軍タコマ級フリゲートを前身とするくす型護衛艦が米軍時代と同じ「PF」の呼称を、現在増産中のもがみ型護衛艦が「FFM」の呼称をそれぞれ採用している。
関連タグ
沿海域戦闘艦・アメリカ海軍の艦種類別。ほぼ現代のフリゲートに重なるが、当初はフリゲートの代替艦として計画されたが、国際情勢の変化により皮肉にもコンステレーション級ミサイルフリゲートに代替されてしまった。