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目次 [非表示]

ミサイルとは、

  1. 飛び道具
  2. 動力機関(エンジン)と誘導装置を搭載した兵器。誘導弾。
  3. カプコンのゲーム逆転裁判に登場する。→ ミサイル(犬)
  4. 輸送機(乗り物)の一種。※ただし超人に限るミサイルは乗り物

当記事では、兵器の一種であるミサイル(と、おまけ程度に原義も)を説明する。


概要編集

飛び道具編集

古来、縄張り争いに際し、を投げて敵を駆逐せんとした行為に由来するとされる。

詳細は「飛び道具」「弓矢」「」などに譲るほか、ファンタジー作品、特に「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などの「マジック・ミサイル」は、この「飛び道具」を意味する。


兵器編集

そのうち、現在おもに「ミサイル」と呼ぶのは、軸流式エンジン、噴進式エンジンなどの推進するための動力機関を搭載し、それ自体が飛翔して、搭載された装置により誘導された目標を攻撃する一連の兵器のこと。広義には誘導兵器の一種。


極論、「敵を追いかけて飛ぶロケットみたいなもの」と言ってもあながち間違いではない。


無誘導兵器と比較した利点としては、目標を追尾するため長距離目標や移動目標に対して有利。欠点としては誘導装置や可動翼など構造が複雑なため非常に高価、歩兵携帯用としてはロケットランチャー以上に重く、各種欺瞞に騙される可能性もある。(世代や製品によっても差はあるが)


(ミサイルと紛らわしいもの)

  • それ自体が推進するが誘導されない→ロケット弾(噴進弾)
  • 誘導されるが、それ自体は推進力を持たない(撃ち出されてから軌道修正だけを行う)→誘導爆弾

ロケットエンジンを用いて弾道軌道をとるものを弾道ミサイル(弾道弾)、航空機同様のジェットエンジンを用いて地表面を飛翔して目的地に到達する無人航空機の一種を巡航ミサイルという。弾道ミサイルは特に5,500kmを越えるものを大陸間弾道弾と称する。

嘗ては誘導装置はジャイロコンパスなどの単純なものが使用されたが、技術が発達するにつれて、赤外線誘導、レーダー電波による誘導、GPS衛星を利用した誘導など多岐にわたる誘導装置が開発された。


アメリカでは自由落下型航空爆弾に誘導装置だけでなく途中で切り離されるロケットモーターを取り付け射程延長したもの(AGM-123やAGM-130等)もミサイルとなっていたり、誘導装置を持つが動力を持たずに滑空する航空爆弾(AGM-62やAGM-154等)がミサイルとなっていたり、誘導弾化したロケット弾(APKWS)が他国ではミサイル扱いなのにロケット弾扱いのままであったり、逆にGPS誘導可能なロケット推進弾(MLRSのもの)がロケット弾として扱われてたり、結構曖昧。

一方日本では、有線誘導や赤外線誘導、レーダー誘導などの目標指示装置を搭載して敵を自動/手動追尾するものを特に「ミサイル」と呼び(英語で言うGuided Missile)、無誘導の砲弾方式の打ちっ放し兵器を「ロケット弾」と呼ぶ傾向がある。推進装置を持たずに落下していく兵器は誘導しようがしなかろうが爆弾となる。

自衛隊ではミサイルという用語は使用するが、自衛隊が使用する兵器の名称としては陸海空共通で「誘導弾」と呼称している。

ロシアではミサイルもロケット弾も「ロケット」と呼び、名称の上では特に区別しない。


誤解されがちな点として、


  • 創作に登場するように命中の瞬間まで推進機関全開で速度を保つことができるミサイルは少なく、大半のミサイルは発射後に極々短時間加速した後は燃料が空になり、機関停止状態で滑空して標的に向かう。つまり自由落下型誘導爆弾との本質的な違いは本体が初期の加速をするかしないかだけだったりする。創作でよく出てくるような敵戦闘機が回避しても回避しても煙を吐きながら戻ってきて追い続けるようなミサイルは現実には存在していない。

  • 全部のミサイルが自動誘導で撃ちっぱなし可能なわけではない。初期のミサイルはジョイスティックみたいので操縦するという方法だった。現在でも対戦車ミサイルで半自動方式が多く存在する。


種類編集

発射元(母機)と発射先(ターゲット)によって空対空、空対地、地対地、地対艦などの任務、誘導方式、長距離~短距離の狙いたい距離によって本体の大きさや形、搭載する弾頭、ミサイル自体の構造は実に多種多様。


目標を破壊するための弾頭は基本的に炸薬(爆薬)を搭載したものが多いが、こちらも地下深くのコンクリートで固められた目標を貫くために徹甲弾のような貫徹するための構造を備えるものから、生物化学兵器を充填したタンク、対空ミサイルの命中精度を補うために核弾頭を搭載したとんでもないものまである。


方式別編集

打上げ時にのみ推進し、慣性で弾道飛行して最後は誘導を受けながら落ちてくるだけであるが、高高度から落ちてくるために命中時の速度は非常に高速となる。


この弾道ミサイルという存在、言ってみれば宇宙開発用ロケットに近い。というよりは人工衛星を爆弾に積み替えただけのほぼ同じモノであるので、発射後は後方の使い終えたエンジンを切り離して捨てながら宇宙空間まで到達する弾道コースを描いて落ちてくるのである。当然ながら下降してくる頃には発射した時のミサイルの形は全く残っておらず、弾頭を搭載したミサイル先端部のみが大気圏に再突入して目標に命中する。

参考動画のようにミサイルの形のまま地を這うように飛ぶものではない。地を這うように飛ぶのは後述の巡航ミサイルである。(ただし巡航ミサイルはこんなに速くない)


宇宙ロケットと同じモノだけに非常に大型かつ高価格であり、元々は爆撃機が投下する兵器であった核爆弾を、パイロットを危険にさらさずに核弾頭を敵の都市にお届けする事を可能とした、戦略クラスの最終兵器である。

ちなみに弾道ミサイルを指す略語としてよく出てくるICBMやSLBMはそれぞれ「InterContinental Ballistic Missile(大陸間弾道ミサイル)」と「Submarine-Launched Ballistic Missile(潜水艦発射型弾道ミサイル)」といい、発射方式と弾道ミサイルであることを表している。核弾頭を搭載するものが多いが通常弾頭もあり、弾道ミサイル=核ミサイルではない。

核ミサイルを持つ国々は仮想敵国の主要都市を常に照準している状態と言われており、それが現実の場合、この種のミサイルは常時ロックオンしっぱなしという事になる。


近年ミサイル防衛の話題に於いて、弾道ミサイルと並んで前述の極超音速ミサイルが取り上げられる事が増えているが、大陸間弾道ミサイルは終末速度がマッハ20近くにも達するような兵器であり、つまり弾道ミサイルとはそもそも極超音速兵器である点に留意されたい。

極超音速ミサイルとはこの高速に加えて、滑空体を保有し複雑な軌道を描くことができるため撃墜が困難。


こちらはジェットエンジンで飛行機のように飛んでいくミサイル。着弾の直前、ないし着弾する瞬間まで推進力を発揮し続け、速度も維持される。ただし巡航ミサイルは"巡航"の名が示すように長距離を飛んで敵の施設や艦艇等、動かない又は低速かつ大型の高価値目標を狙うものであるため、元々の速度が数百km/h~亜音速程度のものが殆どである。レーダーを回避するため低空飛行が可能なものが多い。


ロケット弾というよりは航空機的性格の強いミサイルであり、ミサイルとしては大型の主翼を備える場合が多い。推進機関もジェットエンジンなど、持続力に優れるものが多く、ジェットエンジンの場合はちゃんと吸気口もある。


こちらも近年は極超音速で飛行可能なものが開発され実用化されている。航空機のように自在な軌道を描くことができる上に超高速で飛んでくるため、レーダーによる探知も撃墜も困難となる。


また、そのミサイルが何をターゲットにするかでも大別される。


  • 極超音速ミサイル

近年は「極超音速ミサイル」と呼ばれる高速ミサイルが開発されている。巡航ミサイルと弾道ミサイル双方に当てはまるが、弾道ミサイルはナチュラルに超音速になるが、そのままだと迎撃されやすいためグライダーのような滑空体を弾道に取り付けて複雑な軌道を描いて飛び迎撃を回避するものが開発されている。


巡航ミサイルの場合はラムエアジェットエンジンを使用する事で高速ミサイルを実現しており、ラムエアジェットエンジンの始動に必要な速度を稼ぐ為にロケットエンジンと併用した複合ジェットエンジンとなっている。


ターゲット別編集

対地ミサイル・対戦車ミサイル

戦車や建物などの地上の物体をターゲットにするミサイル。最もオーソドックスなタイプのミサイル。


対艦ミサイル

軍艦や洋上基地などの水上の物体をターゲットにするミサイル。


対空ミサイル

軍用機やミサイルなどの空中の物体をターゲットにするミサイル。防空ミサイルとも。衛星軌道を狙える長射程のものは特別に「対衛星ミサイル」とも言う。

主に米軍でミサイルに対してAAM(エーエーエム)やSAM(サム)などと型番や略称をつけるのは「Air(to)AirMissile」という意味であり、誰から誰に撃つものかを表している。対空兵器の略称としてよく使われるAA(AntiAircraft)とは意味する所が違うので注意。

Sは「Surface(地上)」だったり「Ship(艦)」だったりと意味が変わるが、発射に関しては地上と艦船はかなり共通する要素であり、実際に兼用されているものも多い。ただし標的として見た場合は地上目標と艦船はかなり異なる要素であるため、対地ミサイルと対艦ミサイルは別種である事が多い。

ミサイルが目標を認識し追尾するためには「ロック(Lock)」という動作が必要であり、目標をロックした状態を「ロックオン(Lock-on)」と呼ぶ。

目標をロックする仕組みも色々あり、主なものとして電波を当てて跳ね返ってきた電波を追うレーダー誘導、目標が出す赤外線を追う赤外線誘導、テレビカメラで捉えた画像を認識する画像誘導などがあり、レーダー誘導には発射母機が電波を出すセミアクティブ方式、ミサイル自身が電波を出すアクティブ方式がある。レーダー誘導なら目標に当たって跳ね返ってきた電波を捉えた状態、赤外線なら目標が発する赤外線を捉えた状態がロックオンである。一度かけたロックを解除される事をロックを外す、外れると表現する。

ある程度の大小はあれど、前述のようにミサイルが推進機関を運転できるのは発射後短時間のみであり、その後は高速グライダーとして滑空して目標に向かうのは対地だろうと対空ミサイルだろうと同じ。特に対空ミサイルは軽量小型のため戦闘機を上回る超高G機動や超高速飛行ができる時間も相応に短く、サイドワインダーに代表される短距離空対空ミサイルの場合、発射後にロケットモーターが作動するのは実に数秒間に過ぎない(サイドワインダー初期型で2.2秒)。

特に激しい回避軌道を行う戦闘機を狙う場合、最高速度や有効射程等のカタログスペックは全くあてにならない。

なお、前述のようにずっと追い続ける事はできないミサイルだが、レーダーやレーザー等、「何かを発射してくる」アクティブな誘導方式でない限りは狙われた目標側からはミサイルロックや接近を感知する手段はほぼない(例として赤外線パッシブホーミング等)。もちろん発射時に数秒噴射炎が見える可能性はあるが、自機に接近して来る頃には燃焼も終わり、小さな超高速滑空弾として静かに襲いかかってくるため、映画やアニメの如く「自機の近くまで来たミサイルの噴射煙を見て避ける」のは実際には不可能に近い。また仮にミサイルが視認できたとしても、スレスレで躱そうとすれば近接信管が作動してダメージを受ける可能性もある。そのためミサイルで狙われる側の航空機から見た場合、実際にミサイル回避に一番確実な事は距離を取ることであり、多くの場合、ミサイルを撃たれる可能性がある場合はミサイルそのものを視認できなくてもチャフやフレアを炊く。

ミサイルの側は発射後は少ないエンジン稼働時間を全開で高度と速度の上昇に努め、少しでも射程を稼ごうとする。戦闘機からミサイルを発射した動画を見ると、発射後急上昇していくのがわかるはずだ。

地対空ミサイルは発射時点で速度も高度もゼロ、という致命的なハンデを少しでも埋めるべく、宇宙開発ロケットよろしく切り離し式のブースターを備えるものも存在する。


対潜ミサイル

潜水艦や海底ケーブルなどの水中の物体をターゲットにするミサイル。弾頭に魚雷を搭載していることが多い。


その他編集

ミサイルとよく似たものに「ASROC(Anti Submarine ROCket:アスロック)」と呼ばれる、海中の潜水艦を狙う兵器があるが、これは誘導魚雷をロケットで遠くに飛ばすものであり、通常日本語ではミサイルとは別種の物として扱われる事が多い(対潜ミサイルとされる場合もあり、必ずしも間違いとは言い切れないが)。


ミサイルというと爆発するイメージがあるが、弾薬弾頭の代わりに回転刃を装着した通称忍者爆弾と呼ばれるミサイルは、民間人を巻き込まず狙った標的を暗殺することに特化している。


上記の通り、アニメやSF映画で出てくるような便利なミサイルは意外と存在しないのである。

ミサイルが出てくるような創作を考える場合は参考にしてほしい。


以上、いわゆる現代においてのミサイルの概要を説明した。高性能の推進装置や誘導装置、弾頭を備え、地球の裏側にまで届く射程距離に百発百中に近い命中精度、都市一つを滅ぼす程の威力を手に入れたミサイルも、放たれた砲弾+αという要素は全てに共通しており、本質的には敵に石を投げつけ矢を射かけるのと何ら変わりは無い。その意味で古代より飛び道具全般を指す言葉を語源に持つ「ミサイル」という語が当てられたのは言い得て妙であると言えるだろう。


ミサイル万能論編集

ミサイルが兵器として登場し始めた1950年代後半に見られた、ミサイルだけあれば何とかなる的な理論。

具体的には、


  • 空対空ミサイルの撃ち合いになれば敵に近づく必要はないし戦闘機機関銃はいらなくね?
  • 地対空ミサイルがあれば爆撃機や偵察機を簡単に撃ち落とせるから戦闘機はいらな(ry
  • 対戦車ミサイルがあれば戦車を簡単に破壊できるから戦車は(ry

といった感じである。

しかし、実際に使ってみると、この理論はことごとく打ち砕かれる事になる。


  • 空対空ミサイルの場合:ベトナム戦争では当時のミサイルのロックオンの制約が非常に厳しい上に信頼性が充分ではなく、撃っても当たらない事がザラにあり、さらには視程外戦闘で誤射が発生したため敵味方識別の為に目視できる距離まで接近せよという命令が出された結果朝鮮戦争で最後になると思われていた旧来のドッグファイトが頻発。アメリカ軍はドッグファイトの事など考えていなかった戦術の甘さもあって、軽量高機動の北ベトナム軍の旧型戦闘機に思わぬ苦戦を強いられ、アメリカ海軍がトップガン(アメリカ海軍戦闘機兵器学校)を作るきっかけとなった。
  • 地対空ミサイルの場合:地対空ミサイルの発達は、確かに爆撃機偵察機が悠々と領空を飛ぶ事をできなくしたが、レーダーに探知されにくい低高度で侵入したり、射程外からのミサイル攻撃・情報収集など対抗戦術を開発。そもそも領空付近に近づいてきた航空機の識別・監視は対象に近づいて目視で行う必要があり地対空ミサイルでは代用できない。実際、イラン航空655便撃墜事件マレーシア航空17便撃墜事件など、識別が甘いまま発射し誤って旅客機を撃墜してしまった悲痛な事件が何度か起きている。
  • 対戦車ミサイルの場合:第四次中東戦争にてイスラエル軍はアラブ連合軍が投入した対戦車ミサイルに大きな苦戦を強いられた。しかしそれはイスラエルが戦車を過信していた所もあったためで、すぐに戦車と歩兵の連携を密にする事で対抗し逆転している。そもそも、戦車の強固な装甲を活かした歩兵の盾役という役割は、対戦車ミサイルを使う歩兵では代用できない。

現代ではミサイルの能力向上によってミサイル万能論が部分的ながら現実になりつつある所もあるが、それでもミサイルは砲弾爆弾に比べるとはるかに高価であり、誘導を妨害する手段も存在する以上、他の兵器を完全に代替する存在にはなっていない。

実際、イラク戦争では何でもジャベリンで吹き飛ばすという使い方をし過ぎて予算の問題となり、可能な限りSMAW等を使うように方針を変更している。

更にウクライナ侵攻でも、戦車隊を食い止めるのに大きな活躍をしたものの、それは歩兵の決死隊じみた覚悟があってこそであり、ウクライナ側の反攻戦以降は、戦車も依然として重要な戦力であると再認識された。


創作において編集

メディアによっては武器として登場する。

しかし、弾道ミサイルのような大型のものではなく、比較的小型なものを採用されることが多く、対ロボット、または対人戦に用いられる。


また、通常ミサイルは人間の搭乗を考慮していない(当たり前だ)が、通常ではない人間は搭乗してしまう事があり、サーフボードか何かのように乗りこなしたり、ミサイルからミサイルへ飛び移ったりと、考えられない事をやってのけるキャラクターが散見される。

ミサイルは乗り物


関連キャラ編集


関連イラスト編集

UFOからミサイルどーん


関連タグ編集

兵器 重火器 追尾 ホーミング

爆弾 ATM MAT ICBM バズーカ ロケット

対戦車ミサイル / 対戦車兵器

地対空ミサイル

アスロック

魚雷


無誘導:ロケット弾 ロケットランチャー ロケット砲 無反動砲


ドリルミサイル ミッソー ノーマッド ミミちゃん ミサイルボンビー  おっぱいミサイル ミサイルは乗り物 バードミサイルをぶち込んでやる じゃ、ミサイルでもうちこんでやるか。


味噌(英語の発音に由来する隠語)


ワイルド・ウィーゼル:地対空ミサイルの発射元を狩る



外部リンク編集

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