「銀河連邦の一員たるを示すウルトラリングを今、お前たちに与えた。そのリングの光るとき、お前たちは私の与えた大いなる力を知るだろう」
曖昧さ回避
※同作品に登場するウルトラ戦士は、ウルトラマンエースを参照。
概要
ウルトラシリーズ第5作目。
円谷プロダクションが製作した特撮テレビ番組で、1972年(昭和47年)4月7日から1973年(昭和48年)3月30日までTBS系で毎週金曜日19:00~19:30に全52話が放送された。
ウルトラマン二世(帰ってきたウルトラマン) が帰還した後の地球に出現した新たなる敵「異次元人ヤプール」と、異次元人ヤプールが送りだす超獣と戦うウルトラマンAおよびTACチームの活躍を描く。
ウルトラシリーズ初の男女合体変身、作品全体を通しての悪役ヤプールの存在など、当時としては画期的な試みがいくつもなされた。後年に続く「ウルトラファミリー」や「ウルトラサイン」の概念ができたのも、この作品からである。
さらに、これ以降の作品、および主役ヒーローには全て「ウルトラマン○○」という名が付き、「ウルトラマン+固有名称」を言う形を決定づけた。
北斗と南による男女合体変身は市川森一氏の提案した『ウルトラハンター』からの、超獣や製造機の設定は田口成光氏の『ウルトラV』、ウルトラ5兄弟の一人という設定は上原正三氏の『ウルトラファイター』からそれぞれ取り入れられた。
そして、ウルトラV段階では『サタン星人』、ウルトラハンター段階では『仮面ライダー』のショッカーの組織性を取り入れた『アンドロ宇宙軍団』だった敵勢力は後述の企画「ウルトラA」に移行する際にヤプール人の設定に纏まった。マッドサイエンティストの竹中博士がマシンで怪獣を操るという案もあったが、マシンで怪獣を操るという発想は1975年に『メカゴジラの逆襲』のチタノザウルス、2007年に『大怪獣バトル』という形で実現している。
(出典:『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』(デアゴスティーニ/2009〜2011)『トピックインフォメーション SERIES5「ウルトラマンA」SHEET01』より)
また『A』の設定やヤプールや超獣の名前など、随所にキリスト教からの引用が見られるのも当作品の特徴。これは脚本家の市川森一氏が熱心なクリスチャンであったことに由来する。(それ以前の作品では『ウルトラセブン』に登場した月怪獣ペテロが該当する)
一方で、南夕子役の関かおり氏が足の怪我により降板し、星光子氏がその枠に収まるなどアクシデントにも見舞われた他、先述した男女合体変身が物語の中盤でオミット、ヤプールも中盤から活動が休止し、復帰は最終盤になるなど意欲的な要素も次第に控えめになっていった。
OPではツインテール、アーストロン、バルタン星人、ゴモラ、レッドキング、シーゴラス、ガラモン、ベムスターが登場しているが、作中で実際に登場する『怪獣』はウー(2代目)、ムルチ(2代目)のみである(幼稚園版ではシーゴラスが登場)。
なお、初期のタイトルは「ウルトラA」であるが、商標の関係で変更となった。
*詳細は当該項目を参照。
物語
異次元人ヤプールが地球侵略を開始。超獣兵器第1号ベロクロンは広島県福山市を襲撃し、口から吐く火炎やミサイルで町を壊滅状態にした。直ちに出撃した地球防衛軍だったが、圧倒的な強さを誇るベロクロンの前に全滅させられた。パン屋の運転手・北斗星司と看護師の南夕子は、ベロクロンから人々から守ろうとして命を落とした。ヤプールの地球侵略を阻止すべく、M78星雲から派遣されたウルトラ5番目の兄弟ウルトラマンエースは、北斗と夕子に大いなる力と称して自分の命とウルトラリングを授けた。
やがて、北斗と夕子は超獣攻撃隊TACに入隊。ウルトラリングの光るとき、2人はウルトラタッチによってエースに合体変身するのである。
登場人物
本作の主人公。
*詳細は当該項目を参照。
*詳細は当該項目を参照。
竜五郎隊長
山中一郎隊員
吉村公三隊員
今野勉隊員
美川のり子隊員
梶洋一主任
高倉司令官
*詳細はTACの項目を参照。
梅津ダン(演:梅津昭典)
第29話から登場する少年。北斗と同じアパートに住んでいる。
超獣ギタギタンガによって父親を殺され、姉の香代子と共に生活を送っている。
ギタギタンガを操る地底人・アングラモンの弱点をエースに教えたり、黒い彗星が現れて超獣が出現する事を予測するなど、エース=北斗を助けている。その為、ウルトラの星が見えるようになり、自分の事を「ウルトラ6番目の弟」と言っている。なお登場は姉共々第43話までであり、次回作のウルトラマンが6番目の弟だったので、度々扱いに突っ込まれる。
登場は長坂秀佳の提案によるもの(出典:『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』(デアゴスティーニ/2009〜2011)『トピックインフォメーション SERIES5「ウルトラマンA」SHEET08』より)。
梅津香代子(演:宮野リエ)
第29話から登場するダンの姉。ギタギタンガによって父を殺され、ダンと共に生活を送っている。第39話では、叔父の梅津三郎の登場で、「身寄りがあって嬉しい」と、喜ぶが、三郎の正体がファイヤー星人だと知ると、愕然として泣いてしまった。だが、自分たちには北斗がいる・・・と安心している。
*詳細は当該項目を参照。
放送リストと登場する怪獣、超獣、宇宙人
詳細はA怪獣を参照。
楽曲について
- ウルトラマンエース
作詞:東京一/作曲・編曲:葵まさひこ/歌:ハニー・ナイツ、みすず児童合唱団
OP主題歌。第38話では劇中で子供達が歌っている(これでは正体が知れ渡っているも同然なのだが…歌詞は気にするな!)。
CDなどでは「戦え 戦え ウルトラマンA 宇宙のエース」なのだが、TV放送版はその前に「いざゆけ いざゆけ ウルトラマンA 僕らのエース」が入る、とサビにそれぞれ違いがある。
また、OPの影絵に登場した怪獣達は本編に一切登場しなかった。ウルトラA版も存在しており、『ウルトラマン レジェンド・ソング・コレクション』に収録されている。
ちなみに、一部の話ではボーカルショップが歌っている朝日ソノラマ収録のカヴァー版が選曲。
挿入歌/その他
- TACの歌
作詞:東京一/作曲・編曲:冬木透/歌:ハニー・ナイツ、みすず児童合唱団
いわゆるこの作品におけるワンダバ。劇中ではインストゥルメンタル版が主に使用された。
第37話の戦闘シーンでは間奏までの部分がフルコーラスで使用された。
- TACのワンダバ一週間
作詞:東京一/作曲・編曲:冬木透/歌:エース・メンネン・コール
インストゥルメンタルでは3コーラスまでで、ボーカルでは曲の終わりが異なるバージョンもある。
作中では使用されず、レコードなどの収録も放送から遅れて1979年になってから。
- ぼくらのウルトラマンA
作詞:東京一/作曲・編曲:冬木透/歌:森の木児童合唱団と水木一郎
エースの戦闘BGMに主題歌の歌詞を付けたもの。
曲中の鳴き声はバキシム、ギロン人、サボテンダー(さぼてん超獣サボテンダー)の物。
- ぼくらのウルトラマン
作詞:谷のぼる/作曲:谷のぼる/歌:ささきいさお
ウルトラビッグファイト「ウルトラ戦士スーパーミュージック」ではウルトラマンAの曲として収録された。
元々は悪名高いあの映画の主題歌である。
余談
『ウルトラマンティガ』の主人公・マドカ・ダイゴ役を演じた長野博は自信が好きなウルトラマンは『ウルトラマンA』で雑誌やテレビで度々強い愛着を語っている。また、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』ではウルトラマンエースを演じた高峰圭二と共演した。
南夕子役だった星光子は第28話の脚本が渡されるまで自身が降板させられていた事を知らず、台本を見てショックを受けた。
当初、夕子を演じる予定だった関かおりは第7、8話に山中隊員の婚約者としてゲスト出演している。
また、替え歌に定評(?)があり、第2話ではロシア民謡の「一週間」、第23話ではハナ肇とクレージーキャッツの楽曲「学生節」の替え歌が披露されている。
「一週間」の歌詞は前述の「ワンダバ一週間」に対応しているが、皮肉にもそちらで休めるはずの日曜日の直前に緊急通報が入ってしまった。
第11話では平田隆夫とセルスターズ「ハチのムサシは死んだのさ」をサイクリング部の女子大生達が口ずさんでいる。
ちなみにコミカライズはなんと8人もの作家が担当している。
『ウルトラマンオフィシャルデータファイル』(デアゴスティーニ/2009〜2011)『トピックインフォメーション SERIES5「ウルトラマンA」SHEET10』の頂によると担当していた漫画家は次の通り。
- 久松文雄(よいこ/幼稚園版)
- 森義一(中城先生の後任として小学一年生版を担当)
- 中城けんたろう(小学一年生版)
- 内山まもる(小学二年生版)
- 林ひさお(小学三年生/小学館BOOK版/第4話での久里虫太郎の漫画も担当)
- 斎藤ゆずる(小学四年生版)
- 森藤よしひろ(小学五年生版/小学六年生版)
- 蛭田充(別冊少年サンデー版)
主なゲスト出演者
幸田宗丸(第1話)
畠山麦 (第2話、第49話)※第2話はノンクレジット。
小林昭二(第6話)
岩崎和子⇒前作に登場した村野ルミ子として第10話に登場。
団次郎⇒前作の主人公・郷秀樹。ウルトラの星に帰ったはずだが……?第10話に登場。
桜木健一(第12話)※特別出演
近藤正臣(第12話)※特別出演
赤塚真人(第12話)※ノンクレジット⇒『仮面ライダーBLACKRX』でレギュラー。(南光太郎の叔父・佐原俊吉役)
中田喜子(第44話)⇒『仮面ライダー』(ヨッコ役)『渡る世間は鬼ばかり』(高橋[岡倉]文子役)でレギュラー。
辻村真人(第50話)
名台詞
優しさを失わないでくれ。弱い者をいたわり、互いに助け合い、どこの国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようと。それが私の最後の願いだ (第52話「明日のエースは君だ!」より)。
『ウルトラマンメビウス』第44話「においても、心無い地球人に散々虐げられたヒビノ・ミライ(ウルトラマンメビウス)に対して、同じ言葉を語りかけているが最後の部分が「それが私の、変わらぬ願いだ」に変わっている。なお、エースの声だった納谷悟朗氏ではなく、北斗役の高峰圭二自らがこの言葉を発している(監督に「あの言葉を言わせてほしい」と直訴した、と高峰がインタビューで述べている)。
関連イラスト
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全予告集
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帰ってきたウルトラマン←前作 次作→ウルトラマンタロウ
岡山県:第15話と第16話はこの県でロケーションが行われた。