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ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団

うるとらろくきょうだいたいかいじゅうぐんだん

1974年にタイで制作・公開された円谷プロ、チャイヨー・プロダクション合作の劇場映画。日本では1979年に公開された。
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概要

仏像泥棒に殺害された、(タイ基準では)の優しい少年コチャンが、ウルトラの母の手によって、インドの神話に登場する神『白猿ハヌマーン』として蘇り、ウルトラ6兄弟と共にタイ国に出現した怪獣軍団と戦うという筋書き。
原題は『ハヌマーンと7人のウルトラマン』。

6兄弟がメインなのに7人となっている理由は、ウルトラの母も含まれていることに加え、タイ語では「6」の発音が「転ぶ」という単語と同じであまり縁起の悪い数字とみているため、縁起をかついで「7人」としている。

当時の円谷プロの特撮技術の粋をこらして作られた、大迫力の特撮が魅力。
その一方、仏教に忠実に生きることこそが正義として描かれている(実際、タイでは飛行機などの座席にファーストクラスより上の僧侶クラスがあるなど、かなり仏教を厚く信仰している)ゆえに仏像泥棒に凄惨な報復を加えるのも、他のウルトラシリーズにはない特徴である。
ウルトラシリーズ随一の奇作とも言える。
ウルトラ戦士の描写が、豪華ではあるものの大雑把なあたり、若干海賊版くさい雰囲気すらある。

3代目円谷プロ社長円谷皐氏が単にチャイヨー・プロダクションの人間と仲がいいことから始まったこの企画だが、あまりきちんと契約などを確認していなかったことが徒となり、結果的に後に円谷プロを長きに渡って苦しめる、ウルトラシリーズの海外展開権を巡る裁判の発端ともなった作品である。

映像ソフト

日本では1980年代にVHSレーザーディスク版が発売されており、90年代までは普通に流通していたが、ウルトラマンの著作権を巡る訴訟で円谷プロチャイヨープロの関係が悪化した結果、DVDなどの映像ソフト化はされていない。

一方、タイでは日本とは対照的にDVD等が今日に至るまで発売されている。

あらすじ

ブッダを敬う心優しい少年コチャンは、いつにもまして激しい高気温と乾燥がタイ王国を襲う中、仲間の少年達と共に、貧しいながらも楽しく生きていた。
ある日彼は、仏像泥棒に遭遇する。を持った泥棒達を、無謀にも彼は追いかけ、ついには射殺されてしまう。

しかし、幼いながらもブッダを敬い、仏教の教えに殉じた彼を、ウルトラの母が見ていた。
彼女はコチャンの遺体をウルトラの国へと持ち帰り、白猿ハヌマーンとして蘇らせる。
こうしてハヌマーンの力を手に入れたコチャンは、仏像泥棒と戦い、さらには地を焼き尽くさんばかりの光を放つ太陽と交渉し、タイ王国を救っていく。

一方、乾燥と高気温に対抗するため、ヴィルッド博士率いる研究者達は、人工降雨ロケット発射計画を進めていた。だが、無茶な進行を続けた結果、何と、地の底に眠る大怪獣達を目覚めさせてしまう……。

ハヌマーン


ハヌマーン



CV:二又一成
風神ラマヤーナの子で、タイの人々の心に勇者として深く根付いている、神話上の英雄。ハヌマーンの項に詳しいが、今作の彼は、本来の神話の設定とはいささか剥離している。
ラマヤーナの生んだ風を吸い込んだ女神サワハが生んだ。
1万年以上世界(=タイ)を守り続けてきた。

コチャンは、ウルトラの母によって彼と一体化した。

見た目は、神話に出てくるようなデザインの白い。沖縄のシーサー像にも通じる意匠が含まれている。
常に踊っているか体を掻いているかしており、落ち着きがない。ウルトラ戦士達との別れの際にも、自慢の踊りを披露していた。

ハヌマーンを模した踊りをコチャンが踊るうちに、仏のような後光が指して変身する。
その際にはなぜかセブンのテーマが流れる。

勇敢で心優しい性格で、5体の怪獣軍団にも果敢に立ち向かったり、倒れた子供のために秘薬であるサングロテトリチャナーの花を捜し求めたりする。
一方、仏教の下の正義に基づいて行動しているため、その教えを破るものに対しては厳格。仏像泥棒相手には、必死に命乞いをしているにも拘らず、惨殺でもって対応した。ウルトラシリーズ史上、積極的に人間を殺した巨大ヒーロー(≠悪役)は彼が唯一である。
日本版ではまだ描写が抑制されており、タイ版はこの惨殺シーンはさらに残虐。
これは、タイでは、仏像を盗むことが仏への最大の侮辱つまり悪事であるという価値観があるためであり、かなり容赦のない惨殺振りが見られる。
また、泥棒や怪獣を倒すときには、明らかに楽しんで相手を殺している残酷さが見られる。

能力

トライデント
メイン武器。(サイ)状の武器。に変化することもできるが、切れ味は悪く、斬撃というよりは殴打に徹する。相手の肉を吹き飛ばして骨だけにしてしまう不思議な風や、ヴァーチカルギロチンのような切断光線を出すことが可能。

飛行能力
の字を全身で表現したダイナミックなポーズで飛行する。ダンシングシヴァのような外見でもある。太陽神に直談判をするために、太陽の近くまで飛行したこともある。

尻尾
尻尾はどこまでも伸びる。神出鬼没のサングロテトリチャナーの花を捕まえるために使用したが、その様子はもはや触手プレイ

その他
近接戦闘では、ムエタイを用いた技を多く使う。
また、風に変身して、長距離を瞬間移動することも出来る。

活躍

ウルトラの国で変身したハヌマーンは、「卍」型ポーズで誇らしく飛行しながらタイに帰還し、バンコクらしき都市の上を飛び去っていった。

その後、コチャンの姿に戻ると仏像泥棒の前に現れ、彼らに然るべき報いを与える。
「逃げても無駄だ!仏様を奪った罪は重い!生かしてはおけぬ!!」
「お前達を殺してやる!」
「仏様を大切にしろ!大切にしない奴は死ぬべきなんだ!!」
「どうした? どこへいったぁ?」
「おお? ボクシングか。お前がその気なら相手になってやる!」
と、ヒーローらしからぬ物騒な言葉を発しながら楽しげに追い掛け回した末、次々と血祭りに上げた
おそらく、というか絶対、仏様はこういう展開を望んでいないはず

次に、コチャンを探すうちに熱射病で倒れてしまった少年アナンを、サングロテトリチャナーの花で救った彼は、タイを襲う異常気象の原因を、調子に乗って最近地球に近づきすぎている太陽の精スーリヤだと見抜き、太陽まで一気に飛行すると、遠ざかるよう彼に直談判(仏教世界観は天動説)。
「お前のために雨も降らないんだ!」
「地球から、もう少し遠ざかってくれ」
結果、太陽は地球から遠ざかり、干ばつの危機は回避された。

しかし、仏への敬意を失った愚かな科学者達の人工降雨ロケット計画の無茶な進行の結果、ロケット基地が大爆発し、地中から5体の怪獣軍団が襲来。
ハヌマーンは果敢に立ち向かうが、多勢に無勢、たちまち劣勢に陥ってしまう。
だが、ウルトラ6兄弟が救援に駆けつけたことで反撃に転じ、今作最大の見せ場にして問題点であるウルトラリンチの幕を開ける。

登場人物

コチャン
本作の主人公。ハヌマーンを信仰している子供達のリーダー格。
3人組の仏像泥棒に殺されてしまったが、ウルトラの母によって白猿ハヌマーンとして蘇った。
彼が射殺される際の絶叫はトラウマもの。

アナン
原典での発音はアナンダ。マリサーの妹で、コチャンを慕う心優しい少年。ハヌマーンをコチャンだと信じて必死に追いかけるうちに熱射病になってしまった。

マリサー
金髪の魔法使いとは関係ない。アナンので、ヴィルッド博士の助手。科学を過信するヴィルッドに不信感を抱いており、仏への敬意を忘れていない。

ヴィルッド博士
ドーナ第7ロケット基地でタイ国を干ばつから救うべく人工降雨ロケットを開発した科学者。
科学を過信するあまり、指揮官の「実験中止」という通達を聞き入れず、基地を怪獣軍団に破壊された末に発狂してしまう。
が、その後改心し、続編のハヌマーンと5人の仮面ライダーにも登場した。

シープアク&シースリヤー
ドーナ第7ロケット基地の職員。
日本版のナレーション曰く「優秀な操縦士」とのこと。
その割には遊泳禁止のではしゃいだり、怪獣軍団の襲撃には落ち着きが無くひたすら右往左往する等、やや間抜けな印象。しかも吹き替えはなぜか関西弁
ウルトラマンタロウZATの隊員服を着用。ヘルメットはミラーマンSGMの物を流用している。

3人組の仏像泥棒
仏像を取り返そうとするコチャンを射殺するも、その代償としてハヌマーンから報復を受ける羽目になった。
一人は踏み潰され、もう一人は大木の下敷きに、最後の一人もハヌマーンの手で握り潰された。
続編の「ハヌマーンと5人の仮面ライダー」にも登場する。


M78星雲

ウルトラ6兄弟ゾフィーマンセブン帰マンエースタロウ
M78星雲でウルトラの母と共にコチャンの復活を見届る。
終盤では苦戦するハヌマーンの救援に駆けつけた。
アクロバティックな動きで怪獣軍団を圧倒するが、いささかその行いが、日本のウルトラシリーズに比べて残酷。また、光線技を使う際の手の組み方がかなり適当。

ウルトラの母
コチャンの遺体をM78星雲へ運び、新たな命を与えた張本人。コチャンの遺体を連れ去るシーンは明らかに悪役のそれ。


怪獣

ウルトラ怪獣擬人化漫画


ゴモラ
タイラント
アストロモンス
ダストパン 
ドロボン の5体が登場。

チャイヨープロの社長は、タイでは水牛の姿をした妖怪の言い伝えが有名である為、国民に馴染みがある事を考慮し、水牛と似た角をしたゴモラを怪獣のボスに指定した。
しかし他の怪獣は適当に選んだだけだという。宇宙人出身のドロボンや、タイラント、『ミラーマン』の怪獣であるダストパンが混ざっているのはその為。

備考

ウルトラマン超闘士激伝』では、タイラント・アストロモンス・ドロボンが同時に商品化された事がある。
彼らは漫画版で「ゴモラの昔の仲間」という設定で登場しており、更に商品化されていないダストパンもさりげなく混ざっている(但し唯一台詞がない)。
また、OVAでは謎の隕石(怪彗星ツイフォン)の目撃者としてコチャンが登場する。(ハヌマーンには変身しないが、ハヌマーンに似た模様の服を着ている)
当時はまだ映画自体が黒歴史になっていなかったのである。

作品が封印扱いになったことに対して、本作の監督である東條昭平や特技監督の佐川和夫らは特に思い入れがないと語っている。というのも、本家円谷プロの特撮のようにドラマ仕立ての特撮ではなく、ただ延々戦っていればいいという要望だったため。(加えてチャイヨー側がとにかく安く仕上げさせようとした上に、やたら注文は多かった模様)
唯一、東條は冒頭の太陽の特撮(中華鍋をガスバーナーで熱して、その上に耐熱ガラスを敷いて撮った)は苦心しただけあって印象に残ったとのこと。

関連タグ

ハヌマーンと5人の仮面ライダー 続編。
円谷プロ ウルトラシリーズ
チャイヨー・プロダクション 鬼畜ヒーローシリーズ

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