概要
インドで絶大な人気を誇る叙事詩「ラーマーヤナ」に登場するラークシャサ(羅刹)の一人。
魔王ラーヴァナの弟。
山のような巨体を持ち、立ち上がった姿を見ただけで戦士であろうとも逃げ出す程の恐ろしい風貌だが、性根は穏やか。
他の兄弟共々苦行に励み、それを認めたブラフマー神が彼らの前に現れ、願いを叶えると言った。
クンバカルナはインドラ神の王座が欲しいと言おうとしていたが、これを恐れたインドラは、智慧の女神サラスワティに頼み込んで、クンバカルナの舌に取り付いて「インドラ」ではなく「ニドラ(眠るためのベッド)」と言うように仕向けた。
これを聞いたブラフマーは、クンバカルナに一生の眠りを与えようとした。
しかし、ラーヴァナがそれでは死んでいるのと変わらないと訴え、6ヶ月間眠り、1日だけ覚めるようになった。
ラーヴァナ軍とラーマ軍の戦争が起きた時、ラーヴァナは次々と臣下が殺されていくことに怒り、6ヶ月経っていないクンバカルナを無理矢理目覚めさせるよう命令した。
クンバカルナは耳元で楽団が演奏しても、全身を槍で突かれても一向に目覚めない。
一万頭のゾウがクンバカルナの体に乗り大暴れすると、その心地よさで目覚めた(実写ドラマ版では料理の匂いで目覚めさせている)。
目覚めたクンバカルナはまずその理由を問うたが、兄ラーヴァナがラーマの妃シーターを誘拐したために戦争が起きたと知ると、兄に対して間違っていると訴えた。
しかしラーヴァナの意思は変わらず、クンバカルナは出陣することを決意する。
その時、ラーヴァナに「自分が一人で戦う。もしも自分が殺されたならば、もはや兄者の軍にラーマ軍に敵う者はいない。だから降参して欲しい」と頼んだ。
クンバカルナの弟ヴィビーシャナは、ラーヴァナによって追い出され、ラーマ軍に付いていた。
ヴィビーシャナはクンバカルナを説得しようとするが、クンバカルナは自分が兄のためならば命を捨てでも戦う事が自分のダルマ(法)だと伝えた。
戦闘が始まると、クンバカルナは大きな足で踏み潰したり、口から強風を吹いたりしてラーマ軍に甚大な被害を与えた。
ハヌマーンが大きな岩を投げつけても全く動じることはなかった。
猿王スグリーヴァが挑んで来ても、容易く彼を気絶させた。
スグリーヴァを捕らえて捕虜にしようとしたが、ラーマの矢を受けて落とす。
そして、ラーマが次々と放つ風の矢、インドラの矢、ブラフマーの矢に両腕を撃ち落とされ、最期には首が飛び、絶命した。
兄弟で敵味方に別れようとも勇敢に戦ったクンバカルナをラーマも賞賛した。
クンバカルナ戦死の報には流石のラーヴァナも衝撃を受け、戦意を失いかけるが、インドラジットを始めとする息子たちに励まされ、戦意を取り戻した。