概要
合体する怪獣、もしくは複数の怪獣が合体して生まれた怪獣。合体素材となった怪獣の部位や能力を兼ね備えていることが多い。
特撮番組ではお祭り回や映画、最終回近辺で登場することが多く、今までの怪獣の様々な技を取り込んでヒーローや地球人を苦しめる。
数多くの怪獣が合体しているだけあり、それぞれの弱点を各々の怪獣の要素が補い合ったり、互いの長所を伸ばし合ったりする為に極めて戦闘力が高く、場合によっては特殊な武器や戦闘力の高いウルトラマンが挑まなければ歯が立たないケースが多い。
過去にウルトラマン達に倒された怪獣の怨念などが合体する事で生まれることもある。
例外としてキングオブモンスは最初から1つの怪獣としての存在で、後天的に2体の怪獣が分離するという形になっている。
なお1番多くの怪獣が合体した究極の合体怪獣がベリュドラで、善悪、生物、ロボットに限らず200体以上のウルトラ怪獣を取り込んでいる。
便利な設定のため、オリジナル怪獣が二次創作されやすい。
歴史
合体怪獣の起源については定かではないが、古くはキマイラや東洋龍などの合成獣に遡る。
彼らが伝承されていた地域で季節や強さといった何らかの概念を象徴する生き物が合成されてそうした合成獣が誕生していった。この時点で合体怪獣の基本ノウハウは存在していたわけだ。
そして昭和時代に日本に『怪獣映画』の文化が根付き、怪獣の数もある程度増えてきた時の事。
1967年に光文社から発行された月刊誌『少年』8月号の怪獣マガジンにて恐らく世界最初の『怪獣の寄せ集め』という意味での合体怪獣が登場する。その合体怪獣というのが版権の垣根を超えた凄まじい超生命体であった(※1)。
それと同時期に販売された『怪獣大全集(1)円谷怪獣のひみつ ゴジラからゴロザウルスまで』(ノーベル書房刊/復刊版は復刊ドットコムより刊行)ではこれが「世界ナンバーワンの最強怪獣だ!」と題して円谷英二監督が手掛けた怪獣を合成した怪獣が考案された(※2)。
しかしながら、本家本元の作品にてこれまでに登場した怪獣を合体させるという発想は登場していなかった(特撮黎明期にシンプルなデザインを好む成田亨氏が現役だったという事情もあるのだろう)。
そして1973年放送の『ウルトラマンA』第52話にてこれまでに登場した敵キャラのパーツを合成したジャンボキングが登場。『ウルトラマンT』でのタイラントの登場を経て以降のウルトラシリーズでは定番となった。
ジャンボキングの登場に先駆けること2年前の時点でライバル作品の『仮面ライダー』にはこれまでの怪人の長所を合わせたゲバコンドルという怪人が登場していたが、別にキメラというわけではなかった。とはいえ、『これまでの敵の長所を合わせる』という発想は今の合体怪獣ひいてはフュージョン系キャラになくてはならない要素の一つになっている。
こうして合体怪獣というカテゴリーは開拓されていったわけであるが、やはり登場は先駆者である『ウルトラシリーズ』に偏る傾向にあるようだ。
2023年、バンダイはシン・ユニバースロボなる、戦隊もののロボットのような姿の怪獣を発売(※3)。約50年前に児童誌が作った合成怪獣の系譜が、21世紀に復活した。
脚注
史上最強の怪獣(※1)
怪獣 | 出典 | 部位 | 備考 |
---|---|---|---|
ゴジラ | 『ゴジラ』 | 一番右の首 | |
ウルトラマン | 『ウルトラマン』 | 目 | ゴジラ部分に装着。ウルトラマンが入っているのは恐らく、当時は正義の怪獣として扱われていたからだろう |
キングギドラ | 『三大怪獣地球最大の決戦』 | 真ん中の首 | |
ラゴン | 『ウルトラマン』 | 首回りのヒレ | |
大魔神 | 『大魔神』 | 兜 | |
キングコング | 『キングコング』 | 一番左の頭 | 大魔神の兜を装着 |
レッドキング | 『ウルトラマン』 | 腕 | |
バルタン星人 | 『ウルトラマン』 | 鋏 | 腕を組めばスペシウム光線が撃てるらしい |
ガッパ | 『大巨獣ガッパ』 | 鱗 | ポケモンでいうさめはだの役割を果たすらしい |
ケムラー | 『ウルトラマン』 | 背びれ | 曰く毒霧を放つから採用したらしいが、ケムラーはそこから毒ガスは吐かない |
ラドン | 『空の大怪獣ラドン』 | 翼 | |
ガメラ | 『大怪獣ガメラ』 | 足 | |
ゴモラ | 『ウルトラマン』 | 尻尾 | |
ガンマー | 『悪魔くん』 | 無数の目 | ゴモラの尻尾に装着している |
史上最強の怪獣(※2)
怪獣 | 出典 | 部位 | 備考 |
---|---|---|---|
バラン | 『大怪獣バラン』 | 一番左の首 | |
ゴジラ | 『ゴジラ』 | 真ん中の首 | |
ジェロニモン | 『ウルトラマン』 | 一番右の首 | |
レッドキング | 『ウルトラマン』 | 両腕 | |
バルタン星人 | 『ウルトラマン』 | 左手のハサミ | |
エビラ | 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』 | 右手のハサミ | |
ゼットン | 『ウルトラマン』 | 胸 | |
モスラ | 『モスラ』 | 翅 | |
ドドンゴ | 『ウルトラマン』 | 足 | |
アントラー | 『ウルトラマン』 | 大顎 | 肩から生えている |
キングギドラ | 『三大怪獣地球最大の決戦』 | 尻尾 |
シン・ユニバースロボ(※3)
合成物 | 出典 | 部位 | 備考 |
---|---|---|---|
シン・ゴジラ第4形態 | 『シン・ゴジラ』 | 胴体、爪先、肩 | 肩の棘は、ゴジラの尾を真っ二つにしたもの。ゴジラの頭が主砲になっている |
エヴァンゲリオン初号機 | 『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』 | 左肩、左腕、左脚 | 胸部のシールドと左腕の盾はATフィールドのエフェクト |
シン・ウルトラマン | 『シン・ウルトラマン』 | 右肩、右腕、右脚 | 装備されている剣はスペシウム光線のエフェクト |
シン・仮面ライダー1号 | 『シン・仮面ライダー』 | 頭部 | 搭乗しているシン・サイクロン号が変形する |
著名な合体怪獣
「合体する怪獣」
- バルタン星人二代目 (『ウルトラマン』)※地球に出現した個体のみ
- キングジョー (『ウルトラセブン』)
- アリンドウ (『ウルトラマンタロウ』)
- キングパラダイ (『ウルトラマンレオ』)
- ダバラン、ジャゴン、ガミバ、ネオドストニー (『ザ☆ウルトラマン』)
- プラズマ&マイナズマ (『ウルトラマン80』)
- パワードバルタン星人1体目、パワードダダ (『ウルトラマンパワード』)
- ゴブニュ、キリエロイドⅡ、ガゾート、ガゾートII (『ウルトラマンティガ』)
- スフィア合成獣、マリキュラ、ゴッドジャギラ、ワンゼット (『ウルトラマンダイナ』)
- クイーンモネラ (『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』)
- クラブガン&アネモス、カイザードビシ、ガクゾム+バイアクヘー(ウルトラマンガイア)
- インキュラス、三面異次元人ギギ、ギリバネス (『ウルトラマンコスモス』)
- シーゴリアン (『ウルトラマンネオス』)
- ペドレオン(ウルトラマンネクサス)
- パワードダダ+キングジョーストレイジカスタム(『ウルトラマントリガー』)
- ザイラス、ビッグアイ、ペアモンスキング、ダストパン、サンガーニ、シャドウモンス、ボアザウルス、デッドキング (『ミラーマン』)※分離したものが寄り集まる怪獣の可能性もあり
- ダブルゴッド、デストロザウルス、グリーンギラー、ベムサキング (『ファイヤーマン』)
- ダンプコング、テロキング、ストーンキング、ダブルキラー、ゴールドドラゴン (『ジャンボーグA』)
- ボダロス (『恐竜大戦争アイゼンボーグ』)
- レッドスパーク、モグランダ、グロデガウロス (『流星人間ゾーン』)
- ドラット→キングギドラ (『ゴジラVSキングギドラ』)
- スーパーメカゴジラ (『ゴジラVSメカゴジラ』)
- MOGERA (『ゴジラVSスペースゴジラ』)
- デストロイア (『ゴジラVSデストロイア』)
- 合体巨烈獣 (『勇者ライディーン』)
- ツインボーグ (『未来ロボダルタニアス』)※例外もあり
- 宇宙怪獣合体型 (『トップをねらえ!』)
- スーパー邪悪獣 (『絶対無敵ライジンオー』)
- ギルターボ+エンジン王配下の機械化獣 (『熱血最強ゴウザウラー』)
- ライジン、ハクジャ、シュライクソーン (『パシフィック・リム:アップライジング』)
- ブラックジャイアント (『マグマ大使』)
- 巨大草人間 (『スペクトルマン』)
- ミズウォルム (『フラワーナイトガール』)※怪獣と言えるかどうかについては少し議論の余地がある
「合体した怪獣」
※1…明確に素材となった怪獣がいる訳ではない
※2…あくまでデザインのコンセプト上の合体怪獣で、物語本編中ベースとなる使徒そのものは登場していない
「分離したものが寄り集まる怪獣」
- バイラス (『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』)
- ユニタング、巨大ヤプール (『ウルトラマンA』)
- デモス (『ウルトラマンレオ』)
- アントロン (『ジャンボーグA』)
- アメーザ、オコリンボール、ファイヤードラコ (『ウルトラマン80』)
- バグジュエル (『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』)
- ゴーデス(第2形態) (『ウルトラマンG』)
- マグニア、メンジュラ (『ウルトラマンティガ』)
- ギアクーダ (『ウルトラマンダイナ』)
- グインジェ (『ウルトラマンコスモス』)
- 生物彗星 (『生物彗星WoO』)
- マンモスボスキート (『超星艦隊セイザーX』)
関連項目
男のロマン 強敵 死亡フラグ ラスボス 最強怪獣 オリジナル怪獣
合体怪人 合成獣 キメラ 合体四天王 フュージョン怪獣 ジョグレス進化
ゴルバー:トライキングに似ているため合体怪獣の可能性がある。もしそうなら、合体怪獣では史上4番目となる1話怪獣である。