「さあ、このゲームのクライマックスを飾るラスボスを紹介しよう……死と破壊の王、デストルドスだァァァァァッ!!!」
データ
別名 | 殲滅機甲獣 |
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英表記 | Annihilation Armor Monster DESTRUDOS |
身長 | 80m |
体重 | 6万t |
出現地 | 深間市近郊の山岳地帯 |
概要
第24話「滅亡への遊戯」、第25話(最終話)「遥かに輝く戦士たち」に登場。
セレブロ曰く「文明自滅ゲーム」のラスボス、「死と破壊の王」。
ウルトロイドゼロをベースに、複数の怪獣、その他ハルキから強奪(経緯が経緯であるだけにセレブロ自身としては「借りパクした相手から奪還した」という認識になるのだろうが)したベリアルメダルを始めとする大量の怪獣メダルが混ざり合った、超強力かつ醜悪な合体怪獣である。
容姿
構成怪獣
部位 | 元になった怪獣 |
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ボディのベース | ウルトロイドゼロ |
背中の角・背鰭 | アーストロン |
胴体 | クレッセント |
胸部 | マジャバ |
右肩・背中~尻尾の皮膚・両脚(脛・足首)* | レッドキングB |
左肩 | サタンビートル |
両腕 | バードン |
両脚(両腿) | ダンカン |
オリジナルの頭部からは複数のトゲや角が生え、左側頭部と右肩には縦に割れたウルトロイドゼロの顔の部品が残っている。
尻尾や両足首はレッドキングB、背中からはアーストロンの角が生え、そこから尻尾にかけての骨格はアーストロンの背鰭を彷彿とさせる。
胸部にはマジャバの顔とウルトロイドゼロのパイプ状パーツ、クレッセントの三日月模様があり、マジャバの顔は顎が左右非対称になっており、セレブロが取り憑いた人間と同様、顔を引きつらせて笑っているように見えなくもない。
両腕はバードンのような翼、左背面にはサタンビートルの腕、両足にはダンカンのトゲ、右背面からはハルキにとって戦いの何たるかを大きく考える切っ掛けを作ったレッドキングBの萎びた首が生えている。
また、怪獣メダルに描かれているイラストを見る限りでは、目はバラバのものとよく似ているが、これはヤプールに由来する技術が搭載されている影響とも解釈できる。さらには外見にこそ現れていないが、ウルトロイドゼロがペダニウムエンジンを動力源としていた事から、ペダン星人由来の技術も取り込まれている事になる。
悲鳴のような咆哮を発し、人によってはまるで合体している怪獣達の悲痛な叫び声のようにも聞こえる。
総括すると、ウルトロイドゼロの体をベースに様々な怪獣のパーツや骨格が不自然に寄り集まったような、非常に歪かつ禍々しい姿をしており、各種パーツも元の怪獣のパーツを(部位によっては言われないと分からないレベルまで)より凶悪にしたような造形になっているのも特徴。
従来の合体怪獣は怪獣達の長所と呼べる優れた部位で構成され、異形の中にもある種の「調和」や「美」があったのがほとんどだったが、それらとは対照的に、この怪物は逆にそれらの要素を一切無視し、「D4レイさえあればガワの見てくれなんかどうだっていい」とでも言わんばかりに怪獣達を無理矢理継ぎ合わせたフランケンシュタインの怪物の如き醜悪な姿となっている。
デザインを担当した楠健吾氏のtwitterでのコメントによると、「材料に使われた怪獣達は皆生命力を吸い取られて骨化・ミイラ化・異形化しているので、元の姿から大きくかけ離れちゃってる部分もアチコチに。」との事。
変身の描写や、顔や胸にあるウルトロイドゼロの顔の破片を見るに、ウルトロイドゼロの内部から突き破って出てきたようなデザインにも見える。
レッドキングBの首に至っては動く度に頭部がまるで亡霊のように前後左右にゆらゆら揺れ、不気味さに拍車をかけている(着ぐるみの構造上の問題、あるいは気味の悪さを演出するための意図的な構造の可能性もある)。
なお、見た目こそ完全に怪獣化してしまっているが、元がロボット兵器なのでコックピットがあり、そこで操縦される(デストルドス自身には恐らく固有の意思は存在しない)ため、分類としてはロボット怪獣(搭乗型怪獣)またはサイボーグ怪獣に当たると思われる。
しかし、そのコックピットの内部は多数の怪獣と融合した影響で操縦桿含め肉片や血管、皮膜に覆われてほとんど原形を留めておらず、内臓器官かと見紛うほどにグロテスクな様相を呈している他、外部からでは最早どこにあるのかすら分からなくなっている。
合体している怪獣の内、クレッセントはマイナスエネルギー、マジャバは農薬と農薬耐性害虫との吐血マラソンに関係した怪獣、レッドキングB(レッドキング二代目)、サタンビートル、ウルトロイドゼロは兵器開発と人間の負の象徴に関係した怪獣、バードン、マジャバ、レッドキングは過去に卵を守る姿が描かれた怪獣、ダンカンはウルトラ戦士を操った怪獣となっている。
セレブロのやっている事は「血を吐きながら続ける悲しいマラソンの強制」であり、それらと向き合ったセブン一門かつジードの後輩でもあるゼットの最後の相手という意味でも、『Z』のラスボスとしての要素は十分にあると言えるだろう。
戦闘能力
オーバーテクノロジーの塊であるウルトロイドゼロをベースにしている事や、数多くの怪獣を取り込んでいる事から、その戦闘能力は非常に高い。
ギルバリスやグリーザ、バラバといった今までの強豪怪獣と比べるとこれといった特殊能力は披露していないものの、この怪獣の恐ろしいところは特殊能力抜きでも恐ろしく戦闘力が高い点にある。
肉弾戦ではベータスマッシュ以上のパワーや重量級の巨大な体躯、さらにエネルギーを纏った両腕の鎌で敵を切り裂く「デストルドリーパー」で相手を圧倒し、主な武器として口から放つ破壊光線「デストルドブレス」、全身から放つ赤と青の電撃「デストルドサンダーブラスト」を使う他、機械的な武器として目から連射して放つ対空砲「デストルドファランクス」、全身のトゲを誘導弾として放つ「デストルドヘルファイヤ」で遠距離戦も難なくこなし、さらに最大最強の兵器として胸のマジャバの顔を砲口として放つD4レイの強化光線「デストルドD4レイ」を有している。
本体も非常に頑丈で、これまでどんな敵でも打ち破ることの出来なかったガンマイリュージョン(しかも、ティガとダイナのTDスペシャルとガイアが最終回で使用したフォトンストリームという、これまでのガンマイリュージョンの中でも一等威力の高い物)を喰らっても僅かに怯むだけで、逆に電撃で幻影をかき消している。
後にセレブロと直接融合してからは、体が多少損壊しても即座に復元できるようになった。
また、変貌により本体が頑丈になった為か、はたまたウルトロイドゼロの時点から改良が重ねられた結果か、D4レイ最大の欠点であった「機体とパイロットに大きな負荷がかかる」という問題点は、その使用後も本体が世界中で活動している事からおそらく解決していると考えられる(パイロットの負荷に関してはセレブロがヨウコの体を酷使していた可能性もあるが、救出後の状態を見る限り負荷がかかっていた可能性は極めて低い)。ようやく人類の兵器として使えるレベルに至ったD4レイであるが、完成した状態で人類に一度も使われぬまま名実ともに人類の脅威に成り果てるとは、なんとも皮肉である。
なお、この部分のみ他と比べると些か脆い様で、ヨウコ救出の際には割と簡単に潰されていた。これについては再生能力である程度カバーしているため再使用する分には不自由していない様子。
また、別の弱点として、チャージに時間がかかるため、駄目押しの連射ができない上にD4レイを打つタイミングが丸分かりな点と、撃つ事に集中するためか動きが最小限になり鈍くなる点が挙げられる。
もっとも、これらはセレブロも承知しているのか、他の攻撃で相手を追い詰め逃亡や防御をできなくした上でトドメとして使用するという戦法を基本的にとっているため、こうした弱点はセブンガーの参戦による不意打ちの場合を除いて実質的にあまり意味を成していない。
一方で、大量の怪獣と合体していながら、各々の怪獣のパーツを活かしたような攻撃方法や、融合した怪獣の必殺技を模倣したような技は見せておらず(せいぜい両腕の鎌を用いたデストルドリーパーとD4の強化版であるデストルドD4レイくらいか)、その辺りでこれまでの合体怪獣との差別化が図られていると言える。
これはそもそもセレブロの目的が「文明を、その文明が生み出した兵器を使って滅ぼす」と言うものであるためだと考えられる。つまり、怪獣ではなくウルトロイドゼロの力を使って地球を滅ぼさなければ(彼にとっては)意味がないのだ。取り込んだ多くの怪獣は、あくまでウルトロイドゼロという兵器を強化するためのエネルギー源でしかないのだろう。
それを証明するかのように最大の武器のデストルドD4レイは、コックピットで発射ボタンを押すという地球人が作ったロボットとしての発射方法のままである。
ただし、ヨウコをコックピットごと救出された後はどのように発射していたのかは不明である(まあこれは機体の制御そのものについても同じだが。或いはセレブロがデストルドスに寄生したことで「意志」を持ったからだろうか)。
こうした様々な怪獣の体を相性など完全度外視したスクラップのかき集めのような姿や能力は、上述のセレブロの内面を踏まえれば「自分以外の存在を『ゲーム』を進める為の駒としか見ていない」という彼の本性を体現したものとも言える(なお、彼の生み出したメツボロスとも共通する特徴であり、それをより禍々しくした形でもある)。
よってデストルドスは、怪獣達の尊厳や生命を冒涜するセレブロの悪意を形にしたような存在であり、これまでの合体怪獣とは全く異なるアイデンティティを持つバケモノ、といった総評が適しているだろう。
活躍
第24話「滅亡への遊戯」
ヨウコに寄生したセレブロが、ベリアルメダルを取り込ませたウルトロイドゼロを強奪して、各地の地球防衛軍の怪獣管理区域を襲撃し、そこに休眠していた怪獣達を次々に吸収していく。そして深間市近郊の山岳地帯に飛来、必死に卵を守っていたレッドキングBさえも吸収し、さらに行き掛けの駄賃とばかりに卵すら手に掛けようとしたが、間一髪のところでゼットが駆け付ける。
卵をゼットに守られたところでセレブロが大量の怪獣メダルをウルトロイドゼロに取り込ませ、これによって内部から殻を破るように変態し、そのままゼットとの戦闘を続行する。
アルファエッジの宇宙拳法を意にも介さず、ベータスマッシュを単純なパワー勝負で圧倒し、ガンマフューチャーのガンマイリュージョンによる最大威力の必殺光線さえも多少怯んだ程度で耐え切った上に拘束技を力づくで破り、さらに斬撃波の飛ばし合いで一方的に競り勝つ等、各タイプの持ち味を活かした攻撃をものともせずに終始優勢に戦いを進め、トドメに至近距離からの「デストルドD4レイ」発射を試み、ゼットのゼスティウム光線との撃ち合いをも制して撃破してしまった(この戦いで、ゼットはこれ以上変身するとハルキの身体を危険に晒してしまう程、深刻なダメージを負ってしまう)。
ゼットを倒した後、そのまま世界中の主要都市を攻撃。防衛軍の迎撃をものともせず、世界中に壊滅的な被害をもたらした。
もっとも、この時はデストルドス自身の圧倒的な力もさる事ながら、セレブロが直接寄生する事で実質ヨウコを人質に取っていたようなものであり、さらにコックピットの位置も不明なため速やかな救出は絶望的、おまけにデルタライズクローの変身に必要なベリアルメダルも取り込まれていた為に、この形態はもちろんベリアロクさえも使用不可能という、ゼットにとっても人類にとっても圧倒的に不利な状況だった。
このため、ヘビクラ=ジャグラー率いる旧ストレイジメンバーは、ストレイジ本部の奪還と、デストルドスの打倒及びヨウコの救出のために動き出す事になる。
最終話「遥かに輝く戦士たち」
世界各地で暴れ回り、各国の防衛軍の主要戦力を軒並み壊滅させた結果、残るはストレイジのみという後がない状況に陥れた。
その後、ヘビクラの「お膳立て」に乗る形で日本に襲来、キングジョーSCとウインダムと激突し、叩き落され地上戦に移行。
ユカが解析を試みるが、雑多に怪獣が融合した影響か温度配置が無茶苦茶であり、コクピットの特定は困難を極めた。
圧倒的な戦闘力でキングジョーとウインダムをダウンさせ、D4レイでトドメを刺そうとしたところでバコさんの駆るセブンガーの不意打ちの硬芯鉄拳弾を受けて転倒し不発に終わる。さらにそれによってコクピットの位置がD4レイ発射口の真後ろ、つまりウルトロイドゼロ本来の位置にある事を突き止められてしまう。
そこから特空機3体の猛攻を受け、セブンガーとウインダムに傷付けられたところでタンクモードになったキングジョーSCのペダニウム粒子砲が直撃、D4レイが破壊されてコクピットが露出する。
セブンガーとウインダムは機能停止に追い込んだものの、キングジョーに組み付かれ、そのまま空へと押し上げられる。その際にデストルドス自体の重量を利用しコクピットブロックを引き摺り出した事で、危機を悟りヨウコの体を抜け出したセレブロが融合(この時、怪獣との融合に使っていたベリアルメダルが弾き出されたらしく、これがヨウコを通じてハルキの手に渡ってしまう)。
そのまま地上に着地すると、デルタライズクローとなったゼットと最後の対決に臨む。
今回は最強形態のデルタライズクローが相手であったこともあり互角の戦いに持ち込まれるも、セレブロと直接融合したためか、合体元の怪獣達が持たないはずの再生能力を獲得していた事が判明。主砲を再生させてD4レイでトドメを刺そうとするが、自力で捨て身の突撃をしてきたベリアロクが突き刺さった事で暴発、失敗する。
それでもしぶとく再び主砲を再生し、暴発のダメージでオリジナルに戻ってしまったゼットに向かっていくが、ストレイジ隊員達の声援を受けて奮起し、再び立ち上がったゼットの予想外の猛攻の前に次第に追い詰められ、遂には左顔面に強力な一撃を喰らって殴り倒されてしまう。
最後の奥の手とばかりにD4レイを放ち、前回と同様にゼスティウム光線と競り合うも、ハルキとゼットが全力で放ったゼスティウム光線を前に完全に押し切られてしまい、最後は巨大なZの文字を描いて威力を倍増した渾身のゼスティウム光線をモロに喰らい、遂に爆発四散した。
その後、セレブロ本体は黒焦げになりながらも何とか逃げだしたが、ジャグラーに刀を突きつけられ、そのままカブラギとユカに発見され、捕獲された。
吸収された怪獣達は結局デストルドスと運命を共にする事となったが、歪なバケモノの一部としていつまでも生かされ続けるよりはよっぽどマシだったと言えるかもしれない。
地球防衛軍の対応
ウルトロイドゼロが勝手に、しかもヨウコ(に寄生したセレブロ)によって暴走させられる事は防衛軍側にとっては完全に想定外であり、ユウキ含む日本支部の上層部メンバーは突然の事態に驚愕していた。
なお、Twitterでの広報によれば、防衛軍としては暴走した挙げ句デストルドスに変貌してもなお、あくまで破壊ではなく奪還を計画しているとの事(ヨウコが内部にいるという事情もあるのだろうが、それ以上に恐らく一つしかないD4レイを失う事に強い抵抗があるという事情の方が強いと思われる)。それ故にむやみに攻撃ができないからか、上述の通り各国の防衛軍による一大反攻作戦は全て返り討ちに遭い、上述の通りストレイジを残して全滅する結果となっている。
その後の作品での登場
ウルトラマントリガー エピソードZ
本作にてまさかの復活。
ストレイジや怪研から脱走したセレブロの奥の手として、デストルドスの怪獣メダルが登場。カプセルトイの容器の様な特殊なケースからメダルを解放する事で、再びデストルドスに変身することが可能となった。このメダルの誕生経緯は不明だが、恐らく『Z』最終話で爆散したデストルドスの破片を回収したか、もしくはレッドキングやサタンビートルらといった元の素材から集め直して作った可能性が高く、それらはゼットとハルキの追跡から逃げる最中に収集したものと思われ、急場凌ぎで作ったからか切札であるD4レイを使っていない。
しかしながら再生怪獣とはいえ、驚異的な格闘能力は健在でイーヴィルトリガーとの戦闘に乱入する形で出現しアルファエッジ形態のゼットとトリガーダークの2人を終盤まで圧倒し続けたが、エタニティコアの力でグリッターの力を取り戻したトリガーにグリッターブレードで腹を斬られて怯んだ所を、GUTS-SELECTの射撃とゼットのデスシウムスラッシュ、ダークゼペリオン光線の一斉攻撃によって撃破された。
その後、生き残ったセレブロも後にヒマリ隊員によって回収された後に、ハルキによって再び『Z』世界へ連行された。
尚、このデストルドスを最後に怪獣の出現は確認されなくなり、この事件の7年後を舞台とする続編『ウルトラマンデッカー』でスフィアザウルスが現れるまで怪獣災害は途切れる事となり、変則的な形だが、奇しくも『トリガー』の物語においても「最後の怪獣」としての役割を担ったのだった。
今作のセレブロの協力者であるザビルの行っていた「最終的にトリガーの光を奪う」計画は、かつてウルトロイドゼロを最終的に強奪したセレブロの文明自滅ゲームと似通っている部分があり、何らかのシンパシーを感じて協力関係を結ぶきっかけになった可能性が高い。
一方で、ザビルが掲げた「地球は人類自らの手で守らなければ意味が無い」の台詞は、デストルドスの誕生経緯を考えると中々に痛烈な皮肉である。
ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ
年末年始のピックアップとして参戦。
合体怪獣チームを結成できるようになった。
ウルトラヒーローズEXPO2024ニューイヤーフェスティバル
ニューイヤーフェスティバル2021年とほぼ変わらない内容の本作では、グリムドに出番と役目を譲られる形で登場。
……なのだが、内容はほとんど変わらないため、思わずデストルドスに同情したくなる顔触れと戦う羽目に……。
余談
- 合体怪獣がラスボスとなるのは『ウルトラマンA』のジャンボキング以来47年ぶりであり、海外ウルトラマンの怪獣が合成されるのはベリュドラ以来である(外見に素材の要素が薄い点や元がウルトラマンである点などを考慮し、アトロシアスは合体怪獣には含まないとする)。
- 名前の由来は死や破壊への願望を意味する心理学用語「デストルドー」。緩やかに星の文明を破滅と死に導くセレブロを体現するネーミングとも言えるだろう。また、そのまま破壊を意味する「デストロイ」もかかっているかもしれない。
- ウルトロイドゼロがデストルドスへと変異するシーンは「ウルトロイドゼロの肩からサタンビートルとレッドキングのパーツが突き出し、顔にヒビが入る」→「コクピットが異形と化す」→「各パーツのアップが映された後、変身完了したデストルドスが逆光をバックに姿を現す」という形で表現されているため、実のところウルトロイドゼロがデストルドスに変貌するシーンは明確に映像化されてない。
- 故に、変貌後のウルトロイドゼロがどのような状態にあるのかは定かではないものの、体の至るところに配線が剥き出しになり、顔と肩に顔面のパーツの一部が引っ付いているような状態を見る限りでは、外装の殆どは失われてしまったと考えられる。一方、内部機構に関しては、コックピットを介して操縦が可能であることから、動力源や指令・エネルギーを全身に伝える機能は何らかの形で残されていたものと思われる。
- 怪獣の融合・合体には恐らくベリアルメダルの力が使われていると思われる(実際、セレブロは以前にもベリアルメダルを使ってベリアル融合獣にフュージョンしている)。このため、ある意味で『ウルトラマンジード』に登場したベリアル融合獣や、『ウルトラ銀河伝説』に登場したベリュドラに似た存在と言えなくもない。
- ただし、ベリアルメダルを失ってもデストルドスの肉体の維持や戦闘力にさしたる影響はなく、メダルは単に怪獣を合体させるための触媒のような働きしか担っていなかった模様である。
- 構成されている怪獣(特空機であるウルトロイドゼロを除く)は全て、昭和ウルトラマン特撮各作品+『G』から一種ずつ選び出されている。『A』からの怪獣のみ存在しないが、これはバラバを解析して作り出されたD4レイがその枠を担っていると思われる。
- レッドキングB…『ウルトラマン』
- ダンカン…『ウルトラセブン』
- アーストロン…『帰ってきたウルトラマン』
- バードン…『ウルトラマンタロウ』
- サタンビートル…『ウルトラマンレオ』
- クレッセント…『ウルトラマン80』
- マジャバ…『G』
- なお、この内半数以上(ダンカン、サタンビートル、クレッセント、マジャバ)が、初出以来一度も再登場していない怪獣達である。後にダンカンはこの前日譚として「セブンガーファイト」で登場し、別個体だがサタンビートルも同じくセブンガーファイトに登場したが。
- ちなみに、休眠中の怪獣を示すマップにはブラジルのサンパウロ辺りにもポイントが確認出来るが-、ここに何の怪獣が休眠していたのかは不明(後述のパワードレッドキングと判断するにしても、ギアナ高地からは距離が離れすぎている)。
- 放送に合わせて販売されたソフビはデザイン画を参考にして作られているらしく、一部の造形が実際のスーツとはやや異なっているが、その中でも特徴的な肩から突き出たレッドキングの頭はスーツとは殆ど別物のパワードレッドキングに近い形状をしている。
- デストルドスを構成する怪獣には海外作品が初出のマジャバも含まれていることから、デザイン画の段階ではレッドキングの頭はレッドキングBではなく、パワードレッドキングのものとして想定されていた可能性がある。
- しかし、デザインを担当した楠健吾氏にもパワードのレッドキングに近い造形になっている理由は分からないらしく、真相は不明である。ちなみに、当初は『ザ☆ウルトラマン』に登場するタフギランの頭がデザインに取り入れられる予定で、タフギランの顔+ダンカンの目+クレッセントの牙という構成だったが、「やっぱりオリジナルの顔にしましょう」という事で現在の形になった。しかしアニメの怪獣を立体化する機会はめったにないため「タフギランは入れておけばよかった」とも。
- この他にも、デザイン画の時点では右腕がボルケラー、背中の部分にゲラン、サラマンドラ、ブラックエンドの顔、尻尾にグドンの腕とズラスイマーのムチ腕になっていたが、たくさんの顔が付いているのは方向性が違うという事から却下となった。また、別名は最終怪獣となっていた。眼球は新たな目の表現を求めて、日食時の太陽のコロナをイメージしている
- ラスボスらしくシリアス一辺倒の怪獣だが、ベータスマッシュ戦のみ「突進してくるゼットをラリアットでカウンターする」「ゼットの挑発に負けて突っ込んだらドロップキックをくらう」等のベータスマッシュ特有のプロレスの空気だけは無視せず、完全にプロレスのノリになっていた。
- 防衛軍が開発したD4レイとウルトロイドゼロの武装を振りかざし、各国を攻撃したデストルドスは、主題歌の2番の歌詞にもあるように、まさに最後に立ちはだかる相手は、(歪んだ)正義の心で作られた力を振りかざし牙を向くヤツだった。
- コンセプトは「怪獣版のゲルニカ」。監督の田口清隆は「令和のタイラント」としている。当初は、タイラントのように胴部や手足といったパーツが綺麗に合体しているわけではなく、ぐちゃぐちゃになって「融合」しているようなイメージだったが、デザインを重ねていく内に比較的モチーフの怪獣が整然と付いているイメージになったという。
- 斜めにレッドキングの首が付いているのは、成田亨が描いたレッドキングのデザイン画が捻じれたような独特のポーズで斜めに描かれ、左右非対称の足となっていた事から、その歪さを出す事となった。当初はレッドキングのみが骨になっていたが、ファイブキングやベリアル融合獣などの近年の合体怪獣との差別化から、その考えを広げて全ての怪獣を骨にする事となった(また骨になった理由は『最強の死神』みたいにしたくて裏テーマがシーボーズだったため)。その他に、近年登場していないマニアックな怪獣として、ダンカンやマジャバを入れるものとなった。多くの怪獣のパーツで構成されているものの、目を引く部分である顔のみ、オリジナルのデザインとなった。
- 全世界の怪獣を吸収する場面は、田口のアメリカにいる友人に依頼して撮影した夜景の素材をデストルドスに合成させている。
- デストルドス登場時には特技監督として平成ゴジラシリーズを手掛けた川北紘一氏の名を取って「川北演出」とも呼ばれる、「逆光とスモークで怪獣のシルエットを浮かび上がらせる」演出がなされており、この演出は次回作の『ウルトラマントリガー』で度々用いられており、ウルトラマンやウルトラ怪獣の新たな見せ方となっている。
- 『全ウルトラマン大投票』では怪獣部門第53位を記録。結果全FINAL FANTASY総選挙で話題となったワッカと同じ順位であること、文字通り作中で人間が機械に甘えた結果出来た様々な意味で禁じられた機械であると話題になった。
- 当初、『ウルトラマンデッカー』に登場したスフィアジオモスの着ぐるみはデストルドスを改造する案もあったが「ちょっと難しいと思ったので、セグメゲルでもいいですか?」という確認を取って没になったため、今後使う頻度が少なく、二足歩行の恐竜体形だったセグメゲルが選ばれた(田口監督はそれを知って「改造しちゃったの!?オレ、気に入ってたのになあ」と惜しんだという)。
- 玩具は『ウルトラ怪獣シリーズ』で2020年12月12日発売。そして約2年2ヶ月後の2023年3月18日にまさかの『ウルトラ怪獣DX』で販売された。DXから定番枠への移行は(派生含め)度々あったものの、既に定番枠で発売された怪獣がDXで改めて販売される例はこれが初めてである。
- ちなみにDX版の方は、前述したレッドキングの頭の形状が実際のスーツの方に合わされている。
- 一作品のラスボスでありながら直近の系列作品に再登場する珍しいパターンであり、正式な続編の形ならばダークルギエルのような前例も存在するが、世界観の異なる作品への出演は非常に珍しく、ビクトルギエルやグリーザ、ルーゴサイトよりも早い約1年3ヶ月ぶりの再登場となった。
- 本作の予告の段階で一瞬ではあるが姿を見せており、ファンの間では「並行同位体か、それとも再生怪獣か」と、復活の真相について多くの意見が上がった。
- その一方で『ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突』にてウルトロイドゼロの並行同位体が登場している。おそらくセレブロに強奪されデストルドスと化す前の時間軸から調達されたと思われるが、ここから察するにタルタロスはセレブロの存在と暗躍を知っていた模様。
- 何にせよかなり早い段階での再登場だったのだが、今度は僅か7ヶ月で復活した邪神によって、この記録は塗り替えられる事になる。
- 続編『デッカー』にてスフィアが襲来する事態が起き、ファンからは「『F計画』に相当する事件が起きて、またしても人造ウルトラマンが出現するのでは?」と予想する声が多かったが、物語が進むにつれて実は新たなウルトラマンであるデッカーとディナスの力の源がテラノイドのそれと同じだった事が判明。結局、本世界オリジナルの人造ウルトラマンが現れなかった(見様によっては、共闘したイーヴィルトリガーがゼルガノイドのポジションを担ったとの解釈ができる)。
最弱のラスボス?
デストルドスの主武装であるD4レイは強力であるが、近年のラスボス怪獣と比較すると「能力の規模が小さい」として、一部の視聴者からは『最弱のラスボス』の汚名を押し付けられている。
確かに無理矢理脳が認識した『無』の化身、数多の星すら喰らい尽くす伝説の怪獣、暴走した宇宙の摂理の一端、生きとし生ける者全てを人形にし『停滞した世界』をもたらさんとした存在等々と比べると、遥かに各が下がる感が否めない。
仮にセレブロが自らが決めたルールを破り、素体にした怪獣の能力をフル活用した場合でも、実は能力の重複が激しく(怪力はアーストロンとレッドキング、熱線はアーストロンとクレッセント、サタンビートル、バードン、マジャバの3体はそろって毒)、唯一無二なのはダンカンの催眠術ぐらいの始末である。
ただし、上記の通りセレブロにとって素体にした怪獣達は、デストルドスのエネルギータンクとガワの一部に過ぎないため、歴代ラスボス怪獣の中では最もおぞましい存在なのも事実である。
同じコンセプトの合体怪獣
これまで過去のウルトラシリーズに登場した合体怪獣とは、デストルドスはそれぞれ何らかの接点もしくは共通点を持っている。
- タイラント:おそらく最も知名度が高い二代目合体怪獣。デストルドスも7体以上の合体怪獣(しかもパーツが異なるがレッドキングが使用されている)である点から、後述のファイブキングを「平成のタイラント」と称するならば、さしずめこちらは「令和のタイラント」と表現するファンもいる(ただし、タイラントとファイブキングは「登場した年号の怪獣を集めた」という点で共通しており、タイラントとデストルドスは「昭和の怪獣を集めた」という意味で共通している、という違いがある。後に田口監督のインタビューから「令和のタイラント」と公認された)。
- キングオブモンス:TDGの映画に登場した合体怪獣。ウルトラマンを超える存在を想定して人の手から作り出され(こちらはロボットではなく粘土細工と怪獣のソフビ人形)、ガンマフューチャーのフュージョン元となる3人のウルトラマンと戦った。また、出演作には怪獣単体での分離場面があり、その分離描写はウルトロイドゼロのようなパーツから浮き出る描写となっている。
- デーモンギラレス14世:先の映画の続編小説に登場した合体怪獣。前述のキングオブモンスと同様にウルトラマンを超える存在として作られた怪獣(こちらは模型)を軸に怪獣達の負の要素の化身である5体の怪獣が合体しており、TDGウルトラマン3人の光線技をも耐え切る強さを見せている。また、こちらも誕生の経緯には黒幕が関与しているという共通点もある。
- イズマエル:デストルドスのその禍々しいデザインがスペースビーストを連想させるからか、デストルドスを「令和のイズマエル」と表現するファンもいる。胸部パーツの顔が虫系怪獣である点も共通。ちなみに、ウルトロイドゼロの背中から突起物が生えて悪魔に姿を変えていく様はビースト・ザ・ワンを連想させるという声も。
- ファイブキング:黒幕が一体化して操った合体怪獣で、後に『Z』本編でも共演し、セレブロ自身が変身している。総集編にて黒幕が紹介された例えで「平成のタイラント」という異名を与えられており、上記の通りデストルドスも『Z』における黒幕(=セレブロ)が生み出した「令和のタイラント」と表現するファンもいる。
- ゼッパンドン:『Z』本編で共演。デストルドスの初登場話にも登場している。変身者はある意味セレブロにとっての先輩であり、最初に倒した戦士もゼットと同様先輩の力をお借りしない本来の姿でトドメを刺している。
- ヘルナラク:ゴンギルガンの後にできた作品で登場した合体怪獣でゴンギルガンで登場した怪獣達達が融合しておりある意味前述の「令和のタイラント」達の正統後継者と思われる。
関連タグ
セレブロ ウルトロイドゼロ レッドキング ダンカン アーストロン バードン サタンビートル クレッセント マジャバ
グルジオライデン:惑星O-50出身の女性が変身した大型の主砲を持つ怪獣で特空機の始祖になった存在。ウルトロイドゼロは一番人間に近い体型だったが、セレブロよって主砲を持つ怪獣に先祖返りしてしまった。
ゼルガノイド:人造ウルトラマンが敵の手に堕ち、改造されて人類の敵になってしまったという共通点を持つ。後日公式チャンネルで登場エピソードが配信されるなど、公式も意識している模様。また、ヘビクラ隊長ことジャグラーの闇に堕ちるきっかけとなった人物が戦った兵器でもあるなど、妙に接点が多い。
ビクトルギエル:同じく腐敗した地球軍が作った人類には過ぎた力から生み出された兵器が基になって生まれたラスボス怪獣繋がり。黒幕によってコックピットから操縦される点も共通している。ただしこちらは本来の意思が存在し、後に主導権を奪い返されている。
ハイブリッドアーマー:こちらは逆にラスボスを倒す側のTV版最終形態。やや仕組みこそ異なるものの、ウルトラマンと地球人に表面化しているものだけでない多くの怪獣の力の集合体という点が共通している。
グリーザ:上記のハイブリッドアーマーによって倒されたラスボス。防衛軍が保管している怪獣を取り込み最終形態へと強化変貌を遂げたという共通点がありながら、「取り込んだ怪獣の意匠は無いがその能力を行使できる」という点がデストルドスとは正反対である。後年にてオオタ・ユカが「強化経緯がデストルドスの時と同じ」と評していた。
ウーラー:前作の最終局面に登場した怪獣。こちらも存在が示唆された時期は物語の終盤になってからであった。
バイオス:ウルトラマンGに登場する怪獣。高度な知能を持つ宇宙植物が超高性能コンピューターと融合し誕生。デストルドスの侵食されてゆくコックピット内部を見て連想したファンも少なくは無いらしい。
デザストロ:名前が似ていなくもない怪獣。こちらは名前が出てきてかなり経つが、未だにどんな怪獣なのか不明のままである。
ゴルバー:次回作に登場する第1話怪獣。『Z』の物語は合体怪獣で幕を閉じ、『トリガー』の物語は合体怪獣で幕を開ける事となった。
グランドギドラ:初登場回の放送日と同じ映画完結編の公開日に見参したラスボス怪獣。主役を易々と一度撃退する強さが共通する。
カイザーギドラ:ゴジラシリーズ第28作『ゴジラ FINAL WARS』に登場するラスボス怪獣。当時はその存在が伏せられており、リアルタイムで映画を鑑賞した観客を大いに驚愕させた。ウルトロイドゼロと同じくとある形態から想像もつかない変貌を遂げており、特撮に精通したファンならデストルドスを見てこの怪獣を連想した者も多いかもしれない。
ネオキングビョーゲン:敵を取り込んで進化したラスボス繋がり。
ミゼルオーレギオン:『ダンボール戦機W』の追加シナリオに登場する真のラスボス。本来は人の手で作った究極ロボットを黒幕の手で乗っ取られ変貌した共通点がある。武器も対空砲撃のミサイル(デストルドヘルファイヤ)や胸部のエネルギー砲(D4レイ)など酷似したものが多い。
ガルバトロン:実写版トランスフォーマー『ロストエイジ』におけるラスボス役。 脅威である外敵を駆除しそれはを凌駕する最新式のロボットが最終的にその外敵に乗っ取られ、創造主を駆除する脅威となれた皮肉の立場を取った。胸部に搭載された最大の武器が特徴もある。
シン・ユニバースロボ:3年後に登場したロボット玩具でウルトラマン、汎用人型兵器、怪獣王、ヒーローが合体してイメージからこれを思い浮かべた人はいたはず。
ウルトラマントレギア/ウーラー→デストルドス→メガロゾーア