「あなたはだぁれ?」
データ
別名 | 合体魔王獣 |
---|---|
身長 | 60m |
体重 | 4万5千t |
出現地 | 北欧ルサールカの森林地帯(オーブ)、帝都山大学近辺(Z) |
概要
「ゼットンよ」
『ゼットン!』 「ゼットーン・・・」
「パンドンよ」
『パンドン』 「ガガァッ! ガガァッ!」
「お前達の力、頂くぞ!」
「超合体! ゼッパンドン!!」
『ウルトラマンオーブ』第16話「忘れられない場所」、第17話「復活の聖剣」に登場する新怪獣。
ジャグラスジャグラーがゼットンとパンドンのカードをダークリングにリードし、密かに回収していたマガオロチの尻尾へと力を送り込み能力を融合させて誕生した合体魔王獣。
胴体は黒い身体に胸部の発光体とゼットンそのものだが、長い突起の伸びる両肩から脚部、そして側頭部にかけてはパンドンのような赤い体表で覆われており、頭部にはそのどちらともマガオロチとも違うサメや深海魚を思わせる顔が付いている。
鳴き声もゼットンとパンドンの混合。ただし、鳴き声の違い(ゼットン特有の「ピポポ……」音やセリフじみた鳴き声)からゼットンの方がやたらと目立っており、「ゼットンの鳴き声にパンドンの鳴き声がアレンジされている」と言った方がニュアンスとしては近い。
名前こそゼットンとパンドンを合わせているが、純粋な両者2体の合体した姿ではなく上記の通りマガオロチをベースにしており、デザインを担当した楠健吾氏は、ゼッパンドンのデザインコンセプトについて自身のツイートで「ゼットンやパンドンのバリエーションの一つではなく、それぞれの意匠を使った新たな1体の怪獣としてこの世に送り出してあげたかった」と語っている。
マガオロチをベースとしてゼットンとパンドンという『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の2体のラスボスの力を併せ持っている上に、ジャグラーと一体化しているため、(バット星人と一体化したハイパーゼットンと同じく)本能のみに頼った戦いではなく、戦況を的確に判断して臨機応変に対応できる狡猾さをも併せ持つ強敵で、これらの能力を存分に発揮し、ギャラクトロンとの戦いで意気消沈していたオーブに襲い掛かり、とことん追い詰めた強敵である。
能力
ゼットンとパンドンの特徴的な能力を引き継いでおり、頭部の両脇にあるパンドンの口のような器官から発射する紫色の破壊光線や口から吐き出す超高温の火球『ゼッパンドン撃炎弾』で全てのものを粉砕する。
他にも瞬間移動能力で相手を翻弄し、顔の両側から前面に展開する六角形のバリア『ゼッパンドンシールド』(効果音は初代ウルトラマンのキャッチリングのもの)で相手の光線技を防ぐ。動体視力も抜群に高く、投げつけられたスペリオン光輪を口で銜えてキャッチするという離れ業も見せた(そして、そのまま光輪をバリバリと音を立てながら食べてしまった)。
もちろんマガオロチ譲りの防御力とパワーも健在で、パワーファイターであるバーンマイトやさらに強大な力を持つサンダーブレスターと殴り合っても一方的にパワー勝ちできたほど。
ついでに融合しているジャグラーの影響なのか、口に残ったエネルギー片を爪で掃除する、自分の拳を掴んで指を鳴らす(一見指がなさそうな手だがこのシーンをよく見るとちゃんと長い方の爪の付け根で曲がっており、指に相当する関節があることが分かる)、そして片手で手招きするように相手を挑発するなど人間的な動作が目立つ。
活躍
ルサールカを訪れていたオーブ=ガイの前に現れたジャグラーが、彼を闇に引き込もうと画策し出現させた。
スペシウムゼペリオンの放ったスペリオン光線をゼッパンドンシールドで防ぐだけでなく、スペリオン光輪を口で受け止めてそのまま食べてしまう。更にハリケーンスラッシュのオーブスラッガーランスすら全身の高熱で溶かして吸収、さらにマガ迅雷を彷彿とさせる稲妻状の光線としてエネルギーを跳ね返しダメージを与えた。バーンマイトのスワローキックも難なくかわし、ストビュームダイナマイトを受けても無傷だった。
こうして追い詰める事によりオーブに闇の力を使わせてサンダーブレスターに変身させようと目論んだが、結局逃げられてしまう。
その後、日本にて再度オーブと激突、目論み通りサンダーブレスターになったオーブに対してもゼットシウム光線をゼッパンドンシールドで防ぐなどして優位に立っていた(ただし決定打は与えられておらず、オーブはどちらかというと攻め手を欠いていたような状態だった)が、この時、既に闇を恐れなくなったオーブは完全に闇の力を制御できていた。加えてオーブが真の姿・オーブオリジンを取り戻した事で形勢は瞬く間に逆転。オーブグランドカリバーでゼッパンドンシールドを破られ、最後はオーブスプリームカリバーの直撃を喰らい爆散、消滅した。
ジャグラーはまたしてもオーブとの戦いに敗北を喫した上、戦いのダメージの影響でダークリングをも失ってしまい、悔しさと失望のあまり絶叫するのだった…。
劇場版
「さあ、クライマックスだ!」
「ゼットンさん!」
『ゼットン!』 「ゼットーン・・・」
「パンドンさん!」
『パンドン!』 「ガガァッ! ガガァッ!」
「超合体!ゼッパンドン!!」
その後、劇場版『絆の力、おかりします!』に再登場。ムルナウよりダークリングを奪い取ったジャグラーが超合体し、オーブトリニティを援護すべく参戦。
しかし、SSPの面々をガッツ星人ドッペルに人質にされた隙を突かれ、ヒッポリト星人カリストとテンペラー星人バチスタに背後から攻撃され敗北した。
ちなみにTV本編の時とは違う超合体の演出は必見。
ちなみにこの作品での登場のみマガオロチの力を使わず変身しているが詳細は不明。
ダークリングにマガオロチの力が残っていたか、備わっていたりでもしていたのだろうか(メタ的に言えば玩具版のシステム上の都合なのだが)。
ウルトラマンZ
『Hebikura Access Granted.』
「ゼットンさん、パンドンさん、マガオロチ」
『Zetton.』
『Pandon.』
『Maga-Orochi.』
「お待たせしました。闇の力、お借りします!」
『Zeppandon.』
- 第5話「ファースト・ジャグリング」に登場。
登場自体は児童誌などの情報からある程度判明してはいたが、第5話の予告映像では姿がなく、第5話での登場はほぼシークレットであった。
また、何気にオーブ関連作品以外で魔王獣が再登場するのは初である(それまでに登場したのは魔王獣の元になった怪獣であった)。
ジャグラー魔人態に変身したジャグラー/ヘビクラが、ナツカワ・ハルキから奪ったウルトラゼットライザーを媒介にし蛇心剣で生み出したダークゼットライザーと怪獣メダルを使って変身し、ペギラと交戦後のウルトラマンゼットと戦った。各能力を駆使してゼットを翻弄するが、最後はゼットランスアローによる必殺技・ゼットアイスアローを受けて撃破された。
かつて自身が吸収した事があるオーブスラッガーランスのリデコ品で倒されるのは、何とも皮肉である。
ただ、ゼットとの戦闘シーンをよく見ると、町や建物に被害が及はないように、ゼッパンドン撃炎弾をわざわざ至近距離から発射したり、ゼッパンドンシールドで防いだゼットの攻撃を空へ受け流したり、ゼットを建物が無い方へ吹っ飛ばしたりしている。また、ゼットが落としたゼットランスアローを拾いに行く際も、止めを刺す絶好のチャンスにもかかわらずゼットへの攻撃を中断し見逃している。
これらの事情から本気を出して戦っていたとは考えづらく、あくまでゼットの実力を探るのが目的だったのではないかという考察もある。建物の被害を抑えようとしたのも、無闇に被害が出ると所属している組織に(場合によっては現場を指揮・監督する立場である隊長である自分自身にも)責任の火の粉が及ぶため、それを避けるためだったのではないかという見方もある。
『オーブ』の時は回収したマガオロチの尻尾を蛇心剣の力で異空間に保存しておき、ゼットンとパンドンをカードから呼び出して融合したのに対し、今回は異空間から怪獣の力を呼び出してゼットン、パンドン、マガオロチの力をメダル化している。
変身バンクや掛け声は、『絆の力、おかりします!』のものを踏襲したものだが、何故かマガオロチだけ呼び捨てである(そのため、検索のサジェストで「ゼットンさん」と入れると「ゼットンさん パンドンさん マガオロチ」、「マガオロチ」と入れると「マガオロチ 呼び捨て」と表示されたりもした)。
“ウルトラ怪獣”という括りで見ると、他の二体はともかくマガオロチはジャグラーよりも後に登場したため「後輩」(あるいは同じ作品で初登場した「同期」)に当たるのが理由では?という考察もあったが、青柳氏曰く「台本では「マガオロチさん」だったのですが、『ウルトラマンオーブ』の際にジャグラー自身が生み出した思い入れのある怪獣だったので、監督と相談して呼び捨てにしました」とのこと(「マガオロチさん」バージョンも撮ってあったとか)。
- 第24話「滅亡への遊戯」
ゼットの前でジャグラーとしての正体を現したジャグラーが特空機4号ウルトロイドゼロを奪おうとしたところにそれを阻止せんと襲って来たセレブロのファイブキングに対して変身し合体怪獣同士の対決を演じることになった。
激しい戦いを繰り広げそこに活動限界間近のデルタライズクローのゼットも加わるもファイブキングによってゼットが倒されてしまう。しかしその隙をつき尻尾でファイブキングの腹部を貫き大ダメージを与える。セレブロからハルキを人質にされ脅迫を受け、最終的に合体怪獣同士の全力の激突を行った末に両者ともに爆散した。
余談
合体魔王獣という肩書から誤解されがちだが、このゼッパンドンの合体のために使われた怪獣カードはマガゼットンおよびマガパンドンのではなく、あくまで通常個体のゼットンとパンドンのものである。そのため、魔王獣としての要素はマガオロチの尻尾しかない。
ただ、初期のデザイン案では頭部の発光体がマガクリスタルと同じ赤色、胸部の発光体の色が青色であった。そのため、「当初はマガゼットンとマガパンドンを合体させる予定だったのではないか」とする推測もあり、もし、こちらの案が通っていたら、オーブカリバーがゼッパンドンの尾から生成される展開もより自然な流れになっていたと思われる(オーブカリバーはマガゼットンとの戦いで紛失した為。また、"オロチ"の尾から再生成されるという展開は言わずもがな、ヤマタノオロチのエピソードからだろう)。
第16話の監督を務めた市野龍一氏は、自身のツイートにて、6月末~7月の頭頃に北欧ロケを行ったと記しているが、この“北欧ロケ”とは、北欧のような景観の国内某所で撮影したということらしく、本当に北欧まで足を運んでロケを行ったというわけではない。
ちなみにオーブが過去にマガゼットンと、そして現代でゼッパンドンと戦ったルサールカというのは実際にある地名ではなく、本来は東欧地方に伝わる水の精霊を指す名称である。
ゼットンとパンドンの二体には初期のウルトラシリーズ(空想特撮シリーズ)においてのラスボスを務めた怪獣、炎の攻撃を使えると言う共通点がある(これにブラックエンドを加えると『ウルトラマンメビウス』に登場したマケット怪獣:ファイヤーウインダムになる)。
また、『スーパーヒーロー作戦』においても、この二匹はガイアセイバーズに倒されたのちにデビルガンダムに乗っ取られタッグを組んで登場する。
名前が名前なのでファンの間では漢字で『絶版丼』と呼称されている。実際、出版関係者からは(半ば冗談めいて)「縁起でもない名前だ」と言われたこともあったとか。
その後、放送時期の近い別のヒーロー特撮に「絶版」という台詞を多用する悪役が登場した事から彼と絡めたネタも散見される。
現時点では、登場したすべての作品においてジャグラーが何らかの手段で変身した姿として登場しており、魔王獣というよりかは、事実上ジャグラーの戦闘形態の1つのような扱いを受けている。
ある意味ではジャグラーのタイプチェンジの1つとも言えるかもしれない。
当初、劇場版『オーブ』でのジャグラーの変身バンクは、当初の予定にはなかったが、テレビシリーズで魔人態がゼッパンドンを召喚していたため、劇場版の製作発表の当日に青柳氏が監督の田口清隆氏にわがままを言ったことから実現したものとなった。
個人製作だがぬいぐるみが存在する。青柳氏を初め関係者も所有しているようだ。
関連タグ
ペダニウムゼットン ベムゼード…同じく片割れがゼットンのフュージョン怪獣。
ゼットンバルタン星人…片割れがゼットンでジャグラーが変身するフュージョン怪獣。事実上、タイプチェンジと言える。
ファイブキング…同じく「超合体」により誕生した合体怪獣。こちらも『Z』で登場した。