概要
魚の大まかな分類の一つ。
水深200m以深の深海の暗黒・高水圧・低水温・低酸素・貧栄養環境に適応した特殊な生態の魚を指す。
なお「深海魚」というカテゴリーはあくまで総称であるため、「スズキ目アジ科マアジ属」のような分類学的有効性はない。
厳しい環境に適応するために独自の進化を遂げた結果、一般にイメージされる普通の魚とはかけ離れた形態になった種が多く、なかなかにショッキングな姿をしたものも多い。
また近年の研究で「暗ければ浅い水深にも適応できる種がいるのではないか?」という可能性が検証されており、実際に水深10m前後の環境にもかかわらず深海魚や深海棲無脊椎動物が生きている海域が発見されている(オーストラリアのバサースト湾)。
なお、水揚げされた個体の写真で眼球や鰾(うきぶくろ)が飛び出した状態のものが紹介されていることがしばしばあるが、これは深海から引き上げられる際の急激な水圧の変化が原因。この為、深海魚を水族館で展示する場合は、種類によっては釣り上げた直後に鰾を細い針で刺す事で空気を抜き取って縮めてやったり、あるいは気圧がかかる特殊な水槽に入れてうきぶくろを戻すなどの措置を行ってから公開している。
グロテスクな姿のものが美味、逆にいかにも食用に見えるバラムツやアブラソコムツが人間の消化出来ないワックスエステルを含んでいるのは何とも皮肉である。