概要
1980年5月7日、北海道室蘭市に生まれる。
1984年、祖父とゴジラを見に行ったことをきっかけに怪獣映画に傾倒し、平成ゴジラ、平成ガメラ、平成ウルトラマンに親しむ。『ガメラ2』は自身の金字塔となった。
高校に進学した時点で、将来は特撮関係の仕事に就こうと決めていたという。
1999年に上京し、日活芸術学院に入学。映画製作に実習生として参加。
2000年に学院中退。2007年、学生時代から制作していた自主制作映画『G』が完成。それが認められて2009年、テレビ番組の企画で『長髪大怪獣ゲハラ』を制作。商業監督デビューを果たす。
同年2月『G』と『長髪大怪獣ゲハラ』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭2009にて市民賞を受賞。
作風
- 「長回しでいろんな要素を詰め込むのが好き」と公言しているように、一カットが数十秒続く長回しのシーンが数多くみられる。ファンはこれを見ただけで明言が無かったとしても田口監督が担当していると気づかれる。
- ミニチュアのビルが倒壊する際に飛び散る破片は「タグチップ」と呼ばれる細かく刻んだペットボトルの破片を使用している。スタッフは暇なときにひたすら切り刻んでいるらしい。
- 固定された視点ではなく、手持ちのカメラのように「ぶれる」視点に怪獣などが合成され、人間パートと巨大パートが同時に進行。ミニチュアセットを奥にだけおいて手前には本物の建物を合成するなど、技術の進歩もあり真新しい合成技術を取り入れている。
- 川北紘一の平成ゴジラや樋口真嗣の平成ガメラを見て育ったため、それらのオマージュしつつ両者の作風のハイブリッドを得意としている。
- 高校時代には『ウルトラセブン』を繰り返してみていたため、ドラマパートにはいわゆる「実相寺アングル」を多用している。
- 近年では同じくウルトラシリーズを監督した坂本浩一の魅力的なヒーローの描き方を学んでいる。ちなみに、ファンからはよく「坂本監督は主にヒーローをメインにかっこよく描く監督」、と言われるのに対し、「田口監督は怪獣をメインにリアルに描く監督」と言われる(事実として、ウルトラシリーズに監督として本格参戦した作品こそ、怪獣が主役であるウルトラゾーンである)。
- 上記の通り、リアリティ重視。『ウルトラマンX』では無理言ってヒロインにバズーカを持たせた。怪獣が街を襲う際の風景やそれに人々がどう対処するかといったことへの興味が強い。そのため、「宇宙人が日本語を話す」ことはあまり好まず、ウルトラの星を描くこともほとんど興味がないという。
- 「ホビージャパンmook 宇宙船vol.149」(ホビージャパン)での田口清隆監督へのインタビュー記事(同書のP84からP85)によると、ファントン星人グルマン起用の理由は超兵器を出しやすいため、Xioの制服を布地にしたのも、レザーは動きにくく、リアルではないと判断したため。同様に怪獣の出現地点やタイプ分けもリアリティを意識している。これは『プロの防衛隊らしく頭の良い仕事をやってもらいたい』(同書P84より、原文ママ)という願いが込められている。
- 先述したように「宇宙人が日本語を話す」展開は好んでいないものの、監督作ではメフィラス星人やファントン星人グルマンなどの宇宙人は普通に日本語を喋っているため、物語上、必要であれば日本語を話すこともあるようだ。
- 先述のリアリティ重視のドラマを撮るにあたって『ウルトラマンX』では、撮影前に実際の自衛隊で行われてる訓練をメインキャストが行っており、エックスの必殺技であるザナディウム光線についても大地役の高橋健介氏と数時間にわたって議論をしている。後年のウルトラマンzでもよりリアルに撮るため軍事考証として小柳啓伍を呼んでいる。
逸話・人物
- 穏やかで柔和な風貌や物腰の柔らかさ、気さくな性格などから、ファンや出演者からはしばしば「お父さんみたいなオーラの持ち主」と言われることも。
- 2018年にニコ生の『吉田尚記 dスタジオ』(第45回)に出演した際には、(スーツ姿であったこともあり)MCの吉田から「これは…あれですよね? 『シン・ゴジラ』で日本を支える官僚の方ですよね?」と言われていた。
- 好物はタラバガニ。
- ちなみに担当回の怪獣のデザインモチーフの一つとして取り入れられた事がある。
- ウルトラシリーズに参加した当初は、現在の実績からは考えられない程ミスを連発して怒られることが非常に多く、「もう嫌だ」と泣いてしまったこともあったらしい。
- また当初は怪獣に比べてウルトラマンにはさほど興味がなかったのだが、たまたま立ち寄ったウルトラマンフェスティバルのライブステージで子供たちの応援の力に感動し、『ウルトラマンオーブ』の劇場版にて観客に応援を呼びかけるようなシーンを入れ、応援上映も行った。
- ゲーム『地球防衛軍』を愛好しており、いつか実写映画化したいと思っている。
- 『The Next Generation パトレイバー』に監督の一人として参加し、総監督の押井守にその特撮技術をとても高く評価されたが、その器用さから現場で便利屋として扱われないように気をつけることと、本来ライバルであるべき監督の辻本貴則、湯浅弘章と仲が良すぎることを指摘されている。
- なお押井自身が監督した「大怪獣現わる」の特撮シーンを任されるにあたり、最低限の撮影しかしない押井の撮れ高不足に苦言を呈していた。
- 後進の育成にも力を入れており、2014年から「全国自主怪獣映画選手権」を定期的に開催。2015年からは雑誌「宇宙船」内で「宇宙船内怪獣映画道場」という連載企画の部長に就任。『ウルトラマンX』超全集「キミにも怪獣映画が撮れる!」というコーナーを設け、身近なものを使っての巨大特撮の撮影を指南した。
主な作品
監督作
ドラマ
- 『MM9』(2010年)
- 第5話「吠谷町M防衛線」 - (樋口真嗣、伊藤和典と共同で脚本も担当)
- 第9話「密着!気象庁特異生物対策課24時」 - (脚本も担当)
- 『ウルトラゾーン』(2011年〜2012年) - 全体特殊技術・ドラマパート監督
- 『ネオ・ウルトラQ』(2013年)
- 『怪奇大作戦 -ミステリー・ファイル-』(2013年)
- 第1回「血の玉」
- 『ウルトラマンギンガS』(2014年)
- 第6話「忘れ去られた過去」
- 第7話「発動!マグネウェーブ作戦」
- 第8話「朝焼けの死闘」
- 第11話「ガンQの涙」
- 第12話「君に会うために」
- 『ウルトラマンX』(2015年) - メイン監督
- 第1話「星空の声」 - (怪獣デザイン原案も担当)
- 第2話「可能性のかたまり」
- 第3話「夜を呼ぶ歌」
- 第15話「戦士の背中」
- 第16話「激撮!Xio密着24時」
- 第21話「美しき終焉」
- 第22話「虹の大地」
- 『ウルトラマンオーブ』(2016年) - メイン監督
- 第1話「夕陽の風来坊」
- 第2話「土塊の魔王」
- 第3話「怪獣水域」
- 第11話「大変!ママが来た!!」
- 第12話「黒き王の祝福」
- 第24話「逆襲の大魔王獣」
- 第25話「さすらいの太陽」
- 『ウルトラマンジード』(2017年)
- 第11話「ジードアイデンティティー」
- 第12話「僕の名前」
- 『ウルトラマンR/B』(2018年)
- 第4話「光のウイニングボール」
- 第5話「さよならイカロス」
- 『帰ってきたアイゼンボーグ』(2018年)
- 新撮パート「不滅のD戦隊!時を超えた闘い!!」 -
- 『ゆうべはお楽しみでしたね』(2019年) - 全話監督
- 『ウルトラマンタイガ』(2019年)
- 第4話「群狼の挽歌」
- 第5話「きみの決める未来」
- 第6話「円盤が来ない」
- 『ウルトラマンZ』(2020年) - メイン監督(吹原幸太と共同でシリーズ構成も担当)
- 『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)
- エピソード32「小夜に首ったけ」
- エピソード33「巨獣パニック大激突!」
- 『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』(2021年)
- 第7話「インター・ユニバース」 - バロッサ星人(四代目)の声も担当
- 第8話「繁殖する侵略」
- 第18話「スマイル作戦第一号」
- 第19話「救世主の資格」
- 『ウルトラマンデッカー』(2022年)
- 第20話「らごんさま」
- 第21話「繁栄の代償」
- 『ウルトラマンブレーザー』(2023年) - メイン監督(小柳啓伍と共同でシリーズ構成も担当)
映画
- 『長髪大怪獣ゲハラ』(2009年)
- 『The Next Generation パトレイバー』(2014年)
- 「栄光の特車二課」(第1章前半)
- 「クロコダイル・ダンジョン」(第5章後半)
- 「暴走!赤いレイバー」(第6章前半)
- 劇場版『ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』(2016年)
- 『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(2017年)
- 『怪獣の湯 大怪獣ブゴン』(2022年)
- ミュージックビデオ
- 『Life of Planet』 - Mayday (2017年)
- 『Forgive me, kay?』 - 湯浅かえで・清都ありさ (2018年)
その他
- 『空想科学連続ドラマシリーズ・UNFIX』(2018年〜) - (脚本・撮影・編集・視覚効果も担当)
- 『セブンガーファイト』(2021年) - (編集・視覚効果も担当)
- 漫画『戦え!セブンガー』(2021〜2022年) - 脚本
- 漫画『神蛇 -ZINJA-』(2022年) - シナリオ
参加作
- 『ゴジラXメガギラスG消滅作戦』(2000年)
- 『ウルトラマンコスモス』(2001年) - 特撮助監督(第5クールのみ)
- 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)
- 『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年) - 特撮美術助手
- 『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(2003年)
- 『仮面ライダー響鬼』(2005年) - VFXアーチスト
- 『劇場版 仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』(2005年)
- 『仮面ライダーカブト』 - VFXアーチスト
- 『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』(2006年)
- 『日本沈没』(2006年)
- 『ミラーマンREFLEX』(2006年)
- 『小さき勇者たち~ガメラ~』(2006年)
- 『轟轟戦隊ボウケンジャーTHE MOVIE 最強のプレシャス』(2006年)
- 『仮面ライダー電王』(2007年) - VFXアーチスト
- 『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』(2007年) - デジタルエフェクト
- 『仮面ライダーキバ』(2008年) - VFXアーチスト
- 『劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事』(2008年) - デジタルエフェクト
- 『20世紀少年第1章 終わりの始まり』(2008年)
- 『琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ』(2011年) - 視覚効果
- 『のぼうの城』(2012年)
- 『ラブ&ピース』(2015年) - 特技監督
- 『CRぱちんこウルトラセブン2(2018年) - 実写パート監督
- 『ゾイドワイルドバトルウォーズ』(2019年)
- 『SSSS.DYNAZENON』(2021年) - 怪獣デザイン(ネオフォビア)
- 『仮面ライダーBLACKSUN』(2022年) - 特撮監督
関連タグ
特技監督 / ディレクター / 映画監督
田口監督巡回済み ウルトラ怪獣
アブドラールス - 初登場日が氏の生年月日と同じウルトラ怪獣