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仮面ライダーBLACKSUN

かめんらいだーぶらっくさん

『仮面ライダーBLACK SUN』とは、2022年10月28日にAmazonプライムビデオで配信された特撮ドラマ。
目次 [非表示]

仮面ライダー史を代表するあの名作が」


「生まれ変わる」


「仮面ライダー史上最も黒い仮面ライダー」


悪とは、何だ。

悪とは、誰だ。

仮面ライダーBLACKSUN


注意編集

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概要編集

1987年から1988年までに特撮テレビドラマとして放送された『仮面ライダーBLACK』のリブート作品。タイトルの由来は同作の世紀王としての名前である「ブラックサン」から。


仮面ライダーシリーズとしては初となる全10話のエピソードを一挙配信する形での公開となった。1話あたり約44分、総ボリュームはおよそ440分程(実際は回によって38~53分と差がある)。


2022年10月28日、『仮面ライダーアマゾンズ』以来のリブート作品、それと同様にAmazonプライムビデオにて配信された。レイティングシリーズ初の「R-18

なお、完成披露試写会でのコメントによると、「当初は『PG-12』を予定に制作していたが、いざ完成した作品を見たら『R-18』になっちゃった。」とのこと(そのせいかは不明だが、後述の関連商品は子供でも手が出せる物が多い)。2児の父である西島氏も会見で「ギャラ返すから『G指定』ver.作ってくれ」と冗談交じりに懇願していた。

因みに、東映特撮ファンクラブでは流石にR-18とは記載出来なかったのか、残虐描写がある旨の注意書きがされる程度に留まっている。


今作の特徴として、特撮畑ではない映像業界(いわゆる一般向け作品)の第一線で働く人材を起用していることが挙げられ、監督には2017年2018年に二年連続でブルーリボン賞監督賞を受賞した白石和彌、脚本は白石作品にも何度か参加した髙橋泉が担当。主演を西島秀俊中村倫也が務めることが発表された際は特撮ファン界隈を騒然とさせた。

その上で特撮に実績のあるスタッフも起用されており、ライダーや怪人のデザインであるビジュアルコンセプトには『平成ガメラ』や『シン・ゴジラ』の樋口真嗣、特撮監督にはウルトラシリーズを手掛ける田口清隆が参加する。


2022年8月29日公開の第2弾PVでは、人間と怪人がある程度併存しながらも人間の側から怪人排斥の動向があるという社会情勢や、宗教団体めいた雰囲気の護流五無、『キングストーン』の存在が示された。また『怪人たちの群像劇』というキャッチコピーが出されたことから、これまでのシリーズでもたびたび描かれた怪人にスポットを当てる構成も開示された。


ストーリー編集

時は2022年。国が怪人と人間の共存を掲げてから半世紀を経た、混迷の時代。

差別の撤廃を訴える若き人権兼活動家・和泉葵は一人の男と出会う。

南光太郎ーー彼こそは次期創世王の候補、「ブラックサン」と呼ばれる存在であった。

50年の歴史に隠された創世王と怪人の真実

そして、幽閉されしもう一人の創世王ーーシャドームーン=秋月信彦

彼らの出会いと再会は、やがて大きなうねりとなって人々を飲み込んでいく。

(公式サイトより)


作風(※一部ネタバレ注意)編集

陰鬱な社会派ドラマ編集

本作は、『仮面ライダーキバ』で採用されていた過去編と現代編の2部構成の物語を本作でも採用しており50年前の1972年の過去編と2022年の現代編二つの時代を織り交ぜながら物語が展開する。

物語は人種差別をテーマにしており人間社会から迫害、排斥される怪人達をリアルタッチに生々しく描いている。

上述の『怪人たちの群像劇』とあるように主要人物の殆どが怪人。

しかし、本作の怪人は警官の銃弾で傷つく姿が描写される・上級怪人でも銃を持った数名には無策で特攻できないなど、TVシリーズの怪人の様に強靱な存在ではない事が描写されている(と同時に警官を10数m投げ飛ばす・肢の一振りで光太郎を刺し貫くなど、依然危険な存在である点も描写されている)

怪人側が社会的弱者として人間たちに虐げられ、共存や平等を訴えながらデモ行進を行う、凄惨な差別に激しく抵抗するといった描写があり、特撮ヒーロー作品よりも社会派ドラマとしての場面が多い作風となっている。序盤は主人公が怪人として戦い仮面ライダーへの変身は5話と非常に遅い他、主人公が戦わないまま終わる回があるなどライダーとしての戦闘がやや抑えられている事も社会派ドラマとしての側面が強く現れている点と言える。

本作で登場する人間サイドは良識を持った人物も登場するが、物語序盤に敵の策略によって怪人化されたり真っ先に死んだりするなど悲惨な末路を辿る人物が多く、逆にどうしようもないクズな人間だけは物語終盤まで生き延びる等、人間もまた悪役であるという事を強く描写している。

作中の根底に差別という問題が存在する為、従来のライダー作品であった「黒幕を倒したら解決」「怪人の首領と最終的に和解して共に寄り添っていく未来」と怪人と平和的に共存することを示唆した明るいEDはなくそれどころか事態は全く解決していないに等しく、エピローグで別の方向から新たな差別問題が起きている事、そして怪人差別は今後も続いていく事が示唆される結末になっている。

また余談だが、地上波では中々使用することができないド直球な下ネタを用いたセリフがある点も特徴であり、R-18指定や配信限定公開の要因の一つと考えられる。


風刺作品としての側面編集

今作は人種差別というテーマで物語を描くと共に強烈な風刺描写が散りばめられており、ダークな世界観やストーリーのメッセージ性などを好意的に見ているファンもいる一方、風刺に比重が傾き特撮パートがおざなりになっていると感じた視聴者もおり、評価を二分する大きな要因となった。



総評編集

  • 原典の『仮面ライダーBLACK』のリブートとして制作された本作だが、前述した通り非常に癖の強いアレンジや独自の要素がふんだんに盛り込まれた結果、賛否の激しい作品となった。2022年11月4日現在Amazon上での評価は低評価(星1、星2の合計)割合が全体の半数を上回り概ね不評という結果が表れている。平均の星が3を割る作品は好意的な評価が多い昨今のライダー作品群の中では異例となる。一方、数多くの実力派俳優達やエキストラ出演の方々の非常に高い演技力には賞賛の声が多く、『西島さんや中村さん達が仮面ライダー作品に出演してくれた事は素直に嬉しい』『仮面ライダーや怪人、その他のセットなどのリアリティのあるデザインが素晴らしい』などの意見もある。

アクション・演出面編集

  • 作風に合わせた泥臭さや重厚感を高く評価する声がある一方、『ノーヘルでの髪の揺れが小さい為あまりスピード感が無い』『操演の担当者の手が映り込む』といった点に難色を示す声もある(もっとも、これらについては元々白石監督が昭和時代の映画の撮影技法を自身の作品内にて多用する作風を展開していたこともあり、一部は敢えて意図的に映り込んだり、合成を古臭くするようにしたのではないかという意見も存在する。実際、昭和の特撮作品やアクション作品にもこうした映り込みや合成の甘さは極々たまに見られた光景であり、多少ぼやけていて見えにくいが、他ならぬTV版BLACKにも第35話で光太郎とビルゲニアが、最終決戦に望む際の対峙シーンの背景にて歩行者が映り込んでいるのが確認できるなど、こうした映り込みを確認できる回が存在する)。戦闘シーンは基本的にリアリティを追求しており、派手なCGなどはニチアサライダーよりかは少なめであるが、ワイヤーを使ったアクションは作中で多めに取り入れられている。

ストーリーの規模編集

  • 実質的な主人公が光太郎ではない上に敵組織も光太郎のポジションも原典と比べ著しく矮小化されており、「このストーリーは仮面ライダーBLACKを題材にする必要性がない」という意見もある。とは言え、同じリブート作である仮面ライダーアマゾンズなども、原典とは全く違うストーリーが繰り広げられていたり、そもそも作品自体が『群像劇』をテーマにしている為、原典との違いが大きくても当然だと受け入れている声もある。また、『TV版BLACKと萬画版Black、そしてBLACKSUNそれぞれを違う作品として捉えるべきだ』との意見も多い。

読み取れるメッセージ編集

  • これまで数々の仮面ライダー作品で描いてきた「人間と怪人の共存」や「善悪とは何か」「本当に人間は守るべき存在なのか」、そして「闘うべきものは何か」などの問題を徹底して物語に組み込んでおり、人間と怪人の葛藤闘う事の悲哀、そして仮面ライダーも元は怪人と同じ存在であるという業を克明に描いている点を高く評価する声は多く、賛否両論はあるとは言え『仮面ライダーの歴史に革命を起こした作品』であるという声もある。
  • また、視聴者の中には物語のテーマから「現実で起きている問題を題材にする事で視聴者にも議論して貰う事が目的ではないか」と考察をする者もいる。終盤にてとある人物が画面越しの視聴者に向けてメッセージを送る場面が存在する事から、差別という問題を「作品内で終わらせず、多くの人達にも考えて欲しい」というメッセージ性があるのは間違いないだろう。

登場人物編集

本作作中には「仮面ライダー」という呼称が一切登場しない。

本作における仮面ライダーは怪人がパワーアップした形態であり、往年の作品における怪人の激情態に相当する。

バラオムが「完全体」と呼んだことから、人間から怪人への変化が完全に成し遂げられた状態と解釈できるが、作中に説明らしい説明がほとんど無いため詳細は不明。


主要人物編集

ブラックサンブラックサン


仮面ライダーBLACKSUNシャドームーン


ブラックサン EVERY


護流五無編集


一般人編集

2022年編集


1972年編集


政府関係者編集

2022年編集


1972年編集


その他編集


用語編集

今作に登場する怪人。人間世界に溶け込んでおり人間と同じく善と悪が存在している異能を備えた生命体。

人間以外の生物のDNA情報を組み込まれた特殊な鉱石「ストーン」を人間の体内に埋み込む改造手術を経て誕生する。

また、人間を怪人にするには「創世王のエキス」も必要だが、これをどのように使っているのかは不明。


普段は人間の姿だが、自身の意思や感情の高揚などにより、ストーンのベースとなった生物の能力を有する怪人の姿に変身できる。

個体によって、顔や腕だけなど肉体の一部、もしくは上半身が怪人化する者、服ごと全身が怪人化する者などが存在し、その表面積が広ければ広いほど、上級の怪人であると目されている。


怪人用の食料「ヒートヘブン」を口にすると、身体能力が活性化され老化を抑制できるほか、たとえ致命傷を負ったとしてもたちまち回復できる。

怪人同士、怪人と人間の交配によっても誕生するが、世代を経ていくほどに怪人としての個性は薄れていく傾向にある模様。


  • ストーン

怪人の体内に存在する特殊な鉱石。

人間を異能を備えた怪人へと変えて、兵器として運用する目的で開発された。

昆虫をはじめとした人間以外の生物のDNAが組み込まれており、人間の体内に埋め込むことによって怪人へと変化させる。


怪人たち必ず有している「ストーン」の一種。

これを有する者だけが新たな創世王になれるとされる。元はひとつだったが、1963年に南光太郎と秋月信彦を怪人化する改造手術の際、ふたつに分かち光太郎と信彦の体内にひとつずつ埋め込まれた。


その2人が使用するドライバーについて劇中では説明はなかったが、小説版では強力すぎるストーンの力を制御できるよう「抵抗器(サプレッサー)」という名の変身ベルトを介してストーンの力を引き出していると説明がなされている。


怪人の能力を活性させ、老化を抑制する効果もある怪人用の食料。

創世王から抽出されるエキスと、人間の体組織がその材料となっている。製造ルートは不明だが、1972年の時点で存在していた。


2022年では、実質的に堂波真一の傘下にある「ゴルゴム党」本部の地下に製造および保管施設が設けられている。表立っては流通されておらず、一部の怪人たちに高額で販売。この売上は堂波の資金源のひとつとなっていた。


1972年頃に存在した全国的な組織でその当時の名称は「五流護六」だった。


ダロム、ビシュム、バラオム、ビルゲニア、オリバー・ジョンソン、新城ゆかりのほか、あとから加わった南光太郎、秋月信彦らが組織の中核を担い、怪人が人間と平等に暮らせる世界の実現を目指していた。


のちに、組織の代表であるダロム、ビシュム、バラオムらが時の総理大臣、堂波道之助と会談したが、表向きは怪人と人間の共存共栄という方針を獲得した一方、実質的に怪人が人間の風下に立つことが確定。これに反発したビルゲニアや光太郎らが組織を離れ、五流護六は残ったダロムらが新設した政党「ゴルゴム党」となった。


最初の怪人にして、全怪人の起源というべき存在。


劇中ではその中での組織の一つ「怪人から日本を守る会 」が登場。

代表を務める井垣渉は、怪人は人間ではなく害獣であるという認識から、日本から駆除すべきだと主張している。


組織の規模は不明だが、劇中では東京都近郊で活動しており、怪人に反感や偏見を抱く人々や、怪人による犯罪で身内を亡くした多数の人々から支持されていた。


  • 地図にない村

かつて創世王誕生後、生み出された怪人たちによってコミュニティが形成され誕生した村で、村民たちは創世王を神のように崇めていた。南光太郎、秋月信彦はこの村で育ち、ビルゲニアもこの村の出身。


2022年ではすっかり寂れており、ノミ怪人が管理する実験施設だけが残されていた。施設は堂波真一の傘下にあり、人間を怪人化するのに利用していた。


スタッフ編集

原作石ノ森章太郎
監督白石和彌
脚本高橋泉
ビジュアルコンセプト樋口真嗣
特撮監督田口清隆
音楽松隈ケンタ
美術監督今村力
造形藤原カクセイ
スタイリスト伊賀大介
タイトル題字武田双雲
エグゼクティブ・プロデューサー白倉伸一郎
企画プロデュース古谷大輔
プロデューサー長谷川晴彦 / 椋樹弘尚 / 佐藤雅彦
制作プロダクション角川大映スタジオ
製作東映株式会社 / 「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT(バンダイ / ADKエモーションズ

主題歌・挿入歌編集

主題歌「Did you see the sunrise?

歌:超学生 / 作詞・作曲:松隈ケンタ / 編曲:SCRAMBLES


挿入歌「仮面ライダーBLACK

歌:倉田てつを / 作詞:阿木燿子 / 作曲:宇崎竜童 / 編曲:川村栄二


余談編集

  • 一見するとタイトルロゴは「仮面ライダーBLACK」と書かれているように見えるが、LACの部分がカナ表記で「サン」となっている事がわかる。また、ゴルゴムのマークのモデルになった蛇の意匠も確認できる。

  • 主演の西島秀俊は同年公開の『シン・ウルトラマン』にも田村君男役で出演しており、日本を代表する二大特撮ヒーロー作品に続けて出演する奇縁に恵まれることとなった。

  • また、西島は同年ダイワハウスのCMで2009年から2011年に作られたダイワマンを演じたため、「一年の内に過去作品のリメイクヒーローを2人演じた俳優」と言う事もできる。
    • ダイワマンをスーパー戦隊シリーズの代わりに入れて「一年で三大特撮を制覇した」と冗談で言われることも。

  • 令和で初めておっさんライダーが主人公を務めた作品となる。
    • 直近の事例としては2018年5月公開の映画仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判があり4年ぶり。なおこれはダブル主演であり、単独主演という縛りで考えると2016年公開の映画仮面ライダー1号以来6年ぶりとなる。
    • 本作に登場するライダー達は劇中の描写から考えると実年齢が70~80代くらいなので、ライダーシリーズで珍しく全員おっさん通り越して高齢の仮面ライダーという異色な作品である。(一応本作でもベルトで変身する少女はいるのだが公式の方で仮面ライダーと明言されてない為疑似ライダーとして扱う)

  • 本作は『仮面ライダーBLACK SUN』応援プロジェクトと銘打たれたクラウドファンディングが行われ、プロダクションノートやオンライントークショーの参加権、護流五無の一員としてエキストラ参加支援等のコースが用意された。

  • 2023年1月~3月にテレビ朝日系列で放送されている木曜ドラマ『警視庁アウトサイダー』では、脚本が本作と同じく高橋氏であり、主演が本作と同じく西島氏。また、濱田氏も出演している。そのため、本作にまつわるパロディも豊富。

  • 2024年4月2日に和智正喜氏によるノベライズ版『仮面ライダーBLACKSUN異聞/イブン』が発売された。本編からかなりアレンジが加えられており、また描写不足の否めなかった本編設定の補完などが行われている。反面表現や設定構築などの面に何かしらの問題があったようで、当初2023年10月2日に出版予定だったのだが、結局2024年4月になるまで出版が延期されていた。

商品展開編集

クラフトコーラチューハイローソン限定で発売。(アルコール飲料なので)ソフト版がリリースされるまでこの中ではほぼ唯一の成人向け商品となっていた。
S.H.FiguartsBLACKSUN(一般販売)とSHADOWMOON(プレバン限定)の商品化が決定。対象年齢15歳以上。
バトルスピリッツ仮面ライダーコラボブースターにBLACKSUNとSHADOWMOONの収録が決定。対象年齢9歳以上。
ソフビムービーモンスターシリーズにて*BLACKSUNとSHADOWMOONの発売が決まっている。対象年齢3歳以上。
CSM版変身ベルトBLACKSUNとSHADOWMOONの物がそれぞれ発売。対象年齢15歳以上。
DX版変身ベルトBLACKSUN用がプレミアムバンダイ限定にて発売。対象年齢3歳以上。

予告映像編集





関連項目編集

仮面ライダーBLACK 令和ライダー 仮面ライダー50周年 令和の昭和ライダー

怪人(BLACKSUN)

社会問題 風刺 人種差別 鬱展開


テレレレー


お茶の間の良い子号泣シリーズ:ただし、本作のレイティングはR-18である為、お茶の間の良い子は視聴できない。


BLACK SUNに類似する仮面ライダー関連編集


BLACK SUNとは真逆の特徴を持つ作品編集


昭和のリブート作品シリーズ

仮面ライダーTHEFIRST/仮面ライダーTHENEXT仮面ライダーアマゾンズ仮面ライダーBLACKSUNシン・仮面ライダー


外部リンク編集

公式サイト

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