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概要編集

1965年9月22日生まれ。東京都出身。Motor/lieZ(モーターライズ)所属。

かつてはガイナックスに所属し、GONZOの設立にも参加した。


映像作品の特撮パートを監督する特技監督として活動し、1995年からの『平成ガメラ3部作』で名を上げる。後に本編の監督にも進出し、2005年の『ローレライ』が初長編となる。

アニメにも主に絵コンテで携わるが、いわゆるアニメーターではないと本人が否定している。

2018年の『ひそねとまそたん』で本格的にアニメの仕事を始めるが、これは脚本担当の岡田麿里と準備していた企画が世に出るに至らずに終わった際、岡田からの提案に乗ったことやイラストレーターの青木俊直とデザイナーのコヤマシゲトの絵に惚れ込んだ結果がきっかけとなったと述べている。

2020年の新型コロナウイルスの流行に際し、Twitterにてカプセル怪獣計画という企画を催している。


作風編集

とにかく絵コンテに忠実な点があげられる。

従来の特撮は、円谷英二川北紘一が多用していたように、まず広大なミニチュアセットを作り、その中に怪獣などの各種キャラクターを配置してカメラや照明の位置といった撮り方を決めるのが主流だった。

それに対して氏の手掛けた平成ガメラでは、ゴジラシリーズよりも予算がなく作れるミニチュアが限られるということもあって、まず絵コンテであらかじめカメラアングルなどを決め、それに合わせて必要な分だけミニチュアを飾る方法で撮影を行った。

これにより樋口氏のアニメでの経験が活き、リアルかつ躍動感あふれる映像が作り上げられた。

また、従来のミニチュア特撮では怪獣の表情を撮すために、怪獣を正面からアップで撮ったカットが多かったが、平成ガメラでは下から見上げる視点で撮影を行い、さらにセット撮影感を減らすため、昼間のシーンは屋外にセットを組み、自然光の下で撮影を行った。

これらの手法はウルトラシリーズなどで元々行われていた手法ではあるが、それらをより徹底して行うことにより高い効果を生んだといえよう。

技術的な側面としては数多くの斬新なアイディアを考案している。『ガメラ大怪獣空中決戦』のギャオスが旋回するシーンでは、尺の違う2種類の人形を使い、画面外に出た瞬間に大きい人形から小さい人形に切り替えることで、遠近感を表現している。

『ガメラ2』の、走るジープからガメラを見上げるシーンでは、車ではなく建物のミニチュアを動かし、ガメラから遠ざかるジープを表現した。

巨神兵東京に現わる』の巨神兵や実写版『進撃の巨人』の超大型巨人は、大きな人形を文楽のように後ろから動かす手法が使われ、これにより着ぐるみともCGとも異なる独特の存在感を生み出している。

アナログ特撮のみならず、CGも積極的に多用しており『ガメラ3』ではミニチュア・デジタル合成・CGを組み合わせ、驚異の渋谷戦・空中戦・京都戦を完成させた。


だがその一方で、映画監督としての評判は芳しくない。

理由としては氏の「人柄の良さ」であり、製作委員会やスポンサーの要求を次々と了承してしまうのだとか。事実、当初は中島信也が監督の予定だったが降板し、代わりの監督を引き受けた『進撃の巨人』など、ワケあり案件もチラホラ。

また、俳優の芝居が舞台演劇的に誇張されすぎているとの意見もある。


『シン・ゴジラ』では庵野総監督が当初予定になかったものの現場にほとんどの撮影で出向き指示を出すことになり、急に出てきてカメラの位置をミリ単位で調整するなどハードな指示をする庵野氏に樋口組のスタッフが反発。しかし、樋口氏は庵野氏とスタッフたちを仲介し、なんとか撮影終了までこぎつけた。製作初期に東宝上層部が作品内容に注文をつけ、庵野氏がそれを受けて降板しそうになったときに庵野氏の側に立ったのも樋口氏であり、樋口氏がいなければ作品が完成していなかったとさえ言えるかもしれない。

その甲斐あって、その後に制作された『シン・ウルトラマン』ではスタッフの反発が幾分か緩和され、全スタッフがより良い作品制作に向けてそれぞれが努力を重ねた上で、コロナ禍などに直面しながらも無事に撮影終了及び公開にこぎつけることができた。(ただ、キャスト陣が再撮影などの弊害を食らってしまっているが。)

そのため、一部週刊誌による「庵野秀明がスタッフから撮影現場出禁を言い渡された」という報道に対して樋口を含めた制作陣と円谷プロダクション東宝カラーの3社が否定及び徹底抗戦の声明を出している。



人物像編集

1st group

  • 強く影響を受けた作品は『帰ってきたウルトラマン』。また雑誌ウルトラマンWalkerのインタビューで撮りたいウルトラマンはと聞かれた際には「パワードでのリベンジも込めて初代」とコメントしている。というのも『ウルトラマンパワード』に参加した際、ハリウッドでレベルの高い特撮ができると意気込んで美術担当の三池敏夫氏らと共にアメリカに渡るも、実際にはやる気のないスタッフであり、ミニチュアビルを三池氏と共に細かく飾る作業をしたりするハメに陥った。悔しさを覚えながら帰国するも、同じく『パワード』に参加していた脚本家の伊藤和典氏に誘われ、ガメラのリブートに携わることとなり、『パワード』での悔しさをバネに平成ガメラを作り上げた、という経緯がある。
    • また同インタビューの中では、ウルトラファンに向けて一言コメントを求められた際に「わかったような口をきいて批評めいたことを言って満足している暇があったら財布の中にある金を使って円谷プロを儲けさせてください」と強く求めていた。

関連人物編集

  • 妻はスタジオジブリ所属の高屋法子。
  • 交流のある人物に庵野秀明福井晴敏押井守細田守ら。特に庵野とは盟友とも呼ばれる仲で、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジの名は樋口に由来する。
  • 平成ガメラで組んだ金子修介とは、3作目のドキュメンタリーで衝突する様が描かれたこともあって不仲を噂されていたが、「金子と樋口は本当に仲が悪いのか」というYahoo!知恵袋の質問をお互いのTwitterで取り上げて「俺も知りたいよその答え(樋口)」「仲が悪いってことにしておけば得する人がいるんでしょう(金子)」と語るなど、少なくとも現在は、特に関係が悪いわけではない様子。
    • 件のドキュメンタリー『ガメラ1999』については、金子が「自分と衝突したプロデューサーが庵野を利用して作らせた嫌がらせ」と評している。
  • 富野由悠季を「神」と呼ぶほど尊敬しており、自身の作品にたびたび出演させている。
  • 田口清隆からは師匠のように慕われているが、本人は「弟子を取ったつもりはない」としてあくまで舎弟扱いである模様。

作品編集

映画(監督)編集

『太陽が引き裂かれた日~東京大地震』1992年

ミニモニ。THEムービー お菓子な大冒険!』2002年 - 「ヒグチしんじ」名義

ローレライ』2005年

日本沈没』2006年

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』2008年

巨神兵東京に現わる』2012年

のぼうの城』2012年 - 犬童一心と共同

進撃の巨人』2015年

シン・ゴジラ』2016年

シン・ウルトラマン』2021年

新幹線大爆破』 - 時期未定


テレビシリーズ編集

ふしぎの海のナディア』1990-1991年 - 島編以降

ヴァンドレッド 胎動篇・激闘編』2001-2002年

MM9』2010年 - 総監督

ひそねとまそたん』 2018年 - 監督


PV(監督)編集

AKB48「真夏のSounds good」2012年

エレファントカシマシ「ズレてる方がいい」2012年 - 犬童一心と共同


特技監督編集

『八岐之大蛇の逆襲』1985年 - DAICON FILM

ミカドロイド』1991年 - オリジナルビデオ※

『未来の想い出 Last Christmas』1992年

平成ガメラ3部作』1995年,1996年,1999年

『宇宙貨物船レムナント6』1996年

THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』1997年 - 実写パート

ラブ&ポップ』1998年 - 撮影・友情特技監督

さくや妖怪伝』2000年

修羅雪姫』2001年

ピストルオペラ』2001年

事実上の商業作品での特技監督デビュー作品とされる


装丁編集

森博嗣四季シリーズ』2006年

森博嗣『Gシリーズ』2007年

中島かずき髑髏城の七人』2008年

上橋菜穂子獣の奏者』2009年

福井晴敏『機動戦士ガンダムUC』2010年


絵コンテ編集

トップをねらえ!』1988年

帝都物語』1988年

ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』1990年

ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』1992年

ウルトラマンパワード』1993年

マクロスプラス』1994年

新世紀エヴァンゲリオン』1995年 - 8・9話絵コンテ、17話・18話脚本

ガルム戦記』1997年 - パイロット版

ベターマン』1999年 - 24話

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』2001年 - ノークレジット

劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』2003年

CASSHERN』2004年 - バトルシーンコンテ

キューティーハニー』2004年 - 企画協力

『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』2004年

トップをねらえ2!』2005年 - 1話

スカルマン』2007年 - オープニング

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』2007年

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』2009年 - イメージボード・脚本協力

シャングリ・ラ』2009年 - タイトルロゴデザイン

パンティ&ストッキングwithガーターベルト』2010年 - 6・20話

宇宙戦艦ヤマト2199』2012年 - 3・13・15・23話

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』2012年

キルラキル』2014年 - 15話

宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』2014年


その他編集

『ゴジラ』1984年 - 特殊造形助手

さよならジュピター』1984年 - 特殊造形助手

フリクリ』2000年 - ゲストメカニックデザイン

『劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険』2001年 - CG監督

アベノ橋魔法☆商店街』2002年 - 魔法陣シークエンス

ドラゴンヘッド』2003年 - 視覚効果デザイン

スカイ・クロラ The Sky Crawlers』2008年 - GyaOスペシャル予告編演出

GOEMON』2009年 - 協力

『長髪大怪獣ゲハラ』2009年 - 製作総指揮

特撮博物館』2012年 - 副館長

信長の野望・創造』2013年 - オープニング・エンディング

『信長の野望・大志』2017年 - オープニング

仮面ライダーBLACKSUN』2022年 - ビジュアルコンセプト


出演編集

ゴジラvsモスラ』1992年

リリイ・シュシュのすべて』2001年

リターナー』2002年

私立探偵濱マイク』「名前のない森」2002年

立喰師列伝』2006年

タローマンヒストリア』2022年


関連タグ編集

特技監督 / 映画監督

庵野秀明


外部リンク編集

樋口真嗣 (higuchishinji) - Twitter

樋口真嗣 - Wikipedia

樋口真嗣とは - はてなキーワード

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