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概要編集

戦国時代末期、豊臣秀吉北条氏政の小田原の攻防の片隅で起きた歴史的事件「忍城(おしじょう)の戦い」を、成田氏の伝書『成田軍記』をはじめとした資料をもとに小説として描いた作品。

第29回城戸賞(003年)を受賞した脚本『忍ぶの城』を、映画作品を前提とした小説作品として自ら執筆したもの。表紙イラストはオノ・ナツメが担当している。


作中の人物は農民などの一部を除いて実在の人物であり、その人物たちが非常に生き生きと個性豊かに描かれている。そのため歴史が苦手な人でも一つの小説作品として読め、また歴史好きにとっては新たな発見と人物解釈を楽しむことができる。


あらすじ編集

天下統一を目前に小田原へ10万を超える大軍を従えて侵攻する豊臣軍。その脅威は、北条氏傘下の成田家一門にも迫っていた。当主・成田氏長は豊臣軍に伝手を使って密かに降伏の準備に取り掛かり、500の兵を従えて主君の待つ小田原へと向かった。

そして残った家臣と500ばかりの兵は、石田三成大谷吉継率いる太閤軍2万の兵力に迫られ風前の灯となってしまう。

ほとんどの家臣たちがやむなく降伏を選択する中、城代として一門を預かる成田長親は太閤軍の使者にとんでもないことを言い放つ。

「戦いまする」

それが、日本はおろか世界でも類を見ない500対2万という前代未聞の逆転劇の幕開けを告げるものだった…!!


登場人物編集

成田家編集

成田長親(なりた ながちか)

本作の主役。

図体のでかい醜男(ぶおとこ)で、表情に乏しく常にぼんやりとしている。オマケに武芸はおろか、農作業などあらゆる運動ができない運動音痴であり、そんな姿から領民からは「のぼう様」(『でぐのぼう』に申し訳程度に「様」付け)と呼ばれているものの、本人も気にしていない。

農民たちの仕事を眺めているが好きで、自分もやろうとするが結果はお察しいただきたい…。

一見して愚鈍にか見えないが、実は非常に誇り高い精神性の持ち主。

領民からの親愛も深く、彼のためならば戦って死ぬことも厭わないと豪語させ、クセだらけの家臣さえも快く従わせてしまう不思議な魅力の持ち主。


成田泰季(なりた やすすえ)

長親の父で、忍城の城代。

先代城主・成田長泰(なりた ながやす)の弟。

坂東武士の荒々しい気骨をそのまま受け継ぐ硬骨漢であり、長親が唯一頭の上がらない人物。

過去の裏切りにも寛大に処遇してくれた北条氏に深く恩義を感じでおり、豊臣軍の進軍を聞いた時には最後まで抗戦を主張していた。


成田氏長(なりた うじなが)

成田家の当主。

眉目秀麗で挙措動作もさわやかな人物だが、器量は人並み。

軍略や武芸よりも連歌を愛する文化人気質で、その連歌で知り合った豊臣軍側の要人に通じて密かに降伏の準備を進めつつ、建て前のために500の兵を連れて小田原城へと入った。

しかし、長親が命に反してしまい、北条・豊臣の両軍から裏切り者扱いされる羽目になる。


成田泰高(なりた やすたか)

氏長の弟。兄と共に小田原城に入る。


甲斐姫(かいひめ)

氏長の娘で、のちに東国一の美女として知られる姫君。

当時18歳。

美女として知られる一方、かなりの武辺者でもあり、領内で横暴を働いていた傭兵を手ずから討ち取ってしまうほど。その騒動で自分の立場が危うくなった際、自分を救って騒動を治めてくれた長親に惚れている。


(たま)

氏長の妻。

正確には後妻であり、甲斐姫は継子にあたる。

伝説の猛将・太田三楽斎(資正)を父に持つ勝気な人物。

氏長を平凡でつまらない男と見る一方、泰季や甲斐姫など武人気質な人物たちとは仲が良い。


成田家家臣編集

正木丹波守利英(まさき たんばのかみ としひで)

成田家で最も武勇に優れた武将。

近在では「黒い魔人」の異名をとり、その名とともに恐れられ、成田家武門一の証である柄がすべて朱塗りの「皆朱の槍」を持っている。

在りし日の上杉謙信の姿を目撃し、その雄姿に触発されて研鑽を積んできた。

長親と幼いころからの友であり、のんびりとした長親を叱咤する監視役でもある。

はじめはいつもの調子の長親に落胆したのだが、長親が抗戦の真意を明かしたとき、幼いころから感じていた長親の「将器」を確信し、それに賭けようと決意する。


柴崎和泉守(しばさき いずみのかみ)

筋骨隆々とした武将で根っからの武辺者。

20歳以上も歳の離れた妻と6人の子供を持つ。

丹波を幼少期からライバル視しており、彼の持つ「皆朱の槍」を欲している。


酒巻靱負(さかまき ゆきえ)

自らを「毘沙門天の申し子」と豪語する22歳の若武者。

丹波に挑んだことがあり、そのとき「いつでも襲ってこい」と挑発されてから隙を見ては彼に襲いかかってケンカを挑んでいる。

軍略の天才であり、あらゆる軍略書を頭にたたきこんでいるため、この歳にして氏長さえ相談相手に指名するほどの知識を持つ。

実は戦の出陣したことが無く、武士として武功を欲している。


豊臣軍編集

豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)

関白に就任し、天下統一を目前に控えた時の人。

金にものを言わせた奇抜で豪快な戦を展開し、怒涛の勢いで日の本を制圧している。

その総仕上げとして小田原城へ進軍し、北条氏の攻略に乗り出すと同時に、武功の乏しい三成を気遣って既に降伏予定であったはずの忍城への攻軍を命ずる。


石田三成(いしだ みつなり)

秀吉の側近で、彼からは幼名である「佐吉」の名で呼ばれて気に入られている。

理知に富むものの武運に恵まれず、武功の少なさから周囲から陰口を叩かれており、本人もそれをコンプレックスにしている。

毛利家臣・清水宗治が籠る備中高松城を攻略した際の「水攻め」に強い影響を受けている。

忍城攻略の命を受けた際に、様々に策略をめぐらせてあえて戦いの道を選ばせるよう扇動する。


大谷吉継(おおたに よしつぐ)

三成の盟友であり、秀吉からは幼名の「紀之助」と呼ばれている。

軍略の才と冷静な判断力を持ち合わせる出来人であり、何事か企む三成と戦場経験の少ない正家に振り回されながらも二人を諌めて回っている。

忍城攻略の危険性にいち早く感付いた人物でもある。


史実における吉継は”秀吉の隠し子説””関ケ原戦における劇的な死”など、真偽不明のものも含め多くの伝説・逸話を持ち、一般的知名度のわりに歴史ファンの間での人気が高い。映画で演じた山田孝之氏は、こうした点まで考慮に入れて演技していたと語っている。


長束正家(なつか まさいえ)

丹羽長秀の家臣で、算勘(数的計算)に長けるため会計担当として長秀から秀吉が借り受けている。

(史実では長秀没後に秀吉が子の長重に難癖を付けて大減封し、正家らは秀吉の家臣になっている。)

秀吉に重宝されているという自負から天狗になっており、弱者には威張り、強者にはへつらうという小物臭い一面が目立つ。

忍城開城の交渉役として三成から指名されるも、高圧的で身勝手な交渉を展開し、(三成の策略通りとはいえ)成田家一門を抗戦の道へと導いてしまった。

三成に匹敵するほど頭は回るが、軍略は不得手。


映画版について編集

2012年11月2日TBS開局60周年記念作品として公開された。

本来は2010年から制作を開始し、2011年4月22日公開予定だったが、折しも2011年3月11日東日本大震災が発生し、劇中での水攻めのシーンが津波を彷彿とさせるとして公開の延期を決定。

また水攻めのシーンで人が流されていくシーンは、やむなくカットされることとなった。


スタッフ編集

監督:犬童一心樋口真嗣

原作:和田竜『のぼうの城』(小学館、ISBN 978-4-09-386196-0)

脚本:和田竜

プロデューサー:久保田修、小川真司

戦闘場面指導:伊藤清(元海上自衛官)

撮影:

美術:

音楽:上野耕路

主題歌:エレファントカシマシ「ズレてる方がいい」

衣装:

制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース エンタテインメント

プロダクション協力:エース・プロダクション

配給:東宝、アスミック・エース エンタテインメント

製作:『のぼうの城』フィルムパートナーズ


出演編集

成田長親:野村萬斎

甲斐姫:榮倉奈々

珠:鈴木保奈美

成田泰季:平泉成

成田氏長:西村雅彦(まさ彦)


正木丹波守利英:佐藤浩市

酒巻靭負:成宮寛貴

柴崎和泉守:山口智充


ちよ:尾野真千子

ちどり:芦田愛菜

たへえ:前田吟

かぞう:中尾明慶

田楽隊:東京打撃団


和尚:夏八木勲


豊臣秀吉:市村正親

石田三成:上地雄輔

大谷吉継:山田孝之

長束正家:平岳大


関連タグ編集

小説 和田竜

歴史小説 時代劇

映画 邦画


外部リンク編集

のぼうの城 | 小学館

映画「のぼうの城」オフィシャルサイト

のぼうの城 - Wikipedia

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