細田守
ほそだまもる
アニメーターを志し、高校1年生のときにアニメ映画『少年ケニヤ』のアニメーター公募に合格するものの、学校の試験のため断念する。次に演出に興味を引かれてジブリの門を叩いたが、研修試験で不合格となる。宮崎は「彼をジブリに入れると、かえって彼の才能を削いでしまう」と考えて細田を不合格にし、わざわざそのことを本人に手紙で伝えた。
1991年に東映動画に入社し、アニメーターとしてアニメ製作に携わったが、そこでの技能の差に衝撃を受け自信を失ったという。
1990年代後半から本格的に演出家へ転向し、『爆烈エトレンジャー』『るろうに剣心』『少女革命ウテナ』『ゲゲゲの鬼太郎(第4期)』『ひみつのアッコちゃん』などの演出に参加、2000年の劇場版デジモンの監督を務め注目を浴びた。なお、「橋本カツヨ」という絵コンテマンに転生したり、「遡玉洩穂(そだまもるほ)」という人に転生したりする。
宮崎駿から『ハウルの動く城』の監督に選ばれてジブリに出向したが、製作途中で人員問題という大人の事情により中止。大きな挫折となった。「どれみと魔女をやめた魔女」は当時の心境を反映したものとされる。
その後、東映アニメーションで『明日のナージャ』の演出や2005年の劇場版ONEPIECEの監督後に退社。
フリーとなって2006年の『時をかける少女』や2009年の『サマーウォーズ』を製作し高い評価を得た。
2011年にアニメ制作会社「スタジオ地図」を立ち上げ、『おおかみこどもの雨と雪』を製作し、翌年に公開した。
演出的には、基本カメラを動かさず、広角レンズを意識したカメラワークで描き、同じカットを使う同ポジションを多用。キャラクターの影を最小限になくしたり、実写・アニメ・デジタルの境目を突いた独自の演出手法で、CGを効果的に使う。
脚本的には、親子や兄弟といった家族愛をメインテーマに題材を取ることが多く、少年や少女の成長を通して家族愛を描くストーリーを手がけることが多い。
また、初期の監督作品についてはホラー的な描写が多く、子供向け作品で恐怖演出を使用しているのも特徴的と言える。
登場当時から大変期待が高く、初期の監督作品についての作品は大きく評価されているが、『サマーウォーズ』~『おおかみこども』あたり以降の作品についてはやや賛否両論に分かれる傾向にある。
内容面で彼の評価の大きなポイントとなっているのが、家族愛はよく描くが、友情は余り描かれないと言う点。
初期作品のデジモンや、恋愛描写を軸にした時をかける少女のような、いわば原作付き作品とは違い、自身がストーリー構成を担う作品については、ほぼ血縁関係のある身内を肯定的かつ重点的に描くことが多く、それとは対照的に、血筋故の葛藤や家族関係などの無い純粋な友情について描かれることが余り無い傾向にある。ただ、友情を全く描いていないという訳ではなく、『バケモノの子』では九太と二郎丸という異種族間の友情が育まれる様子が描かれていたり(尺は少なめだが)、『竜とそばかすの姫』では鈴とヒロちゃんによる女性同士の友情が描かれたりしている。
特に、10年代後半以降はこの傾向が強い作品が多く、敢えて悪い言い方をすると、身内贔屓が強く主人公の世界が狭い作品が多いとも言えるが、同時にこれは家族関係を重視したより共感性の高いエンタメ作品とも言い換えられ、家族層をターゲットとするにはうってつけの作風である。それ故に、見る人の家族関係によって評価が大きく変動する点があり、この点で好き嫌いが分かれやすい作家性をしている。
外側の面では、タイトルに「の」が入ることからキャラデザ、俳優起用までジブリを意識しすぎではないかという意見がある。これについては細田自身がポスト宮崎では無いという発言をしていることから、細田の意向というよりは売る方の意向なのではないかと推察されているが真相は不明。
『サマーウォーズ』のころから手がけた作品には何らかの形で“擬人化された動物”あるいは“動物的特徴を有した人間”といったヴィジュアルのキャラクターが多く登場するようになったことから、一部のあいだでは彼の作品はケモナーホイホイだと言われているとか。
監督作品
- 劇場版デジモンアドベンチャー(1999)
- ゲゲゲの鬼太郎〜鬼太郎の幽霊電車〜(1999)
- 劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム(2000)
- デジモンアドベンチャー3D デジモングランプリ!(2000)
- 劇場版ONE PIECE オマツリ男爵と秘密の島(2005)
- 時をかける少女(2006)
- サマーウォーズ(2009)
- おおかみこどもの雨と雪(2012)
- バケモノの子(2015)
- 未来のミライ(2018)
- 竜とそばかすの姫(2021)
主な参加作品
- 東映アニメーション
- 遠い海から来たCOO(作画監督補佐)
- スラムダンク(原画)
- ゲゲゲの鬼太郎(第4期94話ほか)
- ひみつのアッコちゃん
- デジモンアドベンチャー(21話ほか)
- ONE PIECE(199話)など
- おジャ魔女どれみドッカ〜ン!(第40話、第49話)
- 明日のナージャ
- 十二戦支爆烈エトレンジャー
- 少女革命ウテナ
- るろうに剣心
- スパイラル~推理の絆~(OP演出)
コメント
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すべて見る- 竜とそばかすの姫の恵鈴(竜ベル)のお話
姫との密やかな夜
映画、竜とそばかすの姫を 衝動的に書いてしまいました! 歌も映像もとっても良かったです! 恵くん(竜)かっこよ過ぎでしょ!なのに何故にしのぶくん!?という気持ちがどうしても湧き上がってしまって書きました 1回しか見てない上にパンフも手に入れてないので、弟の名前も分からないのにどうしても我慢できませんでした笑 内容は現実の恵と鈴が事件の数ヶ月後に電話してるっていうライトな内容です。その中でしのぶくんの名前が出たらどんな反応かなって妄想です。 解釈違いとか設定おかしいでしょとか捏造もりもりなところがありますがご容赦いただけますと幸いです。2,757文字pixiv小説作品 映画「竜とそばかすの姫」感想続き。※「激辛口」なので、(特に絶賛の方は) 閲覧注意です。
本作品と細田守監督についてSNSにて色んな方と交流させていただき、また書きたくなりました。 他の方も仰っていますが、細田守監督はプロデューサーで演出家だけど、ストーリーテラーではない。もっと「受け手」を意識した作品創りが必要です。※タイトルでも申し上げましたが、激辛口なので、絶賛の方は閲覧注意です。3,041文字pixiv小説作品映画「竜とそばかすの姫」感想
一言で、引っ込み思案な少女が現実世界と「U」の世界を渡り歩くことで、自分のアイデンディティを模索しつつ、Uの世界を脅かす「竜」の正体探しに巻き込まれていく話です。脚本に突っ込み所はありますが、従来よりも格段に進化した映像技術と、主人公役の中村佳穂さんの歌は素晴らしいです。 追記: コメント欄にて、YouTuber 【おまけの夜】 さんによる、「細田守監督が賛否別れる理由を解説!」動画を貼りました。私が共感する部分もあり、知らなかった部分もありました。彼の作品の良い点・悪い点の両方を説明されているので、公平なご意見だと思います。7,674文字pixiv小説作品