これは運命の扉の向こう側を旅した女の子の物語
概要
2003年2月2日から2004年1月25日まで、朝日放送を制作局とし、テレビ朝日系列24局で日曜8:30-9:00に全50話が放送された、東映アニメーション制作のアニメ。
ニチアサトレンディ三部作、夢のクレヨン王国、おジャ魔女どれみシリーズの流れを引き継いだ、少女向けのアニメとして作られ、作風は70年代アニメをモチーフとしている。主人公ナージャが自分の母親を探す旅に出てヨーロッパ各地を巡る途中、様々な出来事や人々との出会いを経て、人間的に成長してゆく姿を描いた物語である。ナージャの声優を務めた小清水亜美にとっては、本作が声優デビュー作品でもある。
スタッフ
シリーズ構成は金春智子、キャラクターデザインは中澤一登がそれぞれ務めたが、それ以外の多くの制作スタッフは『おジャ魔女どれみシリーズ』とほぼ共通で、東映アニメーション側のプロデューサーは関弘美、シリーズディレクター(監督)は五十嵐卓哉が務めている。
『おジャ魔女どれみシリーズ』の文芸担当・山田隆司(本作ではK・Y・グリーン名義)も主要サブであり、『どれみ』のサブ脚本担当陣も大和屋暁(本作ではルージュ・ドゥ・ルーン名義)以下全員が山田の下でほぼ残っており、『どれみ』の美術担当である行信三(本作ではカルロス・ユキ名義)ゆきゆきえ(いわゆる行夫妻)も継続して参加している。
また本作では東映アニメーションの海外法人のひとつである「東映アニメーション フィリピン」(TAP)のメンバーも本メンバーとして積極的に参入させた。
そして、その作風は関弘美プロデューサーをはじめとする『どれみ』スタッフ陣の趣味および嗜好へと完全に傾けた事に基づいたものとなっている。
続編
2017年9月に続編というべき小説版『小説明日のナージャ_16歳の旅立ち』が講談社キャラクター文庫から刊行された。金春智子執筆、中澤一登挿絵イラスト。
評判について
日本国内では、この時間帯の前番組である『おジャ魔女どれみシリーズ』、そして(結果としてだが)後番組の『プリキュアシリーズ』と比べると人気を得てはおらず、主人公ナージャの知名度も残念ながら低い。
それというのも『ナージャ』の前後作が、女児の心を掴みやすい、俗に言う「変身魔法少女」ものの作品であるとともに、その個性的な内容で幅広い層から高い人気を得たことが関係しているのがひとつ。
ふたつめは当時のニチアサ枠が『爆竜戦隊アバレンジャー』『仮面ライダー555』とヘビーかつブラックでダークな内容の作品が続いてたことから、辟易した視聴者が多かった線も否定できない。
前番組は魔法で問題を解決する以外にも、積極的に様々な社会問題を取り扱うことで高い評価を得、後番組は今までの魔法少女ものの特徴であった魔法の力ではなく、徒手空拳で敵を張り倒す格闘ものという新機軸を打ち出し大きな話題となった。
そしてなにより、ストーリーの内容を子供にも理解できるよう、留意されていた。
一方で『ナージャ』は、現実の20世紀初頭(放送時2003年から100年前)の近代ヨーロッパとエジプトを舞台としており、魔法の類は一切登場せず、歌と踊りが作品のメインとなっている、どちらかというと『世界名作劇場』に近い地味な作風であった。(これ自体は同じ現場スタッフによる「前番組である『どれみ』との差別化」も主眼に入っていたため。)
また、身分差別や男女間の恋愛、王貴族の衰退と平民(資本家)の台頭、嫉妬心から主人公(ナージャ)を窮地に陥れる友人(ローズマリー)といった、子供には理解のしづらい——むしろ大人向けの——重いテーマをストーリーに組み入れたため『どれみ』のブラックかつ陰湿なノリに辟易していた視聴層からはさらにヒかれにヒかれ、平均視聴率は最終的に6.8%と落ち込んだ(現在の視点では十分及第点のリアルタイム視聴率だが、当時は今のように児童層にまでタイムシフト視聴が根付いた時代ではなかった)。
もっとも、この時間帯はあくまでバンダイがスポンサーになっていたので視聴率よりも玩具売上実績の方が重要である。しかしナージャに関しては視聴率以上に関連玩具の売上が落ち込んでしまい、当年のバンダイの業績に影響を及ぼしてしまった。
本作は2年構想を視野に入れていたのだが、この不調を受けて1年で終了となってしまう。
本作終了後は、その責任を取る形で14年にわたりABC制作日曜8時30分枠の作品のプロデューサーを手掛けた関弘美はじめ多くのスタッフが降板し、後番組の『ふたりはプリキュア』では鷲尾天プロデューサーが中心になった。
以上の事から日本国内においての本作に対する評価は、お世辞にも芳しいとは言えず、特に玩具売れ行きの悪さから「在庫の女王」等揶揄する者は今でも多く、当時もネタにされてきた。
ただし、後年になって明かされた制作の事情から、そもそもこの作品はバンダイと東映アニメーションの商業主義に不満を募らせた現場スタッフが、打ち切り前提で玩具販促に媚びない作風を意識的に目指したと言う事実が明るみに出ており、商業的数値で本作の価値を測るべきではないと言える部分も多い。
それを証明するように、国外では日本での低迷ぶりからは想像がつかないほどの人気作となっている。
世界各地で放送されているが、とりわけ欧州では作品の舞台となっていることもあってか、評価が高い。さらにJASRACによれば2008年に当番組のBGMが海外で最も使用されていたという記録を残している。
これは本作の完成度がいかに高いかを示しており、広く人に知られている童話にも、元々大人向けの残酷な要素が詰まっているわけで、物語内容を子供向けへと無理に留意しなくても人気作を作れることを、図らずも日本国外のヒットが証明している。
その意味では、財団Bがスポンサーとなるニチアサ枠でなければ評価も違ったのではという見方もできる。
登場キャラクター
- ナージャ・アップルフィールド(CV:小清水亜美)
- ゲオルグ・ハスキル(CV:一条和矢)
- シルヴィー・アルテ(CV:折笠富美子)
- アーベル・ガイガー(CV:山崎たくみ)
- トーマス・オブライアン(CV:岸尾だいすけ)
- クリーム(CV:甲斐田ゆき)
- ショコラ(CV:木内レイコ)
- リタ・ロッシ(CV:大谷育江)
- アンナ・ペトロワ(CV:京田尚子)
- ケンノスケ・ツルギ(CV:木内レイコ)
- ラファエル(CV:山本耕史)
- 院長先生(CV:瀬能礼子)
- エヴァンズ先生(CV:永野愛)
- ローズマリー・アップルフィールド(CV:宍戸留美)
- オリバー(CV:橘U子)
- アレックス(CV:能登麻美子)
- デイジー(CV:松本美和)
- ピーター(CV:永野愛)
- フィービー(CV:能登麻美子)
- ニコル(CV:秋谷智子)
貴族
- フランシス・ハーコート(CV:斎賀みつき)
- キース・ハーコート(CV:斎賀みつき)
- ハーコート侯爵(CV:立木文彦)
- アメリア(CV:詩乃優花)
- エマ・クイーンズベリー(CV:今井由香)
- メリーアン・ハミルトン(CV:岬風右子)
- プレミンジャー公爵(CV:丸山詠二)
- コレット(CV:安原麗子)
- アルベルト・ワルトミュラー伯爵(CV:宮本充)
- ヘルマン・コロレード(CV:二又一成)
- ヒルダ・コロレード(CV:堂ノ脇恭子)
- オスカー・コロレード(CV:関智一)
- フェルナンド・ゴンザレス(CV:高橋直純)
平民
- ロッソとビアンコ(CV:乃村健次、小嶋一成)
- ハービー・リビングストン(CV:津田健次郎)
- T.J.(CV:甲斐田ゆき)
- クリスチャン(CV:小栗雄介)
- エドナ(CV:巴菁子)
- レオナルド・カルディナーレ(CV:鈴村健一)
- ティエリ・ロートシルト(CV:望月祐多)
- アントニオ・ファビアーニ(CV:堀川りょう)
- ジュリエッタ(CV:伊藤美紀)
- ジョン・ウィタード(CV:矢薙直樹)
- アンセルマ(CV:火野カチコ)
- ホセ・ロドリゲス(CV:大塚明夫)
- カルメン(CV:深見梨加)
明日のナージャ(悪役・ライバル)
一覧
リーダー=ラスボス
(リーダー)ローズマリー・アップルフィールド
主題歌
オープニングテーマ
「ナージャ!!」
作詞・作曲 - 茅原万起 / 編曲 - 大谷幸 / 歌 - 本田美奈子
エンディングテーマ
「けせら・せら」
作詞 - うえのけいこ / 作曲 - 小杉保夫 / 編曲 - 大谷幸 歌 - 小清水亜美
放送リスト
話数 | サブタイトル | 備考・関連タグなど | 放送日程 |
---|---|---|---|
1 | ナージャ、運命の扉!! | 第5話まではイギリス編 | 2003年2月2日 |
2 | 怪盗黒バラの夜 | 2月9日 | |
3 | サムライ・ケンノスケ大暴走!! | 2月16日 | |
4 | 舞姫ナージャとミイラ博士 | 2月23日 | |
5 | 星の夜・二人だけのワルツ | 3月2日 | |
6 | 母子を結ぶ舞踏会の日記 | 第12話まではフランス編 | 3月9日 |
7 | 仮面舞踏会のワナ | 3月16日 | |
8 | 折れた翼と恋の涙 | 3月23日 | |
9 | 悩める天才ピアニスト! | 3月30日 | |
10 | ふたつの想い出オルゴール | 4月6日 | |
11 | 危機一髪!!パリの告白 | 4月13日 | |
12 | 宝探しはロマンチック!? | 4月20日 | |
13 | 朝陽の中のフランシス | 第16話まではスイス編 | 4月27日 |
14 | アルプス花祭りのウソ | 5月4日 | |
15 | 嵐の中の家族 | 5月11日 | |
16 | わからない!大人の恋愛ゲーム! | 5月18日 | |
17 | 愛と野望のミラノ | 第22話まではイタリア編 | 5月25日 |
18 | ヴェネツィア、涙のマンマ・ミーア | 6月1日 | |
19 | 霧の夜・黒バラの真実 | 6月8日 | |
20 | 危険がいっぱい!ローマのデート | 6月22日 | |
21 | すれ違う母娘・ふたつの誕生日 | 6月29日 | |
22 | 助けて!炎の記憶 | 7月6日 | |
23 | 恐怖!地中海の幽霊船 | 第29話まではスペイン編 | 7月13日 |
24 | オーレ!太陽の闘牛士とフラメンコ | 7月20日 | |
25 | 帰ってきた裏切りの美女 | 7月27日 | |
26 | フランシスの向こう側 | 8月3日 | |
27 | 空飛ぶケンノスケ | 8月10日 | |
28 | 危険なプリンセス | 8月17日 | |
29 | すばらしき人生!光と影を見た男 | 8月24日 | |
30 | 泥まみれの白バラ | ギリシャ前編 | 8月31日 |
31 | 泣かないピエロ | ギリシャ後編 | 9月7日 |
32 | ナイルの果て・指輪の秘密 | 第34話まではエジプト編 | 9月14日 |
33 | ピラミッドに消えたブローチ | 9月21日 | |
34 | さよならダンデライオン一座 | 9月28日 | |
35 | 風のいたずら・運命の皮肉 | 第50話まではオーストリア編 | 10月5日 |
36 | 危うし!命を賭けた黒バラ | 10月12日 | |
37 | 明暗!ブローチ奪還作戦 | 10月19日 | |
38 | ローズマリー笑顔の陰謀 | 10月26日 | |
39 | 盗らないで!私のお母さん | 11月9日 | |
40 | 決意の朝!本当の旅立ち | 11月16日 | |
41 | 喜びも苦しみもひとり旅 | 11月23日 | |
42 | ひとりぼっちの故郷 | 11月30日 | |
43 | ピアノがつなぐ子守歌 | 12月7日 | |
44 | どっちが好き?究極の選択! | 12月14日 | |
45 | 三人模様・ぐらつく恋心 | 12月21日 | |
46 | 二人のナージャ、対決! | 2003年最後の放送 | 12月28日 |
47 | 沈黙!囚われの白バラ | 2004年最初の放送 | 2004年1月4日 |
48 | 逆転!黒バラの最後 | 1月11日 | |
49 | 諦めない!真実の力 | 1月18日 | |
50 | 新たなる運命の扉 | 最終回 | 1月25日 |
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アップフェルラント物語…制作会社は違うが、本作と同じく20世紀初頭の近代ヨーロッパを舞台とし、魔法や超兵器の類を一切登場させない作品。
ニチアサ同期:爆竜戦隊アバレンジャー(1時間前)、仮面ライダー555(30分前)
コラボタグ
外部リンク
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