概要
1966年から1981年の間、東映動画(現:東映アニメーション)が制作した一連の魔法少女アニメの総称である。
もっとも、東映が公式に「魔女っ子シリーズ」という括りを作っているわけではない。
「東映魔女っ子シリーズ」の名称は自然発生的に生まれ、いつの間にか根付いたものである。
そのため「シリーズ」と括ってあっても、原作者が違えば、スタッフも違い、さらには各作のコンセプトおよび作風・設定も全く異なっており、一部のファンサービス的な例外(例えばサリー→アッコ時のラストジャンクションなど)を除いて継承イベントや競演(客演)も行われていない事には、特に留意を要する。つまり「東映魔女っ子シリーズ」はシリーズを企図して制作企画を組まれた作品群ではない。このシリーズに含まれるとされる作品は、本来においては全て制作会社が同じなだけのまったく繋がりの無い独立作品なのである。
ただ、東映動画はTVアニメ黎明期から数多くの魔法少女ものを作っており、しかもそのジャンルは東映以外は触れることがなく、いわば東映の独自ジャンルというべきものであった。
それが1980年代に入ってからはパタリとなくなり、以後は別の会社の魔法少女ものが多く作られるようになる(葦プロのミンキーモモ、スタジオぴえろのぴえろ魔法少女シリーズなど)。これらの作品は変身の要素を主題に扱っており、それまでの東映制作の作品群とはまた違った魅力を持っていた。
つまりは、それら新世代の魔法少女ものに対して、それ以前の魔法少女ものを表す(その上で区別・分類する)ための呼び方として自然発生したのが「東映魔女っ子シリーズ」なのである。
東映動画(東映アニメーション)は1990年代以降は変身ヒロインを含める広義の魔法少女路線を積極的に作り出すようになるが、それらは東映魔女っ子シリーズとは切り離されたジャンルの作品と考えられている。
むしろ、東映魔女っ子シリーズとは主人公がリボンやフリルがついた可愛いコスチューム姿に変身しなかった時代の魔法少女を表すジャンルのことと考えた方がしっくりくるだろう。
上述したように東映が公式にシリーズを名乗っているわけではないため、どこからどこまでのアニメ作品が「東映魔女っ子シリーズ」に入るかについてはアニメ関連書籍などでも解釈は分かれている。
(この時期の東映動画はいろんな時間帯で魔法少女ものを作っていたので、特定の放送枠の作品群のみがこのシリーズという言い方もしにくい)
作品一覧
斜体は「東映魔女っ子シリーズ」を扱ったアニメ関連書籍や関連商品などでは含まれないこともある作品。
- 魔法使いサリー (1966〜1968年)
- ひみつのアッコちゃん (1969〜1970年)
- 魔法のマコちゃん (1970〜1971年)
- さるとびエッちゃん (1971〜1972年)
- ※主人公が忍者なので魔女っ子ものではないと解釈されてシリーズから外される場合もある。
- 魔法使いチャッピー (1972年)
- ミラクル少女リミットちゃん (1973〜1974年)
- ※主人公がサイボーグなので魔女っ子ものではないと解釈されてシリーズから外される場合もある。
- キューティーハニー (1973〜1974年)
- ※戦う変身ヒロイン(バトルヒロイン)の元祖的存在。男性向け作品(週刊少年チャンピオン掲載)なうえに主人公がアンドロイドと、他の魔女っ子ものとは大きく作風が違うため、シリーズに含めないと解釈される場合もある。
- 魔女っ子メグちゃん (1974〜1975年)
- 魔女っ子チックル (1978〜1979年)
- ※東映本社が日本サンライズ(現・サンライズ)に委託して作った作品。東映版権ではあるのだが東映動画が関わっていないため、シリーズに含めないと解釈される場合もある。
- 花の子ルンルン (1979〜1980年)
- 魔法少女ララベル (1980〜1981年)
後継作品の一覧
- とんがり帽子のメモル (1984〜1985年)
- 元々は土曜夜に放送されていたが、途中で日曜朝に移動した。
- 以後この時間帯は、東映アニメーション・朝日放送によるアニメ枠となっており、本作はニチアサアニメの初作(=『おジャ魔女どれみ』『プリキュア』のルーツ)として位置付けられている。
- ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー (1998〜1999年)
- 東映動画が制作した作品。放送途中に、「東映動画」から「東映アニメーション」に社名変更した。
- おジャ魔女どれみ (1999〜2000年)
- 衣装は「魔法による変身」ではなく、あくまで「着替え」である。
- 従来とは違い、「魔法は万能ではない」「魔法で解決できないこともある」といったテーマを押し出した作品。
※以降のシリーズ全体については、おジャ魔女どれみシリーズを参照。
- 魔法つかいプリキュア! (2016〜2017年)
- 「プリキュアシリーズ」第13作目。あえて避けられ続けていた『魔女っ子』の要素を取り込んだ作品。放送が開始した2016年は東映動画創立60周年、および魔法使いサリー放送50周年でもあった。
余談
東映魔女っ子シリーズと呼ばれているが、タイトルに「魔女っ子」が付いている作品は『魔女っ子メグちゃん 』と『魔女っ子チックル』のわずか二作しかない。
しかしそもそも日本のTVアニメでタイトルに「魔女っ子」が付いている作品がこの2つしかないので、東映魔女っ子シリーズという呼び方はあながちおかしな話でもない。
「魔法少女もの」というジャンル名が定着したのは、スタジオぴえろが自社の作品群に「魔法少女シリーズ」と名付けてからである。東映魔女っ子シリーズが放映されていたリアルタイムの頃は、この手の作品は「魔女っ子もの」と普通に呼ばれていた。
歴史的には「魔女っ子」という呼称の方がはるかに古いわけで、魔法少女という言葉が広まる前の時代の作品群というのを表すのに、「魔女っ子」という呼称はわかりやすかったというのはあるのだろう。
なお、「魔女っ子」という言葉は東映によって商標登録されている。