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今、日本のアニメーションは海外で注目されヒットしていますが、そのほとんどは男の子が活躍する作品です。

日本だけではなく海外の女の子達は、自分たち女の子が大活躍して日常のストレスをスカッと吹き飛ばす作品を待っています。

     ───『ふたりはプリキュア』プレスリリース(2003/11/26)より


概要

プリキュアシリーズとは、東映アニメーション製作、朝日放送テレビ(ABC TV)・テレビ朝日系列、毎週日曜8時30分枠(いわゆるニチアサキッズタイムと呼ばれる児童番組枠の一つ)に放送されているオリジナル少女向けアニメシリーズで、『変身ヒロインバトルヒロイン)もの』の作品の一種である。


明日のナージャ』の終了を受けて2004年2月から同時間枠を引き継いだ『ふたりはプリキュア』を第1作とし、人気を得てシリーズ化。以降20年以上続く人気シリーズに成長し、テレ朝アニメではドラえもんクレヨンしんちゃんに次いで第3位、東映アニメーション制作の女児向けアニメでは最長シリーズとなっている。


「女の子だって暴れたい」をコンセプトに企画され、主に体術を使って戦うのが特徴。


「少女達が“プリキュア”という戦士に変身し戦う」「妖精がプリキュアのサポーターになる」の要素が基本。「プリキュア」は「Pretty」「Cure」をあわせた造語で、「キュア○○」のような戦士名がつく(但し一部これに該当しない番外戦士もいる)。メインキャラクターの人数は作品毎に異なる。

それぞれの作品に明確な繋がりはないものの、歴代作品のキャラクターたちが総登場するアニメ映画『プリキュアオールスターズ』が制作されている。

また、漫画版が講談社の「おともだち」「たのしい幼稚園」等の幼児誌や、少女コミック誌「なかよし」などで掲載されているが、他社の雑誌掲載はほとんどない。ただしムック関連は他社でも発行されており、他社でもプリキュアの特集が組まれるケースがあるため講談社が独占しているというわけではない。


ちなみに、講談社関連のキャラクターが今まで起用してこなかったマクドナルドのハッピーセットにも一部シリーズを除き登場している他、松屋とのコラボ企画も実施されたことがある。さらに、長野県池の平ホテルではプリキュアルームという独自の部屋も用意されている。


また、ストーリーには単純な勧善懲悪で終わらない社会的なメッセージ性が込められることが多く、幼稚園入園前〜小学校低学年向けの番組とは思えないような複雑な内容も多々含まれている。


毎年2月1日は「プリキュアの日」として日本記念日協会に認定されている。



シリーズ一覧

本編


番外作品

12023年キボウノチカラ〜オトナプリキュア‘23〜
22024年魔法つかいプリキュア!2(仮)

舞台作品


 ※ プリキュアシリーズ一覧に、より詳細なシリーズ一覧リストがあります。


プリキュアシリーズの特徴

「アクション」へのこだわり

2004年に放送開始された『ふたりはプリキュア』におけるキャッチコピーは女の子だって暴れたい

女児向けの変身物でありながら、格闘戦(※)主体で戦うという斬新さが人気を集め、当時の女児向けアニメにおいて、異例のヒットを叩き出した。


※格闘戦の他にも、肉弾戦空中殺法マーシャルアーツ(ふたりはプリキュアMaxHeart DVD-BOXのブックレット15P参照)などと表現される場合もあるが、全体的には格闘系のワードで表現される傾向にある。


本作がこれまでの女児向けアニメと違い異質な作風になったのは、まずプロデューサーの鷲尾天が商社や出版社関係(三省堂)、報道関係(秋田朝日放送)から転職した人物であったことに加え、女児向け作品のノウハウがないまま仕事を任されたのが一因として挙げられる。結果的に、彼が監督を依頼した『ドラゴンボール』や『金田一少年の事件簿』、『エアマスター』で活躍を見せた西尾大介の色が非常に強い作品となった。


翌年には続編も作られ、さらにその翌年には登場人物から世界観まであらゆる設定を一新させた新しい「プリキュア」が作られた(ふたりはプリキュアSplash☆Star)。その後も「プリキュア」という名前とバトルアクションのテーマ以外には繋がりがない新作が毎年作られるようになり、プリキュアシリーズと呼ばれるようになる。


制作側はプリキュアシリーズを「アクションファンタジー」と言う独自のジャンル名で呼称している。(参考1参考2


「大人になっても忘れないもの」を目指して

プリキュアシリーズの主な対象年齢は未就学児層とされているが、それと同時に「子供と一緒に見ている親も楽しめる作品」ということが目指されている。

そのために「親が不快にならない品の良さ」のようなものも意識されており入浴シーンなどのお色気シーンは御法度。従来の同ジャンルでは定番だった夏の水着回ですら12作目になるまではタブー扱いであった。話にも道徳的な要素が盛り込まれる事が多く、変身後のデザインは小さな女の子が喜ぶような華やかな色彩にフリルリボンなどがあしらわれている。


ニチアサの多くに言えることながら、バンダイがメインスポンサーを務める作品であるため、玩具販促色も濃く、作中に登場する変身グッズやアイテムは関連玩具として魅力的に展開することも全シリーズで求められている。


脚本や演出においては放映当時の時勢を反映した、ドラマ性の強い内容も目立ち、一定の大人のファン層がついている理由はこの部分が大きい。

元より子供番組は親子で楽しむものを想定しているため「一緒に見ている両親が子供たちに説明することでコミュニケーションを取りながら視聴することを想定した内容」となっている。

一方で、シナリオを意識せずとも派手なアクションやコミカルな演出で子供が疑問を持たずとも視聴できるよう工夫がなされている作品もシリーズの中にはいくつか存在している。

初期作のプロデューサー・鷲尾は「子供の時には理解できなくても、成長して昔も思い返した時、作品の意図や意味に気づいてもらえれば」と語っている。

15周年記念の会見の際には、プリキュアシリーズが作品が変わっても共通して目指すべきものとして、同じ理念が語られている。


関連玩具のメインターゲット層は未就学女児としているが、アニメの視聴層はシリーズを重ねるごとに拡大しており、現在では上述したように大人の層がそれなりについているコンテンツとなっている。制作側としてはその事実を肯定的に受容する態度を見せている。

ただ、他の女児アニメ(アイカツシリーズやプリティーシリーズなど)に比べると、大人向けのコンテンツ展開は殆ど控えている。

初の大人の女性向けコンテンツとなる『プリキュア5』のラジオ番組『CLUB ココ&ナッツ』のスタート前も、鷲尾は枠から外れすぎないようにと要望を出していた。

15周年を境目にこの点はやや緩和され、ソーシャルゲームでのコラボ出演や人気投票など、当時子供だった視聴者が思い返すキッカケを作る展開を行うようになった。


フレッシュプリキュア』から『スマイルプリキュア』までのプロデューサーを務めた梅澤淳稔は「プリキュアシリーズは大人の男性の視聴にも耐えうる作品づくりを意識している」と明言している。ただしこれは「子供と一緒に見ているお母さんはもちろん、お父さんの心にも響く作品を目指す」という意味合いであるという意味であり、所謂大きいお友達は基本的に対象外であることに注意すべきである。なお、「プリキュアのメインターゲット層は10歳未満の女児と30歳以上の男性である」と記載された資料らしきものがネット上で拡散されているが、これはDVD販促用の資料をコラージュして作られたフェイクである(証拠リンク)。


プリキュアシリーズの変遷

バトルヒロインの項目も参照。

前史

──当時はシリーズ化して続いていく……という予感はあったんでしょうか?

西尾:かけらも思ってなかった。多分、誰も思ってなかった。1年だって怪しかったのに(笑)。

     『ふたりはプリキュア』総集編Blu-ray/DVD発売記念インタビューより)


鷲尾:当初はこんなロングランではなく、半年~1年で終了する予定だと聞かされていたんです。

     ハフポストでの2019年時点のインタビュー記事より)



そもそも、プリキュアシリーズが誕生した理由は元をただせば、かつて同時間帯で放送されていた『おジャ魔女どれみシリーズ』の展開中において、度重なる急なシリーズ延長のためスタッフの疲弊が限界に達したことに端を発する。これは同シリーズに限らず長期シリーズでは必ず起こる弊害であったが、同シリーズの場合は上層部の安易なシリーズ延長命令とスタッフの段階的な交代を殆ど行わなかった(ほぼ同じスタッフを延々と使い回し続けていた)ため余計に問題となっていた。その結果『どれみ』をこれ以上続けるのは限界として、『明日のナージャ』という完全新作アニメシリーズが構想されることになった。この時何故か上層部から「ほぼ同じスタッフを継続すること」という条件を突き付けられたため、スタッフ側が要望していたスタッフの疲弊の問題はほとんど解消されていなかった。

上層部はこれを2年シリーズとして計画しており人気があれば『どれみ』同様さらに延長を、と目論んでいたのだが、しかしこの『ナージャ』で現場スタッフが上層部の安易な商業主義に反逆するかのように、自分たちのやりたいことだけを貫いた作品づくりを徹底した(打ち切り1年終了を前提にスケジュールを回した)ため、作品としての評価はともかく玩具販促の面では芳しくない結果が早々に続き、上層部は(現場の目論見通り)1年で終結させてチームを分解させる決断をせざるを得なくなる。(SD以下、疲弊したスタッフの解放に至った、とも言える)


(『ナージャ』2年目キャンセルに関する詳細はナージャの項目を参照)


そして、予定していた2年目のスケジュールが空いてしまったことの穴埋めの作品が必要になった。男児向け作品に転換することも検討されたが、結局引き続き女児向け作品を制作することになった。しかし『どれみ』からこの時間帯を支えてきたスタッフ抜きに女児アニメの得意な人材を急遽揃えることは難しく(しかも『ナージャ』の2年目キャンセルが決まったのが夏前であったこともあり、次番組を始めるまでの余裕は半年強しかない状態であった)、翌年作のプロデューサーに任命された鷲尾天と監督の西尾大介は女児向けアニメに関して全くの未経験者という有様であった。


女児アニメの経験がない鷲尾は開き直って、自分が面白いと思う要素をストレートに出すことにした。彼が好んでいたのはバディものの刑事アクションドラマや不良マンガであり、それを変身ヒーローに当てはめることで「性格真逆な女の子同士がひょんなことからバディを組んでヒーローになり、パートナーである妖精を悪の怪人から守るため、互いに軽口をたたき合いながら対人格闘を行う」というアニメ史上全く前例の無い企画が生まれた。

当時の女児アニメの常識からするとふざけているとしか言いようがない内容だったが、女児アニメの常識を知らない鷲尾は真面目に熱意を持って提案。女の子ならではというのはわからないが、女だろうが男だろうがワクワクするものは同じはずと鷲尾は信じて疑ってなかったのだ。そして鷲尾はその思いを込めて企画書に、今となってはシリーズを代表する言葉となった 女の子だって暴れたい の一言を書き加える。

これが、のちにプリキュアシリーズにおけるベースとなるのだが、もちろんこの時点ではそんなことは誰も想像だにしていなかった。


上層部は鷲尾に対して企画の修正を促すが、鷲尾はそれならばプロデューサーを降りるといって頑として修正は拒んだ。

そして『ナージャ』の急な打ち切り決定で本当に他のプロデューサーを検討する時間的余裕などなく、本来ならボツとするべき企画を通さざるを得なくなってしまったのである。

鷲尾自身もプリキュアという作品はニチアサ8時30分枠の女帝として長く君臨していた関弘美の世界観を根底から壊すことになり、上層部からの嫌味を受けるばかりか、『どれみ』を支えてくれたアニメファン層からの強い反発もあるだろうと予想していた。鷲尾は時間がない中でスタッフを集めるにあたって、長く彼と親交があった西尾大介を監督に抜擢。東映アニメーションの中庭の噴水前に呼び出し、自分と共に修羅道を征くことに付き合ってくれと頭を下げて頼む。西尾も女児アニメの経験は皆無で分からないことだらけだったが、鷲尾の熱意に感じるものがあったのか「わかった。うまくいかなかったら、謝って逃げちゃおうか」と物騒なことを言いつつ、この無謀なプロジェクトに乗っかったのである。(鷲尾Pはこれを「2003年プリキュア三顧の礼」と呼んでおり、このタイミングがプリキュアという企画がスタートした瞬間としている)

現場スタッフには西尾が直前にSDとして手がけていた『エアマスター』から有志が募られる形で、どうにか揃えることができ、時間がない中での命がけの制作が開始された。

(プリキュアが空中での格闘戦を駆使するのはアニメ版『エアマスター』の名残とも言われているが、西尾としては当たり前のことを当たり前にやっているだけ、と考えている。プリキュアの戦闘演出やドラマの作り方においては西尾が降板した第3作『S☆S』から大きく方向性が変わるが、「飛んだり跳ねたりの全身を使った激しいバトルが主体」ということについては現在までプリキュアシリーズ全作に受け継がれている)


また、作品作りを参考するにあたり、鷲尾や西尾は、映画『48時間』『ダーティハリー』、テレビドラマ『噂の刑事トミーとマツ』『白バイ野郎ジョン&パンチ』などを参考にしたが、いずれも女児向け作品では無かった


こうして作られた『ふたりはプリキュア』という作品は、当然のようにそれまでの女児アニメとは異なる感性の作風になった。

こういう作風のアニメは絶対にヒットしないことは目に見えていると思われていた。当然ながら、シリーズ化する予定なども欠片も無かった

鷲尾が率いる制作スタッフ陣には一年どころか半年で終わらせる可能性もあることが上層部から示唆されていた。そんな不穏な空気の中、『ふたりはプリキュア』が2004年2月1日、ついに始まったのである。しかし・・・。


予想外の大ヒットへ

皮肉にも、前述の『ナージャ』終了に伴う混乱が原因で作られた『ふたりはプリキュア』の、あまりに斬新すぎる内容が逆に受けて子供達の間で話題沸騰となって大人気を集めるという結果となったのだ。

おまけに上述のアニメファン層においては「日曜8時半枠の危機」の危惧が煽られた結果として『ふたりはプリキュア』に対しては(『ナージャ』への八つ当たりめいた批判で『どれみ』ロスのフラストレーションがガッツリとガス抜きさせられた事も手伝って)「まぁ『ナージャ』よりかは」という意識が生じてしまい「廃枠に追い込まれるなら、キチンとプリキュアを応援しよう」という空気感も蔓延する。(もっとも『どれみ』ロスによるファンからの理不尽なプリキュア叩きは、この時期にも一応は存在していた。ただしリアルタイムのファンはこの時点では、この時間帯からはナージャの騒動もあって「卒業」しており、そうした批判は当時には一部に留まっていた。『どれみ』ロスに伴うプリキュア叩きは、むしろ「どれみ世代」が「子育て世代」になって、親として視聴層に戻ってきた平成最後期~令和以降に、一部に留まっていたリアルタイム時の批判が「時間帯に戻ってきたどれみ世代」に取り込まれて再燃してしまったもので、これは今でも根深いものとなっている)

そして何よりショッキングな結果となったのは、プリキュアの関連玩具の売り上げが『どれみ』シリーズのピーク時をも早々に上回ったことである。これは誰も予想していなかったことであった。

このように放映を開始した途端に予想外の人気を獲得し、商売的にも成功を収めたため、バンダイからすれば良いことであったが、困ったのは東映アニメーション本体である。ここまで爆発的にヒットしてしまうと、プリキュアを半年どころか一年で終わらせることは難しく、急遽2期目の制作が決定されるこれにより、1期目を最終回までたどり着かせるために必死に作りながら2期目の構想を練るという苦労を背負うことになる。

スタッフたちの努力もあって2期目となる『ふたりはプリキュアMaxHeart』は無事制作され2005年2月6日より放映された。


さらに同年4月16日にはシリーズ初の劇場版『映画ふたりはプリキュアMaxHeart』が公開され、以降年1~2回のペースでプリキュアシリーズの映画作品が公開されている。


一方『ふたりはプリキュア』のTVシリーズおよび劇場版の制作に関しては、前述の通り女児向けにまだ不慣れな状態のまま2年続けての制作であった上に当初想定されていなかった続編の急な決定も重なり、『どれみ』時代と同様に非常に壮絶なものとなった。制作面については、2期目のタイトルが締切日ぎりぎりになってもなかなか決まらず、鷲尾と西尾が「もういっぱいいっぱいだね」と話したことから『MaxHeart』という本編の内容と直接無関係のものになってしまったり、MaxHeart第11話における作画崩壊といった作画を整える余裕の無い回からも、当時の壮絶な状況が窺える。また、劇場版2作目ではスタッフが女児向けに不慣れだったことが仇となり、一部女児が泣き出すという失態を起こしてしまう(雪空のともだちプリキュア同士の戦いも参照)。


かくて監督(シリーズディレクター)の西尾大介が疲弊による限界に至っていると早々に感じた鷲尾プロデューサーは、西尾を監督から離脱させるべきと上層部へと発案、結果、西尾は『MaxHeart』を以て監督を降板することになった。


『Splash☆Star』における低迷期

『MaxHeart』の次回作については、新キャラを追加して初代プリキュアの3年目を継続させる案もあった。実際になぎさ、ほのかからキャラクターを変えるのにスタッフから反対の声があったためである(この時点では『プリキュア』には「ブランド化」だの「主人公交代による継続シリーズ」だのといった着眼点は無い)。

しかし『ふたりはプリキュア』は監督の西尾あっての作品であると感じていた鷲尾プロデューサーは、監督を交代しても『プリキュア』を続けるならばキャラクターも世界観も一度全部ゼロベースに戻して『プリキュア』という作品そのものを「再構築」し『プリキュア』作品の継続を目論む。

さらに、この頃から『ふしぎ星の☆ふたご姫』の好感触による2期発進に加え、女児向けゲームとして「ある作品」が登場。それら作品の「キラキラかわいい」作風への話題が好感触として大きくなる萌芽が見えていた事から『ふたりはプリキュア』のバトル時に暗い画面で不安を大きく煽る路線に対して一部で「ハード路線は今、目新しいだけで、遠からず限界が来るのではないか」「キラキラかわいい路線が盛り返せば、プリキュアの武器となってきたハード路線は諸刃の剣となって、逆にプリキュアの足枷になる(子どもを味方につけても親を敵に回し、挙句、家庭に見捨てられる)のではないか」との疑義が出る。

そこで、女児向け初挑戦となった『ふたりはプリキュア(無印・MH)』の成果に気を良くした(のちに鷲尾はこれを「油断した」と評した)鷲尾は次も『プリキュア』を続けられるなら初代作やMHのようなやり方ではなく、きちんと本当の意味で女の子たちに向けた上で親たちも納得&安心して見てくれるであろう、キラキラかわいくて美しいプリキュアを本気で作り上げてみたいと考えるようになる。

そうして『プリキュア』においては、女児向けとしてはあまり前例のない「世界観もキャラクターも引き継がないが、コンセプトだけは引き継ぐ」という試みが行われることとなった。こうして登場した二代目プリキュアが『ふたりはプリキュアSplash☆Star』である。

ところが『MaxHeart』の最終期である第三期までは売上は好調だったのだが(MaxHeartの第三期の売上は34億であり、これは第三期同士での比較なら歴代のプリキュアシリーズで過去最高である)『Splash☆Star』開始から売上が落ちてしまう。

つまりは前述した「ある作品」……すなわち女児向けTCAGの元祖とされる『オシャレ魔女ラブandベリー』(通称:ラブベリ、2004年秋期~2008年)の台頭である。

のみならずMHと同時期に展開した『ふたご姫』の好評による第2期の突入や、ライバル会社より満を持して送り出された『きらりん☆レボリューション』の登場(いうなれば良質な女児向け作品の豊作であり、同時にライバルメーカーによって各家庭に対してプリキュアへの疑義を問われた無意識的な対プリキュア包囲網の成立)まであいまった。

『Splash☆Star』はプリキュアシリーズ存続の使命を背負わされた作品であったのだが、結果的にはラブベリに押しに押され、『ふたご姫』『きら☆レボ』の下位作品からも追いつかれこそしなかったものの健闘と追撃を許し、関連商品売上が想定よりも悪くなってしまう(約半減)。

『Splash☆Star』は元々は二年の予定で企画されていたのだが、この成績不調から二年目をキャンセルさせられる憂き目に遭う。(皮肉にもプリキュアを生むきっかけになった『ナージャ』と外見構造的には同じ状況となったと言える。しかし、当初からスタッフ側が(スポンサーや上層部が出した2年単位計画を「自分たちの事を欠片も考えてくれなかった身勝手な都合」と切り捨てて)一年終了を前提に動かしていた『ナージャ』とは異なり、『Splash☆Star』は本気で2期目を前提にした作品であったため、ここにきて一年で終了のためのハードワークがまた起こってしまう)


『5』でのV字回復

『Splash☆Star』の翌年をどうするかについて企画会議では「もうプリキュアではない別のアニメを作るべきでは」という議論も巻き起こる。この時点での「プリキュア」は、無印~MaxHeartの大ヒットは偶然斬新すぎたためにヒットしただけで、本来は前述の通りヒットするのはあり得なかった作品という認識が強まっていた。通常のアニメ制作会社であれば、ここで大人しくシリーズを畳み、別の作品に切り替えるのが常識である

しかし、『Splash☆Star』の突然の2年目キャンセルという状況下では新たにスタッフを招集する余裕は無く、止む無く『Splash☆Star』と同じスタッフで繋ぎの別作品を1年間制作させて、その間に別の女児向けアニメ作品の企画準備やそれを作れるスタッフ・制作体制を整えることが決定する(この事で、ただでさえ『Splash☆Star』終了のためにハードワークを強いられていた現場は、さらに次作の準備作業まで上乗せされ、さらにハードワークな状態となってしまう)。

しかし現場のトップである鷲尾プロデューサーは「自分の女児向けは『プリキュア』しかノウハウが無い(同じスタッフでやるならプリキュアを続けさせろ)」として、それ以外の作品を作る事を拒む(鷲尾はこの時点で、作品をリセットすればスタッフの使い捨てにもなりかねない多大なハードワークに突入する事は予測しており、それを防ぎスタッフを守るためにも「あくまでも予定どおり『S☆S』の二期目」を当初より希望し続けたが、商業成績という数値の前には叶わなかった。プリキュアの継続は、この時点で3年かけて多少なりとも培ってきたノウハウを流用できるため、その分、スタッフ負担を軽減できる、スタッフを少しでも守れる、という心積もりもあった)。いずれにせよ、当時はこの次作を以てプリキュアを今度こそ終了させる方針であったと同時に鷲尾プロデューサーが、これからもプロデューサーとして作品を作らせてもらえるかどうかの最後のチャンスであったと言える。

かくて再び追い詰められた鷲尾プロデューサーは、このチャンスをなんとか起死回生に結びつけるため、これまでプリキュアシリーズに関わってくれていた東映グループ所属の女性社員たちに「どんな作品が好きか、見たいか、作りたいか」というリサーチをかける。そして彼女たちからは、当たり前と言えば当たり前だが「チームものがいい」「恋愛のキラキラは欲しい」「主人公の手の届かないイケメンなんかいらないけど、寄り添ってくれるイケメンの存在は必須」などなど過去作の存在を念頭に置いたド定番の意見が頻出した。しかし、それらは男性向けから発展した方法論しか持ち得なかった鷲尾にとっては逆に新鮮な(そして鷲尾天という年配男性が『女の子のために』と考えていた事を「全否定」する)意見であった。

かくて、こうしたリサーチ結果を念頭に再び鷲尾プロデューサーの好みであるヤンキー漫画のソウルブラザー概念を組み込み、再び設定レベルからリセットをした新しいプリキュア『Yes!プリキュア5』が製作された。


結果として『プリキュア5』は、前述の意見を導入したことが功を奏したのか、一気に人気を回復させた。さらにプリキュアデータカードダスもこの年から『魔法つかいプリキュア!』まで続く大長寿のアーケードゲームとなり、ゲーム面でもラブベリをけん制することができた。また、データカードダス内で発展したモーションキャプチャーの技術は『フレッシュプリキュア!』以降の3Dダンスの技術に転用される利点ものちに生まれた。(後々になって考えるとキッズ向けアーケードゲームの競争激化の発端でもあったことも忘れずに。)

これを受けてスポンサーや上層部は、本来『プリキュア5』放送期間中に予定していた別の女児向けアニメ作品の企画やスタッフの段階的な準備を急遽取り止め、『プリキュア5』の二期目製作を指示する(事実上、シリーズ終了の危機をなんとか回避することに成功したと言えるが、結果的に『作品が不振で打ち切られたため繋ぎ番組を作り、放送中に本来のまともな作品の準備をする→その繋ぎ番組が好評だったためまともな作品の準備を止めてその繋ぎ番組の放送期間を延長する』という無駄なサイクルを2度もやらかしてしまったことになる。また、プリキュアの売り上げ枠が拡大することにより、バンダイ内部の作品も含めた、他の女児向けアニメの資本的な吸収および少女漫画原作・児童向けの(純粋な)魔法少女アニメの衰退が始まるきっかけにもなった。)

しかし、鷲尾はこれまでの経験の総括(=こんな修羅場は作品のためにも、何よりスタッフのためにも長くは続けられない)から、この時間枠でのコンテンツの継続のためには前任者の考え通りの世代交替が必須だとして、前もって「これ以上プリキュアをやるにしても終えるにしても、自分(鷲尾)は『5』に関しては二期目となる『Yes!プリキュア5GoGo』までしか面倒は見ない(=別の時間枠へ行かせて欲しい)」と宣言しており、彼はプリキュアの制作現場からはこの作品を最後に去ることとなる。


年単位交代制による安定的シリーズ化へ

『5GoGo』の次番組の検討は、『Splash☆Star』以来のプリキュアシリーズ存続の分岐点とも言えた。


『プリキュアの父』である鷲尾が現場を去ることになってから「プリキュアシリーズをどうしていくのか」という議題に対しては二つの案があった。

まず一つはプリキュアシリーズを終わらせること。もう一つは人気が高かった『プリキュア5』の三期目を全く別のプロデューサーの指揮下で作らせることであった(なお、『プリキュア5の三期目』については約14年半後に番外作品『キボウノチカラ〜オトナプリキュア‘23〜』として実現している)。

だが、結果的にはそのどちらでもなく『プリキュア5』の三期目を作らずに、鷲尾の担当枠交換の願いに応じて『ノイタミナ』(当時は「墓場鬼太郎」)からニチアサに帰参した、元ニチアサSD梅澤淳稔を新たなプロデューサーに添えた上で、今までとつながりがない全く新しいプリキュア『フレッシュプリキュア!』が作られることになった。

(なお、『フレッシュ』より前の時期のプリキュアシリーズで続編ではない完全新作を作られたのは前年の実績が芳しくないからであったからなのだが、『フレッシュ』の企画が始動した春頃には当時放映中の『Yes!プリキュア5GoGo』は前年同期超えをしていた実績を持つ作品であったことは強調しておく。『5GoGo』は後半こそ外部要因から玩具実績に陰りを見せていたが、その時点ではすでに『フレッシュ』の企画は固まっていて、内容に影響は与えていない)


また、この当時、かつて鷲尾の前任としてニチアサの同時間帯に携わり『ニチアサ女児向け枠の母』との呼び声高く、梅澤ともタッグを組んだ事もあるベテラン関弘美がプロデューサーより上の立場であるテレビ企画部長(企画)となった。

この関には一つの悲願があった。それは「1年単位で作品(キャラクターコンテンツ)を切り替え、日曜8:30枠の運営の恒常安定化を行う」というものである。

制作したアニメの人気が出るとスポンサーや上層部は当然ながら「商業上安定している作品は人気が完全に尽きるまで終わらせるべきではない」と考える。しかし現場としては、原作がなく場回し式で全部一から作る必要がある作品に何年も拘束され続けると疲弊してしまう。関はプロデューサー時代、『どれみ』から『ナージャ』に至るまでその矛盾に悩まされ続けた。

そんな彼女は『プリキュア』が無印以降5年間延長とテコ入れを繰り返したことで「キャラクターの代替わり」が定着しつつある事と、『プリキュア5』でのV字回復という実績を念頭に、プリキュアは自身の悲願を達成できるコンテンツであると感じていた。そして以下の改革を実行する。


  • それまで鷲尾プロデューサーの女児向けアニメブランドであった『プリキュア』の名称を『東映アニメーション専用の女児向けバトルアクションアニメシリーズ』という解釈に変更した上で事実上シリーズを存続させる(これは『プリキュア』の名称および基本的なバトルアクションスタイルを使用した方が毎年別の名称・設定のアニメを制作するよりも日曜8:30枠が(『ナージャ』の様な突発的なシリーズ終了によるゴタゴタを避けられ)安定して存続させられると踏んだためでもある)。
  • 『どれみ』や『無印』『MH』の時の様なスタッフの過度な疲弊(特にスポンサーの要請を大きな原因とする「人的リソースの消費財化」すなわち「スタッフの使い潰し」)を回避するため、作品の世界観の切り替えおよび監督・構成・キャラクターデザインなどのメインスタッフ交代も1年単位で実施する。その際は1年単位でスタッフやキャラクターが異なっていてもシリーズとして成り立たせるようにする。(つまり作品の開始から終了までを計画的にパッケージングする事を可能にする。これは関と梅澤の「師」である「ニチアサの父」籏野義文の教えとも合致する)

関はこれらを実現するために梅澤と共にスタッフへと働きかけ、この体制下で作られた最初の作品『フレッシュプリキュア!』以降、実際に定着する。

プリキュアが表立って「シリーズ化」と「ブランド化」を意識した戦略を練る事ができるようになったのは、ここからである。上層部やスポンサーが望む「コンテンツの長期安定化」はプリキュアをブランド化することによって実現させつつ、作品自体は一年単位で完結させ主要スタッフは一年単位で交代することで現場の負担を軽減させたのである。こうして『どれみ』からずっと続いていた疲弊問題は多少なりとも緩和された。

以降プリキュアシリーズは、『スーパー戦隊シリーズ』『平成→令和仮面ライダーシリーズ』などと同様、ニチアサ女児向け固定アニメシリーズとして正式に定着するようになった。

それ以外にもスタッフ刷新後は新たな試みが多く行われ(中学生層へのアプローチ、作風の変化、オールスターズシリーズの開始など)、シリーズとして最も大きな転換点となっている。

よって第1作から第5作までを「鷲尾プリキュア」「第一期」、第6作目から第9作目までを「梅澤プリキュア」「第二期」と呼ぶことも多い。(第10作目からはプロデューサーも現場スタッフ同様に頻繁に交代するようになっていくので、プロデューサーによって○○期と分類するのはやりにくくなっている)


2012年、関は『スイートプリキュア♪』を以てテレビ企画部長から企画開発スーパーバイザーへと栄転し、現場からは離れる。その翌年には梅澤も『スマイルプリキュア!』を最後に、後任である柴田宏明へとシリーズを引き継ぐ。


以上のことからシリーズ交代制度が根付くまでの流れは、鷲尾が基礎を作り、関や梅澤がその実績と(師匠である故・籏野の教えをベースとした)長年の経験とを踏まえて昇華させた結果とされる。


『ハピネスチャージ』における二度目の低迷期、そしてモチーフ重視の製作手法へ。

第11作『ハピネスチャージプリキュア!』が放映された2014年、『Splash☆Star』以来の大きな試練を迎えることになった。この頃には2010年より展開を開始した『プリティーシリーズ』と2012年より展開を開始した『アイカツシリーズ』、そして2013年公開の『アナと雪の女王』といった女児向けにおいて強い競合コンテンツが台頭。さらに本来男児向けとされた『妖怪ウォッチ』が予想に反して性別の枠を越えた人気を獲得し、『Splash☆Star』以来の大きな冷え込みを経験する。これは元からバンダイがディズニー版権を獲得していること、『妖怪ウォッチ』の好調を指してバンダイ自体が「自社製品がカニバリを起こした」と反省した程であった。


この時の反省を踏まえ、翌年作となる『Go!プリンセスプリキュア』からは子供達が興味を引きそうなモチーフを作品ごとに設定し、それを強く押し出すことが意識されるようになる。コスチュームデザインはもちろん、世界観やストーリー、美術設定まであらゆる要素がそのモチーフで統一されるようになった。

モチーフを表現するためにはシリーズの伝統を崩すことも辞さなくなっており、スイーツ(お菓子)というモチーフが選ばれたために従来のバトル演出ではそれが表現できないとして「肉弾戦封印宣言」がなされた『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017年)や、ヒーローというテーマが導入されたのを機に初めて男性レギュラープリキュアを登場させた『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023年)、動物モチーフ故に怪物化した動物への直接攻撃を防ぐことを表現するためその相手に対して攻撃追跡捕獲を目的とするチェイスアクションを主体とした『わんだふるぷりきゅあ!』(2024年)はその典型でもある。


現在の状況

シリーズ自体の評価は現在も安定しており、特に映画の売り上げは近年のアニメ映画ブームの恩恵もあってか好調であるものの、マネタイズの主軸を「玩具の販促」とする方針から徐々に転換を模索している傾向が見られる。


玩具系グッズの売上高は『HUGっと!プリキュア』の101億円(上半期のみだと51億円)を計上したのを最後に売上高が低調続きの状態となっており、『ヒーリングっど♥プリキュア』以降は少子化やコロナ禍の影響もあり上半期売上げが40億円未満の状態が続いている。この商業的不振について、バンダイ代表取締役社長(当時)、川口勝氏は「TV放送だけをやればすべてうまくいくという時代はなくなってきており、色々と工夫をしないといけないでしょうし、これまでと同じことをやっていれば同じような売り上げがついてくるという状況ではないと思っています。」とコメントしている

これはプリキュアシリーズだけの話ではなく、「女児向け玩具を販促するためのTVアニメ」というあり方自体に要素的限界が出ていることの指摘であり、他のTVアニメ連動型のコンテンツも女児向けの分野ではコロナ禍を境に軒並み成績を落としている。

女児向けおもちゃは大人向けの需要を獲得することが特段難しく、仮面ライダーシリーズのようにプレミアムバンダイでさらに収益を増やすことが難しいのが特に挙げられる。

こういう時勢もあってか、2019年にバンダイのトイ事業部は従来の「ボーイズトイ」「ガールズトイ」の男女分けを廃止して統括している。


このためか、現在ではYouTubeの動画およびテレビ番組内でのコラボや、キッズコスメ「Pretty Holic」を立ち上げるなど、小学生以上の視聴者を取り込むことを目指している。

Pretty Holicは2021年より立ち上げられたが、玩具とは逆に右肩上がりの成長が続けられており、その後のアニメ本編にもPretty Holicの要素が販促要素としてかなり前面に取り扱われている。プリキュアシリーズのマネタイズにおける転換点を象徴するブランドでもある。


玩具以外のシナジーとして近年力を入れつつあるものにショーイベントがある。

プリキュアシリーズのショーイベントの始まりは初代からあり、劇団飛行船によるマスクドミュージカル(着ぐるみ舞台劇)がそれである。これは現在でも『プリキュアアドリームステージ』の名前で途切れなく続いている。

その後、2010年代になると女児向けアイドルアニメ黄金期となり、他作品ではライブイベントとのシナジーでコンテンツを盛り上げるのが主流となったが、プリキュアシリーズでは長らくジャンル違いということもあってそのやり方に手を出していなかった。

しかし、2018年よりその年の放映作の曲を中心にした『プリキュアLIVE』が始まり、コロナ禍の2020年を除いて毎年続くようになる。2019年からは最終回放映後に後日談の舞台劇とライブと声優座談会をセットで行う『プリキュア感謝祭』も始まった。これらは現在では公演からしばらくの間は配信でも鑑賞できるようになっている。

2023年にはシリーズ20周年記念としてさらに数多くのイベントが企画され、どれも収益的には大成功している。ただこれはプリキュアのイベント成長期がコロナ明けとタイミングが重なったことが大きく、逆にコロナ前からグリーディングイベントとのシナジーで人気を博していた『ガールズ×戦士シリーズ』はコロナ禍でそれができなくなってシリーズ打ち切りの憂き目に遭っている。

20周年前後での時期は『プリティーシリーズ』、『アイカツシリーズ』も休止状態であり、この時期でのプリキュアシリーズのイベントでの成功は残存者利益の側面が極めて大きい。これからどのように成長させていくかは課題であるだろう。

ショーイベントの新しい試みとしては、2.5次元舞台劇『Dancing☆StarプリキュアThe_Stage』(2023年)もある。全メンバーを高校生男子という設定にすることでイケメンアイドル好きの女性層をファンに取り込むことを狙っている。これも一定の成功は収めており、2025年には続編の公演が決定している。

このように、シリーズ存続のための模索は現在も続けられている。


事件・災害などに伴う影響

長期シリーズの宿命なのか、本シリーズも様々な事件・災害の影響を受けることになった。


東日本大震災の影響

2011年放送の『スイートプリキュア♪』では、3月11日に発生した東日本大震災の影響で、3月13日にシリーズ初の報道特番による休止が発生した(2023年現在では唯一)。ただし、休止が放送序盤の1回のみであったことが幸いし、アニメ本編での放送を予定していた一部エピソードを秋公開の映画に流用することで、予定通り1月末に放送を終わらせることが出来た。また、同年5月20日には被災者向けの応援メッセージ動画が配信された他、次回作についても、震災の暗いムードから立ち直るために「スマイル」と「ハッピー」をテーマとした『スマイルプリキュア!』が制作・放送された。

この『スマイルプリキュア!』は当初の企画ではプリキュアシリーズに新しい風を吹かせるべく、『キューティーハニー』や『カードキャプターさくら』のような単独ヒロインものとして作成させる予定だったのだが、震災の影響で「今は一人で頑張る時代じゃない」として5人のプリキュアのチームが強い絆で戦うという方向性の作品に作り直された。これ以降、2024年現在に至るまでプリキュアが単独ヒロインものとして作られてはいない。


コロナ禍の影響

2020年放送の『ヒーリングっど♥プリキュア』は、コロナ禍の時代に放送開始したシリーズであったこともあり、感染拡大の影響で9週分の放送休止が発生してしまった。

この事態は販促にも影響している。本来は6月14日に登場予定だった追加戦士であるキュアアースが、放送休止期間の影響で8月9日の登場となってしまったのだが、玩具の発売スケジュールは当初の予定を遅らせることができず、キュアアースの玩具は7月に発売されてしまった。アニメに登場していないキャラのグッズがそうそう売れるわけないうえ、キュアアースがアニメに登場した頃はすでに値崩れしてしまっており、追加戦士の玩具展開の売り上げとしてはイマイチな状況になってしまった。


東映アニメーション内ネットワークの不正アクセス被害の影響

同じく2022年放送の『デリシャスパーティ♡プリキュア』では、同年3月6日に東映アニメーションのネットワークが第三者による不正アクセスを受けた影響で、3月13日に放送予定だった第6話の放送が延期され、第4話の再放送に差し替えられた。さらに3月20日から4月3日まで「映画HUGっと!プリキュア_ふたりはプリキュア_オールスターズメモリーズ」を分割放送する措置が取られた他、4月10日も第5話の再放送に差し替えられたため、最終的に第6話以降の放送は本来より5週遅れの4月17日以降となった。

  • この影響で、本来なら同年3月20日にデビュー予定であったキュアヤムヤムのデビューも5週遅れの4月24日に変更されることになった。また、玩具販売と本編展開に1か月以上ものズレが生じてしまったことから、『ヒーリングっど』の時と同様玩具展開の売り上げに少なからぬ影響を与えることが懸念されている(参考リンク)。
  • さらに、この影響で話数の短縮も発生してしまった。これにより、次番組『ひろがるスカイ!プリキュア』は予定通り2月第1週開始となった。


その他

上記の他、突発的なニュースが入ると速報テロップが本編中に挿入されることがあったり、海外の火山噴火などにより津波注意報・津波警報の情報地図が挿入されていたりすることも稀にある。


記念回

100回『S☆S』第4話「うっそー!? 春の景色とセミの声」2006年2月26日
200回『5GoGo』第6話「ドーナツ国王目覚める!」2008年3月9日
300回『ハートキャッチ』第8話「カリスマモデルのため息! って、なぜですか?」2010年3月28日朝日放送の公式携帯サイトではこれを記念した待受け画面が配布された。
400回『スマイル』第11話「プリキュアがチイサクナ〜ル!?」2012年4月15日
500回『ハピネス』第14話「ヒーロー登場!あいつはいかしたすごいやつ!!」2014年5月4日記念オープニングメッセージを放送、記念キャンペーンを実施
555回『Go!プリンセス』第20話「カナタと再会!?いざ、ホープキングダムへ!」2015年6月14日記念回の語呂「Go!Go!Go!」に合わせたもの。記念オープニングメッセージを放送、記念プレゼントを実施
600回『魔法つかい』第15話「ハチャメチャ大混乱!はーちゃん七変化!」2016年5月15日エンドカードで回数到達を発表
700回『HUGっと』第16話「みんなのカリスマ!?ほまれ師匠はつらいよ」2018年5月20日
800回『ヒーリングっど』第18話「ハートにズッキュン!ニャトランの恩返し」2020年8月2日
900回『デリシャスパーティ』第27話「コメコメ大変化!?らんのハッピー計画」2022年9月11日

300回記念および500回記念以降は何らかの形で記念メッセージや記念エンドカードを放送していたが、700回以降は実施されていない。


総括

今となってはプリキュアが一年ごとにリセットを繰り返すことは当然のことと世間に受け入れられているのだが、鷲尾時代は世代交代に困惑する視聴者も多く、作品を惜しむという観点からも残念がる視聴者も多かった。梅澤時代もその傾向はあったが、スイートに移る頃にはほぼ定着したと言える。実際、以降は時代に合わせたスタイルへ臨機応変に対応しやすくなり、その後のブランドの確立も相まって「鷲尾Pは生みの親、梅澤Pと企画の関氏は育ての親」とする声も多い。

現在では、プリキュアシリーズは女児向けアニメの中では最長シリーズとなっている(継続した世界観では未だにアニメ版『美少女戦士セーラームーン』シリーズが日本最長。それを外したニチアサ枠のみで見ても最長は『おジャ魔女どれみシリーズ』)。

2010年代に入るとジュエルペットアイカツプリティーシリーズガールズ×戦士シリーズなどの登場により、女児向けコンテンツで「キャラクターと世界観の世代交代をしつつブランドは共通する」ことは当たり前になっているが、プリキュアがそれをやるまでは「男児向けとは違って、女児向けコンテンツはキャラクターを変えるならブランディングはゼロからやりなおさなくてはならない」という考え方が業界の常識だったのである。


なお、各作品の関係者、特に声優に対しては「人気次第ではシリーズが終わるかもしれないので頑張ってください」と発破をかけるという。ただこれはどのシリーズ作品にもある当然の危機管理による忠告であり、例えば平成仮面ライダーや戦隊シリーズの現場でも役者さんたちに対して同じことを言われるという。

スポンサーの影響力の強さも相まって、見方を変えれば子供向け番組とは常に崖っぷちの緊張感で作られているのだと言えるだろう。


「プリキュアオールスターズ」の沿革

第5作『Yes!プリキュア5GOGO』時代(2008年)に、鷲尾Pは不完全燃焼感のあった『Splash☆Star』の救済、また『初代』などをまた思い出してもらうという思い入れを体現するという目的もあり、『5周年』という節目の時期を見計らってプリキュアオールスターズというお祭り企画を開催。ゲームにおける全プリキュアの登場や、『5GOGO』の映画で短編を制作するなどの展開を行った。これは想像以上に大きな反響を呼び、第6作『フレッシュプリキュア!』が始まった2009年からはプリキュアオールスターズ一本で映画を作るという方向性へ昇華された。これにより鷲尾Pは映画のオールスターズには中核として携わるようになる。

この映画が公開されるのは一部を除き毎年3月中旬であるが、プリキュアシリーズの各作品が始まるのは原則毎年2月第1週である。このスケジュール感からわかるように、この春映画は、今年から始めてプリキュアを見だした子供たちというよりも前年のプリキュアを最終回まで見てくれた子供たちをメインターゲットにしている。前年作を愛してくれた子供たちに「TVで始まったばかりのこの新しいプリキュアも、みんなが応援してくれたプリキュアの仲間なんだよ」と伝えるためのものなのである。そして同時に、前年作で初めてプリキュアを知った子供たちに「それ以前」にもプリキュアたちがいて歴史は続いているとアピールするための場でもある。(これとは別に秋には最新作の単独映画が作られていた。つまりプリキュアは2005年と2009年から2019年までと2021年は、一年に映画を2本上映していたことになる)

2016年まではこの春映画には歴代全員のプリキュアが何らかの形で登場していたので映画「プリキュアオールスターズ」と名付けられていた。その後は人数の問題で全員出すことは難しくなり、子供たちにも馴染みやすい直近3世代のプリキュアの出演となっていた。

(2018年の秋映画でオールスターズ総出演しているがこれは「秋の単独映画に歴代プリキュアがゲスト出演している」という扱い。同年の春映画はあくまで3世代限定である)

また、このプリキュアオールスターズというブランドで過去作のプリキュアたちの玩具なども展開されている。


このように、現在のプリキュアシリーズはストーリー上は前年と繋がりを持たせない「リセット」をする一方で、プリキュアオールスターズというブランディングで作品ごとの「緩やかなつながり」も視聴者に意識させる、二本柱とも言える展開が行われていた。


プリキュアは「原作」を持たないオリジナル企画で、監督やシリーズ構成などの主要スタッフも毎年変わる。「生みの親」である鷲尾プロデューサーも『フレッシュ』からは直接関わっていない。

だからこそ、このプリキュアオールスターズのブランディングが、全く無関係な作品同士が「プリキュア」と同じ名前を名乗っていることに対する「正当性」を示すものとなっていた。

プリキュアは作品を超えても存在する「外見上の共通デザイン」が存在していない。(たとえばガンダムならば「ツインアイとアンテナ」があれば知らない作品のガンダムでもガンダムだとわかるようになっているが、プリキュアにそう言うものはない)

そのため、見た目だけではこれがプリキュアの仲間だとは世間にアピールできない部分があり、このようなブランディングは重要視されていた。


この春映画(一部は秋映画)ではTV本編のストーリーとは直接関わりがない一種のパラレルワールドという扱いにすることが慣例化していた。

これは、それぞれのプリキュアシリーズが過去作とは繋がりがないことを前提にした設定とストーリーで作られているため、「もしもこの世界に別作品のプリキュアがいるなら」と考えるとTV本編の設定や物語に大きな矛盾が生まれかねないからである。

しかし、シリーズが進む中でこのTV本編への別作品のプリキュアの客演が意識されるようにもなっていった。端緒となったのは2016年の『魔法つかいプリキュア!』で、最終回の本編中に次回作のプリキュアがゲストで登場して共闘しており、地続きのような感じで視聴者が次回作へとすんなりと移行できる演出となっている。この最終回での次回作主人公の客演は以降も慣例化する。

そして2018年の第15作『HUGっと!プリキュア』ではついにTV本編に過去作のプリキュアが登場。しかもストーリー中の重要な節目に度々登場し、上述したような設定のすり合わせの問題から難しいと思われていたTV版プリキュアオールスターズもついに実現させた。


しかし、このまま順調に進むと思われていた矢先の2020年、前述の通りコロナ禍が発生。同年3月に公開予定だった『映画プリキュアミラクルリープ_みんなとの不思議な1日』は10月末に、単独映画(当時は『ヒーリングっど♥プリキュア』)も巻き添えを喰らう形で翌年3月に玉突き延期という被害に遭ってしまう。つまり2021年春はクロスオーバー映画ではなく『ヒープリ』の単独映画が上映されたため、「春はクロスオーバー映画」という伝統が初めて壊された。そしてさらに翌年の2022年に春映画が事実上廃止されてしまう。

これには様々な事情があるのだが、最も大きな点は近年の東映アニメーションがより多様なコンテンツの作成を目指して製作タイトルを増やしていることが大きいと思われる。つまりプリキュアが毎年2回も映画を作るというのは制作リソースの配分として贅沢すぎるのではという前々からの懸念があった(通常のテレビアニメシリーズの長編映画作品は多くても年1回公開というのが常識であり、プリキュアシリーズ長編映画作品の年2回公開は日本のアニメ界全般から見てもあまりに過剰な配分であった)。これがコロナ禍の混乱でより可視化されたのだろういうことだ。ただし、春映画が廃止されたことで初期メンバーを3月中に全員出さなければならないという拘束性が無くなったことから、初期メンバーの登場スパンを複数話に亘り確保したり、一部初期メンバーを4月以降にデビューさせる等、メンバーの登場サイクルのパターンの多様化に繋げることが出来たという利点もある。(これはバンダイ側にも初期メンバーの関連玩具の販売時期を分散させることができるというメリットがある)

一方、春映画がなくなるよりも数年前から、秋の単独映画にも過去作キャラがゲスト出演する流れが2021年まで続いていた(最初は2017年の『プリアラ』映画での『まほプリ』メンバーとの共闘)、2022年以降はこういった流れは廃止されたものの(同年は同時上映の短編に共演機会が設けられた)、2023年には『ミラクルリープ』以来3年ぶりのクロスオーバー長編映画『プリキュアオールスターズF』が公開されており、「作品を超えたプリキュア同士の共演」というテーマは2023年現在まで続けられている。


「ライバル」の存在

先の『オシャレ魔女ラブandベリー』(ラブベリ)を筆頭に、当然ではあるがプリキュアはライバルの存在に悩まされ続けた。

そしてこれらのライバルの存在はプリキュアシリーズを進化・改革させるきっかけになってもいる。


鷲尾Pは、2作目である『Splash☆Star』以降はしばしば『ラブベリ』の人気によってプリキュアが押された経験をもって「プリキュアをシリーズ化させるにあたって、自分が目指したチャレンジの多くは当時は受け入れらずに失敗している」と語っている。

実際のところ、当時のラブベリファンの女児やその母親たちからは「ラブベリはキレイでかわいくてオシャレだけど、プリキュアは乱暴だ 」と言う意見もあった。


その事もあり『Splash☆Star』では上述のように代替わりを始めとして様々な転換・改革を行ったが、不運にもそれらは尽く裏目に出た。その上でライバルメーカーから出された『きらりん☆レボリューション』の登場に、同じバンダイ(バンナム)グループのバースデイ(しかも監督はHALに移籍していた『おジャ魔女どれみ』の佐藤順一で、主要スタッフも東動系列出身者)によって『ふしぎ星の☆ふたご姫』から僅かながらとはいえ第2期すら許可できるほどのカニバリすら起こされる。(バンナム側は『ふたご姫』に関してはアイテムを絞り影響は少ないと公称したが、その結果は如実のものであった)

さらに、もうひとつ追加するならば『Splash☆Star』当時には同じ東映アニメーションから、完全に作品の傾向がカブる『出ましたっ!パワパフガールズZ』(パワパフZ)まで出されている。しかも、このパワパフZのプロデューサーこそ関弘美であり彼女の手腕のもと、案の定、東映側に残っていたおジャ魔女どれみシリーズに関わっていたスタッフが、この作品に参加していた。のみならず、この『パワパフZ』は東映アニメーション設立50周年記念作品として全面的にプロモーションが成された作品(逆に『S☆S』は『パワパフZ』のプロモーションの割を喰って設立50周年を全面には打ち出せなかった)である。つまり当時の東映アニメーション上層部の意識上にとってすら『S☆S』は最初から商販のメイン扱いではなかったのだ。ここまでくれば、もはやダメ押しもここに際まれり、というところ。(一方で、この「パワパフZ」のスタッフは前述の通り、のちのプリキュアシリーズを支えたスタッフにもなったので判断が難しいところではある。

こんな状況下では、どうにも(特に当時、女児向けに不馴れだった鷲尾では)対処は難しかった(『Splash☆Star』に限らず、何を作っても、この期の落ち込みは必然だった)とも言える。当時のカートゥーンネットワーク側も、1998年に始まって2005年に全話放映し、2009年に一話だけ追加されたパワーパフガールズの知名度を上げるためには時期的な問題もあった。日本ではパワーパフガールズ全話の和訳が終わったばかりの人気や制作陣のモチベがまだあるうちに「Z」制作を依頼していたのであって、プリキュアと被るかどうかは当時の時代的背景では判断は不可能であった。その後の日本のカートゥーンネットワークは2010年代後半から2020年代にかけて新作放映の面で衰退しているため、カートゥーンネットワークの支社も当時の時代背景からかなり必死に版権をアピールしたがっていたであろうことはうかがえる。


その後も前述の様に『プリティーシリーズ』、『アイカツシリーズ』などの強い競合コンテンツが台頭するなど、予断を許さない状況となっていた。

とはいえ、裏を返せばそのライバルらとの競争の中でもコンテンツをあきらめず、現場側の忍耐強い継続をもってシリーズとして確立させたのがプリキュアシリーズだ、とも言える。

総じて言えるのは、プリキュアはシリーズを通して女児向け作品としては高い利益をあげているということだ。

正直、『ラブベリ』騒動で最も落ち込んだと言われる『S☆S』の商業成績でさえ、当時の女児向け三番手となった『きらりん☆レボリューション』(小学館ちゃお』・タカラトミー)から見れば、雲の上の売り上げである。(『S☆S』は60億、『きら☆レボ』はピーク時で15億。)

シリーズ存続の検討はその後のさらなる落ち込みなどを危惧した結果の産物であることが多い。


しかし、意外な話だが2017年の『アイドル×戦士ミラクルちゅーんず!』から始まる女児向け特撮企画『ガールズ×戦士シリーズ』の登場まで、所謂バトルヒロイン物のライバル作は皆無に近かった。

  • セーラームーン』全盛期に『ウェディングピーチ』への(セーラームーン参加スタッフの一部による、ある種、強制的に行われた)派生を嚆矢として、長スパンの時を置き多くの類似作が作られて本シリーズへと繋がった事を考えると対照的だとも言えない事もない(その原因等については「バトルヒロイン」を参照)。

シリーズ長期化とライバル不在に伴い「女児向けの小さなパイをプリキュアが独占してしまっている」として批判を受けつつあったプリキュアだが、ここにきてようやくライバルが登場。このシリーズの登場は「頭脳とダンスでアクションする戦う女の子」の復権への道筋とも見られ、のち令和に至るにつれその存在感は増しており、『ガールズ×戦士シリーズ』が終了する2022年6月まではプリキュアシリーズとは近似的ジャンルのライバル同士として互いに影響を与え続けていた。


上述のことから、それぞれのライバル作品はプリキュアに対抗するための手段として『同一のバトルヒロインもの』、次いで『アイドルもの』をメインに生き残りを図るといった手段がとられるようになっていき、プリキュアシリーズ以前から存在するサンリオなどの『妖精・マスコットもの』も生き残るための努力を行っていた(『妖精・マスコットもの』については、かつて『プリキュアシリーズ』と同じバンダイアニメでも『たまごっち!』シリーズや、『ここたまシリーズ』もメディアミックス展開していた)。その反面、2000年代中頃まで比較的盛んであった『少女漫画をアニメ化する』パターンや(こちらは上述のプリキュアへの対抗手段に該当しない作品が多いことや月刊がほとんどである故に原作ストック確保が困難という状況もあるため)純粋な女児向け魔法少女アニメの放送(その手のアニメは深夜向けに移動しているが、やはり魔法少女同士の闘いになるなど純粋なものは数えるほどしかない)は、現在はあまり見られなくなっている。


2022年までの女児向け作品は『プリキュアシリーズ』を筆頭に、『アイカツシリーズ』、『プリティーシリーズ』、サンリオ系等の妖精・マスコットモノ(『すみっコぐらし』、『ミュークルドリーミー』シリーズ他)などを加えて熾烈な人気争奪戦が繰り広げられることとなった。しかし翌年の2023年では『プリティーシリーズ』(商品展開は継続)と『ガールズ×戦士シリーズ』といったタカラトミー女児作品のTVシリーズが前年で休止、同じバンダイの『アイカツシリーズ』もアーケードゲームの終了、新作アニメ制作の終了などライバルたちが次々と脱落するという事態が起きている。そして、2023年3月には『リズスタ-TopofArtists!-』も終了に追い込まれてしまい、リズスタの後番にアニアを題材としたストップモーションアニメや『トランスフォーマー』シリーズのセレクションを導入することになる。しかし、前作とはジャンルが違い過ぎることもあり(特に後者は明らかに女児向けではない)、これがプリキュアのライバルとして通用するかは怪しいといえる。


『リズスタ』終了以降のまともなライバル作品は同時期に入れ替わりで人気が急上昇した動物マスコットモチーフの『ちいかわ』に事実上交代することになった。一方のプリキュアは『ちいかわ』の人気急上昇を警戒してか、2023年度の20周年(厳密には20年目)の節目に合わせて、本編の内容および関連商品も今までとは別の切り口での展開を行うなど多様性を視野に入れたイベントや展開を行っていくことになり、結果的にはどれも大成功を収めた。しかし、この手法はいずれも女児のファンを増やすという目的はあまり持っておらず、結果的に男児や大人の視聴者層、ファン層を増やしただけに過ぎなかった(男児のファン増加は初のレギュラー男性プリキュアであるキュアウィングの存在も大きい)。


それでも2023年4月からから2024年3月までの一年間は女児向けアニメ・特撮のライバルが事実上の皆無状態である女児向けアニメ・特撮の暗黒期とも言え、プリキュアしかまともな女児向けアニメ・特撮が存在しない状態となった。視聴番組やコンテンツの選択肢を大幅に減らされた女児の関心はプリキュア以外では前述の『ちいかわ』や『すみっこぐらし』『サンリオ系統』に加えて『リカちゃん』などメディアミックスの存在しない玩具シリーズや、『それいけ!アンパンマン』『ドラえもん』『ポケットモンスター』『名探偵コナン』『ちびまる子ちゃん』など性別を問わない子供向けアニメや国民的アニメに振り替えられることになった。一部では『推しの子』や『葬送のフリーレン』『SPY×FAMILY』などのスポンサーに左右されない深夜アニメにも向けられる異常事態も発生している(特に『SPY×FAMILY』はアーニャの玩具や学習帳など子供向けグッズも発売されたりしている)。


2024年度からはプリティーシリーズの1年半ぶりの新作『ひみつのアイプリ』が開始されライバル不在の状態が1年ぶりに解消される・・・と思われていたが、こちらは衛星放送での放送が無く全国をカバー出来ない(BSはおろかCSですら放送されていないが動画配信はされているため見逃し視聴自体は可能)ため、ライバルとして通用できるかは微妙な状況である。とはいえ、『ちいかわ』の人気の大躍進が未だに続いている影響や20周年の節目を通過した影響によりプリキュアシリーズを取り巻く環境は変化しており(前述の20周年記念の施策の一定の成功は、結果的に残存者利益として「女児向けアニメ・特撮」というジャンルの需要がプリキュアに集中した側面も無視できない。)、今後どのような影響が出るかはまだ未知数である。


プリキュアシリーズの決まりごと

上述したように、プリキュアシリーズは「一年完結型」になってからは前年までとは全く異なるモチーフやテーマを盛り込むことで、過去作との差別化が意識されている。

なので、各作品が好き勝手に作れるように思えるが、実際はある種の「決まりごと」のようなものが存在することが知られている。

しかしそれは、「プリキュアとは〇〇を描く作品である」という方向性ではなく「プリキュアでは〇〇を描いてはならない」という禁則事項という形で受け継がれている。

例えば「顔を攻撃される描写を描かない」「食べ物の好き嫌いを描かない」などである。


詳細な内容についてはプリキュアタブーの項目を参照のこと


もともとは第1作『ふたりはプリキュア』から第5作『Yes!プリキュア5GoGo!』までプロデューサーを務めた鷲尾天が、プリキュアシリーズでは「やってはいけないこと」の制約を現場に通達していたことが始まりとされるが、鷲尾がプロデューサーを引退した後のプリキュアシリーズでも幾つかが「お約束」として伝統化していったようだ。

鷲尾Pは自分が作ると男が見たがるようなアニメになってしまうという自覚があった。そこで逆に、少女向けとしてはふさわしくないだろう要素を明文化して、あとは好き勝手やらせてもらおうという点があったようだ。

そこに上述した『ラブベリ』の襲来と、これに伴う誤解や偏見の視覚化と顕在化が巻き起こった。結果「決まりごと」はより強く意識されていくようになっていったのである。


だが、こういう決まり事に強制力があるわけではなく、時代の流れによって沿わないとされた部分は変わっていっている。逆に、鷲尾Pの最初のルールにはなかった新しい決まり事も生まれて行っている。10年を超えて続いたシリーズであるので「プリキュアらしさ」も少しずつ変化している。


鷲尾自身は2009年にプリキュアのTV本編の現場から離れた後は、後発の作品に対して一切の見解を述べないことを貫いており、後発の作品が自分の作ったルールを継承していることについても何も述べることはなかった。

しかし2015年に鷲尾がTV企画部長に就任したことでプリキュアというIPの運用に関して責任を持つ立場になったため「『プリキュアってこうだよ』っていうスタンスはクリエイティブにならない。プリキュアシリーズの作品ごとに重要視したいことは変わって当然」として、かつて自分が担当した作品のルールに現場が縛られすぎないように明言するようになった。

プリキュアシリーズ15周年におけるインタビューでは、そのうえで作品が変わっても受け継がれ続けているものがあるとすればそれは「核はりりしくあること。自分たちで問題を解決しようと立ち向かうこと。後は時代・環境によって変化していく」としている。


制作体制

プリキュアシリーズはいわゆる玩具を売るためのアニメであり、特定の漫画や小説などの原作は持たない。この点は特に重要であり、売り上げの影響が他作品よりもより強烈に影響してしまうため、アニメの展開は売り上げにあまり結びついていない傾向にある。

玩具メーカーのバンダイのガールズトイ事業部がどのような玩具を売りたいかをまずデザインし、その玩具を活躍させるためのキャラクターやプロットを東映アニメーションが考える形で作品は企画されていく。

そのため玩具の売上成績がそのままシリーズの行く末に響く事でも知られており、このことは視聴率よりも優先される。上述したように2008年までの『オシャレ魔女ラブandベリー』のブーム、2014年あたりの『妖怪ウォッチ』、『アイカツ!』、『アナと雪の女王』のブーム、そして2020年におけるコロナ禍の影響で発生した本編と商品展開スケジュールのズレでそれぞれ売行不振を起こしたことが、シリーズの存続および見直しの論議に繋がっていることもそれを示している。


作品の企画に携わるのはプリキュアシリーズでは東映アニメーション(制作)、朝日放送テレビ(ABCテレビ)(放送局、2018年3月までは旧・朝日放送)・ABCアニメーション(ABCグループのアニメ事業会社、2016年7月より)、ADKエモーションズ(広告代理店、2018年12月までは旧アサツーディ・ケイ(ADK))の3(4)社である。それぞれの会社から企画担当者が一人ずつと、プロデューサーが一人ずつ選出される。企画会議時点での権限はプロデューサーより企画担当者の方が上であり、プロデューサーは企画担当者の要望を取りまとめて制作を指導するのが仕事となる。映画では企画担当者がプロデューサーを兼務する。


実際の制作スタッフの中ではシリーズディレクター、シリーズ構成、キャラクターデザイン担当者がプリキュアシリーズの主要三職とされ、インタビューなどでもだいたいはこれらの人たちとプロデューサーが受け答えをする。

簡単に言うとシリーズディレクター(SD)は絵コンテ、演出陣の代表かつシリーズ全体の統括職。要するに「監督」であるが、東映アニメーションではテレビアニメにおいては監督に相当する職種をSDと呼んでいる。これは東映動画時代から実写映画を踏襲する形で劇場映画を「長編」、テレビシリーズを劇場作品の短編と位置づけて「短編」とし、短編においては各話の担当演出が事実上の監督であると考えており、その統括職としてSDを置いているためである。

シリーズ構成は脚本陣の代表。SDと共に世界観や全体のストーリーを組み立てる立場でもある。1話や最終話等の節目の回ではほぼ脚本を担当している。

キャラクターデザインは作画陣の代表。キャラクターの原案だけでなく、総作画監督として毎話の原画をチェックし細かい手直しなどを入れるため一年を現場と付き合うことになる。また、重要な節目となる放映回では作画監督そのものを担当する。ただし『魔法つかいプリキュア』以降は放送回によってはキャラクターデザインとは別に総作画監督を設けている。


この他としては、劇伴音楽の作曲担当もプリキュアシリーズでは重要な役所である。全体のBGMの作編曲だけでなく、各種挿入歌・キャラクターソングの作編曲、場合によっては主題歌の編曲も手がける。基本的に複数シリーズにまたがって起用されることが多いため、同じ作曲者であれば以前の作品で使われたBGMも流用されることがある。この作曲者が変わることで、音楽面での作品イメージも変わることになる。

他にも背景美術画の設定をとりまとめる美術監督(美術設定、美術デザインとも)や、キャラクター・背景などの着色設定を決定する色彩設計、そして制作現場を統括する制作担当などが主要なスタッフとなる。


一方で東映アニメーションでは基本的に各話の担当演出がアフレコ時の演出指導も行っているため、音響監督は置かれていない。キャスティングに関しては系列の東映アカデミー→東映東京撮影所マネージメント部、音響制作は子会社のタバックが担っている。


また、映画に関しては上述の制作中核3社(ABCグループについては2016年春までは旧ABC本体が、同年秋からはABCアニメーションが担当。ADKグループも2018年秋までは旧ADKが、2019年春からADKエモーションズが担当)に加え、東映(映画の配給元であり東映アニメーションの親会社、テレビでも協力としてクレジット)、バンダイ(上記の通り関連玩具等を発売している筆頭スポンサー)、マーベラス(テレビ映画を問わず音楽制作と各種音楽・映像ソフトの販売)、木下グループ(企業メセナの一環で映画制作に出資し映画制作子会社も持つ不動産デベロッパー、ASDX1から映画ヒープリまで参加)が参加する製作委員会によって製作されている。

初の大人向け作品となった『キボウノチカラ〜オトナプリキュア‘23〜』も、製作中核会社のうち朝日放送テレビが外れた代わりに、放送するNHKの関連企業NHKエンタープライズが加わり、さらにバンダイとマーベラスで構成される製作委員会の形態を取っている。

出資リスクを減らすためにこの方式が取られているわけだが、その反面著作権・版権管理(特定の1社に管理をゆだねていない場合、委員会参加各社の許諾を必要がある)の都合上映画公開以後のグッズなどの商品展開がしづらいのもまた事実である(プリティストアなどでキュアエコーキュアモフルンのグッズがなかなか出ないのがその代表例)。


プリキュア声優

プリキュアを演じた事のある声優は俗に「プリキュア声優」という枠組みで呼ばれる。

詳しくは→プリキュア声優


楽曲について

女児向けコンテンツでは歌とダンスは定番の人気要素である。女児向けアニメにアイドルものが多いのは、歌とダンスと映像と物語を全てセットで提供できるからといって差し支えない。

プリキュアでもそれは例外ではない。もちろんアイドルアニメのように歌を作中で押し出すことはやりにくいが、それでも「歌」はプリキュアシリーズにとっては大きな柱として意識され続けている。

特に『フレッシュ』以降のエンディングで描かれるCGダンスムービーはプリキュアの名物となっている。


OP

  • 物語の進行に応じて映像の差異はあったりするものの、基本的に一年間同じ曲を使用(『フレッシュ』『スイート』『魔法つかい』は歌詞違いの別バージョンが存在、『Go!プリンセス』は後期では同曲の2番の歌詞を使用)。
  • 映画放映時期には、映画のハイライトムービーが流される。
  • 所要時間は以下の通り。
1:15無印
1:20『MH』
1:25『S☆S』『5』『5GoGo』『フレッシュ』『ハートキャッチ』『スイート』『スマイル』『ドキドキ』
1:30『ハピネスチャージ』『魔法つかい』『アラモード』(第1話と第8話以降)『スター☆トゥインクル』『ヒーリングッど』『トロピカル~ジュ』『デリシャスパーティ』『ひろがるスカイ!』『わんだふる』
1:45『Go!プリンセス』『アラモード』(第2話から第7話まで)『HUGっと』

1:45については、いずれも曲冒頭にアバンがあるため、その分長くなっている。


ED

  • 『MaxHeart』以降は前後期に分かれており、『S☆S』以降は曲に合わせて踊る「プリキュアダンス」が特徴。
  • 『フレッシュ』以降は3DCGアニメーションを使用。
  • ダンスの振り付けは『フレッシュ』~『スマイル』は前田健、『ドキドキ』~『Go!プリンセス』はMIKIKO、『魔法つかい』は原ななえ、『アラモード』~『スター☆トゥインクル』は振付稼業air:man、『ヒーリングっど』~『ひろがるスカイ!』はCRE8BOY、『わんだふる』以降はyurinasiaがそれぞれ担当。
  • 所要時間は以下の通り。
1:30『ヒーリングッど』までおよび『わんだふる』以降
1:40『トロピカル〜ジュ』から『ひろがるスカイ!』まで『トロピカル〜ジュ』と『デリシャスパーティ』はED冒頭に10秒程度のコーナーが設けられていたため、実質1:30であった。『ひろがるスカイ!』では第1話と第22話を除きED冒頭に7秒程度のコーナーが挿入されているため、実質1:33であった。

担当歌手について

  • シリーズ全作品において、本人名義での歌手活動を行っているプリキュア役声優が最低でも一人(中でも、『MaxHeart』チームは全員)出演している。彼女たちはキャラクターソングや挿入歌は普通に担当するが、OP・EDについては『Go!プリンセス』までは兼任例は無く(後述するように例外はある)完全に分業制となっていた。(ただし、いわゆるモブキュアは例外のようで『ハピネスチャージ』では仲谷明香吉田仁美の2人が28話でアロ~ハプリキュアキュアウェーブキュアサンセットを演じている)。
    • 2016年以降は『魔法つかい』や『HUGっと』のようにプリキュア役の声優がEDを担当したり、『アラモード』や『スター☆トゥインクルスタイル』のように『Go!プリンセス』以前と同様に分業制になったりしている。
    • とはいえ、この慣例は映画版では、プリキュア映画3作目『ふたりはプリキュアSplash☆Star チクタク危機一髪』で早くも崩れている。同作においては、映画版シリーズで初めて当代のプリキュア(日向咲/キュアブルームキュアブライト<樹元オリエ>と美翔舞/キュアイーグレットキュアウィンディ<榎本温子>withフラッピ<山口勝平>&チョッピ<松来未祐>ーズ)によってエンディングである『ガンバランスdeダンス ~咲&舞version~』が歌われている。上述の通り『S☆S』は商業的数値の観点(そして劇場版である事)からプリキュアファンからも見落とされがちなため、この部分は認識されづらいのだが、それでも、それまでの声優歌手分業制の枠を超えてプリキュア作品の主題歌を歌った、歴代初となる主題歌兼務担当を果たしたプリキュアチームは他ならぬこの『S☆S』チームである
    • テレビシリーズにおいて当代プリキュアがエンディングコーラスに初めて参加したのが『Yes!プリキュア5』後期エンディング『ガンバランスdeダンス ~夢みる奇跡たち~』の「プリキュア5」チーム。(名義は「ぷりきゅあ5」とひらがな表記)ただし主旋律を歌うのは宮本佳那子である。そのため本曲を分業制とするか兼務制とするかは意見が分かれる。しかし、ここでそれまでの分業制から歌手声優共同制を一時的とはいえ取り入れている事は、この話題に着目する場合には注目に値する。
    • テレビシリーズにおいて、分業制でも共同コーラス制でもなく、単独での主題歌兼務を果たしたのは『魔法つかいプリキュア!』チーム。EDテーマをプリキュア役の高橋李依堀江由衣、後期では2人に加え早見沙織が歌うことになる(彼女達も前述の『MaxHeart』チーム同様全員が歌手活動をしている)。ただし主題歌担当のプリキュアとすると上述の通りのため、一部で見る彼女らを「初の主題歌担当プリキュア」とする論には難があり、これを用いる場合には「テレビシリーズで」「主旋律を」という、少なくとも2つの前提条件が必須である。
    • のち『HUGっと』でもプリキュア役の引坂理絵本泉莉奈小倉唯、後期ではこの3人に加え田村奈央田村ゆかりがEDを担当する。
    • 『アラモード』では再び分業制に戻ったものの、宮本佳那子がEDを担当することで「主題歌を担当した歌手が後にプリキュア役の声優となり、さらにその後の作品で再び主題歌を担当する」という初の事例となった。更に、宮本は本編でもかなこという役で出演しており、あくまで主題歌歌手という特例であるが「過去にプリキュア役をやった声優は後発の作品に出演しない」という不文律を打ち破った(2023年時点では唯一のケース)。宮本はさらに『HUGっと』でOPを担当することになる。
  • 歴代担当歌手がゲスト出演し、中には本人役で出ることもある(うちやえゆか:映画SS、工藤真由:『5』&『ハートキャッチ』、宮本佳那子:『5』&『アラモード』、池田彩:ハートキャッチ)。更に工藤は『スイート』でフェアリートーン役でレギュラー出演し、宮本は『ドキドキ』でキュアソード役に抜擢されている。レギュラー出演したプリキュア歌手はこの2人のみ。
  • 『GoGo!』後期EDのキュア・カルテットとは、五條真由美、うちやえ、工藤、宮本の4人によるユニットとしての名義。
  • 歴代主題歌歌手のうち、OPとED両方担当経験があるのは、五條・工藤・宮本・池田・北川理恵Machico石井あみ吉武千颯の6人(キュア・カルテット参加分も加えるとうちやえも該当)。このうち宮本・北川・吉武は最多の通算5作品で主題歌に携わっている(キュアカルテット分も含むと宮本は6作品となる)。それに次ぐのが工藤(キュア・カルテット参加分も加えると五條が5作品で上回る)の通算4作品。また、五條・宮本・北川・Machicoの4人はプリキュア楽曲のみのベストアルバムをリリースしている。
  • 映画に関しては作品によって有名アイドルやアーティストとのタイアップ楽曲を使うことがある。この場合大半は作品の音楽制作を担当しているマーベラスとは別に、その歌手の所属レーベルがシングルを出す場合もある。
  • プリキュアのOP・EDを担当する歌手は、放映される一年間は全国各地で毎週のように開かれる遊園地やショッピングモールでのプリキュアショー、各種ホールで開催されるマスクプレイミュージカルにゲスト出演するのが定番となっているほか、CD発売記念のミニライブもあったりする。放映中のシリーズ作品のプリキュア声優がOP・EDを兼任しにくい理由の一つとして、彼女たちは毎週必ず出番がある=毎週収録があるので、地方での公演も多いプリキュアショーとのスケジュールの兼任が難しいという大人の事情があったりする。同じ理由で売れっ子のアーティストもOP・EDの歌手にはほぼ起用されない(上記のように映画版のテーマソングなら別ではあるが)。逆に言えば何年もプリキュア歌手として根付いていても、プリキュア以外の様々な仕事が増えると卒業せざるを得なくなるということでもある。もちろん現役の歌手もスケジュールをやりくりした上で全国各地を回ることが基本となる(本職のミュージカル女優である北川や、歌手兼業の声優で様々な作品とその関連ライブに多数出ているMachicoがその最たる例)。また、2人いる歌手はOP・ED両方とも歌えるようにしているため、スケジュールの都合でどちらか片方のみ出演する場合、その歌手が1人でOPもEDも歌うこともあったりする。前述のように『魔法つかい』『HUGっと』では声優がEDを担当するが、この場合はOP担当の北川や宮本が対応する。公式ライブにおいてもスケジュールの都合上ブッキングができない場合は他の出演歌手がカバーするケースもある。

※ その他、こちらも参照→プリキュア関連曲一覧歌キュアプリキュア歌手


コミカライズ版

プリキュアシリーズのコミカライズ版は、『なかよし』にて上北ふたご作で全てコミカライズ化されている。


月刊誌の「なかよし」連載の上、『GoGo!』以降のシリーズは1年毎に交代制の為、限られた尺で完結しなければいけない為、プリキュアの人数の多い作品では、漫画1話の段階で主人公と友人関係であったり、プリキュアとなる初変身過程も大幅に省略される場合も多い。


連載の都合上、限られた尺でメインであるプリキュアキャラを掘り下げる為、サブキャラの同級生キャラなどは登場しない、又はゲストキャラ扱いのことが多い。特に悪役キャラの扱いは顕著で、人物像が殆ど掘り下げられない経過にあり、アニメではプリキュアと戦い消滅したり、最終的にプリキュアと和解したりしているのに対して、コミカライズ版では何事も触れずに途中から登場しなくなったり、ゲストキャラのような扱いになることも多い。


少女漫画誌で連載している為、アニメより恋愛要素が増している傾向にある。また、アニメにはない漫画オリジナルのエピソードが存在していたりする。


次第に日常生活やオリジナルストーリーが中心になってきた為か、デパプリからは「スピンオフ」と表記が変えられた。


受賞歴

『ふたりはプリキュア』や『ふたりはプリキュアMaxHeart』時代には、2005年の東京国際アニメフェア内の東京アニメアワードにて「テレビ部門優秀作品賞」を受賞した。


映画HUGっと!プリキュア_ふたりはプリキュア_オールスターズメモリーズ』では、劇中に登場するプリキュアの人数が55人であることから公開日の2018年10月27日付で本映画が「アニメ映画に登場する最も多いマジカル戦士の数(Most magical warriors in an anime film)」でギネス世界記録に認定された。

このギネス認定における登場人数カウントの基準が「ちゃんとしたセリフとバトルシーンが用意されている」ということであったため、認定証はプリキュア役を演じた55人の声優達に送られている


また、前述の通りコロナ禍の困難の中制作された『ヒーリングっど♥プリキュア』は、『アニメージュ』第43回アニメグランプリにて、グランプリ作品部門1位(得票数455point)となった。プリキュアシリーズ17作目にして初の快挙となる。(投票期間2021年4月9日~5月8日、アニメージュ2021年5月号の綴じ込みハガキの投票数を集計、アニメージュ2021年8月号で発表された。)

同グランプリのキャラクター人気投票部門でも、女性キャラクター部門では花寺のどか/キュアグレース(得票数405point)が1位、男性キャラクター部門ではダルイゼンが7位(得票数62point)にランクインしたのを筆頭に、『ヒーリングっど♥プリキュア』のキャラクターが多数ランクインした。(ちなみに男性キャラクター部門1位は『鬼滅の刃煉獄杏寿郎。得票数155point。)


さらに『ひろがるスカイ!プリキュア』では、2023年8月号で発表されたアニメージュ第45回アニメグランプリでグランプリ作品部門14位(得票数62point)を獲得している。


ネット局

2023年現在、テレビ朝日系列以外のネット局では、山陰放送(TBS系列)が遅れネットで放送されているのみである。『アラモード』までは宮崎放送(TBS系列)でも放送されていた他、『ふたりはプリキュア』は福井テレビ(フジテレビ系列)で一部エピソードのみ放送されていたことがある。このため前述を除くテレビ朝日系列フルネット局が所在しない山梨県富山県徳島県高知県佐賀県では、2023年現在、プリキュアシリーズ本編を一度も地上波で放送した実績が無い(但しこれらの地域でも、CATVなどの区域外受信やネット配信などで視聴することは可能である他、徳島県・佐賀県以外ではクロスオーバー映画作品の事前番組を放送していたことがある。また、番外作品『キボウノチカラ〜オトナプリキュア‘23〜』はNHKEテレで放送されるため、番外作品を含めれば全国完全放送実績持ちを達成している)。


再放送について

TOKYO MX千葉テレビキッズステーションでは再放送を実施している。過去にはTOKYO MX・チバテレ以外の関東地方の独立局やサンテレビに加え、BS11アニマックステレ朝チャンネルでも再放送されていた。


リークについて

プリキュアシリーズは昔からリーク(情報漏洩)の激しいコンテンツであった。

アニメの脚本や作画が放送前に事前に漏れることはまずないが、玩具やグッズは放送の遥か昔からサンプル品が作れらるため、そちらから新登場キャラのデザインが判明するのは日常茶飯事である。これは玩具販促をメインとするコンテンツの宿命とも言える。


また、プリキュアシリーズは翌年作のタイトル発表は12月に行うのが通例だが、商標登録は『デリシャスパーティ♡プリキュア』まではタイトル発表の一ヶ月以上前に公開されているのが常で、公式発表前にタイトルが流布されて、そこからデマが広まることが何度もあった。

ひろがるスカイ!プリキュア』以降は、それに伴う商業的被害を防ぐため、商標登録の公開自体を12月までずらし、商標の公開と同日にタイトルを公式発表するようになった。本来、商標登録は早めに公開する方がメリットとなるのだが、それを捨てざるを得ないほどにデマを警戒しているということでもある(戦隊やライダーはやや遅めになりながらも従来通り商標公開されている。この徹底ぶりはおそらく日本国内で放送される全アニメ・特撮シリーズと比べても最高クラスであろう)。

これもSNSの普及ゆえに承認欲求やヒット数稼ぎ目的でリークやそれに基づきキャラ予想イラストをUPする心無い人が増加した故に発生したやむを得ない事情と言えよう(それほどモラルの無い大人のプリキュアファンも多い上に、プリキュアは原作付ではない完全オリジナルアニメである故に、徹底的にプロットを書き上げてから、特撮よりも手を入れて制作する必要があるアニメ作品であるため、一回リークされるだけでも展開を修正するのが非常に大変であるということが挙げられる。)。


一方、追加戦士についてはかつては突然登場するサプライズを重視していたが、『ヒーリングっど♥プリキュア』からは劇中で登場するよりも一ヶ月ほど前から公式サイトで告知するのが常となっている。一ヶ月くらい前になると玩具やグッズ周りで追加戦士のデザインが漏れ出すタイミングであり、デマを流される前に先手を打っているとも言える。


これらの施策が功をなしたのか、2020年代になってからはガセネタの流布はかなり減ってきている。


余談

ちなみに海外展開も行われており、名称は若干異なる。

ドイツイタリアでは名前の由来になった「Pretty」「Cure」を合わせて「PrettyCure」(読みはプリティキュア)と呼ぶ。中華圏では「光之美少女」、韓国語では「프리큐어」(こちらの読みは日本と同じ)となっている。


一番イメージからかけ離れているのはアメリカであり、こちらは「Glitter Force」(読みはグリッターフォースで「キラキラ戦隊」といった意味合い)となっている(この名称はスマイルプリキュアの事を指す)。



関連タグ


外部サイト

プリキュアシリーズ - Wikipedia

プリキュアシリーズ公式ポータルサイト『Precure』(旧『プリキュアガーデン』)

プリキュアシリーズ15周年公式サイト

プリキュア公式YouTubeチャンネル - YouTube

東映アニメーション公式YouTubeチャンネル - YouTube

プリキュア10周年おめでとうメッセージ - YouTube

プリキュアおもちゃウェブ

TAMASHII NATIONSのプリキュアアイテム情報! プリキュアーツ! | 魂ウェブ

プリキュアキャンディポータル

プリキュアプリティストアオンライン


プリキュアシリーズ最新作URL


最新作のプリキュアの公式サイトは上記のURLとなり、シリーズ開始前またはシリーズ終了後に個別のURLに変更される。最新作のページから各作品へのリンクは張られている。

東映アニメーション側の過去作の公式サイトへのリンクについては、プリキュアシリーズ一覧の項目の基本データの欄に記載されているのでそちらを参照。

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