概要
アンデルセンの童話『雪の女王』からインスピレーションを得たディズニーの長編オリジナル3Dアニメ映画である。
原題は「凍りついた」という意味の『Frozen』。日本での略称は「アナ雪」。
原案となった『雪の女王』は世界各国で何度もアニメ化されている(若き日の宮崎駿が影響を受けたソ連版が特に有名、聖闘士星矢の北欧アスガルド編も類似性が指摘されている)。だが、本作は『雪の女王』とはストーリーや登場人物が全く異なり、断片的にモチーフを借用している以外の共通点はないと言ってよい。
声の出演はクリスティン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフなど。
日本語吹き替えはアナ(クリスティン・ベル)に神田沙也加、エルサ(イディナ・メンゼル)に松たか子を起用している。
ちなみに本国アメリカおよび各国では概ね2013年11月に公開されたが、日本のみ2014年3月公開と大幅に遅れることになったため、日本でのブーム到来も遅かった。
このためpixivでも公開当初は、主に海外絵師による原題「Frozen」のタグでの投稿が多く残っている。
ストーリー
沿岸部に位置するアレンデール王国の王女エルサは、触れたものを凍らせたり雪や氷を操ることができる魔法の力を持って生まれてきた。そんなエルサだが、両親からは愛されており、3つ年下の妹アナとも仲が良く、時にはエルサの魔法の力を使って共に遊ぶこともあった。
しかし幼いある日、魔法で遊んでいた最中に怪我をしそうになったアナを救おうとしたエルサの魔法が予期せぬ形でアナに当たり、アナは意識不明の重体に陥ってしまう。
助けを求めるエルサとアナを連れ、王と王妃は山奥のトロール一族の元へアナを救う手立てを求めに向かう。幸いトロールの力でアナは救われるが、魔法による傷を癒すためには、姉妹の楽しい思い出だけを残して、魔法に関する記憶をアナの頭から消すことが必要だった。魔法の力に対してトロールから忠告を受けたエルサと両親は、成長と共に増大する魔法の力を制御できるようになるまでエルサが誰とも触れ合わないように城を閉ざし、魔法の記憶を失ったアナとの接触も断つようにした。
以来、エルサは部屋に閉じこもるようになり、理由も分からず突然姉に会えなくなったアナは一人寂しく過ごす始末。その十年後、両親が嵐の海難事故で亡くなり、姉妹は互いだけが唯一の肉親となってしまう。
それから三年後、姉妹二人は成長し、エルサはアレンデールの女王となる。
戴冠式には特別に一日だけ城が開放されることになり、諸外国から訪れる大勢の人々との触れ合いに喜びを抱くアナは南諸島の王子・ハンスと出会い、彼と意気投合。電撃的に婚約を決めるが、エルサが反対したことで姉妹は喧嘩となり、エルサは大勢の人を前にさらけ出し、魔法を暴走させてしまう。
秘密を知られ、化け物呼ばわりされたエルサは山へ逃げ出すが、魔法は彼女の意識を超えて影響を広げ、夏のアレンデールは雪の降りしきる永遠の冬に閉ざされてしまう。
アナは姉を追いかけて山へ旅立ち、途中で山男のクリストフや彼の相棒であるトナカイのスヴェン、夏に憧れを抱く喋る陽気な雪だるま・オラフと出会い、王国と姉を救うために氷の宮殿へと向かう。
登場人物
クリストフ・ビョルグマン CV:ジョナサン・グロフ 吹替:原慎一郎
オラフ CV:ジョシュ・ギャッド 吹替:ピエール瀧(前任)/ 武内駿輔(後任)
ハンス・ウェスターガード CV:サンティノ・フォンタナ 吹替:津田英佑
ウェーゼルトン公爵 CV:アラン・テュディック 吹替:多田野曜平
興行成績と受賞歴
- 第86回アカデミー賞にて主題歌賞(『Let It Go』)と長編アニメーション賞を受賞
- 第71回ゴールデングローブ賞にてアニメーション映画賞を受賞
- 第67回英国アカデミー賞にてアニメーション映画賞を受賞
- 世界興行収入が10億ドルを突破。ディズニーのアニメ映画としては、それまで「トイ・ストーリー3」が保持していた記録を塗り替えた。(ちなみに「ディズニー映画」全体での記録保持作品は「アベンジャーズ」の15億ドルとなる)
- 日本における興行収入が250億円突破。16週連続興行収入ランキング第1位を記録。
- サウンドトラックCDの販売数がアメリカのアルバムチャートにて、通算11週首位をキープ。
- iTunesのランキングのTOP10のほとんどを関連曲で埋め尽くした。トップは主題歌『Let It Go』。
日本における歴史的ヒット
世界中で人気を博した本作だけあって、日本でも社会現象となる大ヒットとなった。
日本における興行収入254億円は、「千と千尋の神隠し」「タイタニック」に次ぐ歴代第3位の記録である。
特に日本では吹き替えのキャスティングが高く評価され、これもヒットに繋がった。
BDが1日で66.1万枚を売り上げ、それまで「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」が保持していたBD累積売上記録46.5万枚を塗り替えた。MovieNEXは3週間で250万枚を売り上げている。
また主題歌『Let It Go』も大ヒットを記録し「レリゴー現象」を巻き起こした。
サウンドトラックの売り上げは100万枚を突破、アニメ映画のサントラの歴代セールス記録を塗り替えるなど、音楽面でもブームを巻き起こした。
日本語版ではMay J.がED曲として『Let It Go~ありのままで~(エンドソング)』を歌っていた。
このような経緯から、2014年の流行語大賞トップテンに「ありのままで」が選ばれ、また同年の『ヒット商品番付』でも第1位となった。
続編
後日談となる短編アニメ『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』が、実写版映画『シンデレラ』にて同時上映。
また、ピクサー作品のリメンバー・ミーとの同時上映で『アナと雪の女王/家族の思い出』も公開。
さらにディズニー社の株主総会において、同じスタッフを起用しての長編第二弾の製作も発表されたのち、「アナと雪の女王2」として2019年11月22日に日米同時公開される事が決定し、同日公開された。詳細は当該記事にて。
地上波放送
2017年の1月12日には地上波初放送が告知され、同年の3月4日にフジテレビ系列でオンエアされた。
大ヒット作であっただけに19.7%という高視聴率を記録したものの、エンドロールの代わりに挿入されたフジテレビオリジナルのエンディング(ビデオを投稿してくれた視聴者がダンスを踊ったり、挙句の果てにはフジテレビの番組や製作に関わっている翌月公開の映画の出演者が「ありのままで」をふざけながら歌ったりするという誰得なものだったため、余韻を台無しにされたことで放送終了後に大炎上を巻き起こした。一応本来のエンディングはスタッフ表示画面の右上のワイプに超高速で流されている)が多くの視聴者を困惑させ、後日当時の社長が定例会見で謝罪・釈明するというオチがついたほどであった。
その影響は大きく、6日後に日テレの金曜ロードショーで他のディズニー映画『塔の上のラプンツェル』が放送された際にも、ネット上ではエンディングの放送の有無がやたらと注目されるほどであった。なお件の作品のエンディングは加工どころかまるまるカットされていたためこの件の炎上も一時は鎮火の一途を辿った。とはいえ金曜ロードショーも過去に『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』テロップ騒動をやらかしているので、他人事ではなかったことだろう。
これが原因かは定かではないが、テレビ大分は視聴率の面でもこれほどのヒット作だったにもかかわらず遅れネットしていない。逆にテレビ宮崎は『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』のどっちもキー局と同時ネットしたため、ラプンツェルでもやらかしがあったら大変迷惑なことになっていたことだろう。
この件は「映画の地上波放送のダメな例」として語り継がれていくことになった。その影響の深さたるや、フジテレビが数年後他のアニメ映画を放送した際にもそれを蒸し返されるほどである(なおその映画ではエンディングは問題なかったもののクライマックス直後に余韻ぶち壊しなCMを入れるというやらかしはあった。しかしながらこれほどの騒ぎには発展しなかった模様)。
その後2019年1月3日にテレビ朝日系列で、後述の『家族の思い出』も合わせて再び放送。なんと放送時間はゴールデンタイム(18時半~21時)での放送という、地上波では2度目の放送となる映画としては破格の待遇ぶりだった。(テレ朝が本当にそう思ってたかどうかは定かではないものの)もちろんフジの二の舞は避けるべく、エンドロールも(一応『家族の思い出』をこの後放送する等のテロップを加えた上ではあったものの)本来のMay J.が歌唱するエンディングがそのまま放送された。2010年代は王者フジと下位テレ朝がどんどん逆転した時代だが、こういうところに差があったのかもしれない。ただ2回目だったのと裏番組が強豪揃いだったゆえか、視聴率は9.1%とあまり奮わなかった。
全くの余談だがテレ朝での放送が決まった際、インターネット上におけるフジテレビを快く思っていない層の一部でこれをフジテレビ対テレ朝の代理戦争として利用する動きがあった模様。なお結果。
関連イラスト
関連動画
『アナと雪の女王』ミュージカル版(英語字幕有り)
松たか子の歌う「Let it go」の日本語バージョン。
関連タグ
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