日本語版CV:津田英佑/原語版:サンティノ・フォンタナ
僕の概要だよ☆
ディズニー映画『アナと雪の女王』に登場する人物。エルサの女王戴冠式に招待されたサザンアイルズ王国の第13王子。
作中や作品紹介では名前の「ハンス」だけであり、pixivでも「ハンス」のみのタグがほとんど。
紳士的で気さくに振舞う明るい性格。街に出たアナと出会い、同じ末っ子で上の兄弟との関係がうまくいっていない孤独感で互いに理解・共感し意気投合。そのまま電撃的に婚約まで決めてしまう。
しかし、エルサは結婚に反対してアナと喧嘩し、魔法を暴走させて王国を氷漬けにしながら、飛び出してしまう。
アナがエルサを探しに行く間、ハンスは王国を任されられ、アナたちが留守の間物資を国民に分け与えて信頼も得たが、アナの馬が戻ってきたことで自らも彼女達を探しに氷の宮殿へ向かう。
ネタバレ注意だけど、本当に見るのかい?
エルサによって凍り付いたアナを真実の愛で溶かすためハンスはアナの唇に近づいた。
ここでキスをすればアナは元通りになりハッピーエンドになるだろう、
だが、唇に近づけかけた瞬間、彼は忽ち豹変した。表情を変えてこう言った。
「ああ、アナ。君を心から愛する人がいればなあ。」
実は彼こそ本作のヴィランズ(悪役)。明るい性格の裏の顔は残忍で冷酷。対人的には善人ぶってその実は腹黒く策謀する。
氷の魔法がかかったアナは魔法を治す真実の愛のキスをハンスに求めたが、キスの直前にハンスは本性を現す。
最初からアナを愛してなどおらず、寧ろ愛した振りをしており、本国では末っ子ゆえに出世の機会もないため、アレンデール王女姉妹に近づき王国を乗っ取って国王に成り上がろうと画策していた自作自演の演技に過ぎなかった。
凍えるアナを部屋に閉じ込め、側近たちには結婚の誓いをした後でアナは死んだと偽り、夫婦となったことで自ら国王であると宣言し、連れ戻したエルサを処刑しようと決断を下した。
牢屋から逃げ出したエルサにもアナはエルサの魔法のせいで死んだと嘘を告げて、ショックを受けたところを抹殺しようとした。
しかし、アナが直前にエルサを守り、エルサも魔法を制御して氷漬けになっていたアレンデールの国は元に戻り、姉妹は仲直りできた。
そしてハンスはいわずもがな、アナから顔に拳がめり込む程に強烈なパンチを食らい、間抜けな悲鳴を上げながら海に落下。
その後は船の牢獄に放り込まれ、デュマの鉄仮面よろしくバケツを被らされた姿で幽閉されて本国に強制送還された。
そして一連の件で、サザンアイルズはアレンデールから国交断絶を言い渡されてしまったらしく、独断の暴挙で国のメンツを丸潰れにした彼は勘当され、王族としての身分すら失ってしまった模様。
本作のスピンオフ短編映画『エルサのサプライズ』では、自国の馬小屋で掃除をさせられていたが、とある拍子にアレンデールから吹っ飛んできた巨大な雪玉がクリティカルヒットした上に馬の糞の山に頭から突っ込んでしまい、馬小屋にいた馬達から大笑いされてしまった。
考察だよ☆
ディズニー作品では珍しく、最初は彼がヴィランズとはわかりにくいタイプのキャラクターとして登場した。これまでのヴィランズは視聴者から見て(作中の登場人物の視点でも)その人物が見た目や言動で悪役とわかりやすいものが多かったが、彼の場合は本性を隠して善人のように振る舞い、視聴者も登場人物も終盤まで彼を善人と信じてしまった。
本作にはどう見てもヴィランズ・その他脇役なウェーゼルトン公爵もおり、彼が目くらましの役を担っていたとも考えられる(というよりは、彼が悪役だということを仄めかす伏線自体が皆無だったと言った方がいいかもしれない)。
特にディズニープリンセスはその相手役であるプリンス役に王子役が多く、継承権では末とはいえ確かに王子である彼がアナとの恋人役になる展開がディズニーを知ってる視聴者からは違和感が無かったも大きいだろう。
さらに言えば元々はエルサがヴィランとして設定されていた事(ハンスは元々悪役ではなかった)もありエルサの存在も目くらましになっていた事も大きい(エルサの初期設定についてはエルサを参照)。
初見では味方、もしくはモブキャラにしか見えないヴィランズはモンスターズ・インクのウォーターヌースやMr.インクレディブルのバディ・パイン、トイ・ストーリーシリーズのプロスペクター、ロッツォ・ハグベアなどピクサー作品では顕著だったが、非ピクサー作品においてはこの手のヴィランズは当時としてはかなり異彩を放っていた。
終盤でアナはハンスを「氷のような心」と呼んだが、監督はハンスの本質を原作「雪の女王」に出てくる「悪魔の作った鏡」と語り、鏡のように周囲の人物の心象を写し出しているのだとしている。悪魔の作った鏡はその破片が刺さった少年カイの誠実な性格を豹変させたものであり、ハンスもまた誠実な性格から豹変した様子が描かれている。
共感相手を求めるアナには共感者として振る舞い、施政者としての彼は「国民の求める王の姿」を映し出し、傲慢な相手には傲慢な態度を取る、といった具合であり、本来の彼自身のアイデンティティはどこにもないのである。
エルサの心の分身とも言えるオラフが作中で繰り返す。「ハンスって、誰?」。
彼自身の本性は残虐極まりないものであり、そこに愛など存在しない。はずなのだが、初めて出会ったばかりのアナと一緒に「とびら開けて」を、アドリブで、しかも息ピッタリにシンクロさせて歌うその姿は賞賛に値するレベルである。2回目以降に聴くと会話の内容がどこか胡散臭く感じてしまうのもうまい作りになっているといえる。
また、小説『A Frozen Heart』では兄たち(同じくイジメを受けているラースを除く)からイジメを受け、強さを正義と考える父親(勘違いされがちだが、母親はハンスに愛情を注いでいる)からも期待されずに育ったことが彼の人格を歪ませたことを仄めかしており、さらに結果的には彼の行動が切っ掛けでエルサが再び周囲に心を開くようになったこともあり、一概に悪と言い切れない点も見受けられる。
それを考えると自分の事を棚に上げて謝罪もせずに一方的にハンスを罰した父親と兄達(ラースを除く)こそが、真のヴィランズとも言える。
また『A Frozen Heart』では長兄にカレブ、三兄にラース、双子の兄たちのルディとルノがいる。
ディズニーの映画や人気の西洋のおとぎ話の要素やキャラクターが使われているファンタジードラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』のシーズン4第3話「もう一人の雪の女王」(Rocky Road)に三人の兄が登場し、内二人の名前がフランツとユルゲンとなっている。
また、彼がヴィランでなくても物語は成立することを理由に彼がヴィランであることを嫌う人もいる。
余談っていうのも見てほしいな
吹き替えを務める津田英佑氏は、メリダとおそろしの森にてマッキントッシュ家の息子役でディズニー作品に先行登場している。
この時は終盤にセリフが少しある程度だったが、今回晴れてメインの役を勝ち取ることとなった。
その後の(アナ雪関係以外の)ディズニー作品にもちょい役で度々出てきてはいるものの、ろくな目に遭わない役回りが定着している。