曖昧さ回避
- 英語で症候群。
- Mr.インクレディブルの登場キャラクター。本項で解説。
シンドローム(Mr.インクレディブル)
「だって、世界一のファンだもん……」
「俺は傷ついた
でも大事な事を教わったよ
誰も信じちゃ駄目だってな
特にスーパーヒーローは!!」
本作のディズニー・ヴィランズ。本名はバディ・パイン。27歳。
少年時代はインクレディボーイと名乗り、Mr.インクレディブルのファンクラブの会長を務める熱狂的なファンの一人だった。だがインクレディブルが大好きなあまり、彼の相棒になろうと付き纏ってばかりおり、当の本人からは鬱陶しがられていた。そしてしまいには危険な現場にまで出しゃばってアピールした結果、町に多大な迷惑をかけた上、自分の行動を反省せずに尚もインクレディブルの相棒であると主張したことで見かねた彼から「相棒はいらない」と言われ断られ、警察に逮捕された。
その際に後述のような冷たい態度を取られたことで彼を逆恨みし、スーパーヒーローを深く憎む人間不信となった。
その頃からロケットブーツを発明するほどの優秀な頭脳の持ち主でその才能を生かして大量の兵器を開発し、億万長者となった。普段は火山島ノマニザンに研究所を構えて暮らしている。
上記のロケットブーツの改良版に加え、対象物を自在に持ち上げる特殊な電磁波ゼロ・ポイント・エネルギービーム(本人曰く「最高の発明は自分用に取っておいた」)を駆使する。黒いマスクに「S」と書かれたスーツ、さらにマントを着用している。
Mr.インクレディブルを倒すために開発した戦闘ロボット=オムニドロイドのテストのため、引退したヒーロー達を実験体として島に誘い込み次々と殺害。最終的には「クロノス計画」と題したオムニドロイドを街に放ち自分で倒すという自作自演によって、自らが最強のヒーローになろうと画策する(『どんなヒーローにも勝てるロボットを作成した後、それをリモコンで攻撃と共に着脱分解し、機能停止させることで勝利したように見せる』というシナリオ)。
晩年になって戦えなくなったら自分の装備を一般配布して誰もが絶対の力を持てるようにし、ヒーローが要らない社会を作るつもりだった模様。
街に現れるとオムニドロイドが投げたタンクローリーから母子を守る活躍を見せたが、そのタンクローリーを(人がいないところではあろうが)乱暴に放り投げる、ロボットとの戦闘で芝居臭いセリフを並べる、市民に自分の存在をアピールするためにロボットに背を向けるなど自演を抜きにしてもヒーローとして問題のある振る舞いが目立った。
しかもあろうことか共犯のはずのオムニドロイドはシンドロームに忠実というわけでもなかった(というより描写的にAIが優秀過ぎた)らしく、戦いの最中に彼が持つリモコンを除去(攻撃と共に操作している→アレが自身の苦戦の理由と判断した模様)し、ロケットブーツを破壊してしまう。コントロールを失った彼は壁にぶつかり気絶。その間にオムニドロイドはパー一家によって破壊され、財産もリックによって差し押さえられてしまう。
その仕返しにマスクを外した状態でボブの家へ行き、カーリからシッターと間違えられてジャック=ジャックを渡されたと同時に、誘拐して逃げようとしたが、突如覚醒したジャック=ジャックに思わぬ反撃を受け、怯んだ所を逃げられてしまった(というより、ジャック=ジャックとの揉み合いの末、ジェット機にぶつかり、そのはずみでジャック=ジャックを手放した。尚、ジャック=ジャックはヘレンが救助して事なきを得ている)挙句、ボブが投げた車がジェット機に直撃した衝撃で吸気口まで飛ばされ、そのままマントがエンジンに吸い込まれて死亡した。
しかもこの直前、撤退する隙があったにもかかわらず、態々ボブに「これで終わったと思うなよ(要約)」と挑発行為を行ってしまい、その隙に車を投げられたので、完全に自業自得である。
視聴者からの反応
ヒーローを逆恨みで憎み、騙した上で殺害する、ロボットを暴れさせて大勢の人を巻き込んだ自作自演のヒーローごっこをする等、かなりの悪行を働いた人物ではあるが、インクレディボーイ=バディ時代の描写から悪人にならずに済む可能性もあったのではないかと考察するファンも少なからずいる。
バディがヒーローを憎むようになったのはインクレディブルが相棒になろうとする彼に終始冷たい態度で接したことが原因であり、「飛んで帰れバディ、相棒はいらん」と突き放す、警察に突き出す時に「この子のママにたっぷりお説教するように言っといてくれ」と発するなど子供に対しては不適切なきつい物言いが多かった。もちろんバディもファンと言いつつストーカー同然に付きまとって迷惑をかけていたことは事実でありインクレディブルも暴力は使わず口で注意していた。
しかし、彼の向上心や正義感を尊重した上でヒーローとしての心得や過酷さ、危険性を語ったり大人になるまで待つことを説くなど互いに良い関係のまま説得することも十分可能だったのも事実であり、本作の監督ブラッド・バードと製作ジョン・ウォーカーもDVDの音声解説でインクレディブルにはバディへの思いやりが欠けていたと話しており、実際に当時のインクレディブルことボブは自分の実力への過信と傲慢さが見え隠れしていた(あまりに多くの事件を一人で解決しようとするせいで対処が雑になっていた上に警察はインクレディブルに散々世話になっているにもかかわらず悪人を取り逃がしたと報告された際に失態を責めるような態度を取っていたりとヒーローの存在と彼等の力に依存しすぎている様子も見られた)。
シンドロームはパー一家に苦戦を強いるほどの発明をいくつも作ってきた正真正銘の天才であり、子供の時も初めはヒーローに憧れ、目指していた少年でもあった。運命が変わっていれば悪人にならないどころか本当のスーパーヒーローになれたかもしれない。そんな彼が悪に堕ち、発明も良い方向に使われなかったことを惜しむ声も多い。
しかしながら意図していなかったとはいえ、自分がインクレディブルの仕事に乱入した結果、高架鉄道が爆破されて危うく一般市民が犠牲になりかねない危険な状況を引き起こしてしまったにもかかわらず、その後警察に引き渡された際は事態を理解しておらず、明らかに不貞腐れた態度を取っていた上に、自らの行いを正当化していたりと全く反省していなかった。
さらにインクレディブルはバディの命を優先したために原因である犯人を取り逃したばかりか、この一件で負傷した乗客たちから訴訟を起こされたことで、彼の尻拭いをさせられていた。
そして、その事件が世間からのヒーローの排斥を促す要因の一つとなった結果、インクレディブルのみならず多くのヒーローたちが廃業に追い込まれてしまうなど、バディの軽率な行いが結果として多くの人々に損害を与えてしまっていた。
それでもバディは長い年月が経って大人になっても反省するどころか逆恨みし、ロボット開発のために大勢のヒーローを犠牲にして無関係な一般市民を巻き込んだ大掛かりなヒーローごっこを行っている。
このことから仮にインクレディブルの相棒になれていたとしても「自分の過ちに気づかないまま反省できていない(精神的成長が見込めない)バディではどの道スーパーヒーローにはなれなかったのでは?」といった意見も存在する。
- フォローを入れるなら、バディは列車爆破の一件に対して直接責任を負われた描写が無い事から、彼が罰を受けることがなかったために、自らの過ちに気付けなかった可能性がある。
- ヒーローたちが活動休止に追い込まれた事に関しても、バディの一件はあくまで数ある要因の一つであり、一番の要因はヒーローたちの活動によって生じた不満が溜まったためである。
また、制作陣からも指摘された通り態度に問題があったインクレディブルだが、いかに天才的な発明をしていても、あくまで生身の子供でしかないバディを危険な犯罪者を相手にする仕事から遠ざけるのは、治安を守るヒーローとして至極真っ当な行いである。
- 事実、彼が相手をした犯罪者は、いずれも銃や爆弾といった凶器を所持していた。
年相応の少年としてのスーパーヒーローへの憧れから来る正義感や向上心があったとはいえ、インクレディボーイ時代の彼がやった行為は、はっきり言って協力どころか戦闘行為を妨害する迷惑行為でしかなく、逆恨みにして自業自得以外の何物でもないため同情の余地はないといえるだろう。
余談
マントが原因で悲惨な最期を遂げた彼だが、実は序盤の少年時代にもマントが原因で死にかけたことがあり、ロケットブーツで飛び立つ際に爆弾魔のフランス人ボム・ボヤージュによってマントに小型爆弾を付けられていた。この時はインクレディブルが何とか取り外したため一命を取り留めている。
また、少年時代の彼とは別にマントが原因で悲惨な目に遭ったスーパーヒーローが続出したことが「マントは?」と言ったインクレディブルに対する返答として「マントはダメ!」としたエドナによって語られており(彼同様ジェット機のタービンにマントごと吸い込まれた他、マントがミサイルに引っかかりそのまま飛んで行った、飛び立つときにマントが引っかかり首を締められた、竜巻にひっぱりこまれた等が原因)、その後さらに「いい!?マントは!ダメ!」と重ねるなどかなり警戒している。
数名のスーパーヒーローはボブとヘレンの結婚式に参列しており、時系列的にはインクレディボーイ時代からシンドローム時代の間の出来事であることが分かる。
シンドロームが上記の出来事を覚えているか、知っているかは不明だが、もしそのことを教訓としていればマントを付けることはなく死を回避できたかもしれない。
もっとも、知っていたとしても自己顕示欲の強かった彼なら気にせず着用していた可能性も高いが。
また、彼の本拠地である火山のある島ノマニザン島の名前の由来は
「人は一人では生きていけない」という意味の英語のことわざ
「No man is an island」をもじったものである。
どこまでも孤独だったシンドロームの事を考えると皮肉である……。
当初はプロローグのみの脇役として登場する予定でヴィランになるのは『ゼリック』というキャラになる予定だったが、プロデューサーに人気があったため彼に変更されたという裏話がある。
吹き替えを担当した宮迫は持ち番組で彼が話題になった時、名前をど忘れしてしまった。幸い話題が変わる前に思い出したものの、その前に何がどうなってか「チューインガムみたいな名前」と称している(キシリトールだろうか?)。
関連タグ
類似キャラ
クロセル・キシレール:同じく、彼と同様幼いころからヒーローに憧れていたものの身体が弱かったためにヒーロースーツを作っていたが、わざと怪物を作り自作自演でヒーローに倒させるという同じ事をしていた。こちらも最終的にヒーローを倒そうとするが、最終的に生存している。ちなみに彼も企業の社長でもある。
エレクトロ:元々はヒーローに憧れを抱く善良な一市民であったが、羨望していたヒーローからぞんざいに扱われた(と思い込んだ)事が決定打となってヴィランに堕ちてしまった。
ミステリオ:自作自演のヒーローつながり。
ウルトラマンベリアル:中の人(吹き替え)繋がりな他、元はヒーローであったが、人間関係の拗れが一因となって、悪の道へと走ってしまった。
愛染マコト:こちらも企業の社長であり、とあるヒーローに憧れて、怪獣を使って自作自演のヒーローごっこをしていた者つながりだが、彼自身は…。
有田哲平:顔が似ていると話題。