概要
RPG『ドラゴンクエストⅡ』の登場人物。
作中での称号から、大神官ハーゴンとも呼ばれる。
ゲーム冒頭から彼の名を冠した軍団がムーンブルク王国を滅ぼすなど、悪の首魁として登場し、ローレシアの王子らはハーゴン討伐を目的として冒険の旅に出る事となる。
しかし、ハーゴンを倒してもまだゲームは終わらず、そこで自らの命と引き換えに破壊神シドーを復活させるという執念を見せる。
そんなラスボス級のキャラクターにもかかわらず、彼の居城へたどり着いた際には「誰じゃ 私の祈りを邪魔するものは?」と、ローレシアの王子の顔を知らなさそうな発言をするうえ、「私を大神官ハーゴンと知っての行いか!?」という彼の問いかけに「いいえ」とすっとぼけるとまず自己紹介をしたうえで戦闘になるというちょっととぼけた面も。
ゲーム的な特徴としては、後発作品における通称魔王系の敵と近い行動パターン。
強力な全体攻撃を放ってくるだけでなく、耐性防具で防げない「あまいいき」で眠らせてくるという搦め手も用いる。
しかしながら、ラスボス級のモンスターでありながら「マホトーン」が稀に通る事もある。
「魔法使い型なんだから魔法を封じたら楽勝じゃん、「ベホマ」も使えなくなるし」と思いきや、折れそうな細腕とは裏腹に攻撃力180という剛力の持ち主で、魔法が使えなくなるとこの打撃力でひたすら2回攻撃してくるうえ、ファミコン版では行動順が非常に不安定なので最悪ターンをまたいで4回攻撃してくるという恐ろしい敵である。
※参考数値:シドー(255)、ベリアル(200)、アトラス(195)、ギガンテス(145)
リメイク版では「ベギラマ」を上回る「かえんのいき」も習得しているので、シドーが控えている事もあり、短期決戦が望ましい。
なお、ファミリーコンピュータ版では即死攻撃が効かないボスクラスのモンスターのはずが、「パルプンテ」の呪文であっさり死んだりしてしまう。
種族は不明。青い肌は人間には見えないが魔族かは不明(そもそもDQ2の世界に魔族がいるのかも不明)。
派生作品でのハーゴン
真ラスボスの前座というポジションなためか、ハーゴンの扱いは魔王系(????系)だったりそうでなかったりとまちまちである。
バラモスやムドーなど、似たポジションのキャラが魔王扱いで登場していても何故かハーゴンは例外という作品もある(『ドラゴンクエストⅨ』など)。
『ドラゴンクエストモンスターズ』に於けるシリーズでは初期作品の『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』から登場しているが、『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』では一旦のリストラ(しかも三幹部は登場しているにもかかわらず、である。一応アトラスの説明文には名前だけ出ている)。『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』でようやく復帰し、その後は全ての作品に登場している。
『ジョーカー2』以降ではグラフィックが3D化した事に伴ってか、横から見るとビックリするぐらい薄っぺらい体つきをしている。
『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』に登場した時はかつてのパッケージやカードダスでの絵を思い出させる、えらくスマートな7頭身体型となり、衣装もアレンジされた(上のイラスト)。
いわゆる細マッチョと呼ばれる体型になり、ドラゴンボールにいそうなキャラになったが杖だけは持っている…が、どういうわけかその杖を使った攻撃がやけに少ない。挙句の果てには杖を放り出して殴ったり蹴ったりする。
そのせいで「肉体派神官」と呼ばれたとか呼ばれなかったとか。しかし先述の通り原作においても高い攻撃力の持ち主だったのであながち間違いでもないのかもしれない。
ボスとして出てくるが、味方側で使うことも可能。技は「じゃしんかんの邪拳」と「狂乱脚」。
敵の時よりも一層武闘派と化している。仮にも神官なのに呪文は使わないのか…
『星のドラゴンクエスト』には、常設イベント「レジェンド オブ ロト 〜ルビスの光に導かれ〜」のラストクエスト「世界を守る強き決意」のボスとして登場。原作と異なりお供の敵が現れるが、ハーゴンを倒すと、お供の敵も息絶える。もちろん原作と同様、ハーゴン戦のBGMは「戦い」で、ハーゴンを倒すとシドーが登場する。2019年1月に行われた『[[ドラゴンクエストビルダーズ2]』とのコラボイベントにも登場した。またストーリーのシーズン2でマルネィとセセニョンの忘霊という亜種が登場した。いずれもギガ強モードではギガ伝説級以上の強さである。
『ドラゴンクエストウォーク』では『Ⅱ』イベントで登場後、『Ⅱ』の後日談にあたるイベントでも現れる。
その際は手下のハーゴン教団を利用して「邪神官ハーゴン」として復活し、自らが新たな邪神になるべく行動するが、
駆けつけた主人公とスラミチ、そしてリュウちゃんと竜の女王の手によって倒された。
ドラゴンクエストビルダーズ2
『ドラゴンクエストⅡ』の世界観をベースとした本作においては黒幕として登場。
かつて三人の勇者の子孫によって討ち取られたハーゴンだったが、その手下(本作では「ハーゴン教団」と呼称)たちは残党として勢力を縮小しながらも活動していた。
『ドラゴンクエストⅡ』内でも一応存在はした組織だが、明確に組織名が出てきたのは今作が初めてである。
ハーゴン教団によって破壊された各地の街も復興が進み、その為に物を作り出す能力を持つ人間、「ビルダー」たちが駆り出されていた。
そんな折、ハーゴン教団の残党がメルキドの街を襲撃。住民を虐殺し、ビルダー達は拉致されて奴隷船へ乗せられる。
しかし、その船は大嵐に遭い難破。なんとか生き残った主人公は謎の無人島「からっぽ島」へと漂着し、
その島の守り神である謎の少年、シドー(以下少年シドー)と両親の復讐の為に同じ船に乗り合わせていたルル、そしてからっぽ島の守り神であるしろじいと出会う。
各島を回りながら物作りを学び、からっぽ島を物作りで満たす事が当面の目標となるが、ハーゴン教団がゆく先々でそれを妨害する。
本作でのハーゴン教団は「物作りは悪、破壊こそが正義」という思想を掲げており、上記のような背景に反した大軍団と率いての破壊活動だけでなく、各地で人間たちに改宗する事を迫り、この教えに従わせようとしている。
この不可解な状態は本作における物語中最大の謎ともなっており、冒険を進めていくうちにその真相が明らかになっていく。
以下、ネタバレ注意
実は、本作で登場する「からっぽ島」以下様々な島が存在する世界は元々ハーゴンが勇者たちを惑わすために作り出した幻の世界(『ドラゴンクエストⅡ』本編でのハーゴンの神殿内に作られた幻のローレシア城)であった。
創造したハーゴンも自身が死んだにもかかわらず残っていた事には驚きつつも、その世界の中に破壊神シドーを再臨させ、元の世界諸共に破壊するという野望を抱くようになった(肉体が滅びたため、直接的な戦闘能力は失ったようだ)。
破壊神シドーの復活を早める生贄とするために創造の力を必要とし、元の世界からビルダー見習いである主人公を拉致した。
自身を生贄にささげたためかシドーと一体化しており、終盤で分離して姿を現すまでハーゴン教団の幹部さえその居場所は掴めていなかった。
物語の序盤ではハーゴンは少年シドーに語りかける謎の声としてのみ登場し、中性的な喋り方などから前作同様ルビスなのではないかというミスリードを誘っていたが、物語終盤に差し掛かるとその残忍な本性を発揮し、少年シドーにルルを殺すようにけしかけたり、仲間を自らの手で殺してしまう幻覚を見せるなどして、その破壊の力を増幅させていく。
しかし、主人公と少年シドーの間に物作りを通して想定を遥かに超えた友情が芽生えたうえ、二人が「創造と破壊は表裏一体である」という結論に達してしまった為にこの計画は破綻。破壊神シドーは復活したものの、少年シドーと分離してしまう。
「死んだ自分にとって全ては儚い無」「モノ作りは欲望も呼び寄せ、争いと破壊の元になるから初めから作るべきではない」
「世界が滅ぶさまを見届けた後、消滅したい」
といった自分の内心を語るが、少年シドーからは
「生きていた時は自分が望む世界を作る為に世界を破壊したかったんだろ」と言われ、主人公と魔物たちが協力して作り出した「超スーパーカー」との空中戦の途中で少年シドーに「来世ではいい仲間に出会えよな」と滅ぼされる。
その際、仲間や物作りを「下らなすぎて反吐が出る」と見下しつつも「見事神を超える事が出来たら認めてやろう。仲間の価値を、物作りの尊さを」と言い残して消滅。
その後、破壊神シドーは敗北し、その強大なエネルギーは少年シドーに吸収された。
主人公と少年シドーはその強大な力を消費し、幻の世界を実体化させて消滅から救う事にも成功。
元の世界との行き来が可能となった。
ここからはハーゴン教団の実態についてだが、一応「破壊は正義、モノ作りは悪」という考えは共通しているが、教えを忠実に守って破壊を遂行していたり、ただ破壊を楽しんでいたり、更にはそんな状況を訝しむ者まで現れ出すなどその有り様は幹部クラスから末端までてんでバラバラであり、監獄島の「更生」に至ってはわざわざキャベツを作らせてから松明で燃やすというもので、破壊と物作りが表裏一体であることの証拠にもなってしまっている。
なお、最終戦にて少年シドーから指摘もされているが、そもそもハーゴン自身が上記のような考えを掲げながらも、からっぽ島を含む島々やその住人、教団とその設備など実際には非常に多くの創造を行ってしまっている。
皮肉な事に、本作のテーマである「創造と破壊の一体性」については彼自身が身をもって証明してしまっており、更に各ロケーションの作り込みがハンパではないためにプレイヤーからはハーゴン=凄腕ビルダーと揶揄される事もある。
そもそも殺人機械のキラーマシンを開発して自分の神殿で徘徊させてる奴が何を言ってるんだという意見もあり。
あげく『Ⅱ』当時にこの幻世界が意図せず作り出してしまった副産物も今作で正式なアイテムとして登場してしまっている。皮肉にも「破壊」の名を冠する武器の強化アイテムであり、やはり「破壊と創造は表裏一体」であることを表してしまっている。
担当声優・俳優
声優
俳優
- 安田顕:『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』実写CM