勇者の伝説が再びよみがえる
概要
『ドラゴンクエストⅡ』は、エニックス(現スクウェア・エニックス)よりファミコンソフトとして発売されたファンタジーRPG。1987年作品。正式名は『ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々』(ドラゴンクエストツー あくりょうのかみがみ)。略称は「DQ2」「ドラクエ2」など。
シリーズ第2作。1人旅で敵との戦いも1対1だった前作「ドラゴンクエストⅠ」から、最大3人の仲間による冒険が可能になった。それに応じて、敵も集団で出現し、敵味方入り乱れての集団戦闘になるなど、ゲームとして大幅に進化した。
ロトシリーズの二番目に当たる作品であり、舞台となるのは前作の世界「アレフガルド」とさらにその外部に広がる世界であり、プレイヤーが操作する主人公は第一作の主人公=ロトの末裔である勇者本人……の子孫である。
本作の展開は、前作から100年が経過したある日、人間の世界へと侵略を開始した邪悪な大神官ハーゴンにロトの血を引く若者たちが立ち向かう、というものである。
上掲の正式名表記の通り、シリーズ中で初めて副題が付いた作品でもあるが、以後の「そして伝説へ」(Ⅲ)や「導かれし者たち」(Ⅳ)等々と異なり、何が「悪霊の神々」なのかはゲームをクリアしてもはっきり分からないままというツッコミどころがファンの間で話題になることがあった。最終ボスは「破壊の神」と呼ばれるものだが、1体で出現するので「神々」という複数形が正確でなく、他にもいるのかどうかはゲーム中では語られていないため、疑問を招いたのである。
現在では、小説版やスピンオフ作品などで本作の設定が言及および補強され、本作の終盤に登場する中ボス軍団たちが残りの「神々」にあたる…というのが公式見解となった模様。
発売の背景と反響
週刊少年ジャンプとのタイアップ企画の都合上、発売を急ぎに急ぐ必要があり、「DQ1」の発売日直前の1986年4月から開発を開始し、同年12月下旬発売というかなり無茶苦茶なスケジュールとなった。上述のように要素が増えた結果、テスト工数も「DQ1」の比ではないほど膨大になっており、ただでさえ短い開発スケジュールと合わさった結果、90%ほどの出来で発売せざるを得ないという状況になってしまった。堀井雄二氏は「開発中、エニックスから催促の電話がかかってくる度に胃が痛くなった」と振り返っており、マスターアップ直後に本当に胃潰瘍で倒れてしまったという逸話まであったりする。
無事発売にこぎつけた後は、「DQ1」が口コミで高い人気を得ていたことや前述のタイアップの効果などもあり、発売日にはゲーム取扱店に長い行列ができた。しかしながら、この直前に不人気ファミコンソフトの不良在庫化という問題が発生しており、多くの店が入荷量を絞ったため、初期出荷は40万本に留まり相当な品薄となってしまった。後にその人気に気づいた各店に入荷され、合計240万本を売り上げたタイトルとなったが、こうした出来事が次回作『ドラゴンクエストⅢ』にて、「人気の高いドラクエが欲しかったらクソゲーも一緒に買え」といういわゆる「抱き合せ商法」に繋がっていったという側面もある。
ゲーム内容の面では、後のシリーズにつながる新要素などは高く評価されているものの、こうしたギリギリのスケジュールでの開発だったために通しでのテストプレイを誰もやる暇が無かったという問題点があり、その結果本作のオリジナル(ファミコン)版はシリーズでも屈指の難易度を誇るゲームバランスとなってしまっている(しかし当時は他にもスーパーマリオブラザーズ2や高橋名人の冒険島など理不尽なほど難易度の高いゲームが多数登場しておりこれらと高難易度を競ったためで故意に難易度を高くしたというのが定説となっている)。特に決戦の地であるロンダルキアへの道のり、そしてロンダルキアへ突入してからの厳しい戦いは多くのちびっ子たちに絶望とトラウマを与えた。ちなみに その後ⅢのHD−2Dリメイク版発売記念のTV特番が放送された際に番組内で本作の高難度についても話題となり 中村氏本人から「スケジュールがギリギリで社内に最後まで通しプレイをした人間が社内に一人もおらず難易度調整が不十分のまま出てしまったためでてしまった問題で、わたし自身も発売後にプレイして絶望感に苛まれてしまったんです。」と苦笑い混じりで語ったほか、堀江氏も終盤のレベルチェック重点して行っていて通しチェックはしてなかったが中間部のレベルアップペースが高いからプレイヤー側でなんとかできる大丈夫と思っていた(実際は想定レベルに達しない低いレベルで終盤に挑むプレイヤーが多く最難関となっていた。)と思い出を語った。
理不尽なバランスに関してははリメイク版などではきちんと調整される傾向にあるが、インターネットの普及によって攻略・解析情報が出回った現在では、あえてオリジナルにあたるファミコン版をプレイする場合でも、知識を仕入れてフル活用することで比較的楽に進められる場面も多かったりする。
後に発売された移植版としては、MSX/MSX2版・スーパーファミコン版・ゲームボーイ版があり、更にその後ガラケー版・Wii版・スマホ版、スマホ版の更に移植のPS4版・3DS版が存在する。移植版はほぼ内容が調整・改変されており、オリジナル版より簡単になっている傾向がある。Wii版のみ、オリジナル版がそのまま収録されている。
ファミコン版でパッケージイラストにラスボスが描かれているドラクエ作品は、本作が最後となる。
復活の呪文
今でこそセーブ&ロードで簡単に前回プレイの続きが出来るが、ファミコン版当時は指定されたパスワード(作中では『復活の呪文』と呼ばれる)を入力することで続きから再開出来た。本作の復活の呪文の長さは当時ではかなり長く(52文字)、復活の呪文を写し間違えて悶絶したプレイヤーも多い(濁音と半濁音の文字の識別が難しかったことも原因である)。
また裏技である復活の呪文『ゆうていみやおうきむこうほりいゆうじとりやまあきらぺぺぺぺぺ……』は現在でも語り草になっており、その呪文によって現れるローレシアの王子が、これまた名前を発音出来ないことで有名な『もょもと』(開始からLv48)である。
登場人物
パーティメンバー
CV:ラジオドラマ版 / CDシアター版 / ドラゴンクエストライバルズエース
ロトの血筋を受け継ぐローレシア王国の王子で、ドラクエシリーズでは唯一呪文が全く使えない戦士型主人公。その分、装備可能な武具は多く肉弾戦の能力は折り紙付き。
ロトの血筋を受け継ぐサマルトリア王国の王子で、Mr.器用貧乏で名高いもやし魔法戦士。とにかくすぐ死ぬ。リメイク版では大きく強化されて戦いやすくなった。でもやっぱりすぐ死ぬ。
ロトの血筋を受け継ぐムーンブルク王国の王女で、パーティーの紅一点。呪文のエキスパート。攻防バランス良く呪文を覚えるが、肉弾戦は苦手。何故かサマルトリアの王子よりも棺桶に入りにくいような気が……。
関連キャラクター
CV:CDシアター版 / ライバルズエース
勇者側
ハーゴン側
代表的なモンスター
音楽
BGMタイトル
OP | ドラゴンクエスト・マーチ |
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復活の呪文入力 | Love Song探して |
場所 | 王城、街の賑わい、ラダトーム城、聖なるほこら |
フィールド | 遥かなる旅路、果てしなき世界、広野を行く、海原を行く |
ダンジョン | 恐怖の地下洞、魔の塔、洞窟 |
戦闘 | 戦い、死を賭して |
全滅 | レクイエム |
ED | この道わが旅 |
イベントBGM | パストラール〜カタストロフ |
ME
勝利 | 戦闘に勝利 |
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レベルアップ | |
宿屋 | 宿屋に泊る時 |
仲間(出会い) | サマルトリアの王子・ムーンブルクの王女が加入した際に流れる |
教会(治療) | 教会で生き返らせる・毒の治療を受ける・呪いを解 |
セーブ(冒険の書) | リメイク版でセーブの時に流れる |
余談
ダイの大冒険の三条陸によれば「最初はドラゴンクエスト2のような男2人、女1人の3人PTで行きたい」ということで、ダイ、ポップ、マァムの3人旅になったという。
関連イラスト
関連タグ
ロトシリーズ | ドラゴンクエスト、ドラゴンクエストⅢ、ドラゴンクエストⅪ |
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スタッフ | 堀井雄二、鳥山明、すぎやまこういち、中村光一 |
仮名 | もょもと、トンヌラ、すけさん |
武器 | ロト装備、はかぶさの剣 |
道具 | ラーの鏡、風のマント |
舞台 | ロンダルキア、アレフガルド |
派生 | ドラゴンクエストビルダーズ2 |
書籍 | しあわせのかたち |
表記ゆれ | DQ2、ドラゴンクエスト2、ドラゴンクエストII、ドラクエⅡ ドラクエ2、ドラクエII |