概要
『しあわせのかたち』は、ファミコン通信に1986年6月20日号(創刊号)から1994年3月4日号まで連載されていた桜玉吉作の漫画である。全228話。桜玉吉初期の代表作。
隔週刊時はテレビゲームを題材としたギャグ漫画。基本的にはゲーム漫画だが、複数のゲームや作者の趣味をミックスするというストーリー手法やコミカルなキャラクターなどで人気を博した。
ファミコン通信が隔週刊誌から週刊誌になったことに伴い、連載時のタイトルは「週刊しあわせのかたち」に変更され、内容もゲーム漫画から、作者の日常をつづる日記漫画と変貌する。日記漫画の系譜は作者が執筆するその後の作品に長く受け継がれることとなる。
登場キャラクター
「例の三人組」(+α)
「おまえ」「コイツ」「べるの」の3人組。元々は『ドラゴンクエストⅡ』パロディ編時に登場したキャラクターだが、以降レギュラーキャラクター化する。
- おまえ
- コイツ
遊々ゆうめいRPGⅣ編では「(べるのが不在の時)コイツまでボケ出すとツッコミ役がいない」と暴露される。
- べるの
3人組の中で唯一家族構成が明らかにされている(父母・弟の4人家族)。日本人の設定のときは「本田べるの」というフルネームになることが多い。父親はケモ耳中年サラリーマンというトンデモだが意外と違和感がない。父の勤務先は本田技研工業。
- ありあ
- しもん
- ごいんきょ
- 栗林姉妹
たまきちとその周辺人物
- たまきち
桜玉吉本人。幕間での「楽屋裏」ネタや、場合によっては作中に直接登場してキャラクターとのやり取りを行う。時期によって描かれ方が異なるが、概ね「黄色いお面をかぶった男性」または「ムササビ」の姿で登場する。後半で「雫型の黄色い頭の男性」という、後のシリーズで使われる人物像が登場した。
- 田中パンチ
- 金ちゃん
- ヒロポン
- ナッキー
バングラデシュから間違いファクスが来た回のネタで女性の姿で描かれて以降、そのままキャラクターのバランスを考慮して女性として描かれることになる。
アスキー書籍部門のデザイナーである佐藤秀人氏。ネクタウサ編で初登場。この頃は結構扱いが酷く、誤解から田中パンチに銃口を向けられる羽目になっていたりする。
実は桜玉吉とは学生時代からの悪友で、各々社会人になった後もふざけあっている仲。「週刊」時代は度々桜玉吉との嫌がらせ合戦が描かれ、大抵の場合玉吉よりも一枚上手なのだが、そのせいで読者からヘイトを買ってしまいどストレートなアンチレターをもらってしまっている。また桜玉吉本人も一時期嫌なやつだと思っていたからか(アンチレターが来てしまった際は「本当はいい人だから嫌わないでね」とフォローしているが)作中、つまり全国発売の週刊誌上で同性愛者疑惑を暴露される。玉吉や金ちゃんは否定的には取らなかったが、その気のない本人はマジで嫌がり、最終的に金ちゃんがアスキー書籍部門の各編集部に探りを入れた結果、上前歯を失った後(原因は不明)インプラントを入れるまでの間、口元を手で隠すクセがついてしまっていたのが「女性の仕種っぽい」というイメージからの誤解であった。
嫌がらせ合戦は最終的に不毛な結果になったり、たまにちょりそのぶに制裁されたりしている。
シャカイマチャアキ
モデルは言わずと知れたあの人。「遊遊夕月」序盤でお釈迦様役で登場、「この役で登場するとはお釈迦様でも思うまい」と作中で言ったが……が、後に本当にフジテレビ版『西遊記』で実現するとはお釈迦様でも思うまい。
余談
ゲームパロディから日記漫画に転身を遂げた理由の一つとして、「桜玉吉のかたち」内では元メーカーに支払う版権料が値上げされたことについて言及している。連載終盤でも「ネタがないのでファイナルファイト2ネタでもやろうか」という発言に対し、ヒロポン(当時の担当編集である広瀬氏)が「その関係は漫画に描けなくなっちゃったんです、やめて」と哀願するシーンが描かれている。
一方、この時期エニックス出版の『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』に端を発するゲームパロディの4コママンガブームにおいて、桜玉吉がキャラクターデザインを担当した『サンサーラ・ナーガ2』の漫画が載っているのを見つけてしまい、やはり終盤期に「死ぬほど人のこと言えなーい」と悶えるシーンが描かれている。