概要🍄
キノコといえばコレ!というレベルで誰もが知ってる見た目をしたテングタケ科のきのこの一種。
れっきとした毒キノコだが、毒性はさほど強くなく、むしろ味の良さから食用に供せられることがある。
学名Amanita muscaria。英語名Fly Agaric。
※「ベニテングダケ」は誤記。
赤いカサに白いイボが点々になっていて、ささくれた白い柄にツボとツバがあり、かなり特徴的な形をしている。寒冷地や標高の高い場所に多く生え、白樺などのカバノキ属の樹下に多い。
毒性と文化
その特徴的な姿から、日本では毒キノコと聞いて本種を連想する人も多い模様。一方で欧米では幸福を呼ぶキノコとして人気があり、ファンタジーや童話など創作作品にも多く登場したり、民芸品などのデザインにもよく用いられる。
ベニテングタケの毒性自体はそこまで強い訳ではない。食べると軽く酒に酔ったようになり気分が高揚するが、下痢や吐き気も生じる。
症状が重い場合は幻覚を生じ昏睡状態におちいる時もあるが、症状は約二日程で治り、死亡例はまれである。死亡報告も10件に満たないと言われており、誤って食べてしまっても命の危険は少ない。
毒キノコであるにもかかわらず味が良い(後述)ことで知られる。毒が水溶性であることと少量であれば重い中毒症状には至らないことから、日本でも長野県など一部地域では煮こぼして毒を減らした上、塩漬けにして食用する。しかし、その毒性により常食すると肝臓をボロボロにする危険があるので、リスは普通に食べているが、人間は極力食べないに越したことはない。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1419081
その他
本種の「うま味成分」の正体はイボテン酸によるものである。このイボテン酸は、一般的にうま味成分としてよく知られるグルタミン酸の十数倍とも言われる強力なうま味があるが、同時に毒でもある。
その毒性はハエに対しても発揮されるため、汁がハエ取り用の殺虫剤としても利用されており、これが学名、英名の由来でもある。
ちなみにこのイボテン酸、「イボテングタケ」というキノコから発見されてこの名が付けられた。
歴史上ではヴァイキングは戦意高揚のために、シベリアのシャーマンは儀式で使用したといわれている。また、インド神話のソーマ(神酒)とは食べた人の尿のことで、儀式に使われすぎたためにインドでは野生のものがほとんど無くなってしまったという説がある。
「カムイ伝」で知られる漫画家の白土三平先生は自著「野外手帳」にて酒のつまみにしていると書いており、大変に味が濃いキノコでコレを食べると他のキノコが食べられなくなるほど旨いと綴っている。無論、毒性についても十二分に警告しており、自身も食べるときは体調の良い日に一本だけと厳に決めているとのこと。山野に精通した白土先生だからこその食用法なので、やはり素人は真似しないほうが身のためである。