概要
白樺(しらかば)ことシラカンバは、ブナ目カバノキ科カバノキ属の落葉樹である。
北半球の冷帯に分布し、ユーラシア大陸とその周辺で広くみられる。本州では高原の避暑地を特徴付ける植物として認識されているが、北海道の道北や樺太では低地でも見られる。
樹皮が白いことが特徴と認識されているが、樹皮が薄く剥けることも特徴である。この樹皮の白さと、葉の色の明るい緑の対比からか、多くの文化圏で若い女性の比喩として用いられている。
近縁種にダケカンバがある。白樺との大きな違いは、ダケカンバは樹皮が剥けないことである。ちなみに白樺の樹皮は剥いても再生しないので、やみくもに剥いて遊ぶのは遠慮しよう。
成長が早く、人間の撹乱を受けた伐採跡地や土砂崩れ跡地に真っ先に根付き、純林を作る。
フィンランドを象徴する木とされる。日本では長野県の県木になっているほか、樺太庁の紋章にも採用されていた。一方で、北海道などでは花粉症の原因になりがちな植物でもある。
利用
人間にとって利用価値が高い樹木である。成長が早いことから材木として重宝され、家具材や家屋の内装材に用いられたりする。箒や割り箸、爪楊枝としての用途もある。ただし、腐りやすいことから木材としての価値は高くないとされる。油分を多く含んで容易に燃えるので松明としても使われた。盛大な結婚式のことを「華燭の典」というが、この華燭とはシラカバなどの樺の樹皮を松明にして明るくすることを意味する。長野県においては、お盆のときにシラカバの樹皮を燃やして迎え火や送り火とする「かんば焼き」を行う風習が存在する。
北欧などでは春先に樹液を採取して飲用する習慣がある。チューインガムに含まれることで知られる甘味料のキシリトールは、白樺の樹液を原料として作られる。また、ロシアやフィンランドではサウナに入浴するときに白樺の枝で体を叩いて肌を刺激する習慣がある。
学名のBetulaが「打つ」の意で、西欧では教師が生徒を打つ鞭として使われ、また恋人が「子作りのおまじない」として彼氏がこれで鞭を作って、彼女の体を打ってから渡すという習俗があった。