概要
植物は木や草やコケの類(場合によっては藻やカビやキノコの類も含む)の総称である。
一般に光合成をし、体が基質(土や岩など)に固定され、他の生物を捕食することはなく、能動的には動けないが、多くの例外がある。
元々「植物」はラテン語の植えるという意味のplantaからきた訳語で、古典的には動物と対置される存在として認識されてきた。近代分類学の創始者リンネは森羅万象を動物界(動くもの)・植物界(動かないが成長するもの)・鉱物界(成長しないもの)の3つに分類した。
現在の生物学上の「植物」には、生態学的な定義と、系統分類学的な定義がある。
生態学的な植物は、無機物から有機物を合成して生育する「独立栄養能力」をもつ一次生産者のうち、酸素発生型の光合成により自ら炭素を固定する生物を指す(定義の厳密性を省いて単純化すれば「光合成生物」が即ち植物という考え方である)。
系統分類学的な植物は、真核生物のうち、草木およびコケの類(陸上植物)と、それに近縁な生物が含まれる(詳しくは後述)。
本記事では特記しない限り陸上植物(有胚植物)を「植物」として扱っているが、日常語としてワカメ、コンブなどの海藻を「植物」と呼ぶことが誤りであるというわけではない。なお、「陸上植物」というのは系統的な分類であって、中には水中生活に適応したもの(水草)もある。
木と草
主に茎がリグニンにより堅さを帯びて木質になり、何年もかけて大きくなるものは「木」と呼ばれ、そうでないものは「草」と呼ばれる。一般的な言葉であるが、明確な区分は難しく、環境によって木にも草にもなる種類や、竹のようにどちらとも言いにくいものもある。
植物の生理的特徴
植物は、少数の細胞から植物体全体を再生する「全能性」に富んでいる。動物の場合は体細胞から別の器官を分化させるには特別な方法でiPS細胞を作り、培養にも色々と工夫を凝らさなくてはならないが、植物は挿し木や株分けという形で個体の増殖が容易にできる。芋やむかごなど生殖器官以外の細胞から個体を分化させる栄養生殖(一種の無性生殖)を行うものも少なくない。
有性生殖としては種子植物は花を咲かせ種子で繁殖し、シダ・コケは胞子で繁殖する。
藻類を含む植物の細胞は「色素体」と言われる細胞内小器官を発達させており、カロテノイドに由来する黄〜赤、フラボノイドに由来する橙~紫~青...など、色彩が非常に多彩である(特に花や果実)。中でも緑色植物は緑色の色素(クロロフィル、葉緑素)を多量に含んだ色素体である葉緑体を多数持っているので、茎や葉は緑に見えることが多く、植物の意味で「緑」と言われる場合もある。
分類
「植物」の範囲
かつて生物を植物と動物で二分していた頃には、植物には菌類(カビやキノコや酵母)、さらには細菌(バクテリア)なども含まれていた。しかし顕微鏡が発達すると、これらは根本的に体のつくりが異なることがわかった。
さらに分子系統解析が発達したことで、原始的な植物としてまとめられていた「藻類」が多様な系統に分かれていることが明らかになり、真核生物の光合成が細菌であるシアノバクテリア(藍藻、「藻」の字からも分かるように最初は細菌ではなく藻類と思われていた)との共生に由来することもわかってきた。
このような状況の中で、「植物」の範囲をどうするかは、それぞれの研究者ごとに異なっている。
特徴 | 含まれる生物群の例 | 別名 |
---|---|---|
光合成による炭素固定能力をもつ生物 | 陸上植物の大半、藻類、地衣類、藍藻など | 生態学上の植物 |
光合成をする真核生物 | 陸上植物、緑藻、紅藻、褐藻、珪藻、ユーグレナ類 | 真核光合成生物 |
藍藻の一次共生により光合成能力を得た真核生物 | 陸上植物、緑藻、紅藻 | アーケプラスチダ |
クロロフィルaとbを持つアーケプラスチダ | 陸上植物、緑藻 | 緑色植物 |
多細胞・陸上進出の緑色植物 | 陸上植物 | 有胚植物 |
上記の表における「光合成」はシアノバクテリアに由来する「酸素発生型光合成による炭素固定」を指し、シアノバクテリア以外の一部の細菌が行う酸素を発生しない型の光合成を含まない。陸上植物であっても光合成能力を完全に失い寄生生活を送るもの(例・ラフレシア)があり、これは従属栄養生物と化しているので、系統的には「植物」であっても生態学的な「植物」とは言えない。
陸上植物内の分類
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