「あなた達は何年も何年も、無駄な努力を積み重ね、結局報われない……。本当に、可哀想な存在だ……」
演:古屋呂敏
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーセイバー』に登場する敵、本の魔人メギドの1人。
「物語」のジャンルを司り、幹部の中では実質的なリーダー格である。
人間態は長身痩躯の青年。黒いコートを着用し、髪を一房長く垂らしている。
常に物腰を崩さない冷静沈着な言動を見せるが、その本性は慇懃無礼かつ皮肉屋、その上に残忍かつ狡猾で、言葉巧みにレジエルとズオスを操作・利用している。
とは言えレジエルには撤退を促したり「禁断の秘術」について忠告する、ズオスには目標を伝えたる、ビクトールと再会した折には(白々しくも)「親友」と称する等、最低限の交情はある模様。
唯一カリバーの行動に疑問を抱く等、策謀家としての一面も持っており、独自の行動を取るカリバーに助力をしている。
片手をコートのポケットに入れているシーンが多く、話す際にはもう一方の手指を波打つ様に順々に動かす癖がある。
また「『物語』には『結末』があるからこそ美しく、『人』は『死ぬ時』が一番美しい」と考える危険な終末思想の持ち主でもある(そう言う意味では飛羽真とは似て非なる存在である)。
この思考は全知全能の書に触れた際に、「この世の全ては全知全能の書に記されており、あらゆる物語も技術も人間が自らの手で生み出したもの等1つもないこと」、「世界の終わりすら既に決まっていること」を知って全てに絶望したのを起因としている(特に前者は、詩人=創作者であった彼にとって極めて絶望的で屈辱的だったのは想像に難くない)。しかも始まりの5人の目的は「飢えや貧困といった不幸のない世界を作る事」が目的だったにもかかわらず、そうした災いが起こるのも『全知全能の書で決まっていた流れ』なのだから救いようがない。
上記の台詞は、斯様に全てを知ってしまったが故の背景から、何も知らずに全知全能の書に踊らされて無駄な徒労ばかりを重ねる、哀れな人間達への諦観とも見て取れる。
ただ、その一方で他者に自らの未来を委ねるのを忌み嫌う等、プライドの高い一面がある。
第42話以降、飛羽真を「私の英雄」と呼び執着するようになる。これは、「最後の希望である飛羽真が絶望の中何も変えられず死に、世界が終わる」物語の結末を描いて演出しようとしており、飛羽真が自らの描く物語にとって重要な要素であるからだと語っている。
終盤からは無理やりドスを効かせた、如何にもラスボス風な声色で喋るようになる。
友人たちと語らう時だけは元に戻る為、定められた役割である『物語を終焉へ導く者』としての悪役演技なのだろう。
正体
第26章において、その正体は最初にワンダーワールドに渡った「始まりの5人」の内の1人であるのが判明。全知全能の書の力に魅入られた結果、その力の一部を取り込んでメギドへと変貌した。
第41章の回想にて、レジエルとズオスの3人と共に全知全能の書を強奪。アルターライドブックと化した断片をその身に取り込み、美しい結末を彩る物語のメギドとなった事実がタッセルの口から改めて説明された。
また、レジエル達とは違い人間だった頃の記憶があり、本人曰く「人間だった頃は詩人」だった模様。
怪人態
データ
アルターライドブック | 不詳 |
---|---|
身長 | 214.1cm |
体重 | 131.8kg |
特色/力 | 物語のメギドを司る |
スーツアクター | 小森拓真 |
ストリウスの本来の姿。
緑と赤のメイクが施された道化師のような白い人面に、頭部には樹木のような角があり、額には花をモデルにした刻印が刻まれている。
緑と赤が基本カラーも相まって全体的に植物や、妖精の王・オベロンを思わせるような不気味な姿をしている。
第1章の序盤で僅かに登場していたが、第6章で本性を現した。
武器として二又のショートソード「ビルガメード」を使用するが、幻惑や呪術による撹乱、背中から出す光り輝く触手攻撃等、レジエルに匹敵する多彩な攻撃を得意とする。
各話での動向
- 第6章「疾風の如く、見参。」
第1章から第5章にかけてアリメギド、キリギリスメギドと「物語」のジャンルのメギド魔人を生み出していたが、「アヴァロン」を求めるカリバーの行動に疑問を抱いていた。
ズオスが生み出したピラニアメギドの別個体が繋げたワンダーワールドにて一般人を装って神山飛羽真/セイバーに接触。
「簡単に食いついたら駄目じゃないですか。毒があるかもしれませんよ……?」
隙をついて力の源である火炎剣烈火を封じて変身能力を所持していた黒色の本を使って強奪、そしてカリバーにその本を渡し、「アヴァロン」に繋がる扉の1つである「時の狭間」を教えたりと、カリバーの助力をする。
- 第7章「王の剣、アヴァロンにあり。」
前回でカリバーを助力したのは、カリバーが留守の間に世界の侵食を加速させる目論みがあったらしく、「あなたの本気がそろそろ見たいと思いましてねぇ」とレジエルを焚きつけて行動を実行を移させる。
その後、レジエルが生み出したメデューサメギドが繋げた、ワンダーワールドに迷い込んだ須藤芽依を人質として捕縛。
レジエル達と戦う緋道蓮/剣斬、尾上亮/バスターを追い詰めるが、自分の行動にいちゃもんを付けてきたズオスに芽依の処置を任せて離脱した。
- 第9章「重なり合う、剣士の音色。」
セイバーが、かつてカリバーが手に入れようとしていたキングオブアーサーの力を完全に使いこなした為、カリバーに忠告しつつもセイバーに対抗する為の新たなライドブックの作成に助力。
カリバーの「『ジャアクドラゴン』とソードオブロゴスに所属するライダーの持つライドブック、自身が用意した3つのアルターライドブックの力を全て合わせれば、新たな本が生まれる筈だ」と助言し、自身はアルターライドブック作成の装置を使ってブックの執筆を開始、更にセイバー達を誘き寄せる為にアヒルメギドを生み出す。
しかし、裏で密かに独自の行動を行なっていた事実に勘付いたズオスとレジエルに追及されるも、自信満々な姿勢を崩さずそのままサポートに徹した。
- 第10章「交わる剣と、交差する想い。」
アルターライドブックに加え、カリバーがセイバー達から吸収した力や強奪した天空のペガサスとニードルヘッジホッグのワンダーライドブックの力で執筆を続けた末、ジャオウドラゴンのワンダーライドブックを完成させる。
しかし、完成させるとカリバーとセイバー達が交戦している場所へと赴き、カリバーごとセイバー達を襲撃した。
- 第12章「約束の、あの場所で。」
各地に現れたゴブリンメギドの1体を倒すべく、ワンダーワールドに向かおうとした飛羽真の前に、ズオスと共に立ち塞がる。2人掛かりでクリムゾンドラゴンに変身したセイバーと戦い苦しめるが、そこへ駆けつけた倫太郎に妨害される。
だが、自分達の作戦が順調に進んでいるのを察し、ズオスに撤退を告げ去っていった。
- 第14章「この思い、剣に宿して。」
作り出された大いなる力に繋がる本によって、現実世界とワンダーワールドを手にすべくストリウスと共にズオスと合流、セイバー達を阻み、大いなる力へと繋がる本へと向かうカリバーの足止めを行う。
「さて、誰が本物の私でしょう? どれも私ではないかもしれないし、どれも私かもしれませんが? さぁ、どれでしょう!?」
分身による撹乱を狙うが、スラッシュが3人分裂奇策によって打ち破られるものもそれを退け、カリバーと戦うセイバーを3人がかりで始末しようと襲いかかる。
しかし、駆けつけたブレイズ・キングライオン大戦記の「ライオニックバースト」を諸に浴び、連続でバスター、剣斬、スラッシュの合体技で喰らって怯んだところをライオンモードに変形したブレイズ・キングライオン大戦記によって吹き飛ばされた。
- 第15章「覚悟を超えた、その先に。」
大いなる力に繋がる本の中へと消えていったセイバーを見守るブレイズ達の前に再度現れ奇襲。
変身解除に追い込み痛めつけるも、駆けつけた芽依の鼓舞を受け、立ち上がったライダー達と再戦するも、ブレイズ・キングライオン大戦記によって光の柱を破壊されて作戦が失敗、レジエルとズオスと撤退していった。
- 第16章「世界を救う、一筋の光。」
レジエルが力を手に入れられず激しく憤慨していたが、目次録の影響で多くの人間がワンダーワールドが見えるようになった為、これまでとは異なる方法で新しいアルターブックの作成を遂行に移す皮切りとして、レジエルに新型のブランクのライドブックを手渡した。
- 第19章「炎と光、剣と剣。」
新たなアルターブックを作り出す為に、片っ端から人間にブランクのライドブックを埋め込んでいた所、ジオラマ好きの高校生・来島慎吾を王様メギドに変身させる。敢えて交戦を避けるように行動させて、順調にアルターブックの作成を進める。
しばらくは傍観していたが、生み出したメギドと人間を分離できる最光が参戦した為、分離を阻止すべく変身。
分身を作り出してセイバーを撹乱するも、最光の力ですぐに無効化された上、続けて駆けつけたスラッシュと交戦。
だがここでストリウスとの対話から「ソフィアを攫ったのはメギドではない」事実をスラッシュは知るに至る。
スラッシュに王様メギドが追い込まれてしまった為、広範囲攻撃を仕掛けて爆風に紛れて逃亡した。
アルターブック完成間近に近づいた頃、芽依が突き止めた居場所に駆けつけたセイバーと最光を待ち伏せ襲撃。剣から放った光弾でサイバーを変身解除に追い込み、王様メギド取り込んだアルターブックを作り出すのに成功するも、最光によって慎吾が王様メギドと分離され、セイバー・ドラゴニックナイトが放った『豪火大革命』で王様メギドが爆散。
アルターブックの作成を失敗の悔しさを滲ませつつ、ストリウス「セイバーの力を手中に収める」と呟きつつ逃亡していった。
- 第21章「最高に輝け、全身全色(フルカラー)。」
新たなメギドを生み出すべく、双子のフードファイター「爆食ジェミニ」の伊藤マミに接触、ブランクのライドブックを埋め込むと同時に、3体のメギド魔人(=ゴーレムメギド・ハンザキメギド・アヒルメギド)を生贄として捧げ、カリュブディスへ変貌させた。
この事態に自分達のメギドを勝手に使われた上、反旗を翻したデザストの二の舞になるとレジエルとズオスから反感を買うも、ブックの編纂を行うべくカリュブディスを暴れさせた。
その後、ユーリ/最光が現れ、彼が変身した最光・エックスソードマンによって倒されてしまうも、ハンザキメギドの再生能力で元に戻ったアルターブックを回収し、「お楽しみは、これからですよ……」と怪しく呟いた。
- 第22章「それでも人を、救いたい。」
アジトにてカリュブディスを倒されたストリウスは案の定、レジエルとズオスから叱責されるが、今度はマミの妹・伊藤レミを素体とする形でカリュブディスを再生。
マミを体内に取り込ませ、最光単独での分離を不可能とし、アルターブックの編纂を進めようとする。
その後、駆けつけたスラッシュを筆頭にライダー達を妨害するも、飛羽真によって真の力の一端を引き出された火炎剣烈火で双子を抜き出され、その隙を突いたエックスソードマンワンダフルによって完全に分断、カリュブディスを倒されてしまう。
だが、カリュブディスのアルターブックは完成に至り、「更に強力なメギドを生み出せる」と心を躍らせていた。
- 第23章「荒れ狂う、破壊の手。」
冒頭で、サウザンベースで保管されている禁書の強奪を目論み、レジエルとズオスに剣士達の気を引くように指示。ズオスがブレイズと剣斬を誘き寄せた隙を突いて、ブレイズ達の通って来たゲートからサウザンベースに潜入する。
サウザンベースの兵士を蹴散らし、マスターロゴスの元に辿り着くが、そこでマスターロゴスに「始まりの人」と呼ばれる等、意味深な会話を行う。
その後何らかの経緯で禁書を手に入れ、サウザンベースを後にしようとするが、そこでサウザンベースの兵士と思われる謎の男によって、同じ場所に現れた飛羽真に遭遇。
一度は無視して去ろうとするが、尚も追ってくる飛羽真に対し、禁書の力を試そうとする。
しかし、禁書の力はストリウスの想像も上回っていた為に制御できず、禁書はストリウスの手を離れ飛羽真の手に渡ってしまう。
すると飛羽真が手にした途端、禁書はプリミティブドラゴンワンダーライドブックに変化。飛羽真はライドブックの力に支配され、強制的にプリミティブドラゴンに変身を遂げる。
その尋常ならざる気配から、飛羽真を狙うレジエルに撤退を促すが聞き入れられず、プリミティブドラゴンの放った攻撃の余波で、その場に居合わせた剣士たち共々吹き飛ばされてしまった。
- 第27章「哀しみを、笑顔に変えて。」
冒頭、レジエルのアルターブックに新たなページを書き加える「禁断の秘術」を行い、彼をレジエル・フォビドゥンに進化させる。しかし、この秘術には大きな負荷が罹る代償があるらしく、レジエルに対し「後戻りは出来ない」と忠告している。
その後、レジエルと剣士達の戦いを影から見ていたが、レジエルは戦いの末にセイバー・エレメンタルプリミティブドラゴンに敗れ死亡。レジエルの死を特に嘆くような様子もなく、「貴方の物語はここで終わりです」と冷酷に一蹴してその場から去って行った。
何故か、その時2人の戦いを見ていたにもかかわらず、彼が自身の正体を知って混乱していたのを見ても全く動揺していなかったので、何らかの事実を知っている模様。
- 第31章「信じる強さ、信じられる強さ」
再度サウザンベースに乗り込んでマスターロゴスに接触、サウザンベースが捕縛したソフィアがノーザンベースへと戻ってきたのを小耳に挟んでおり、それを問いかけるが、それを問題視していないマスターロゴスから「ノーザンベースに全知全能の書の一部がある」との情報を手に入れる。
その後、セイバーとブレイズに追い詰められ、ズオスの全身が炎に包み込まれ始めた瞬間に突如出現。芽依がソフィアから預かっていた鍵を拾い、ズオスと共にその場を後にした。
- 第32章「僕の想い、結晶となりて」
前回の戦いで追い詰められて闘争本能が覚醒し、ズオス・プレデターにパワーアップしたズオス共に、マスターロゴスの攻撃でノーザンベースの結界が弱まり、サウザンベースの刺客たる神代兄妹がノーザンベースへと出撃した同じタイミングで襲撃。
ノーザンベースにある全知全能の一部を手に入れようと画策するも、ブレイズとの決着に固執し怒りに支配されたズオスが聞く耳を持たない状態であった為、暴れ回るズオスを放置して別行動を取り、ソフィアの鍵を使って謎の部屋に侵入。
この間にレジエルに続きズオスもとうとう倒されてしまったが、そっちのけで白い包帯でぐるぐる巻きにされた本を手に入れ、今までにない形相と狂気に満ち溢れた笑い声を上げ歓喜した。
- 第33章「それでも、未来は変えられる。」
ラストに登場。前回ノーザンベースで手に入れた包帯を巻かれた禁書を用いて、新たな人造人間を精製する。
- 第35章「そして私は、神になる。」
「約束の場所」で繰り広げられる聖剣とワンダーライドブックを巡る剣士達の戦いを観覧(この時マスターロゴスの「自身が神となる」発言には難色を示しながらも、手出しはせずに静観していた)。
そして確実に全知全能の書へと至る条件が「11本の聖剣と19冊の本を揃える事」と察知しつつ、
力の大本の復活を目撃する。
- 第36章「開かれる、全知全能の力。」
序盤に登場。マスターロゴスに全知全能の書が未完成である事を諭すも、目立った活躍は無し。
- 第38章「聖剣を束ねる、銀河の剣。」
剣士たちとソロモンの戦いに剣斬が乱入。彼に続いてデザストも参戦しようとするが、突如その前に現れ「あなたは見ていなさい」と遠巻きに大人しくするよう釘を刺した。
- 第39章「剣士よ、信じる道を行け。」
不敵にもサウザンベースに現れ元マスターロゴスに新しい聖剣がどういった存在なのかを尋ねる。
その最中、飛羽真と倫太郎がブックゲートを使って現れて、彼とグルだった事実が公となった。
しばらく飛羽真とイザクの問答を見物していたが、戦闘が開始されると刃王剣十聖刃を奪うべく、アルターブックからカリュブディスを召喚。
その後は静観していたがカリュブディスかブレイズに敗れ、ソロモンが変身解除に追い込まれると彼を伴って黒煙と共に撤収。
アジトで「これからどうするおつもりで?」と問いた。
また闇黒剣月闇の見せた予知の中では、怪人態の姿で「巨大なる終末の書」を開くビジョンが映された。
- 第40章「輝く友情、三剣士。」
冒頭で「今度こそ完全なる全知全能の書を復活させる」と息巻くイザクに「新しい聖剣の力は凄まじいですねぇ」と軽口を挟むが、不評を買ったのか「神である私に口を聞いていいと言いましたか?」と警告を受け、白々しく「それは失礼」と返した。
だが孤軍奮闘するソロモンに直接は愚か、以前の様にメギドで支援する訳でもなく、彼に助力している様子は見られなかった。
結末へと動き出す物語の化身
アジトで高笑いした様子を見せたすぐ後、どこかの洞窟に這う這うの体で逃げ込んだイザクの前に現れ「貴方の物語はここで終わりです」とかつてレジエルに向けた言葉を口にする。
敗戦続きの体たらくに愛想を尽かしたのか、もう利用価値は無いと判断したのか、どちらにせよストリウスに『終わりを迎えた存在』に手を貸すつもりは既になく「神になり損ねた男の最期は、実に滑稽で、みじめで、美しかったですよ」の一言と共にマスターロゴスを消滅させてしまった。
「これからの物語は私が紡ぎます……美しき結末の為に」
そして残ったオムニフォースを手に取ると服装が変わり、ドスとエコーのかかった声で呟くと、自身の野望の為に動き始める。
以前イザクは「剣士もメギドも全て利用する」と口走っていたが、実態は逆であった。
また、この姿になって以降は掠れてどすの利いた声質で話すようになっている。
- 第41章「二千年、綴られた願い。」
マスターロゴスから奪ったオムニフォースにレジエル、ズオス、そして自身のアルターブックを並べアジトでほくそ笑む最中にデザストの来訪を受ける。
場所を移した先で「まだ十分楽しんでいないのに世界がなくなるのは困る」とデザストは反抗の意思を明確にし、無銘剣虚無を用いてファルシオンに変身。戦闘になる。
分身等を駆使して立ち回りつつ、踊るような動きと囁く様な口調で「物語は終わりがあるから美しい」とレジエル、ズオス、マスターロゴスの最期を例に挙げて持論を展開。デザストを困惑させた。
更に「デザスト、アナタは私が生み出した……だから貴方の物語も、終わらせてあげましょう……!」とカリュブディスを召喚。
そして「彼にはどんな最後が似合いますかねぇ?」と挑発することで注意を自分に引き付け、その隙をカリュブディスにつかせデザストの右手脚ごと彼のアルターブックの一部を喰わせる事に成功。変身解除させ、撤退に追い込んだ(最初からこれが狙いだったようで、デザストの攻撃をいなしているのが殆どだった)。
その後、カリュブディスにワンダーワールドと現実世界を隔てる壁を喰わせて破壊。直前に現れたバスター、スラッシュにはカリュブディス・ハーキュリーをぶつけ、1人ワンダーワールドへ進入していった。
そしてバスター、スラッシュ、クリムゾンセイバーがカリュブディス・ハーキュリーを撃破した裏で、二千年ぶりにかつての友と対面するのだった。
「ようやく見つけましたよ、ビクトール!」
- 第42章「はじまる、美しい終わり。」
ワンダーワールドに乗り込んでタッセルを追い詰める。反撃する所か「自分が全知全能の書となる力の大元を発見しなければ、君達がメギドになる事もなかった」と後悔の念と謝罪を口にするタッセルを前に一時的かつての口調に戻るものの、終焉への歩みを止めるつもりはなく、剣を突き刺して彼を抹殺。持っていた本を奪う。
守護者であるタッセルとその本を失ったワンダーワールドは崩壊し、現世と融合し始める。
その融合を聖剣の力で食い止めた飛羽真の前に現れ「希望が絶望に変わり、苦悩に満ちた物語の結末を私が紡ぐ!」と言い放ち宣戦布告。
だが、そのタイミングでデザストが乱入。クロスセイバーを襲った為「またあなたですか……」と若干呆れつつ、デザストの存在は物語に不要だと告げる。
「ソレはそもそも私が気まぐれに作ったメギド。存在する理由もなければ目的もない」
激昂するデザストの攻撃をカラドボルグでいなし、そのまま立ち去った。
「期待してますよ? 私の英雄……」
- 第43章「激突、存在する価値。」
アジトで事態の進展を眺めていると、賢人の過去の遭遇経験からアジトを割り出した飛羽真が神代兄妹を引き連れて現れるが、
「流石」と呟くだけで動じず、むしろカリュブディスにアジトに溜め込んだアルターブックに変えられた無数の人々、そして第33章から精製していたもう1人のソフィアを見せしめの如く喰わせてしまう。
人々を取り戻さんと向かってきたクロスセイバー、デュランダル、サーベラにカリュブディスをぶつけ高みの見物を決め込むが、クロスセイバーには相性のいいカリュブディスでも、高スペックな兄妹剣士とその連携に追い詰められる。
「情けないですねぇカリュブディス……!」
見かねたストリウスははじまりの5冊………オムニフォース、ズオス、レジエル、ストリウス、タッセルの本から光の弾や衝撃波で3人を攻撃し、彼等の体勢を崩す事に成功する。
その隙を狙いストリウスはカリュブディスに聖剣……
ではなく、自らを喰わせてしまう。
呆気に取られるクロスセイバー達だったが、それすらもストリウスの計画。
空間すら喰らい、喰った物を一部とするカリュブディスに「はじまりの5冊」、世界を繋ぐ少女の代わりである「もう1人のソフィア」、ワンダーライドブックの代用品「アルターブック」……それらを文字通り全てを食らわせ、融合させるのがストリウスの狙いだったのだ。
カリュブディスは直後に苦しみ出し崩壊するように消えてしまったが、中から現れたストリウスのその手には、全てが纏められた1冊の黒いライドブックが握られていた。
「やはり……そうでしたか……私は、全てを知った……物語の、結末は……私が決めます!!!」
- 第44章「開く、最後のページ。」
目的通り「黒いライドブック」を手するがセイバー達の相手をせずにその場を撤収。
次の姿を現したのは何処かの地下室(恐らくサウザンベース)に置かれた四つの石棺の前。ライドブックのページを開くと棺の蓋が動きだし……。
聖剣の力で抑えていたワンダーワールドの侵食が再開。
無数の「ワンダーワールドに繋がる巨大な本」が街中にに現れ、人々が消滅間近のワンダーワールドに飛ばされてしまう。
黙認している訳もなく現場に現れた飛羽真、倫太郎、賢人、大秦寺、尾上、ユーリら6人の前にストリウスは現れる。
「間も無く終わりの時です」
「この世界の終焉は、荘厳で美しくなければなりません…」
その言葉と共に黒いライドブック「グリモワールワンダーライドブック」で仮面ライダーストリウスに変身。
更に全盛期以上の力を与えて蘇らせた四賢神・ロード・オブ・ワイズを6人にけしかける。
「剣士たちの剣技の生みの親」である四賢神が「生前よりも強力」になっているロード・オブ・ワイズの戦闘能力は凄まじく、1対1でクロスセイバーやタテガミ氷獣戦記を圧倒。2対1で戦っていたスラッシュとバスター、エスパーダと最光は手も足も出ず、ストリウスが手を下すまでもなく6人を追い詰める。
「どうです…堪能して頂けましたかァ?私からも1つ、差し上げましょう……!!!」
仕上げとばかりに仮面ライダーストリウスは、上空から赤黒い巨大な光球を放ち、対抗して「刃王クロス星烈斬」で展開されたバリアを粉砕。街の広範囲を消し炭に変え、クロスセイバーを含めた全員を変身解除させ完全勝利を収める。
「二千年かけて作り上げてきたこの文明…そしてこの世界も…壊れる時は、ほんの一瞬です…。あぁぁァ……なんと美しい……」
だが、それでも飛羽真は必ず止めてみせると食い下がる。ストリウスは「それなら、こんなのはどうです?」と止めを刺す代わりとでも言うようにに、ワンダーワールドを侵食する"巨大な錆びた剣"と不気味な"滅びの塔"を召喚。「待ってますよ?私の英雄…」と言葉を残しロード・オブ・ワイズと共に去っていった。
すべては全知全能の書の筋書き通り……。
- 第46章「さようなら、私の英雄。」
「あなたが炎の剣士になったのも、その後なしえた数々の勝利も奇跡も、全ては全知全能の書に記された通りにしたに過ぎない。全て決まっていたのですから」
滅びの塔の最上階で飛羽真を待ち受けていたストリウスは、彼に対し「剣士達の戦いも何もかも、全てはあらかじめ決められていたシナリオに過ぎない」と真実を語る。
そして自身の目的が「全てを絶望に変えた上で滅亡させることだ」と嗤い、自身の動機を明かした。
「この世界が終わる前に、いいことを教えましょう。2000年前、私もあなたと同じように言葉を紡ぎ、物語をつづる詩人でした。言葉は次々と私の中に生まれ、私は無我夢中で新しい物語を作り続けた。そして、歴史に残る大傑作を作り上げたのです」
「でも、見てしまったのです。私が生み出した全ての詩は、全知全能の書にすでに書かれていたのです。今まで創造したと信じたものは、何もかも与えられたものだった。それを私はただ書き上げただけだった。人間に創造力などなかったのです! 神山飛羽真!! あなたの小説も同じです!!」
ストリウスを真に動かしたのは、彼自身が飛羽真と同じ「創作者」であり、自身の「作品」が全て全知全能の書に記されていた、それを自分が作る流れがあらかじめ決まっていた=自分の作品は自分で考えたものではなく、そうする流れが定められていただけだったと、自身の創造力を否定された事実に対する絶望だった(※)。
特にあらかたオリジナルの作品が出尽くした=他の創作物に影響を受けて生まれた作品が多数を占めるだろう現代に生まれた飛羽真と違い、2000年前とストリウスの時代の作品は、真の意味でオリジナルを名乗れるもの足り得る。後世に与える影響等を考えても、作品を創り出す意味は非常に大きい。そんな時代に書き上げた傑作が、既に用意されていたものだったと知れば、その絶望は現代人には真に理解し切れるものではないだろう。
だが、「物語は読者の中で新しい物語を作る」と飛羽真の信念を揺るがすには至らず、自らもかつて作品で笑顔にした人々を思い出した。それでもやはり彼も止まらず、
「いい加減認めたらどうです? いや……認めろ! お前が何1つ生み出していないことを!! お前に新しい物語など作れはしない!!」
と絶叫すると仮面ライダーストリウスに変身、クロスセイバーとの決戦に臨む。
飛羽真「物語は、消えはしない!!」
ストリウス「いいえ。消えるのですよ……ワンダーワールドの消滅と共にィィ!!」
十聖剣の力を操るクロスセイバーと一進一退の攻防を演じながら「ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド」を発動。ワンダーワールドの浸食を一気に早め、それを食い止める為に刃王剣を手放したクロスセイバーを変身解除に追い込み、そのまま奈落へと叩き落とした。
「どんなに足掻こうが結末は変わらない! 消えろ! 神山飛羽真!! お前には何も変えられない! 消えろぉぉぉーーっ!!」
(※)要は「物語の登場人物が自分に関する作中の記述を読んでしまった」事実。
書き上げた詩の内容に留まらず、書き上げるまでの経験や苦労や感情の動きと、彼以外に知りようのない事実までもが「登場人物に関する描写」として記述されていたであろうのは想像に難くない。
その上で「全知全能の書を読んで絶望すること」「絶望の果てに終焉の導き手となること」も恐らく書かれていたと思われる。
『絶望』に囚われた詩人の最期
飛羽真を奈落へ落とし勝利を確信したストリウスだったが、飛羽真がプリミティブドラゴンワンダーライドブックに救われたのを見て激昂。今度こそ彼にトドメを刺そうとしたが、プリミティブドラゴンに変身したセイバーに気圧される。しかしワンダーワールドの崩壊により、プリミティブドラゴンワンダーライドブックは力を失い変身が解除。
「遂にライドブックの力が失われたようですねぇ……貴方が信じていた全ての物語が消えるのです!!」
這う這うの体で現れたルナの目の前で、英雄の最期とばかりに剣を振り上げる。
「 あぁ……残念です、もっと美しい最期だと思ったのにぃっ!!」
だが飛羽真を救わんと倫太郎が、そして賢人がそれを遮り、ルナも飛羽真を助ける為ワンダーワールドとの一体化を決意。
ルナの妨害を図るもひとりでに飛来した無銘剣虚無に阻まれ、その間に6本の聖剣とルナにより新たなる全知全能の書『ワンダーオールマイティワンダーライドブック』が誕生する。
「何が起きているというんだ!?」
『烈火全抜刀!』『A NEW STORY IS BORN!』
飛羽真はワンダーオールマイティブックの力でオールマイティセイバーに、倫太郎、賢人もライオン戦記とランプドアランジーナへと変身。
セイバー・ブレイズ・エスパーダ対ストリウスとなった様は仲間との絆を最後まで信じて戦う「友情の三剣士」と絶望に屈し仲間との絆さえ断ち切り世界を滅ぼす「孤独な魔王」と、見事なまでの対極となっていた。
「物語に力などない!」
たった1人で剣を振るい「物語を司るメギド」でありながら、物語の価値を否定するストリウス。
「お前はなぜ、詩を書こうと思った」と問うセイバーに「そんな事、とっくに忘れたわ!!」と返すが、「いや、覚えているはずだ! 物語は、心の中で消えはしない!」と問いかけ続ける。
「うるさい! 消えろーっ!!」
『ジャオウドラゴン!』
『天空のペガサス!』
「消えろ!」
『ジャッ君と土豆の木!』
「消えろーっ! ハァ!」
しかし、全てを見てしまっているストリウスにセイバーの言葉は届かず、思考を止めたかの様に「消えろ!」と叫び徒に力を振るう。
だが、精細を欠いて放つ攻撃はオールマイティセイバーの行使する、あらゆるワンダーライドブックの力の前には通らず、次第に追い詰められていく。
「全て、消え去ってしまえぇーーっ!!」
以前、クロスセイバーの「刃王クロス星烈斬」を破り、街の粉砕した赤黒い巨大な光球を中空から放つが、それぞれのワンダーコンボのブックの力により破られダメージと共に落下。
『グランドフィナーレ!』
三剣士同時の斬撃をその身に受け遂に変身解除。限界を超えたダメージを受け、だんだんと黒い靄になっていくストリウス。最中、ワンダーオールマイティワンダーライドブックを見て、飛羽真の言葉通り覚えていた「詩を語っていた過去」「詩を書こうと思った理由」を回想する。
しかし……。
「それでも……もうじき世界は、終わる……」
「世界の崩壊」はストリウスの意思とは関係なく訪れる、全知全能の書に記載された事実。
それを証明するかの様に滅びの塔は崩れだし、「世界の崩壊」が始まってしまう。だが黒い粒子となって消滅していったストリウスの顔にあったのは「未来を変えられず、無駄に終わった努力への嘲笑」でも「遂に訪れた美しき結末への喜び」でもなく、「記述通りに終わってしまう世界への苦しみ」か「予定調和のように記載通りにしか動けなかった自分への悲しみ」かのような苦悶の表情だった―
本編外の活躍
- 仮面ライダーセイバー 集え!ヒーロー!!爆誕ドラゴンてれびくん
「なんの取り柄もない……役立たずのただのアヒルさんがァァァァァァッ!!ヌワァァァァッ!」
「でも飲み込まれたら最後、かりゅびでぃすに吸収されて二度と戻れな(ここから先は表記不可能)」
ハイパーバトルビデオの系譜にもれず盛大にキャラ崩壊。
最強と書かれた鉢巻を巻き、赤いムチを振るう。テンションも本編と比べてかなりおかしく、生み出したアヒルメギドがポンコツだった為、彼を「役立たず」呼ばわりし、呼び出したカリュブディスに芽依の原稿を強奪して作り上げた「めぎどくん」なる雑誌から「子連れ狼」や「倫子ママ」等の最強のヒーローを召喚してセイバー達を苦しめたが、ドラゴンてれびくんの必殺技で小さくなってしまい、波に攫われてしまった(尚、そのめぎどくんはカリュブディスに一旦食わせてから生成したものであり、唾液でベトベトになったページを嫌そうにめくっていた)。
ストリウスアルターライドブック
「ストリウス」の伝承を封じ込めたアルターライドブック。
ジャンルは「物語」で全知全能の書の一部であり、これを手にした者は物語のメギドを司る力を手に入れる。第41章にてレジエル、ズオス、オムニフォースのブックと共に登場した。
金の表紙にはメギドの紋章が緑で刻まれており、同色の背表紙で構成されている。題名には「STORIOUS」と記されている。
余談
- 名前の由来はstory(英:物語)+Deus(羅:神)だと思われる。
- しかしながら、自らが好んで書いていた詩や仲間達との思い出、ひいては「仮面ライダーセイバー」の物語自体が「全知全能の書」に記されていた事象であり、それを知って悪役に回った彼にとって「物語の神」の名前は、余りにも皮肉が過ぎるものであった。
- 黒い本棚は「アルターブックで大いなる本の代わりを精製し、メギドの世界の創造」を目的に動いているとされていたが、オムニフォース奪取後は明らかに逸脱した行動を取っている。だがズオスとレジエルの両者は少なくとも、それを目的に動いていた様なので「最初から全てブラフだった」とするよりは、ストリウスだけが異なる目標を秘めていた見るべきだろうか。あるいは「美しき終わり」を強調しているだけで、その後にメギド世界を作る可能性もなくは無いが。
- 演じる古屋氏は他の幹部の役者2人と同様、アメリカ人の血を引くがこちらはハーフでは無くクオーター。因みに第41章の回想でタッセルから全知全能の書を強奪するシーンについて、視聴していた旧友からはTwitterで小学時代に「その旧友のお菓子を食い逃げした時と同じ顔をしていた」と指摘されている。
- 『別冊仮面ライダーセイバー短編活動萬画集』では英会話が堪能であるのが判明(本拠地を訪問販売に訪れていた業者から、英会話の教材を購入した体で物語が進む)。一部分だけ髪が伸びている様をズオスに指摘されており、2000年前からダサいと思われていたらしい。
- ラストではバラのエフェクトが発生させる爆破技を使用しており、しゃべり方も終盤のそれになっていた。
- Twitter等でよく見られるセリフ「セイバーは面白いですねぇ…」の元ネタは第14話での発言から。
- 『公式完全読本』の酉澤安施氏のコメントによれば、デザインのテーマは「物語」「時代を近代に設定した超能力タイプ」で、ピエロや植物や鋼鉄(デスメタル)をモチーフに、全体的にゴシックホラーやディストピア的なイメージで怪人態をまとめたとのこと。
関連タグ
関連・類似項目
- ゲムデウス:名前の由来が同じ。
- ストレイツォ/あーん!スト様が死んだ!:ファンからの愛称で「スト様」と呼ばれることがあるが、それはこちらが元ネタ。
令和ライダーラスボスキャラクター
始まりの5人
1年後、ノーザンベースのワンダーライドブックが光り輝き、現実世界で行方不明だった人々やユーリが帰還する。
それは新たなる全知全能の書「ワンダーオールマイティワンダーライドブック」と、人々が紡いだ忘れられない物語によって生み出された新しいワンダーワールドで、飛羽真が新たな物語を書き上げたからだった。
飛羽真が野外へ出ると本来の心を取り戻し、ズオスとレジエルに初代マスターロゴス、そしてタッセルことビクトールら親友達と肩を並べ、憑き物が落ちたような穏やかな笑顔を浮かべつつ、改めて飛羽真を「私の英雄」と称賛するストリウスがそこにいた。
やがて飛羽真も現実世界へと戻り芽依や賢人、倫太郎と言った剣士達と再会。喜ぶ様子をルナやバハト、『始まりの5人』の仲間達と共に一人の詩人は微笑ましく見つめていた。
「人の想いが、物語が、世界を創る! はぁっ・・・やはり貴方は、私の英雄だ」
ファイナルステージでは黒幕である仮面ライダータッセルによって傀儡として蘇り、セイバー達に襲いかかるも飛羽真の活躍で人格を取り戻す。
飛羽真を終始「私の英雄」と呼び共にアスモデウスを撃破した。