「僕はソードオブロゴスの新堂倫太郎。大丈夫、安心して。決して怪しい者じゃないから」
「この水勢剣流水に誓う。僕が必ず、世界を守る!」
演:山口貴也
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーセイバー』の登場人物の1人。
「大いなる本」を守護するソードオブロゴスに所属している水勢剣流水に選ばれた水の剣士。年齢23歳。
仮面ライダーブレイズに変身する。
人物像
好きな本のジャンルは動物図鑑で、規律と組織を何よりも大事にする(設定上は)クールガイだが、甘いものが好物という一面も。
一人称は「僕」で、敬語混じりの丁寧な口調で話す。
本人は至って真面目に振る舞っているが人間を態々学名であるホモ・サピエンス(例:「普通の人間」→「普通のホモサピエンス」)と言ったり、ファンタジック本屋かみやまに「土足は失礼と本で学んだ」という理由でワンダーライドブックで生み出した青いライオン・ライオンセンキに跨って訪れる等、一般人からすると妙に浮世離れな言動が多い(「ライオンが土足」という指摘をされて即座に降りたが)。
これには上述の好きな本のジャンルの影響や、孤児で生まれて間もなくソードオブロゴスに引き取られてその中で育った背景から本から得た知識でしか世間を知らない為である。エクレアを見た際に実際に食べた事は無い反応を示していた事から相当長い期間外に出ていなかったと思われる。
流しそうめんも経験した事がなく、一般的には小規模なイベントであっても、彼にとっては新鮮な体験ばかりであり、まるで純粋な子供のように喜びを表現する。
その一方で会話する際の態度は基本的に温和で丁寧であり、ライドブックを渡すよう要求した時も「それを寄越せ!」と強要したり脅したりすることはなく「返して欲しい」こと、「何故返して欲しいのか」をキチンと説明する等非常にマトモな対応を取っており、戦いに挑む際の警告を行ったり、自分の想定外の使い方を肯定しつつ「本当はこう使う」「こう言う使い方もある」と教えてくれるなど、初対面の際の相手に対する態度に理不尽が少なく、平成~令和の2号ライダーの中でもトップクラスの人当たりの良さを発揮している。ソードオブロゴスのメンバーは彼にとって家族であり、そこから表れる仲間思いな一面も垣間見える。
また、生物をモチーフにした敵の解析能力に優れており、第2章ではアリメギドの特性を見抜いて一気に殲滅を行なっている。
また、物は基本的に略さずに正式名称で言う癖がある(例:エクレア→エクレール・オ・ショコラ)。特に、明らかに殆どの一般人が知らないであろうガラポンの正式名称(新井式廻轉抽籤器)を一言一句間違えずに言い当てている辺り、知識の豊富さは本物。
神山飛羽真が一般人なら知らないはずの剣士やワンダーワールドの情報が断片的に書かれた「ロストメモリー」の著者であることを知り、監視していた所、ブレイブドラゴンブックと火炎剣烈火でセイバーに変身する場面を目撃、それらを回収すべく「ファンタジック本屋かみやま」に現れた。
但し、力づくで奪うようなことはせずに、彼が自分の意思で戦うことを決めた際にはそれを尊重し、以後は仲間として共に歩むことを決めた。
飛羽真にとってはソードオブロゴスや戦い方を教授してくれる先輩ポジションであり、飛羽真の成長の早さには驚かされている。もし、ライドブックの使用方法を間違えたと勘違いしても、考えがあるとわかれば賞賛してくれる理想の先輩ぶりを発揮している。
逆に一般常識に関しては飛羽真達が教える側となっており、一般常識のズレを指摘されるときちんと直そうとする柔軟さと律儀さを見せている。
一方、その生い立ち故かやや生真面目が過ぎる一面もあり、「剣士たるもの私情を捨て任務に徹するべし」というやや強硬とも取れる持論を持つ。
更には自分の父親の行方を知りたいが余り暴走を始める富加宮賢人に対し、剣士失格とまで言ってしまい、険悪な雰囲気になってしまう。
しかし、根の仲間思いな部分は決して揺るがない為、カリバーに殺されかけた賢人を体を張って庇った結果、吐血するほどのダメージを負い、気絶してしまう。
過去と因縁
実は師匠であり孤児の倫太郎にとって第2の親でもあった先代の水の剣士をズオスに殺されている。
その為、人知れず師匠の仇を探し続けてきたのだが、第6章にてついにズオスと対面。
戦いの最中彼が自分の探していた師匠の仇だと知ると、普段の冷静さや理知性をかなぐり捨ててしまい、助けを呼ぼうとする須藤芽依を制止してしまう等、憎しみのままに乱暴に戦ってしまう。
結果、ズオスに叩きのめされただけでなく、「殺す価値もない」と半ば情けを掛けられてしまう。
ノーザンベースに戻ると、水勢剣流水と相性の良い3冊目のワンダーライドブック「天空のペガサス」を手に、一人修行の間に引きこもってしまう。
そして修行の末にファンタスティックライオンの強化変身を習得。ズオスに捕食されそうになっていた芽依の窮地を救い、仲間達が苦戦していたメデューサメギド共々ズオスを圧倒。雪辱を果たすのだった。
これらの行動は一見彼の危うさが表れるものであったものの、師匠の無念を晴らしたいという彼の諦めない意志によって結果的に更なる成長に繋がったとも言える。
飛羽真の離反と倫太郎の成長
第16章ではノーザンベースの指揮権を掌握した神代玲花の命令で、飛羽真と敵対する事になってしまう。最初は敵対を望まず、裏切りの疑惑を晴らすために正式にソードオブロゴスに加入して一緒に戦うか聖剣とライドブックを渡して戦いから身を引く事を求めるものの、上條大地の言葉でソードオブロゴスへの不信感を抱き始めた飛羽真に拒否される。
上述のようにソードオブロゴスの中で育った倫太郎にとっては自身の全てとも言えるソードオブロゴスを否定される事は決して許せる事ではなく、激昂して玲花の思惑通り飛羽真と敵対する道を選んでしまった。
それでも戦いの後には、飛羽真と敵対関係になってしまった事を誰よりも惜しんでいる。
サウザンベースを拠点にしてからも飛羽真への信頼は変わらず、人間が変身させられた新型メギドのことも理解した上で飛羽真と共闘を持ちかけたが、「組織に対する不信感」という1点のみが原因でなかなか飛羽真の考えを認められず、未だ対立状態が続いている。
そして第27章にて、飛羽真がエレメンタルドラゴンを創造、プリミティブドラゴンの暴走を克服してレジエルを撃破するのを目の当たりにしたことで、遂に組織を離れる覚悟を決める。
第29章にて、その旨を芽依に伝えた後、「組織の剣士としてけじめをつける」として、組織の中にいる真の敵が誰なのか突き止めるべく、サウザンベースに単身乗り込み、神代玲花がソフィアを監禁・尋問している様を目撃、マスターロゴスに告発するが、そのマスターロゴスこそが「真の敵」であり、自身が信じ続けてきた「組織」はすでになく、腐りきってしまっていた事実を突きつけられてしまう。己の欲望の為に組織を弄ぶマスターロゴスに激昂、ブレイズに変身して彼を斬ろうとするが、神代凌牙/仮面ライダーデュランダルに阻止され、窮地に陥る。
芽依から動向を聞いて駆けつけた飛羽真により一度は窮地を脱するものの、エレメンタルドラゴンの力を封じる為の人質にされてしまう。飛羽真の足手まといになりたくないという想いと、自分の全てだった組織が幻想だったという事実からの絶望から、一度は自分に構わず戦うよう懇願するが、それをよしとしない彼から、「一緒に組織を正す」ことを示され、死角にいたユーリ/仮面ライダー最光の奇襲の隙を突き、サウザンベースから脱出、仲間の下へと帰還するが、飛羽真が重傷を負っていまい…。
そして第30章でネコメギドとの激突の中、芽衣を救おうと奮闘するも、ズオスの戦闘力に終始苦戦。
一方で飛羽真との実力差が大きく開いていることを突き付けられ、挙句自分がズオスに倒されかけたことで芽衣を救出するチャンスを潰してしまい、己の強さへの自信を喪失してしまった。両親を失った彼を育ててくれた師匠と組織すらも失った彼にとって、芽依という大切な者を失ってしまうかもしれないという恐怖は彼を追い詰めるのに十分だったのだ。
第31章ではそんな状況にあっても自分を信じてくれる飛羽真をズオスから救出、自分の迷いに決着を着けるべく、一人の剣士として飛羽真に立会いを申し込んだ。決闘の果てに彼は水勢剣流水の真の力を覚醒、飛羽真たちを本当の意味でお互いを信頼し合う関係「家族」と認めるのであった。
第32章では自分の意志で「大切な仲間を守る剣士になる」という覚悟を決めた事でタテガミ氷獣戦記という新たな力を手にし、師の仇であるズオスをようやく討伐する。
以後の彼は現マスターロゴスの醜悪な目的を知った事で組織を盲信する犬では無くなり、第39章では「あなたは(神ではない)普通のホモサピエンスです!」、第40章では「あなたは悲しい人ですね…僕は組織にいた時、ずっと貴方を信じてきた!それこそ神のように敬ってました。でも今のあなたを信じるものはもう誰もいない!!あなたは自分で神である事をやめたんだ。そして…今は一人ぼっちです…!!」とこれまでの余裕を失い、小物と化した彼の本質を突く発言を連発し、自分が盲信していた組織の偶像に決別をした。それは真実と向き合い、仲間と本当の友情を結んだ彼だからこそ言える言葉だった。
特別章では、ゾックス・ゴールドツイカーがツーカイザーに変身する時のダンスに対し、「えっ、なぜ踊るんですか?」と大真面目に突っ込むも、飛羽真からは「邪魔だよ···」賢人からは「やめろ、おい···」と止められてしまう。
その後、飛羽真がゾックスに七夕伝説を解説するとときの回想では牛役だった。
再度ゾックスが変身する時には「どうしても踊らなきゃいけないんですか?」とまたもや突っ込むも、飛羽真と賢人にはスルーされた(ちなみに1人、後ろでノリノリで踊ってるのがいた)。
これに対し、視聴者からは「おまえもEDで踊ってるだろ」とツッコミが(しかも、この特別回でも『セイバー』パート終了後は通常回と変わらずしっかりEDが流されている)。
全ての戦いが終わった後は神代凌牙と剣を交え、かつて組織が腐敗していった反省から次代のマスターロゴスの推薦を断り、組織のあり方を見直すよう進言する。
芽依との関係はなかなか進展していないようであり、あの手この手で想いを伝えようとしても上手くいっておらず、「家族になってください」と告白しても、そういう意味には受け取られずに失敗する。
とはいうものの、その後はそれなりに関係は進展したらしく、お揃いのブルーの衣装に身を包んでいた。
ちなみに、飛羽真たちと同様にバイスの姿は見えず、当てずっぽうに指差していた。
8年後では引き続きソードオブロゴスに所属して芽依との関係は続いているものの「バカ太郎」と呼ばれている辺り何か怒らせてしまった模様。
謎の剣士の出現により調査していたが…
『仮面ライダースペクター×ブレイズ』
須藤芽依に連れられ、エクレール・オ・ショコラより美味しいというシュー・ア・ラ・クリームを食べに街へ繰り出していた彼だが、そこへ芽依が以前出会ったという「怪力美女」ことCカノンと遭遇し、兄を捜索していると知り、交番へ行こうとするが、投げ飛ばされて彼女が「普通のホモ・サピエンス」ではない事を実感する。
Cカノンを追っている最中に出会ったオリジナルのカノンと共に、デザストに付きまとわれているCカノンを救出しようとするが、ダントン派の残党たちの陰謀に巻き込まれる。そこへ伝説の戦士深海マコトこと仮面ライダースペクターが現れ、共闘して残党たちを撃退する。
仲のいい兄妹の様子を羨ましそうに見つめていた彼だが、飛羽真に「お前の家族は俺たちだ」と言われて家族の素晴らしさを再認識したのであった。
カノンを「5つ子」だと認識し、「力持ちは遺伝ですか?」と問うたり、デザストがオリジナルのカノンに興味がない態度を見せた際には「姉妹を差別するんじゃない!」とキレたり、マコトの「カノンがいっぱいだー」という様子を二度見するなど天然っぷりはここでも健在だった。
なお、マコトとは「親を失った青い2号ライダー」という共通点がある。
『ゴースト』と『セイバー』のメインライターが同じな為、序盤の頃からファンからは度々マコトと倫太郎は比較されており、人の話をきちんと聞くなどのかなりの好印象から始まった倫太郎が「マトモ兄ちゃん」と呼ばれていた事も。
余談
柔軟かつ純粋で穏やかな性格や正反対の荒々しさを表現したブレイズのライオンモチーフなどから正しく「水属性」の戦士に相応しいキャラクター付けになっている。
Twitterでは#倫太郎に食べて欲しいスイーツ選手権なるハッシュタグが流行しており、公式からはエクレアを挙げられている。この他にもユーザーがオススメするスイーツが閲覧できるのだが、中には飲んだり食ったりしたらヤバイモノまで挙げられている辺り、半ば大喜利と化している。
なお、倫太郎が世間知らずなのは放送前から既に定まっていた事ではあるが、中国での先行公開映像では本編のような敬語ではなく、砕けた口調で話していた。
第41章の冒頭では箸を左手で持っていたため、少なくとも箸に関しては左利きなのだろう(厳密には演じた山口貴也が左利きなだけなのだろうが)。
また、中盤で「組織に敵はいない」と頑なな態度を取っていたのは育ての親は人間性に優れており、先輩は頼りになる存在ばかりであり、おまけに裏切った先達も元々は非常に仲間思いと人間関係に恵まれていた事が要因だろう。しかも、組織の腐敗は自分の所属するノーザンベースではなく、サウザンベース…それも組織の最高統括者に原因があったのだから無理からぬ話であろう。
演じた山口貴也はガタイの良い身体をしており、着痩せ体質と顔立ちのせいか、彼が上半身を脱いだシーンで驚く視聴者も。冬映画では(直前までしあわせ湯で温泉に浸かっていたこともあって)ソフィアの目の前で裸体を晒してしまった。(さすがに大事なところは我々には見えないようなアングルだったが)
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2号ライダー変身者