「答えは歴史に埋もれている。本の事は、本に聞け」
「私は···喧嘩が嫌いだ」
演:岡宏明
変身する仮面ライダー
概要
第3章から登場した、ソードオブロゴスに所属する鍛冶師。「音」の聖剣・音銃剣錫音に選ばれた剣士でもあり、音の剣士・スラッシュに変身する。
所謂メカニックであり、一族が代々継承してきた技術を駆使して剣士達の使用する聖剣やワンダーライドブックの開発・メンテナンスを行う。ブックゲートやガトライクフォンなどの便利ツールは彼の先祖が作ったもの。
一族に伝わる伝説から火炎剣烈火への思い入れがあり、飛羽真との対立後は組織への依存が強い倫太郎、敵愾心むき出しの蓮とは対照的に、尾上ともどもその真意や覚悟を見定めようとしていた。
そして、第21章にてセイバーとの一騎打ちを行ったが、その中で飛羽真の「全てに手が届かなくても誰かを救いたい」とする覚悟に烈火が呼応するのを目撃。
烈火の真の力を引き出せる可能性を飛羽真に見出した大秦寺は、神代玲花に掌握されて以降、在り方が変質しつつあるソードオブロゴスへの離反を遂に決断した。
離反後はファンタジック本屋かみやまに身を寄せ、組織そのものが何者かの陰謀で歪められている現状を改めて認識し、飛羽真たちと情報を共有しつつ本格的に事態の真実を探すべく動き出した。
人物像
寡黙でぶっきらぼうな物言いをするが、聖剣のコンディションを即座に見抜き、所持者の意向を無視してまで整備を行う様は、正に職人気質そのもの。
また、尾上の大仰かつ馴れ馴れしい言動を「鬱陶しい」と断じる、蓮の自信過剰な態度を「構うな」と一蹴する等、神経質の面も多分に秘めている。
その為に冷たい印象を与えがちだが、聖剣がない状態やシリアスな空気の場以外では、そっぽ向いたような姿勢で話す、顔を向けられそうになると急いで手で自分の目許を遮る等して、相手からの視線を極力避ける。倫太郎が評する通り「人見知り」なのは間違いないが、度が過ぎて対人恐怖症やコミュ障のようにも見える。
飛羽真にブラフを掛けられた際は、動揺した挙げ句、閲覧禁止の本やそれに至るキーの操作を自分から明かすなど、色々と隙を晒している。
また、どうやら喧嘩が嫌いなようで、第11章で倫太郎と賢人がとある事情により対立してしまった際は「2人共いい加減にしろ!!」と凄まじい怒号を上げ、「私は……喧嘩が嫌いだ」と視線をそらしながらボソッと呟いていた。
その一方で、聖剣の刀鍛冶を生業としているせいか、剣に対してある種のマニア的側面を持っている実態が第22章で判明した他、素の性格はさながらパンクロッカーを思わせる(詳細は後述)。
劇中の主な活躍
第9章において、自身の聖剣の修復を完了させた事で、再びメギドとの戦闘に参戦。剣士としての実力は、剣と銃の特性を持つ特殊な武器を使いこなす技量に加え、「音の剣士」の称号に相応しい優れた聴覚を持ち、透明化したアヒルメギドの動きを瞬時に察せられる。
第16章で「晦日蕎麦を食べたい」倫太郎に対して「任せろ! 最高の蕎麦を打ってやる」と発言している様子から、どうやら蕎麦打ちの経験があり腕前にも自信があるらしい。
だが、サウザンベースの陰謀により、残念ながら蕎麦を皆で食べるのは叶わなかったが、いつの日かまた機会が巡ってくる事を祈りたいものである。
また、みんなで流しそうめん大会をしていた際は、珍しく尾上と張り合いになっていた。
前述の通り、第22章で剣へのマニア的側面を持っている事実が判明、その様は組織の枠を外れた為か完全にタガが外れており、飛羽真との合流後には光剛剣最光の詳細を調べようとユーリ相手に追いかけ回す等、大暴走を起こしていた。
「頼む! 調べさせてくれ! オレの刀鍛冶としての好奇心が止まらねえェェェ―――ッ!!」
その最たるものがこの奇行であるが、正しくはこちらとなる(奇しくもテレ朝、日曜朝の東映作品キャラの共通点がある)。
だが、第25章にて復活した賢人が「世界を守る為に全ての聖剣を封印する」と宣誓・実質的な第三勢力と化した際は、不運にも大秦寺が最初の被害者となってしまった。
愛用する聖剣が封印されるや、普段は寡黙冷静な大秦寺であっても大いに取り乱し、「音銃剣錫音ぇぇぇっ!!」と絶叫するように呼び掛けるしかなかった。
マスターロゴス一派に音銃剣錫音とワンダーライドブック一式を奪われるが、マスターロゴスが実行した全知全能の書の力を得る儀式を、飛羽真がルナを救出した影響で中途半端に終わった為、これらが手元に戻って来て再び変身が可能となった。どうやら闇黒剣月闇によって施された封印も解除されたようである。
第38章ではこれまでの聖剣とは違う輝きを放つ『刃王剣十聖刃』にも興味を示していたが、怪我が祟って調査が出来ず……に居た一方で、第39章にて力を使い果たして満足に動けない状態になった光剛剣最光を手にし、念願の調査が叶う事態に……(ユーリにとっては自分の体を調べられるのも同然であり、悪寒が走った模様)。
ここだけ聞くと変人のように思えるが、刀鍛冶にして剣士の職業柄か、聖剣とそれを扱う剣士の思いや、心構えを重要視している人物のようで、ワンダーライドブックの力に頼っていた傾向にあった飛羽真に対し「お前の剣からは何も響いて来ない」と指摘し、仮面ライダーソロモンに凌牙が洗脳された際には「剣士なら自分の心でねじ伏せてみろ!」と諭している。
この指摘は飛羽真の剣士人生に大きな影響を及ぼしており、飛羽真が対話の手段として聖剣を使った決闘を選ぶきっかけとなった。
その後、第41章の『納涼流しそうめん大会』にて、大秦寺自身がそれに触れ、自慢の蕎麦を振る舞えなかったのが心残りだった旨を伝えた(ちなみに素麺自体も打つのが可能だが、一般的な麺打ちと異なる行程を多く踏む為、打ったその日に食べるのは基本的に難しい)。
ストリウスとの最終決戦にて、滅びの塔へと進入した剣士達の前にロード・オブ・ワイズ スパルタンが現れた。
そこで大秦寺は蓮と共に、スパルタン撃破に交戦を開始した。
だが、『剣士達の技芸の始祖』の異名に偽りはなく、瞬く間に劣勢に追い込まれてゆく大秦寺と蓮だったが、活路を見出だすべく大秦寺が決死の進撃を実行、スパルタンは蓮を見落とす事態となって、蓮の必殺の一撃が命中しスパルタンの撃破に成功した。
だが、受けたダメージは致命傷に等しく、「先に行け。後で追い付く」と蓮に先行させた大秦寺は直後に、自身の聖剣を抱くように倒れその瞼を深く閉じた(公式ホームページでは、生死不明に近い扱いをされているが……)。
第46章、どうにか意識を取り戻した大秦寺は、決死の思いで脚を動かした先に、ロード・オブ・ワイズ ハイランダーと単身戦う尾上と合流し、死に体にムチを打って変身した。
しかし、満身創痍かつ実力差から変身解除に追いやられるも、『世界を守る』一心で改めて変身した両者は、尾上がハイランダーの一瞬の隙から羽交い締めにし、そのタイミングを狙って大秦寺が攻撃、遂にハイランダーを撃破した……が、今度こそ限界に達した大秦寺は尾上と共に倒れ沈黙した。
最終回では、ユーリの決死の治療により他の剣士たちと共に無事に復活。刀鍛冶としての活動に意欲を示した。
8年後では結んでいた髪を解いており、倫太郎と共に謎の剣士の調査にあたっていたが……。
剣士列伝
15年前の時点で、剣士として尾上や先代の炎の剣士らと共に活動している様子から、尾上程では無いにしろかなりの古株かつ年長者であると窺える。
カリバーとメギドが引き起こした異変での戦いで、自身の聖剣を激しく消耗させてしまい、長い間眠りに就かせていた。
萬画 仮面ライダーバスター
TV本編の19年前となる最強の青春編では、刀鍛冶見習い兼剣士候補生として登場。最近の悩みは100歳を越えた祖父がまだ現役引退しない現状。
そこから11年後となる最強の子育て編では、かつての異変で聖剣を損傷したため、修復に努めている。尾上とは互いに軽口を叩きあうなど、対等な友人として接している模様。
余談
演じる岡氏は仮面ライダーシリーズの大ファンであり、制作発表会見で『仮面ライダーオーズ』やCSMシリーズについて熱く語り、副音声で解説していた篠宮氏に「こちら側の人ですね」と評された。
「スラッシュ」は一般的に「剣で斬る」「剣を振り回す」等を意味するが、他には「書物を酷評する」「書籍を大きく改定する」などの意味もあり、自らの役目で剣士達を振り回し、時に剣士達を鋭く酷評する大秦寺の姿を表しているともとれる。
超全集の記述によると年齢不詳。
先述の通り現在の組織の中では尾上と同じく年長者だが、演じる岡氏は飛羽真役の内藤秀一郎、倫太郎役の山口貴也、賢人役の青木瞭の3氏より年下。
関連タグ
小沢澄子&尾室隆弘、烏丸啓、シュラウド、鴻上光生、輪島繁、クリム・スタインベルト、仙人、葛城巧&葛城忍親子、ジョージ・狩崎:変身アイテムの開発に関するキャラクター。
深海理沙、村上峡児、笛木奏、戦極凌馬、檀黎斗、石動惣一:こちらも同上の存在だが、ヴィランサイド(及び近い立ち位置)のキャラクター。
宝生永夢/仮面ライダーエグゼイド:性格の豹変ぶりを観て彼を連想する視聴者は多かったと思われる。
ジョージ・狩崎:次作のメカニック担当のキャラだが、偶然にも中の人がライダーオタク。
彼も仮面ライダーになったが、いつか並び立つ日は来るのだろうか。
千子村正(Fate)/ロン・ベルク/椿・コルブランド:同じく戦う鍛冶屋。