「人は泣きながら生まれてくる。これはどうしようもないことだ。だが、死ぬ時に泣くか笑うかは本人次第だ」
「ラッキークローバーの新メンバーとして、私は貴方に多大な期待を寄せていた。そんな私を裏切るとは、ただでは済みませんよ…」
演:村井克行
まさに上の上の概要ですね…
第9話より登場。年齢35歳。前社長・花形の代理を経てスマートブレインの社長に就任した。
ローズオルフェノクに変身する(一度だけ仮面ライダーデルタにも変身した)。
オルフェノクの繁栄と人類の絶滅を願い、そのためにオルフェノクの王の復活と3本のベルトの奪還を目的としている。
相手を独自基準に基づく10段階(上の上〜下の下までの9段階と一度だけ口にした「それ以下」)で評価するのが癖。居眠りも多いが、本人曰く「眠っているところを起こされるのが一番嫌い」らしい。
戦闘能力は極めて高く、オルフェノク形態にならずとも、浮遊・青い光弾の生成といった特殊能力を使用出来る他、上級オルフェノクを軽く凌駕し、ファイズ・カイザ・デルタの三者を同時に相手にしても互角以上に渡り合える。
誰に対しても紳士的な物腰で対応し、感情に流されず常に実益を重んじる冷静さと、時には敵であった人物をも迎え入れる度量の広さでスマートブレインを取り纏めている。
しかし、自分の期待を裏切る者に対しては容赦無く、一企業の指導者として普段は冷静さを失わないように心掛けている分、一度激怒すると態度が豹変し、上述した通り居眠りから起こされた場合も激怒する。
特に第33話では、デルタギアを勝手に流星塾生達に渡した澤田亜希/スパイダーオルフェノクに真意の説明を求めた際、彼が「別に」といい加減な答えしかしなかったのもあって、「ふざけるな…ッ!!」と普段の冷静さからは想像も出来ない位の気迫で激怒。そのままオルフェノク態に変身し、同じくオルフェノク態になった澤田を滅多打ちにした(貴重な戦力であるライダーズギアを敵に渡した上、人を嘗めきった返答をされたので、ブチ切れるのも当然と言えば当然だが…)。
社長に就任するのにもかなり強引な手段を使ったことが示唆されており、重役達からも内心では快く思われていなかったようだ。
組織運営方針そのものは「オルフェノクの繁栄の為に王を探し出し寿命問題を解消する」という花形の頃と変わっておらず花形が同族絶滅という極端な方向性になった事から寧ろまだ穏健な部類ですらあるのだが、本人のパワハラ気質が悪影響し花形派が主流の社内において彼を支持する幹部や派閥も存在しなかった模様。また、ラッキークローバー達も「部下ではなく対等な地位」な為にベルト回収や同族の処刑以外の社内運営に関わる様子は見られなかった。
この為、彼の社長としての地盤や組織体制も非常に脆く、物語終盤の花形の帰還と後継者の木場の登場により一気に崩壊することになる。
嘗ては巧や木場のように人間とオルフェノクが共存出来る世界を目指していたが、人間から迫害を受けたことで諦めてしまったらしく、そのことを語る際は涙をのんでいた。また、嘗ての自分のように人間とオルフェノクが共存出来る世界を夢見ている巧と木場が、いつか自分の様に人間達から迫害を受けてしまうかもしれないことを心配している素振りを見せた(勿論、全て巧や木場を仲間に引き入れるための芝居だったという可能性も否定は出来ず、実際劇中で巧は彼の話を聞いた後「あんな奴の言うこと信用出来るか」と口にしていた)。
このように同族であるオルフェノクに対する仲間意識は強いようだが、彼の同族愛はオルフェノク個人というよりも種族としての「オルフェノク」という存在そのものへ向けられており、種の存続のためならば仲間のオルフェノクはおろか自分でさえも王の生贄となることを当然と考えるなど、その思想はもはや狂信的とさえ言える。
但し、自らの理想のために殉じようとする「覚悟」に関しては正真正銘の「本物」であり、花形によってスマートブレイン社長の座を降ろされても、自ら行動し戦いを挑む形で目的を遂げようとしていたほどである。
そして、遂にオルフェノクの王の宿主たる少年・鈴木照夫を見つけた村上は、自らの命を差し出す形で、王の完全復活のための手助けをするのだった……。
「……ハハハ……!嬉しいぞ…!」
「受け取れ…!私の命を!」
「ハハハハハ……。ハハハハハハハハ……!!」
オルフェノク繁栄のために生涯を捧げる者として、王に命を捧げた最期は、まさに「上の上」といった所であるかもしれない……。
尚、アークオルフェノクに鼻と耳を貫かれて硬直した村上だが、実は照夫が我に返ってその場から逃げ去ったので北崎のように体を喰われることは無かった。
残された遺体は花形に小突かれて灰化している。
他媒体において
『パラダイス・ロスト』
本作では、生命維持装置の中で、生首の状態のまま生き永らえているという衝撃的且つシュールな姿で登場。
使徒再生を「『愛』故の行為」と嘯き、その過程で大半の人間が適合出来ずに死ぬことに対しても「仕方ありませんね。オルフェノクになれない人間など、死んだ方がいい」と断言するなど、冷酷で独善的な性格が全面に押し出されている。
とはいえ、オルフェノクへの仲間意識も健在で、劇中世界で疎まれる羽目になった木場、長田結花、海堂直也の3人を自分達と同じ人類廃絶への道に進むように説得する場面も見られた。
劇中では全人間のオルフェノク化を目論んでコロッセオにて人間解放軍の象徴である園田真理をエラスモテリウムオルフェノク激情態の生贄にして処刑する様子を全国放送し、人間側の戦意喪失を図った。
だが、巧が変身したファイズにその策を阻止され失敗した挙句、腹心のレオが変身するサイガ、一時は人間に絶望した木場勇治が変身したオーガ、エラスモテリウムオルフェノクを悉く倒されてしまい、『帝王のベルト』を2本とも喪失。
スマートブレイン社や世界中のオルフェノク達の期待を裏切った全責任を取らされる形で「更に上の立場の者」の命令を受けたスマートレディの手で高圧プレス機にカプセル諸共潰されて圧死という惨めな最期を迎えた。
HEROSAGAで連載されていた前日譚「MASKED RIDER 555 EDITION -ロスト・ワールド-」では、自らの使徒再生能力である「青いバラ」を世界中に配布して人類の総オルフェノク化を敢行。
スマートバックルを用いてライオトルーパーver.2に変身し、ブラスターフォームのファイズとの死闘の末に首を切断され、レオに回収されたとされている。
逆に、桜庭一樹氏によるノベライズ版「パラダイス・ロスト」では基本的な立ち位置こそ映像作品と共通するものの、「更に上の立場の者」の真の目的である「世界の根本的改革」に心酔している風に描かれるなど、映画に比べればテレビ本編の誇り高さを少なからず残している。
その結末もファイズによる『帝王のベルト』の喪失すらも肯定的に受け入れ、スマートレディにダストシュートに放り込まれながらも笑い続けるという、映像作品とはまた違った最期となっている。
『仮面ライダー913』
本作でもスマートブレインの社長として登場している。
余談
演者の村井克行氏は大のハカイダーファンとして知られており、自らの変身するローズオルフェノクのモチーフにハカイダーを取り入れるようデザイナーに頼んだという逸話があるほど。
また、仮面ライダーについても初代「仮面ライダー」からリアルタイムで視聴していたファンであり、出演ができると聞いた時は大いに喜んだらしく、第46話で念願だった仮面ライダーへ変身を果たした際には声が上擦ってしまうなど嬉しさのあまりNGを連発してしまったらしい。
第10話にて、木場を説得するにあたり「人は泣いて生まれてくる。これは誰にも変えられない。だが、最期に泣くか笑うかはその人次第だ」という言葉を発していたが、何の因果か、巧、木場、長田、海堂は四人共上を見上げ笑顔を浮かべたまま死んで逝った。 尚、村上本人も最後に上を見上げて笑う場面があり、自身も言葉通りの顛末を迎えている。
「フーフーして差し上げろ」の元ネタは第9話にて猫舌の巧を見かねた彼がメイドに言ったセリフであり、作中で実際に言っている。
pixivではローズオルフェノクの姿のイラストが大半を占めており、「村上峡児」としてのイラストが殆ど投稿されていない(そのため、当記事では便宜上ローズオルフェノクがメイン画像となっている)。
村井氏は次回作『仮面ライダー剣』の劇場版『MISSING ACE』にて、木場勇治を演じた泉政行と共に面接官役として出演している。同じ会社の先輩・後輩という役から『555』での設定を意識したと思われる。
尚、役職は係長で名前は『花田』というらしく、『馬場』(泉氏が演じている方)をボンボンと呼んで嫌っていた模様。
花田「私の方が会社長いんですから!」
馬場「長いだけでしょ!」
また、村井氏は2008年の脚本家が同じ作品『仮面ライダーキバ』ではフロッグファンガイアも演じた。
関連タグ
社長ライダー(一度のみの変身ではあるが、該当)