「俺に言わせればな、夢ってのは呪いと同じなんだ」
「呪いを解くには、夢を叶えなきゃいけない」
「……でも、途中で挫折した人間はずっと呪われたままなんだ」
演:唐橋充
概要
年齢23歳。一人称は「俺」或いは「俺様」。
元音大生で、クラシックギターで天才的な才能を持っていたが、その才能を妬んだ教授が仕組んだバイク事故で手を負傷、演奏家生命を絶たれてしまった。
その後大学を中退し目標も無く過ごしていたが、偶然居合わせた喫茶店で、木場勇治と長田結花の教育をスマートブレインから任されたスクィッドオルフェノクが店内の人間を無差別に襲った際に犠牲者となり、使徒再生でスネークオルフェノクとして覚醒した。
その為、勇治・結花を含めた本作の主要オルフェノク3人の中では唯一の使徒再生によって生まれたオルフェノクである。その後は勇治と結花と行動を共にする事になる。
人物像
性格は露悪的で、場当たり的な態度、更には身振り手振りが大袈裟。作中でもその場の勢いで意見を述べたりと、良くも悪くも後先考えない言動が目立つ。
加えて、自らを殺そうとした殺人犯ではあるものの木場や結花同様、人間を手にかけている(あくまで自らを殺した事への復讐の形で殺しており、正当防衛ではない)。
しかしその実人間を愛しており、完全に人間としての心を捨てきる事は出来なかった。
当初はオルフェノクの事を聞いても、人間を超えた力を手にした事でこれまで自分を罵倒してきた者への復讐に走ろうとしたが、心の底では人間を憎みきれていなかった。
そして自身を慕う音楽学校の後輩・黒田和彦に「自分と同じ指をしている」とギターを指導した後、自身の夢の後を継ぐ者に思いを託し、マンションの窓からギターを投げ捨て決別した(この決別があったからこそ、最終的には人間との共存を望むオルフェノクとしての立場を貫けたと言える)。
スマートブレイン社長の村上峡児からファイズギアを譲り受け、人間を襲わないオルフェノクを粛清すべく動いていた時期もあった。仮面ライダーファイズに変身してホースオルフェノク (勇治)と一騎討ちを行い、グランインパクトを叩き込む寸前まで追い詰めたが、非情になりきれずに寸前で手を止めてしまい、その後反撃を受けて敗北した。
また、オルフェノクの中でも最も人間臭く、「ガキは嫌い」と称しながらも後輩や子供に対しては面倒見の良い一面もある。
24話では人間でなくなったことへの絶望から川への飛び降り自殺を図った小林義雄(ラビットオルフェノク)を助け出してオルフェノクとしての生き方を教えたり、彼が後に手段を選ばない性格へ変貌してしまった際には責任を感じて「殴りたきゃ好きなだけ殴れ!」と無抵抗に彼の攻撃を受け入れた。
物語後半ではビル火災から助けた少年・鈴木照夫を気に掛ける様になる。
啓太郎と隠れんぼをして照夫と一緒にトイレに隠れていた時、アークオルフェノクだった照夫に命を奪われそうになるが幸いにもその直前に真理がトイレに入ったため、命は奪われなかった(もし、真理が入っていなかったら彼は死んでいたかもしれない)。
スマートブレインの社長になった勇治からライオトルーパー隊の隊長に選ばれ一時は勇治に協力するが、勇治の目的が「オルフェノクと人間の共存」から「人類の抹殺」へと変わってしまったことを知り決別。心の底でずっと勇治を尊敬していたこと、本当は彼のように生きてみたかったことを吐露して「これからは俺がお前の代わりになる」と人類側に立つ事を宣言。ベルトを返却し、三原修二に協力を請いライオトルーパーの始末にあたった(その後劣勢になり、乾巧を呼び出してライオトルーパーを殲滅させている)。
最後は、照夫に宿っていたオルフェノクの王・アークオルフェノクを倒すため、巧達側について戦った。最終決戦後は勇治や結花を連想させる歌を歌いながら、一人何処かへ旅立っていった。
このように本編では最後まで生き残った。
このように軽薄で奔放なキャラクターではあったものの、一見、無責任かと思いきや、後輩や照夫を気に掛ける等非常に面倒見が良く、悪意を持って人を攻撃する事が無かった為、菊池啓太郎と並んで「555で一番の聖人」と評される事も。
「人間は嫌い」と言いつつも、第25話で「人間を捨てられない所が俺様の良いところだ」とある種の開き直りを見せている通り、その実お人好しなのだ。
結花から想いを寄せられ、告白されてもいるが、本人は真理に一目惚れして何度もアプローチを重ねていた。結花に唆され真理にプロポーズするが当然玉砕。真理への気持ちが吹っ切れたのか、その後は特に真理を意識している様子は見られなくなった。
彼の代名詞は口癖の様に使っていた「ちゅーか(て言うか)」。
余談
- 演じた唐橋氏はオーディション参加時26歳で、他の参加者が自分よりも若手ばかりだったことから「どうせ落ちるだろう」と諦め、自己アピールをせずに所属する劇団の若手俳優の推薦と宣伝美術の仕事の逆オファーをして帰った。しかし、後日番組制作サイドから連絡を受け銀座の寿司屋に連れていかれ、その会合の後に正式に出演が決まった。
- なお、制作サイドにはオーディションでの奇行から「変な薬を打っているんじゃないか」と疑われていたらしいが、最終的に「ナチュラルにおかしい」と結論付けられたとのこと。
(唐橋氏の妻である水野美紀氏のYouTubeチャンネル「水野美紀の映画生活」より)
- 劇中で唯一、仮面ライダーファイズとその量産型のライオトルーパーの両方にそれぞれ変身している。
- 唐橋氏は後に『仮面ライダーG』でシェード隊員を、『仮面ライダーゴースト』で宮本武蔵を、『仮面ライダーセイバー』で富加宮隼人を演じている。
- ウルトラシリーズでは『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』でキール星人グランデを、『ウルトラマンブレーザー』でザンギルを、スーパー戦隊シリーズでは『侍戦隊シンケンジャー』で腑破十臓を演じている。これによって日本の三大特撮作品全てに出演を果たした(なお、3シリーズ全てでレギュラー出演を経験したのは現時点で唐橋氏のみである)。
- 『仮面ライダーカブト』と『特命戦隊ゴーバスターズ』では直接の出演はないが、イラストレーターとしてスタッフ側でも関わっている。
- 『The_Mystery』での仮名である「上屋直人」の由来はおそらく、海堂直也に唐橋氏が『セイバー』で演じた富加宮隼人(ふ"かみや"はや"と")を引っ掛けたものであると思われる。
客演・続編
『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』
木場と結花と共に3人でオルフェノクと人類の共存するための活動をしていた。因みに本作では結花に好意を持っている。結花本人には既に見抜かれつつあったが、素直になれずにいた。
人類側の水原(※1)と木場の間で起きたひと悶着で、水原がホースオルフェノクの魔剣に刺されて死ぬ(※2)と言う事件を起こしてしまい、真理以外の人類側から信頼を失ってしまう。信頼を取り戻すためにオルフェノクである3人のみで帝王のベルトを奪うべくスマートブレインに潜入した。
しかし、スマートブレインには筒抜けでエラスモテリウムオルフェノク激情態と闘うための舞台へ引きずり出されてしまう。各自オルフェノクの姿で挑むものの、エラスモテリウムオルフェノクの衝角による攻撃で結花は倒れ、彼女の死に際に想いを告げて看取った。激情に駆られてエラスモテリウムオルフェノクに挑むものの歯が立たずに、自身は捕食される形で非業の死を遂げてしまった……。
※1:この水原は無謀なスマートブレイン襲撃作戦を挑んで仲間を全滅させながら敗走している。しかし、それを踏まえた上でオルフェノク側の信頼が低い事を物語っている。
※2:水原は自身が投擲した手榴弾の爆風で自ら魔剣に刺さってしまったが、木場が魔剣を回収する場面だけを他の人類側の兵士に目撃されたため、木場が水原を刺したと誤解されることになってしまった。
『仮面ライダー4号』
『スーパーヒーロー大戦GP』の後日談。『GP』には登場していないが、こちらでは意外な形で登場する事になる。
ここから先は4号のネタバレを含みます
ショッカーの事について何かを知っており、巧にこれ以上深入りしない様に警告する。
巧に相手にされなかった為、スネークオルフェノクに変身して巧を襲うも仮面ライダーマッハに妨害される。
当初謎であった彼の目的だが、巧が物語の鍵を握る歴史改変マシンを動かしていた事が判明し彼自身の目的も明らかに。マシンが破壊されれば巧も消えると知っていた彼は、「巧に生きてほしい」と願い行動していたのだった。
オルフェノクで一人生き残った海堂は、「皆の死が本当に意味があるのか」と考える様になっていた。
そして巧が歴史改変マシンを破壊するのを阻止する為、スネークオルフェノクに変身して戦いに挑む。
最期はクリムゾンスマッシュを喰らい、巧に「馬鹿」と言って崩れ落ちる。死亡したかに見えた(但し、身体の灰化は無かった)が、歴史改変マシンが破壊されたからか最後のシーンでは生存していた。
元に戻った世界でロイミュードが出現した連絡を受けた進ノ介がぶつかり、彼に謝罪された。
他の皆は巧の事を忘れていたが、彼だけは巧の事を覚えていた。
(これに関しては、死亡した瞬間と歴史改変マシンの破壊による歴史修正の瞬間が一緒に起きたせいで記憶が融合したという理由(ほぼ無理矢理だが)ならば覚えている事に説明がつく)
「…さて、この空を守ったのは一体誰なんでしょうか…なあ、乾?」
『仮面ライダーリバイス The Mystery』
『仮面ライダーリバイス』のスピンオフドラマ。
キャスト発表の時、彼によく似た上屋直人という人物がいたことで一部で話題となっていたが…
以下ネタバレ
まさかの海堂直也本人である事が判明。
作中では上屋直人という源氏名で登場し、西園寺鈴にギターを教えていた。
ある日彼女のペンション内で殺人事件が起き、現場にあった砂の様なものから犯人と疑われる事となる。
実は鈴が恋人の残した怪人スタンプの研究を完成させる為、オルフェノクの遺伝子を入手する手段としてその正体を知った上で呼び寄せていた。
第4話にてその真意を知るも、最終話ではバイスの火炎攻撃から咄嗟に鈴を庇う。その際に「血の匂いがしていた」と鈴が犯人であった事に気付いていた事を告げる。
鈴「気付いてたのに何で……」
その後、鈴の未練を断ち切る為、自らオルフェノクの力を鈴に明け渡す。力を吸い取られた事で、駆け寄るリバイに不敵な笑みを浮かべながら、その地に倒れた―――
と、死んだと思いきや、またも生存。鈴が倒され逮捕されたのを陰から見届けると、「ま、いつかまた」と告げフェードアウトした。
オルフェノクは短命という設定に加えて4号の時点で生き残ってるオルフェノクは(彼の知る限り)巧と彼のみと言及されているので、整合性を抜きにしても平成から令和までの19年という長い年月を生き延びた希少な存在という事になる。
『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』(ネタバレ注意⚠️)
「乾の奴…裏切りやがった!!」
本編の20年後を描く正当続編である本作にも登場。
『The_Mystery』時点での19年間と合わせると本編終了後から約20年間生存している事となり、更に記録を更新する事となった。
オルフェノクが迫害される側に立たされた本作では、「オルフェノクと人類の共存」という目的のため真理や草加雅人と協力し、「ラーメン屋 中花」(そのラーメン屋の建物は菊池2号店を勝手に改造したもの)を経営しつつヒサオ、コウタ、ケイのような若いオルフェノクを庇護しながらスマートブレインに抵抗している。
スマートブレインのオルフェノク殲滅部隊によるオルフェノク狩りを見つけた際に、草加の変身する仮面ライダーカイザやヒサオが変身する仮面ライダーデルタ達と共に殲滅部隊隊長の胡桃玲菜が変身する仮面ライダーミューズ、ライオトルーパーと交戦。しかし、数年前に姿を消した巧が、新たなファイズギアを手に仮面ライダーネクストファイズに変身、スマートブレインの尖兵として襲いかかってきた事に困惑を隠せないでいた。
「違う違う、違う違う違う…相手が違うのよ、何トチ狂ってやがんだよ……」
「おい…乾…、相手が違うだろうがよーっ!」
ネクストファイズがアクセルフォームにチェンジした際には、その危険性をすぐに察知し「お前ら、走れーー!!」とコウタとケイに避難を呼びかけたが、時すでに遅く3人揃って被弾。しかし、咄嗟に隠し持っていたラー油の瓶をネクストファイズの足元で割り、滑らせることで何とか回避した。
撤退後、巧が裏切った理由が分からずヒサオを死なせてしまったことも相まって周りに当たり散らし、しまいには「おい真理、こうなったのも全部お前のせいなんじゃねぇのか!?」「コイツ(真理)が乾の奴に一発…やらして…やらしてやってりゃこんなことになんなかったんじゃねぇのか!?」と真理に対して半ばヤケクソに不用意な発言をしてしまう。草加に「よせ!」と叱責されすぐ「ごめぇん!!」と謝罪していたことから、巧を真理と同じく人一倍信用していたからこそ彼の裏切りをすぐに受け入れきれなかったことがうかがえる(だが、実際この2人はその後マジでヤッてしまうので、ある意味予言者ではある)。
その後、コウタの裏切りにより殲滅隊の強襲を受けた際には持ち前の機転の良さでライオトルーパー軍団を相手に奮戦。しかし、コウタが北崎の手によって消滅させられた瞬間を目撃。その惨劇に激昂した真理がワイルドキャットオルフェノクに覚醒したため、唖然としていた。
その後、自身の状態を受け入れられないまま逃げ出した真理を条太郎、ケイとともに追いかけ発見するも、殺人衝動に苛まれていた真理に襲われてしまう。動きを止めようとするが逆に負傷してしまい、その場は駆けつけた巧に任せることとなった。
その後、スマートブレインを裏切った巧の援軍としてケイとともに参戦(その際、巧が廃校に放置していたネクストファイズギアを持参している)。巧に対し「心が入れ替わっているように見える」と若干疑いつつも、彼を変わらず信用していたような素振りを見せていた。
そして、戦いを終えた後は巧、真理、ケイ、条太郎とともに食卓を囲んでおり、今回も何とか無事生き残った。
キャラソン
夢のかけら〜Romantico
唐橋充は歌唱の他に、作詞も担当している。劇中でも部分的に演奏された。
関連タグ
スネークオルフェノク 仮面ライダーファイズ ライオトルーパー
襟立健吾:脚本家が同じ作品の登場人物、「場当たり的な態度や強引な言動も目立つが、根は思いやりがある人物」「ギタリスト志望」「怪我でギターが弾けなくなった」「一時的に仮面ライダーに変身した事がある」「芳賀優里亜女史が演じるライダーヒロインに一目惚れした事がある」「最終決戦後も生き残る」という共通点がある。ただし、彼はリハビリを続けて物語終盤ではギターを弾けるほどにまで回復した。
冴羽獠:『シティーハンター』の主人公。一見すると何も関係がないように見えるが、唐橋氏は海堂を演じるにあたって獠をモデルに役作りをした事で有名。計算しながらバカを演じる共通点がある。
外部リンク
仮面ライダーファイズ[海堂直也Ver.] | 仮面ライダー図鑑 | 東映