概要
東映製作の特撮ヒーロー作品シリーズ。
一人一色のスーツを身に纏ったヒーロー達が、団結して巨悪に立ち向かう物語として国民的な地位を築いている。『仮面ライダーシリーズ』との違いは、3作目から連続で放映しているのもそうだが、原則第1話から3人もしくは5人で戦うところにある。
2016年9月11日には、『動物戦隊ジュウオウジャー』の放送中にシリーズ通算2000回という一つの区切りを迎えるほどの長寿シリーズとなっており、45作目の2021年4月には、学研から「学研の図鑑 スーパー戦隊」が発売されるなど、その歴史と情報量は日本産コンテンツでは最大級。
近年は記事名の「スーパー戦隊シリーズ」で表記が統一されているものの、以前(特に海賊戦隊ゴーカイジャーまで)は「戦隊モノ」、「レンジャー系」、「戦隊ヒーローシリーズ」といった感じでシリーズ全体を表す表記が全くと言って良い程に安定しなかった。なんだったら現在でも(公式含めて)表記が安定しない時がある。
というのも、スーパー戦隊は仮面ライダーやウルトラマンと異なり、タイトル・ヒーロー名に固有の表記が無く、それが多くの表記揺れを生み出す原因となった。何だったらスーパー戦隊シリーズと言っているにも拘らず、戦隊と入っていない作品も存在する。
スーパー戦隊作品
戦隊の特徴
メンバーには以下のような特徴がある。
- 初期メンバーの人数は基本5人だが、シリーズによっては3人の場合もある。
- メンバーの色には必ず「赤色」と「青色」が含まれている。
- 90年代に入り、「追加戦士」や「番外戦士」が登場する。
- 本格的に始まったのは90年代からであり、10年代では序盤に登場する形も多い。
- 全作品で必ず登場する「赤」が最も目立つ為に「赤=リーダー」と思われがちだが、必ずしも全てに当てはまるわけではなく、別色が務めた作品もある。
白リーダー | |
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黒リーダー | |
桃リーダー | |
青リーダー | |
緑リーダー | |
黄リーダー |
なお、リーダーでなくてもレッドが主人公であるという伝統は長らく続いたが、機界戦隊ゼンカイジャーにてついにその伝統が一度途切れる事となった。
現在、メンバー最多は『宇宙戦隊キュウレンジャー』の12人。最少は電光石火ゴウライジャー(忍風戦隊ハリケンジャー)、ゴーオンウイングス(炎神戦隊ゴーオンジャー)の2人。全体編成で最少は『太陽戦隊サンバルカン』の3人。
ただし、ゴーカイジャーのようにメンバーだけで活動している戦隊は意外と少なく、大抵はサポートを行う人物が存在していたり、シリーズの4分の1は何らかの公的な組織に所属し特別精鋭部隊として活躍する「戦隊ヒーロー」も存在する。
所属している組織 | 部隊名 |
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国際秘密防衛機構イーグル | 秘密戦隊ゴレンジャー |
国際科学特捜隊 | ジャッカー電撃隊 |
地球平和守備隊 | 太陽戦隊サンバルカン |
地球守備隊 | 電撃戦隊チェンジマン |
地球防衛軍スカイフォース | 鳥人戦隊ジェットマン |
U.A.O.H.(国際空軍) | 超力戦隊オーレンジャー |
S.P.D.(宇宙警察) | 特捜戦隊デカレンジャー |
サージェス財団 | 轟轟戦隊ボウケンジャー |
エネルギー管理局・特命部 | 特命戦隊ゴーバスターズ |
反乱軍リベリオン | 宇宙戦隊キュウレンジャー |
国際特別警察機構 | 警察戦隊パトレンジャー |
CARAT | 魔進戦隊キラメイジャー |
この他、具体的な組織名は不明だが、バトルフィーバーJの組織は国防省(現在の日本では防衛省に相当する国家機関と考えられる)の管理下に置かれている。
これはウルトラシリーズの防衛チームをイメージすると分かりやすいが、中にはデカレンジャーのように地球以外にも組織の存在が仄めかされていたり(デカブレイクは本部からの出向である)、キュウレンジャーのように現政府に対抗するレジスタンス部隊も存在する。
70~80年代の主な戦力は科学力だけであったが、徐々に超自然的(アースフォース、気功、妖精)な要素が組み込まれていった。90年代になると科学力を一切持たないファンタジー戦隊が誕生し、00年代では時を超えたり、別世界から来たりと世界の幅が広くなっていった。
現在、変身時の掛け声は「○○チェンジ」が主流。90年代戦隊以前は少数だったが、ゴーカイジャーやキョウリュウジャーからほぼ定着した。これは「変身」だと仮面ライダーのイメージが強くなるのが要因だと考えられる。ちなみに変身時の掛け声に「チェンジ」を含んだ初の戦隊はチェンジマンである。
巨大ロボット
3作目『バトルフィーバーJ』以降の戦隊には巨大ロボットがあり、それに搭乗し巨大な敵怪人(又はロボット)に立ち向かうというのが通例になっている。また各エピソードの終盤で見せる展開はシリーズの要であり今では欠かせない要素になっている。1988年の超獣戦隊ライブマンまでは巨大ロボットを戦場まで輸送する役目の巨大戦闘母艦も存在したが、これを登場させると巨大ロボットが活躍する時間が減ってしまうと判断されたのか、それとも予算の問題のせいなのか(たぶん両方)、1989年の高速戦隊ターボレンジャーからは巨大戦闘母艦が登場することはなくなった。
詳しくは → 戦隊ロボ
変身アイテム
ゴレンジャーでは強化服を隠している、ジャッカー電撃隊では強化カプセルに入るという形なので変身アイテムは存在しない。
バトルフィーバーJでは一回転するとスーツを装着しているのが基本であったが、腕の通信機から強化服が出るのが描かれたのは第24話からである。
変身時にアイテムをかざすのは翌年の電子戦隊デンジマンから始まり、そして80年代はブレス型、その後ツインブレス型が登場した。90年代後半から携帯電話が普及し始めたことで、00年代ではブレス型と携帯電話型の二つが主流となっていき、10年代以降はメインの変身アイテムでないがスマートフォン型も出始めた。他形状の変身アイテムや共通武器にミニアイテムを装填する事で、変身アイテムの役割を兼ねているケースも出てきている。
詳しくは → 変身アイテム(スーパー戦隊)
敵対勢力
力を合わせて巨悪を倒すというコンセプト上、必然的に敵の設定もインフレする傾向にあり、歴代を通してスケールの大きい組織やボスが多い。
例を挙げると
- 実は敵の基地が黒幕だった
- 明らかに人外であろう正体が全くの謎に包まれたカルト宗教の開祖
- 惑星そのものであるボス
- 999個の星を滅ぼし、とある星の王女に恋した銀河超獣
- 人類を一瞬で滅ぼせる悪魔
- 敵味方関係なく滅ぼしてしまう秩序の化身
- この世のある限り完全に滅びることのない陰陽思想の陰そのものを体現する組織
- 人間のマイナスエネルギーそのものの具現化
- 戦闘員に到るまで強力な精鋭揃いであり、短期間とはいえ地球征服を完遂した組織
- 星座を飲み込み、惑星の住人全てを洗脳できるガスを吐き出す皇帝
- 文字通り星の命で生き永らえる宇宙海賊の船長と汚染された惑星から誕生した宇宙怪獣
- ノストラダムスの予言に登場する恐怖の大王そのものといっていい存在
- グランディーヌと同等の力を持つ一族の長(これでも物語中盤の敵という設定)
- 聖書に登場する黙示録の獣を思わせる二体の魔獣
- 存在自体が歴史の大きな鍵となっている組織
- 地球に漂う邪悪な衝動そのものの具現化
- 宇宙を滅ぼして新世界の創造を目論む邪悪な意思そのもの
- 地球の歴史に影響を及ぼし続けた邪悪な生命体の長
- 犯罪という概念そのもの(宇宙の星がドラゴンボールレベルで消滅しまくっている)
- 時間すらも食らう絶対神
- 絶対に死ぬことがない神話の龍そのもの
- 地球を作り直す事を目論む護星天使
- 幹部クラスがザラにいるスーパー戦隊を変身不能に追い込んだ宇宙帝国
- 恐竜を滅ぼした宇宙由来の生物種とその創造主
- 宇宙を征服している組織と不幸にあった者達の怨念から誕生した黒幕
- 地母神そのものと呼んで差し支えない怪物とそれに匹敵する存在だった敵組織の幹部
- 復活すれば宇宙を瞬く間に滅ぼせる悪魔
- 宇宙最硬の仮面で顔を覆った邪悪な皇帝
- メタルヒーロー達が戦ってきた組織が一堂に会する組織
- 怪人の一体一体が世界そのものの具象化であり、その気になれば世界征服も容易い組織
- 原作者に干渉してヒーローを消そうと目論む『アンチ・ヒーロー』
中にはバルカンスティックで小突かれただけで死んだボスという特撮史上最弱クラスのボスも存在する。
演者
役者陣の変遷
役者は従来はJACのアクション畑出身者が多かった。と言うか初期は「ジャリ番」(「ジャリ(砂利=馬鹿なガキ)向けの番組」と言う蔑称)「子供向け番組」と業界でも見下され、なかなか各芸能事務所に良い対応をしてもらえない時期もあった。そもそもイケメンヒーローブーム以前の頃は特撮オタクですら仮面ライダーシリーズやウルトラシリーズより格下に見ていた(現在でもどれが上かみたいなマウンティングは起きやすい)。
しかし(イケメン出演者が子供と一緒に視聴している母親達にも人気が出るようになった事で)徐々に若手役者の登竜門的な番組となっていき、それとともに各事務所も競って新人を送り込むようになった。更に短クールドラマが主流になった近年では、若手が長期間一つの役に取り組んで演技を学べるドラマが他に仮面ライダーくらいしか無いこともあり、オーディションはかなりの倍率になっている。そのため出演者の中には、過去作のオーディションで落ちた経験のある者も少なくない。特に男性はテニミュ等の漫画原作系舞台を経由した若手が目立つ。
本シリーズを俳優デビュー作もしくは初レギュラーとしてブレイクした人には西村和彦、さとう珠緒、照英、玉山鉄二、松坂桃李、千葉雄大、横浜流星、志尊淳、山田裕貴等がいる。女性は戦隊メンバー役にモデルやアイドルグループ出身者も多いが、悪役の女幹部としてならセクシー女優(果てはAV女優)も何人か起用されている。
ただし、ウルトラシリーズと違い現役のジャニーズ事務所所属者は仮面ライダーGやザ・ハイスクールヒーローズなどのごく一部を除き基本的に東映特撮に出ていない。これは同事務所の肖像権管理の厳しさ故、折り合いがつかないのではという説も少なくない。
戦隊メンバーを支える周辺人物役としてお笑い芸人やベテラン役者が起用されることも多く、場合によっては追加戦士・番外戦士として変身する場合もある。
近年のシリーズでは『仮面ライダーシリーズ』などの特撮作品にゲスト出演していた俳優がメインを張るという例も少なくない(逆パターンもあり)。シリーズを跨いでヒーローを複数回演じた俳優も数多くいる。
素面タイプの敵幹部
素顔の役者が人間態を演じるいわゆる「素面タイプの幹部」は、昔は石橋雅史、曽我町子、広瀬匠といった名敵役が起用されたりしていたが、オーレンジャー以降の作品ではかなり減っている。10年代からは素面タイプの幹部・怪人が全く登場しない敵組織も散見される。
理由としては下記のような事が考えられる。
- コストカット(実際のところ、ミニチェア制作費やロケバス料金・ロケ弁代などで他のドラマより予算がかかると、数多くの作品のプロデューサーを務めた東映の鈴木武幸もインタビューで証言している)
- 役のイメージが演者本人に及ばないようにするための配慮(実際、当時の子供たちに役と混同されて嫌われてしまった俳優もいる)
- クレーム予防
- クロスオーバーでの客演や『パワーレンジャー』への映像の流用が難しくなる
- 仮面ライダーとの差別化
この様に特撮オタクから様々な理由が考察されているが、公式には詳しく説明されていない。
一方で『仮面ライダーシリーズ』にはあまり見られないが、かつて戦隊ヒーロー役だった俳優が後のシリーズで悪役を演じるパターンも少なくはない。多くは俳優と声優を兼業した事による物が多かったが、一昔前は顔出し幹部を演じたというパターンもあり、ライダー怪人は変身前・人間態の俳優が声を当てる例が多い一方、戦隊怪人はプロの声優が声を当てるという事情も絡んでいる。逆に声優がメインである人物は悪役からヒーロー役を経験するというパターンもあったりする。、似たような例に悪役でないゲストキャラを演じると言ったものも。
1年間の戦いとその後
スーパー戦隊シリーズは1作品の話数が1年4クールで厳密に構成されており、人気があるから延長することもなければ、その逆に1年未満で打ち切るようなこともない(あっても1、2話短縮程度)。そして1年の戦いを終えた後、次の戦隊へバトンタッチをする流れとなっている。その次の作品では、前作までとは地続きではない別の世界観となり、前作までの戦隊と無関係な新しい戦隊が活躍する。
前作までの戦士や敵キャラクターはごく一部の例外を除けば特別なコラボ回でしか登場しない(ただし、石ノ森原作の初期2作品についてはこのような厳密な構成はされておらず、第1作のゴレンジャーはその人気から2年のロングラン放映を記録し、逆に第2作目のジャッカー電撃隊は視聴率や玩具の売上が思わしくなかったため一年の予定が8ヶ月で打ち切りとなっている)。
なお、このタイプの構成方法は後の平成ライダー/令和ライダーシリーズにも受け継がれている。
一年で作品のテーマを描き切る事が意識されているため、完結した作品の直接的な続編や外伝を作る事は蛇足になりかねないと東映側は慎重な姿勢を取っている。実例で言えば「百獣戦隊ガオレンジャー」は大ヒットした為に翌年も続けようという話も出たが、東映の鈴木武幸が続編を作るとマニア受けの作品にしかならないという理由で断ったとインタビューで語っている。
ただし、「新しい作品に昔の作品の戦士達がたまにゲスト登場する」というコラボ展開自体は、ファンサービスの一つとして映画の「VSシリーズ」などで積極的に行っている。
そのゲスト登場が多かった作品に、2011年度に放送された「海賊戦隊ゴーカイジャー」がある。この作品で旧作のキャストが放送終了から数年経ったヒーロー・ヒロインを演じた事が話題となり、過去の作品も再び注目されるようになる。
2013年に放送終了後から10年後の主要キャスト5人を描いた「忍風戦隊ハリケンジャー 10 YEARS AFTER」を発売。これは、ハリケンジャーの放送終了10周年を記念して何かやりたいと思っていたハリケンブルー / 野乃七海役の長澤奈央とハリケンイエロー / 尾藤吼太役の山本康平が東映に何度も働きかけた事がきっかけであり、最終的に東映Vシネマとして制作が決まった。
2015年には2004年度の作品である特捜戦隊デカレンジャーの続編である「特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER」が発売。2018年には2013年度の作品である「獣電戦隊キョウリュウジャー」がソーシャルゲーム『ブレイブフロンティア2』とのコラボという形で、「第33.5話 これぞブレイブ!たたかいのフロンティア」というタイトルで新作をYouTubeに期間限定公開した。
これは両作品とも当時のキャストと声優らが参加しており(スーツアクターは最新作に関わっている事が多いため、当時と違うケースが殆どである)、「ハリケンジャー 10 YEARS AFTER」では実現出来なかったロボ戦も存在している。ちなみにハリケンジャーの場合は、さらにその後を描いた公式小説も出ている。
世界観の壁・クロスオーバー
基本的にスーパー戦隊シリーズの世界観は一つ一つが完全に独立しており、『電子戦隊デンジマン』と『太陽戦隊サンバルカン』を除いて繋がりはない。これは夏映画などの各作品単独の映画や番外編などの作品でも同様であり、クロスオーバー以外で他の戦隊が言及される事はまずない上に、クロスオーバー作品での出来事がTV本編や単独作品で言及される事もほぼない。
ただし、『海賊戦隊ゴーカイジャー』以降、作品間の壁は緩くなっており、基本的にはクロスオーバー作品に限っての話だが世界観が繋がっている設定になる事もあり、登場人物やアイテムがシリーズを跨ぐ事も珍しくない(ニンニンジャーのようにクロスオーバー作品でなくとも過去作の要素やキャラが出る事も偶にある)。
とはいえ、あくまでこれも殆どクロスオーバー作品に限った話であり、TV本編やそれに準ずる作品でクロスオーバーでの話について触れられる事はやはりほぼない。
また、そもそもスーパー戦隊シリーズは基本的に、どの作品も明確に独立した世界観と設定で描かれている為、クロスオーバーはともかく厳密な意味でTV本編のスーパー戦隊シリーズの全作品が地続きというのはどう考えても無理がある。実際に、VSシリーズ等ではクロスオーバーの為にTV本編での設定が改変される事もままある。
公式側もこの辺りを理解していたのか、元々そうであるかのような描写はされていたのだが、後に『機界戦隊ゼンカイジャー』では全ての戦隊が独立したパラレル世界というはっきりとした前提の元でクロスオーバーしている。そして同時に、歴代の34戦隊やその後に生まれた様々な戦隊が存在するという設定の『海賊戦隊ゴーカイジャー』を初めとしたクロスオーバー作品に関しては、歴代のスーパー戦隊が複数共存している固有の世界であるという設定が改めて公開された。
ちなみに『電子戦隊デンジマン』に関してはその作品だけで完結し、続編という設定であった『太陽戦隊サンバルカン』はデンジマン世界とよく似た出来事があった世界という事になるのか、あるいはゴーカイジャーと同じようにこの2戦隊のみ同一世界という扱いなのかは不明。あるいはこの2戦隊が別の世界と同一の世界の両方が存在すると考えるのが無難かもしれない。
シリーズ外では、石ノ森章太郎作品の世界観ともリンクしており、2010年代上半期には仮面ライダーとのコラボレーションも行われている。一方でこれらのコラボにおいて、スーパーヒーロー大戦の時空では全ての戦隊とライダーが同一世界に存在する設定になっているのだが、TVシリーズの『侍戦隊シンケンジャー』や『手裏剣戦隊ニンニンジャー』は、仮面ライダーの世界群とは明確に別世界である事が描かれている(シンケンジャーの世界は「ライダーのいない世界」と説明されている)。
一部の作品はメタルヒーローシリーズとも世界観がリンクされており、ゴーカイジャーや『特捜戦隊デカレンジャー』と宇宙刑事シリーズ(『スペース・スクワッド』)、手裏剣戦隊ニンニンジャーと世界忍者戦ジライヤがリンクしている。
総括するとスーパー戦隊シリーズは、TVシリーズ本編とそれに付随する単独作品によるそれぞれ独立した『歴代の各戦隊の世界群』と、複数の戦隊が同一世界内に存在するクロスオーバー前提の『レジェンド戦隊の世界群』(VS、ゴーカイジャー、スペスクなど)の、大きく分けて2種類の世界が展開されている。そして前者のTVシリーズの世界で起きた事件や出来事とほぼ同じ事が、後者のレジェンド戦隊の世界での各戦隊でも起きていたと言う事になっている模様。
要するに、ウルトラマンシリーズにおけるマルチバース設定みたいなものであり、スーパー戦隊も各作品につき一つの世界ではなく、同じ戦隊でも独立した世界や他の戦隊と地続きの世界など様々な世界が存在するという事である。
これについては、同じく東映制作の仮面ライダーシリーズの方でも『仮面ライダージオウ』で、最終的には各シリーズ毎にバラバラに分かれている世界群と、複数のライダーが同一世界線上にいる世界が存在するという同じ世界観設定が展開されており、これが東映公式サイドの結論だと思われる。
ゴレンジャーとジャッカーの分類
当初からスーパー戦隊は、シリーズ物として企画されていた訳ではない。
故にその枠組みは、長いこと曖昧な状態だった。
上記したように現在は所謂「戦隊もの」というジャンルとして、特撮に詳しくない層からさえ幅広く認知されているが、スーパー戦隊シリーズは東映による戦隊もの作品につけられるシリーズ名な為に、他の製作会社が作った戦隊ものは当然含まれない。ならば、東映が製作した戦隊ものは全てスーパー戦隊シリーズになるのかというと実はそうでもない。
現状では、テレビ朝日(旧NET)も製作に関与していないと東映謹製作品であってもスーパー戦隊シリーズにはカウントされていない。そういった作品は関連作品の項を参照。
また、『秘密戦隊ゴレンジャー』と『ジャッカー電撃隊』の2作品は以下の2点が理由で、一時期は除外されていた。
- 原作者が違う(石ノ森章太郎が原作)。
- 戦隊ロボが出てこない。
よって、ゴレンジャーのように集団ヒーローかつ、スパイダーマンのように巨大ロボットが出るというコンセプトの『バトルフィーバーJ』以降をスーパー戦隊シリーズとしていたため、実際に超獣戦隊ライブマンは「スーパー戦隊10周年」「第10作目」と銘打たれていた。
スーパー戦隊の変遷
1975年 | 仮面ライダーを製作していた毎日放送が「腸捻転」を解消してTBS系列に移ることになり、NET(後のテレ朝)の編成に穴が空いたため代替として『秘密戦隊ゴレンジャー』が作られた。 |
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1977年 | 『ジャッカー電撃隊』が低視聴率で打ち切られる。東京12チャンネル(後のテレ東)でも複数ヒーローものの『忍者キャプター』が放送されていたが、これも打ち切られる。 |
1978年 | 戦隊の無い年になったため、戦隊のスタッフ陣は『東映版スパイダーマン』(東京12チャンネル)を担当することに。巨大ロボ要素は戦隊に影響を与える。 |
1979年 | 『バトルフィーバーJ』で「戦隊もの」が復活するのだが、この際に東映は「原作 石ノ森章太郎」ではなく「原作 八手三郎」に変更し「あくまでオリジナル」として始めてしまった。このため、しばらく「戦隊」の定義がバラバラに。 |
1981年 | 『太陽戦隊サンバルカン』放送開始。この頃から「スーパー戦隊」という名称が使われ始めたが、定義はやはり曖昧で、書籍によっては(後に「間違いであった」とされたものの)「忍者キャプター」をスーパー戦隊に含めるものまであった。 |
1989年 | 高速戦隊ターボレンジャー第1話「10大戦隊集合 頼むぞ!ターボレンジャー」が放送されるが、ゴレンジャーとジャッカーは無く、石ノ森2作を含まないことが公式見解となった。 |
1993年 | 「10大戦隊集合」から一転して、東映は石ノ森2作を含めた作品群を「超世紀全戦隊」シリーズとして再定義。しかしこの名称の語呂の悪さからあまり浸透はしなかった。また、この年に放送した五星戦隊ダイレンジャーは「バトルフィーバー」からカウントしてスーパー戦隊15周年記念作品として制作され、翌年の忍者戦隊カクレンジャーまではシリーズの定義は曖昧なままだった。 |
1995年 | 超力戦隊オーレンジャーで遂に前述2作を正式にシリーズに含めることが主流となり、同作は「戦隊シリーズ20周年記念作品」として制作された。しかし、1999年の救急戦隊ゴーゴーファイブまでの間、「スーパー戦隊シリーズ」、「戦隊シリーズ」「戦隊ヒーローシリーズ」、「東映戦隊シリーズ」等一定しない呼称が用いられていた。 |
2000年 | 未来戦隊タイムレンジャーから「ゴレンジャー」からカウントして「スーパー戦隊シリーズ」という呼称が正式に定義された。これによって専用のロゴが制作され、同作以降のシリーズでは毎回OPの冒頭で表示されている。 |
2011年 | 「ゴレンジャー」をはじめとした全てのスーパー戦隊が登場する海賊戦隊ゴーカイジャーでは、全編通してOPのスタッフクレジットに石ノ森章太郎、八手三郎共に記載されていた。 |
現在は、石ノ森作品の2作が登場する作品は連名クレジットになっている。
ちなみに、実は石ノ森戦隊をスーパー戦隊にカウントするという扱いはバトルフィーバーJを第1号とカウントしている「10大戦隊集合!!頼むぞターボレンジャー」以前にもあった試みであり、勁文社の大百科シリーズやテレビマガジン、テレビランドなどでは石ノ森戦隊もスーパー戦隊としてカウントされていた。また、一部では『忍者キャプター』までも戦隊に含む事例があった。
つまりはカウントされたり、カウントされなかったりを繰り返して現在の定義に至ったというわけである。石ノ森プロとの権利関係の事情だったのかもしれないが真相は不明。
余談
敵1人に対して多人数は卑怯?
よく戦隊批判というか邪推の筆頭格として挙がるこの話題。今ではそうそう聞かれないが、シリーズ開始当初はこうした声も多く、製作陣の間でも度々上がっていたようである。
とはいえ、スーパー戦隊の敵怪人はライダー怪人よりも、より積極的に戦闘員を大量に引き連れて戦う者が多いので、多いのがズルいという理屈ならば、実際は敵組織の方が遥かに卑怯である。
作品によってはそもそも敵組織の構成人数が数百・数千名に対してこちらは数人だったりする事も珍しくはなくなってきたので、人数において戦隊側が勝っている事例はほぼないと言っていい。
そもそも戦隊は「進め!ゴレンジャー」でも歌われているようにメンバー全員の力を一つに合わせて戦う戦士(わかりやすくいうと全員で仮面ライダー1人分)であり、敵怪人もそれに比例して全員が力を合わせて戦わないと勝てないような強さを誇る強敵ばかりに設定されている。なので全くもって卑怯ではない。というか先述の通り、例年組織のインフレ具合が激しいのでこれぐらい本気でやらないと地球が危ない。例として武装した銀行強盗相手に複数人の警察官が立ち向かうようなものと考えれば筋が通っている。
また、ぶっちゃけると仮面ライダー同様に1人で怪人を倒してしまう事も稀にある。強力な設定が与えられやすい追加戦士だとそれも顕著である。例外事項と見てよいが、『特捜戦隊デカレンジャー』のように各話毎にシチュエーションも敵の強さもバラけやすい作品や、『獣電戦隊キョウリュウジャー』のようにレッドが突出して強かったり、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のようにそれに加えて「そもそも戦隊そのものがレッドありきのシステムに近い」「一般怪人があまり強くない」という作品だとその傾向も強い。
戦隊ヒーローの命名法則
世間一般の認識としては戦隊名+色というパターンが広く認識されているが、全てがそうというわけではない。
以下はその例。
- 戦隊ヒーロー全体のモチーフ+色(又は色+モチーフ)
- 忍者戦隊カクレンジャー(ニンジャ+レッド)、激走戦隊カーレンジャー(レッド+レーサー)
- メンバーのモチーフ+色(又は色+モチーフ)
- 鳥人戦隊ジェットマン(レッド+ホーク)、宇宙戦隊キュウレンジャー(シシ+レッド)
- メンバーのナンバリング+色
- 超電子バイオマン(レッド+ワン)
- 戦隊名+モチーフ
- 動物戦隊ジュウオウジャー(ジュウオウ+イーグル)、太陽戦隊サンバルカン(バル+イーグル)
- モチーフ+レンジャー
- 恐竜戦隊ジュウレンジャー(ティラノ+レンジャー)
- その他
- ジャッカー電撃隊(スペードエース)
この他、追加戦士の中には命名法則から外れたものや、発展したタイプがあるので、初心者が混乱しやすい元となっている。
戦隊と恋愛
ウルトラシリーズや仮面ライダーにおいては、主人公とヒロインが恋愛関係になったり、それに近い関係になることがほとんどであるが戦隊は対象年齢の都合上恋愛ドラマのイメージが少ない。
しかし古くは『ジャッカー電撃隊』終盤で一度試みられている。その後『光戦隊マスクマン』で敵との恋愛、『鳥人戦隊ジェットマン』で三角関係、『激走戦隊カーレンジャー』でラブコメ要素が導入されたが、恋愛要素は作品によってあったり、なかったりと様々。
中には男性(主にレッド)とゲストキャラ(魔法戦隊マジレンジャー、魔進戦隊キラメイジャー)や女性(主にピンク)とゲストキャラ(五星戦隊ダイレンジャー)と言った形で一回限りの恋愛関係もある。ちなみに結婚しているのはメンバー同士では、3組だけである(後日談においてその子孫から推測すれば、もっと増える)。無論、悲恋に終わることもある。
実は一度もリメイク作品が作られていない
海外ではパワーレンジャーシリーズで多数リメイクとして作られているが、実は日本では様々なリメイク作品が作られてきた仮面ライダーシリーズと違って(2024年経っても)一度もリメイク作品が作られていない。秘密戦隊ゴレンジャーをモデルにしたザ・ハイスクールヒーローズは、リメイク作品に近いが、こちらはオマージュ作品であるためリメイクには入らない。
モチーフの傾向
90年代以降は世間の流行や社会情勢を取り入れる傾向にあり、平成ライダー以降の『仮面ライダー』シリーズとの共通点と言える。
- バトルフィーバーJ:サタデーナイトフィーバー
- 超新星フラッシュマン:中国残留孤児
- 高速戦隊ターボレンジャー:ミニ四駆
- 鳥人戦隊ジェットマン:トレンディドラマ
- 恐竜戦隊ジュウレンジャー:ジュラシックパーク
- 五星戦隊ダイレンジャー:ストリートファイターII
- 超力戦隊オーレンジャー:ノストラダムスの大予言
- 激走戦隊カーレンジャー:東映不思議コメディーシリーズ
- 電磁戦隊メガレンジャー:インターネット
- 百獣戦隊ガオレンジャー:ライオンキング
- 爆竜戦隊アバレンジャー:説教アニメ
- 特捜戦隊デカレンジャー:宇宙人
- 魔法戦隊マジレンジャー:ハリー・ポッター
- 轟轟戦隊ボウケンジャー:インディ・ジョーンズ
- 獣拳戦隊ゲキレンジャー:ドラゴンボール
- 海賊戦隊ゴーカイジャー:パイレーツ・オブ・カリビアン
- 手裏剣戦隊ニンニンジャー:クールジャパン
- 動物戦隊ジュウオウジャー:猿の惑星
- 宇宙戦隊キュウレンジャー:スターウォーズ
- 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー:ルパン三世
- 騎士竜戦隊リュウソウジャー:進撃の巨人
- 魔進戦隊キラメイジャー:僕のヒーローアカデミア
- 機界戦隊ゼンカイジャー:トランスフォーマー
- 暴太郎戦隊ドンブラザーズ:鬼滅の刃
- 王様戦隊キングオージャー:キングダム
カードゲーム
家庭用ゲームは子供向けならともかく、「大人のための戦隊ゲー」は不作気味で、その点は仮面ライダーに軍配が上がる。しかしカードゲームは負けず劣らず好評である。
2006年にバンダイより発売されていたトレーディングカードゲームで通称レンスト。
スーパー戦隊30作を記念して制作され『秘密戦隊ゴレンジャー』から『海賊戦隊ゴーカイジャー』までの戦隊を収録。第2弾からは敵組織が収録され、そして仮面ライダーシリーズやメタルヒーローシリーズも収録されるようになった。2011年に終了している。
スーパー戦隊バトルダイスオー
2010年3月4日にスーパー戦隊シリーズを題材にしたデータカードダスがスタート。
ゴセイジャーやシンケンジャー、ゴーオンジャーが参戦し、また、歴代戦隊からも代表メンバーが登場。自分だけの夢のチームで戦うことができ、2011年からはダイスオーDXとしてリニューアルしてパワーアップ。新たにゴーカイジャーが参戦し、新システムのもとさらに激しい戦いが繰り広げられる。
2012年からはナンバリングをゴーバスターズに合わせて特命1弾としてリニューアル。
2013年はキョウリュウジャーに合わせガブリンチョ1弾と年度ごとにリニューアルが行われていたが2014年2月下旬よりトッキュウジャーに合わせ「ダイスオーEX」が稼動、EX5弾をもってシリーズの稼動を終了した。
スーパー戦隊データカードダス
2018年2月中旬よりルパンレンジャーVSパトレンジャーをメインとした新しいデータカードダスがスタート。ダイスオー終了から実に3年ぶりの復活である。2019年3月よりリュウソウジャー放送開始に合わせて内容が一部リニューアル。2020年3月をもって稼働を終了した。
スーパー戦隊レジェンドウォーズ
携帯アプリゲームで2016年7月1日に公式サイトがオープンし同年9月に配信開始され、ジャンルはクロスオーバーアクションRPGで基本無料(一部有料)で自身のお気に入り(思い出)のスーパー戦隊たちのカードを揃えてデッキを組み戦っていき、シナリオはオリジナルストーリーで随時更新されている。2020年8月に配信終了。
ゲーム内では各戦隊の主題歌が収録されているが戦闘時にメイン戦隊として出している間とガシャでHERO以上が出た時にしか聞く事が出来ないので少しハードルが高い。
関連イラスト
関連タグ
テレビマガジン - スーパー戦隊のオリジナルDVDの誌上通販を行っていたが、現在は付録として出している。テレマガDVDにはオリジナルのフォームチェンジもある。
関連作品
国内作品
- 仮面ライダーストロンガー
- 1975年4月5日から12月27日まで、TBS系列で毎週土曜19:00~19:30に全39話が放送された。元々は毎日放送とNET(現:テレビ朝日)が系列局で、同時間帯が仮面ライダーの放送枠だったのが系列解消に伴い、関東のNET系列にゴレンジャーが放送されたのに対し、関西の毎日放送系列で本作が放送されることになった。ゴレンジャーは元々本作の没案「5人の仮面ライダーが活躍する」案の転用である。
- 忍者キャプター
- テレビ東京にて1976年4月7日 から1977年1月26日にかけて全43話が放送された東映製作の特撮テレビドラマ。「原作・八手三郎」という肩書きの最初の集団ヒーローでもある。こちらも、『スーパー戦隊』同様に、色違いの戦闘服に身にまとい、敵怪人を成敗する。主要メンバーも7人構成であり、後年の6~7人構成のスーパー戦隊を先取りしている所もある。
- スパイダーマン(東映版)
- 仮面戦隊ゴライダー
- 2017年に配信された平成ライダーシリーズのスピンオフドラマ。『ゴレンジャー』の原案をモチーフに、仮面ライダーが戦隊になるという衝撃的内容が展開される。また同日公開の映画『超スーパーヒーロー大戦』にも「ゴライダー」が登場した。
- スペース・スクワッド
- メタルヒーローシリーズの「宇宙刑事ギャバン」とスーパー戦隊シリーズの「デカレンジャー」とのクロスオーバー作品で2作制作され、そして3作目として「宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド」が2018年に劇場公開された。
- スーパー戦隊ヴィランズ
- スーパー戦隊シリーズの悪役で構成された悪の戦隊で彼らを主人公としたVシネマ。2099年4月1日発売予定。
- スーパー戦隊最強バトル!!
- 「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」と「リュウソウジャー」の間に放送されたスペシャル番組。戦隊ヒーローたちが今回限りのドリームチームを組んで戦う。
海外作品
- パワーレンジャー・ダイノフォースブレイブ(獣電戦隊キョウリュウジャーブレイブ)
- 『キョウリュウジャー』の第2期(続編)に相当。韓国では『アバレンジャー』から日本の本シリーズを韓国語吹き替えした作品が『パワーレンジャーシリーズ』(アメリカ制作のパワーレンジャーシリーズとは異なる)として毎年放送されており、本作は『キョウリュウジャー』吹き替え版『パワーレンジャー・ダイノフォース』の続編として韓国向けに東映が制作した作品である。
- 日本でも日本語吹き替え版がネット配信された。
公認作品
パロディ
特に秘密戦隊ゴレンジャーのパロディが多く、「ごっつええ感じ」内で放送された「世紀末戦隊ゴレンジャイ」やキリンビバレッジのアミノサプリのCMキャラクター「麒麟戦隊アミノンジャー」が特に著名。後者は主題歌をささきいさお、音楽を渡辺宙明が担当している。
ローカルヒーロー
非公認戦隊アキバレンジャーのように戦隊の派生枠というわけでも、スーパー戦隊に組み込まれているわけではないが、東映公認のローカル戦隊ヒーローが数多く存在する。
香川県の『未来環境防衛隊ドラゴンマン』(大葉健二監修/串田アキラがテーマソングを担当)、和歌山県の『紀ノ國戦隊紀州レンジャー』などがその一例である。
外部リンク
公式
スーパーせんたいフレンズ(スーパー戦隊シリーズの公式サイト)
スーパー戦隊オフィシャル(スーパー戦隊シリーズの公式Twitter)
東映特撮YouTube Official(歴代スーパー戦隊シリーズの作品が見られる公式YouTubeチャンネル)