概要
『王様戦隊キングオージャー』第2部となる第27話から登場する、バグナラクに代わる新たな敵勢力。
具体的にはダグデドの肩書きで組織の名前ではないが、便宜上、正式な呼び方がない為この記事では「勢力」として取り扱う。そのためか視聴者たちからは「宇蟲王一味」あるいは「ダグデド一派」とも呼ばれている。
宇宙すら意のままに操る超常的存在・宇蟲王ダグデドと配下の昆虫型宇宙人からなる勢力で、共通して目のような模様と赤色のブラックホールのような造形が身体に施されている。
彼らもバグナラクと同じように昆虫由来の遺伝子情報「BNA」を備えており、必殺技である昆虫最終奥義も使用可能。
ダグデドが住まう『宇宙』そのものの部屋で増え過ぎた星や生命体を煩わしく思い、様々な勢力を裏で操作して戦火の種をばら撒き、争わせて自滅していく様子を楽しむ「掃除」と称した悪辣なデスゲームで多くの惑星を滅ぼしてきた。
そして第1部最終回である第26話から2年の月日が経ったチキューへダグデド自ら来襲し、チキューの「お片付け」を実行しようと企てる。
実は宰相カメジム改めカメジム・ウンカは本来この組織のメンバーで、彼等こそが2000年に渡るバグナラクと人間の争いを陰で引き起こしていた全ての元凶だった。
またラクレス・ハスティーを含む歴代のシュゴッダムの王を手駒として秘密裏に操っていたり、第30話でカメジムと同じくチキューに送り込まれていた人物が神の怒りの主犯だったりと、チキューの負の歴史に深く関わっている。
更に第32話にて別の戦隊の世界にも魔手を伸ばしていた事が判明している。
共存できる可能性を見出す形に落ち着いたバグナラクとは違い、身勝手な理由で惑星を滅ぼす上に生命を「自分達が楽しむだけの駒」と言う価値しか見出していない、同情の余地のない完全な悪役であり、良くも悪くもスーパー戦隊の悪の組織らしい集団である。
バグナラクとの比較
本作が2部構成でストーリーを構成されている為か、第1部の敵バグナラクと完全に正反対な組織として、どちらとも戦隊の悪役としては両極端なレベルで対比が図られているのがわかる。
バグナラク | 宇蟲王軍団 | |
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襲来場所 | 地の底から這いより現れた | 天から降臨して襲来 |
組織構成 | 幹部陣は最少人数で、首領と宰相の2人体制(後に数話だけだが一人加わった)だが、さらに真相は実質デズナラク8世しかいない孤独な体制 | 絶対的な首領の下に幹部が5人も控えている大所帯 |
戦力 | 戦闘員のサナギムの軍団と、それを率いる行動隊長怪ジームを擁する | ダグデド自身が圧倒的な力を持つため、怪人枠どころか戦闘員すら持たず、直属の戦力は五道化のみ。ただし、グローディの能力により死者を蘇生させる事で使役は出来ないが戦力は増やすことが可能 |
本拠地 | 光届かぬ暗い地下 | 宇宙そのもので形成された明るいサイケデリックな空間 |
戦う理由 | 迫害してきた人間への復讐と凄まじい憎悪 | ダグデド個人の悪趣味な娯楽 |
コミュニケーション | 基本的にコミュニケーションはほとんど取らず、仲間内ですら必要最低限にも満たないほど会話をしない | 陽気な者が多く、必ず必要以上を通り越して多過なほどに饒舌に喋る。 |
作戦 | 基本的には大規模破壊によって人類に直接被害を与える方針であり、ほとんどは姑息な作戦も立てずに直接攻め入り、軍事力でごり押しする直球型 | その気になれば、一気にチキュー殲滅も可能だが、ダグデドの意向もあり、『遊び』で搦め手を好む。自分からは直接手を下さず、あくまで人類側から争いを引き起こさせて内部分裂を誘発する変化球型 |
固有能力 | 主に物理特化系中心で、大半はモチーフ元由来の能力を持つ | 主にスキル&デバフ特化系中心で、洗脳や入れ替え等、モチーフ元とはほぼ全く関係ない能力を使う |
首領のイメージカラー | 黒と赤 | 白と青 |
怪人の容姿 | 有機的 | 近未来的 |
作成遂行 | ほぼ無限の兵力故の使い捨て前提なので、基本的にぶっつけ本番で「一時撤退」や「仕切り直し」という発想はほとんどない。前に怪人が命からがら逃げ延びた時は、幹部陣から村八分にされた事すらあった | 兵力はたった五人しかいないなので使い回しは当たり前。一度失敗したら一回休みで、別のメンバーに交代するスタンス |
戦闘 | 組織の方針から、最初から巨大化してくる者も多かった為、ほとんどが巨大戦メイン | 組織の方針上、構成員は五道化のみなので、巨大戦はほぼ皆無 |
構成員
宇蟲王
ダグデド・ドゥジャルダン(声:石田彰) |
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宇宙より現れし“宇蟲王”。本作の諸悪の根源。チキューの生命体を一掃すべく2年後のチキューへと来襲。最終話で倒された。 |
宇蟲五道化
カメジム・ウンカ(声:三木眞一郎) |
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宇蟲五道化の一員。バグナラクの宰相・カメジムの真の姿で、バグナラク関連の黒幕。最終話でデズナラク8世らに敗れデズナラクによりハーカバーカに連れて行かれ退場。 |
ゴーマ・ローザリア(声:山路和弘) |
宇蟲五道化の一員。あらゆる対象物を入れ替える能力を持つ。第39話で、王鎧武装・凌牙一閃の一撃を受けて殉職。 |
ヒルビル・リッチ(声:沢城みゆき) |
宇蟲五道化の一員。一国すら滅ぼせる程の洗脳能力が持ち味。第44話でキングオージャーの一撃で殉職。 |
ミノンガン・モウズ(声:関智一) |
宇蟲五道化の一員。知能が低いような振る舞いをする。第45話でリタによって封印される。 |
グローディ・ロイコディウム(演・声:天野浩成) |
宇蟲五道化の一員。死者を凶暴化させ復活させる能力で「神の怒り」を引き起こした黒幕。第30話で復活し、第47話でゴッドキングオージャーの技を受けて殉職。 |
宇蟲王に与する者
シデジーム (声:代永翼) |
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ダグデドがシュゴッダムに送り込んだ刺客。オージャカリバーZEROの奪取を目論む。 |
兜武神デーボス (声:江川央生) |
ダグデドが「キョウリュウジャーがいる地球」に送り込んだ、デーボス軍の新たな首領。人間のブレイブを奪い、完全復活を目論む。 |
ラクレス・ハスティー/シュゴ仮面 (演:矢野聖人) |
シュゴッダムの前国王。第20話での敗北後、ダグデドの軍門に下り半年後のシュゴッダムの王に再臨。その真の目的は…… |
余談
宇蟲王の設定自体はシリーズ構成脚本の高野水登氏のスペースによると、最初のパイロットとなる1クール目の5話の脚本が書き上がってた段階で決まってたようである。
脳人やバグナラクはやむを得ぬ事情で戦隊と敵対していたので、完全な悪役は、トジテンド以来2年ぶりである。ちなみにキングオージャーとキョウリュウジャーが同一の次元世界という事は、ゼンカイジャー本編でキョウリュウジャー世界がトジルギアに封印されていた頃には、宇蟲王一味も一緒に封印されていたという事になるが、現在の所は言及は無い。
本編での所業から某所では「令和のデスガリアン」と言われているが、言い得て妙である。こちらも王者由来の戦隊と対峙している。
ゲスト怪人や戦闘員が存在しない敵組織はスーパー戦隊では初である。
関連タグ
- 宇宙虐滅集団ウォースター、デスガリアン:身勝手な理由で命を蹂躙する悪の組織繋がり。前者は昆虫モチーフの宇宙人による悪の組織である上、元々戦闘員も所持していないのも共通している。後者は王者の戦隊と戦った点が共通している。
- ロン:同じように己の快楽の為だけに昔から策謀を張り巡らせて二つの勢力を争わせて弄んでいた輩。ロンもありとあらゆる悪徳をやり尽くし、もはや何をしても退屈であって、刺激を求めている辺りが共通している。ただしこいつの場合、殺す方法が一応存在するダグデドを上回る本物の不死身である。