曖昧さ回避
概要
村の掟を破った者とその家族を村人全員で申し合わせて無視することである。
村八分の「八分」は、地域生活における10の活動のうちの8つ(結婚、出産、成人式、病気の看病、農作業の手伝い、水害時の世話、新改築の手伝い、法事)のこと。
ただし、火事と葬儀の時は例外になる。これは火事の時は周囲への延焼を防ぐため、葬儀は死体を放置すると死臭が漂う、伝染病防止のための他に、死者は裁かれないという考えがあったためである。逆を言えば、死ぬまで許されない非常に厳しい制裁ともいえる。
村八分は本来、村に住む人々がお互いに合意の元に助け合って生活している中で“自分の事しか考えない身勝手な者”がいた場合にその者とは助け合いをしないという意味であるが、実際に行なわれた村八分は村の有力者の利益に沿って決められたものが多く、決して公正な制度ではない。明治時代には村八分は名誉棄損や脅迫であると裁判で認められた例がある。現代でも村八分が行われている村落は存在しており、村八分を受けた者から訴えられた事で裁判沙汰になったり、報復による悲惨な事件に発展した例もある。
当然ながら現代でやれば犯罪となる。
近代日本における村八分にまつわる事件(ウィキペディアより)
- 津山事件(1938年)
岡山県苫田郡西加茂村(現:津山市加茂町)のある集落において、当時死病とされた結核を患った事で村八分を受けた青年が、復讐の為に日本刀や散弾銃で武装し、村人30人を虐殺。犯人はその後、遺書を残して自殺した。単独犯による凶器(刃物や銃火器等)のみを用いた殺人事件としては近代日本史上最多の犠牲者を出した。
- 静岡県上野村村八分事件(1952年)
静岡県上野村において村ぐるみの不正選挙を告発した女子高校生とその一家が、村八分を受けた。
- 関川村村八分裁判(2004年)
新潟県関川村のある集落で、イワナのつかみ取り大会に参加しないと申し出た一部の住民が、有力者から山菜採りやゴミ捨て場の利用禁止の村八分を受けたと裁判を起こした。裁判では住民が勝訴し、有力者は不法行為の禁止と220万円の損害賠償を命じられ、失脚に追い込まれる。
- 山口連続殺人放火事件(2013年)
山口県周南市のある集落で、集落住民との間で諍いが起こっていた男が近所の家を襲撃し、5人を殺害し、家を放火するなどした。犯人は「(集落住民から)村八分に遭っていた」と証言している。